19 / 28
17 ナイトガウンの王太子
しおりを挟む
葉を揺らす音も止まり、まるで森そのものが息を潜める。
光の渦の中心に、ふわりと姿を現したのは、しなやかな体躯を持つ金色の狐。
柔らかな毛並みは、自ら淡い光を放ち、闇の森に差す一条の希望のようだった。
目を奪われるほど気高く、美しい――その眼差しは、すべてを見渡すように静かで、それでいて、私の痛みにそっと寄り添ってくれているようだった。
「……セイルズ様……スフレドリたちが……傷だらけで、お願い、助けて……ください」
私がそう呟くと、神獣様は静かに、ひとつ瞬きをして頷いた。
次の瞬間――風が柔らかく渦を巻き、スフレドリたちのまわりに金色の光がふわりと舞い降りる。
それはまるで、羽ばたく翼からこぼれた癒しの羽光。
光はそっと傷口をなぞるように触れ、深く刻まれていた傷がみるみるうちに癒えていく。
ぴくりと、小さな羽が震えた。かすかに、鳴き声も戻ってくる。私はそっと息をのんだ。
次の瞬間、うずくまっていた一羽が、ゆっくりと立ち上がった。
血に染まっていた羽は光の粒に包まれて、ふわふわの綺麗なブルーに戻っている。
その小さな体が、よろけながらも羽ばたいて、まっすぐに私の胸元へ飛び込んできた。
「……っ!」
私は両腕でその子を受け止める。温かいぬくもり……ちゃんと、生きてる。
スフレドリは私の腕の中で身を寄せるように小さく鳴いた。
他のスフレドリたちも、光に包まれながら、一羽、また一羽と起き上がり、羽を震わせてこちらへやってくる。
ぼろぼろだった彼らが、今こうして――私のそばに戻ってきてくれた。
「……ありがとう、セイルズ様。ほんとうに……ありがとう……」
私は安堵に胸を撫で下ろし、思わず涙をこぼしていた。
そのとき――森の風が再び揺れた。
葉擦れの音に混じって、ふっと別の気配が現れる。
私が顔を上げると、そこに立っていたのは、夜の森にまったくそぐわない人物だった。
長身で、銀青の髪が月明かりを受けてきらめいている。
羽織っているのは、繊細な金刺繍が施されたロイヤルブルーのナイトガウン。
その下には、柔らかな上質の布地で仕立てられた薄手のナイトウェア。
本来なら寝所でしか見られないはずの姿なのに、本人はまるで気にする様子もない。
そして――私は息を呑んだ。
整ったという言葉では追いつかないほど、端正な顔立ち――まるで彫刻のよう。
瞳は深く静かな湖面を思わせるアイスブルー。
冷たさを宿しているようでいて、どこか優しい不思議な色だった。
王族というより、むしろ水の精霊――
そんなふうにすら見えてしまう、現実離れした美しさだった。
……見惚れてしまった私の前で、その“水の精霊”は、思いがけない口調で言葉を発した。
「まったく……真夜中にあんな勢いで飛び出して行かれたら、眠れなくなるだろう? それにしても、珍しい。おまえがここまで本気で動くなんてな。面白そうだと思ってついてきたら……なるほど、正解だった」
彼の視線が、私と腕の中のスフレドリたちに向く。
私は、涙でぐしゃぐしゃになった顔を見られていることに気づき、慌てて手で顔を隠した。
「……あー、ちょっと待った。ハンカチ……あ、持ってきてないな。寝てたし。まぁ、これでいいか」
彼はゆったりと歩み寄り、自分のナイトガウンの裾をふわりとつまんだ。そのまま、ためらいもなく、私の頬にナイトガウンの裾をあてて涙を拭う。それだけで終わらず、鼻のあたりにも軽く押しあててきた。
「ついでに……鼻もいくか? ほら、遠慮するな。俺はこういうの全然気にしないから」
……なにこの人?
私は助けを求めるように、神獣様のほうへ視線を向けた。
「娘よ。驚くのも無理はあるまい。この方こそ、我が主――オリオル王家に生まれし王太子、マキシミリアン=オリオル殿下だ」
「お、王太子様? この方が?」
「ふむ、就寝衣姿ゆえに気づかぬのも道理か……だが、見かけに惑わされるなよ。我が主は、戯れを好むが、次期王としての器は確かだ」
「まぁ、こんな森の中で立ち話もなんだから、宮殿に戻ろうか?」
王太子――マキシミリアン様は、まるで近所の散歩帰りのような口調で、そんなことを言った。
けれどその瞬間、彼の足元からふわりと風が立ち上がった。次いで、地を這うような銀色の光が静かに円を描いて広がっていく。森の闇を優しく切り取るように、複雑な文様が空間に浮かび、まるで夜空に咲く光の花のようだった。
「準備完了。じゃあ、行こうか。目、閉じなくて大丈夫だよ。酔いやすいなら別だけど」
王太子様が軽く指を鳴らす。瞬間、風が逆巻き、空気が震えた。
重力がふっと失われたような感覚――でも怖くはなかった。
光がすべてを包み込み、まるで誰かの胸にそっと抱かれたような温もりが広がる。
気づけば、さっきまでいた森の気配はすでに消えていた。
足元には赤絨毯。壁には金装飾の燭台。
天井には、宝石のようにきらめく魔石のシャンデリア。
そこは、まぎれもなく王宮の一室のようだった。
「……えっ……うそ、一瞬で?」
私はあっけにとられたまま声を漏らす。
セイルズ様は金色の尾をゆるやかに揺らしながら言った。
「ふむ……さすがは我が主。己の魔力で、神獣も人も、意に介さず宮殿まで転移とはな」
スフレドリたちもきょとんとした顔で辺りを見回し、ピィ……と小さく鳴いて私の肩や手にとまるけれど、王太子様の頭にも一羽、神獣様の頭の上にも一羽とまっていた……当たり前のように。
そして――上品なナイトウェア姿のまま、王太子マキシミリアン様は何食わぬ顔で振り返る。
「うん、着いた。あー……でもナイトウェアのままだと、さすがに変だな。ガウンも洗濯させるか……ちょっと誰か、着替え持ってきてーー」
光の渦の中心に、ふわりと姿を現したのは、しなやかな体躯を持つ金色の狐。
柔らかな毛並みは、自ら淡い光を放ち、闇の森に差す一条の希望のようだった。
目を奪われるほど気高く、美しい――その眼差しは、すべてを見渡すように静かで、それでいて、私の痛みにそっと寄り添ってくれているようだった。
「……セイルズ様……スフレドリたちが……傷だらけで、お願い、助けて……ください」
私がそう呟くと、神獣様は静かに、ひとつ瞬きをして頷いた。
次の瞬間――風が柔らかく渦を巻き、スフレドリたちのまわりに金色の光がふわりと舞い降りる。
それはまるで、羽ばたく翼からこぼれた癒しの羽光。
光はそっと傷口をなぞるように触れ、深く刻まれていた傷がみるみるうちに癒えていく。
ぴくりと、小さな羽が震えた。かすかに、鳴き声も戻ってくる。私はそっと息をのんだ。
次の瞬間、うずくまっていた一羽が、ゆっくりと立ち上がった。
血に染まっていた羽は光の粒に包まれて、ふわふわの綺麗なブルーに戻っている。
その小さな体が、よろけながらも羽ばたいて、まっすぐに私の胸元へ飛び込んできた。
「……っ!」
私は両腕でその子を受け止める。温かいぬくもり……ちゃんと、生きてる。
スフレドリは私の腕の中で身を寄せるように小さく鳴いた。
他のスフレドリたちも、光に包まれながら、一羽、また一羽と起き上がり、羽を震わせてこちらへやってくる。
ぼろぼろだった彼らが、今こうして――私のそばに戻ってきてくれた。
「……ありがとう、セイルズ様。ほんとうに……ありがとう……」
私は安堵に胸を撫で下ろし、思わず涙をこぼしていた。
そのとき――森の風が再び揺れた。
葉擦れの音に混じって、ふっと別の気配が現れる。
私が顔を上げると、そこに立っていたのは、夜の森にまったくそぐわない人物だった。
長身で、銀青の髪が月明かりを受けてきらめいている。
羽織っているのは、繊細な金刺繍が施されたロイヤルブルーのナイトガウン。
その下には、柔らかな上質の布地で仕立てられた薄手のナイトウェア。
本来なら寝所でしか見られないはずの姿なのに、本人はまるで気にする様子もない。
そして――私は息を呑んだ。
整ったという言葉では追いつかないほど、端正な顔立ち――まるで彫刻のよう。
瞳は深く静かな湖面を思わせるアイスブルー。
冷たさを宿しているようでいて、どこか優しい不思議な色だった。
王族というより、むしろ水の精霊――
そんなふうにすら見えてしまう、現実離れした美しさだった。
……見惚れてしまった私の前で、その“水の精霊”は、思いがけない口調で言葉を発した。
「まったく……真夜中にあんな勢いで飛び出して行かれたら、眠れなくなるだろう? それにしても、珍しい。おまえがここまで本気で動くなんてな。面白そうだと思ってついてきたら……なるほど、正解だった」
彼の視線が、私と腕の中のスフレドリたちに向く。
私は、涙でぐしゃぐしゃになった顔を見られていることに気づき、慌てて手で顔を隠した。
「……あー、ちょっと待った。ハンカチ……あ、持ってきてないな。寝てたし。まぁ、これでいいか」
彼はゆったりと歩み寄り、自分のナイトガウンの裾をふわりとつまんだ。そのまま、ためらいもなく、私の頬にナイトガウンの裾をあてて涙を拭う。それだけで終わらず、鼻のあたりにも軽く押しあててきた。
「ついでに……鼻もいくか? ほら、遠慮するな。俺はこういうの全然気にしないから」
……なにこの人?
私は助けを求めるように、神獣様のほうへ視線を向けた。
「娘よ。驚くのも無理はあるまい。この方こそ、我が主――オリオル王家に生まれし王太子、マキシミリアン=オリオル殿下だ」
「お、王太子様? この方が?」
「ふむ、就寝衣姿ゆえに気づかぬのも道理か……だが、見かけに惑わされるなよ。我が主は、戯れを好むが、次期王としての器は確かだ」
「まぁ、こんな森の中で立ち話もなんだから、宮殿に戻ろうか?」
王太子――マキシミリアン様は、まるで近所の散歩帰りのような口調で、そんなことを言った。
けれどその瞬間、彼の足元からふわりと風が立ち上がった。次いで、地を這うような銀色の光が静かに円を描いて広がっていく。森の闇を優しく切り取るように、複雑な文様が空間に浮かび、まるで夜空に咲く光の花のようだった。
「準備完了。じゃあ、行こうか。目、閉じなくて大丈夫だよ。酔いやすいなら別だけど」
王太子様が軽く指を鳴らす。瞬間、風が逆巻き、空気が震えた。
重力がふっと失われたような感覚――でも怖くはなかった。
光がすべてを包み込み、まるで誰かの胸にそっと抱かれたような温もりが広がる。
気づけば、さっきまでいた森の気配はすでに消えていた。
足元には赤絨毯。壁には金装飾の燭台。
天井には、宝石のようにきらめく魔石のシャンデリア。
そこは、まぎれもなく王宮の一室のようだった。
「……えっ……うそ、一瞬で?」
私はあっけにとられたまま声を漏らす。
セイルズ様は金色の尾をゆるやかに揺らしながら言った。
「ふむ……さすがは我が主。己の魔力で、神獣も人も、意に介さず宮殿まで転移とはな」
スフレドリたちもきょとんとした顔で辺りを見回し、ピィ……と小さく鳴いて私の肩や手にとまるけれど、王太子様の頭にも一羽、神獣様の頭の上にも一羽とまっていた……当たり前のように。
そして――上品なナイトウェア姿のまま、王太子マキシミリアン様は何食わぬ顔で振り返る。
「うん、着いた。あー……でもナイトウェアのままだと、さすがに変だな。ガウンも洗濯させるか……ちょっと誰か、着替え持ってきてーー」
1,501
あなたにおすすめの小説
【完結】『飯炊き女』と呼ばれている騎士団の寮母ですが、実は最高位の聖女です
葉桜鹿乃
恋愛
ルーシーが『飯炊き女』と、呼ばれてそろそろ3年が経とうとしている。
王宮内に兵舎がある王立騎士団【鷹の爪】の寮母を担っているルーシー。
孤児院の出で、働き口を探してここに配置された事になっているが、実はこの国の最も高貴な存在とされる『金剛の聖女』である。
王宮という国で一番安全な場所で、更には周囲に常に複数人の騎士が控えている場所に、本人と王族、宰相が話し合って所属することになったものの、存在を秘する為に扱いは『飯炊き女』である。
働くのは苦では無いし、顔を隠すための不細工な丸眼鏡にソバカスと眉を太くする化粧、粗末な服。これを襲いに来るような輩は男所帯の騎士団にも居ないし、聖女の力で存在感を常に薄めるようにしている。
何故このような擬態をしているかというと、隣国から聖女を狙って何者かが間者として侵入していると言われているためだ。
隣国は既に瘴気で汚れた土地が多くなり、作物もまともに育たないと聞いて、ルーシーはしばらく隣国に行ってもいいと思っているのだが、長く冷戦状態にある隣国に行かせるのは命が危ないのでは、と躊躇いを見せる国王たちをルーシーは説得する教養もなく……。
そんな折、ある日の月夜に、明日の雨を予見して変装をせずに水汲みをしている時に「見つけた」と言われて振り向いたそこにいたのは、騎士団の中でもルーシーに優しい一人の騎士だった。
※感想の取り扱いは近況ボードを参照してください。
※小説家になろう様でも掲載予定です。
「華がない」と婚約破棄されたけど、冷徹宰相の恋人として帰ってきたら……
有賀冬馬
恋愛
「貴族の妻にはもっと華やかさが必要なんだ」
そんな言葉で、あっさり私を捨てたラウル。
涙でくしゃくしゃの毎日……だけど、そんな私に声をかけてくれたのは、誰もが恐れる冷徹宰相ゼノ様だった。
気がつけば、彼の側近として活躍し、やがては恋人に――!
数年後、舞踏会で土下座してきたラウルに、私は静かに言う。
「あなたが捨てたのは、私じゃなくて未来だったのね」
家も婚約者も、もう要りません。今の私には、すべてがありますから
有賀冬馬
恋愛
「嫉妬深い女」と濡れ衣を着せられ、家も婚約者も妹に奪われた侯爵令嬢エレナ。
雨の中、たった一人で放り出された私を拾ってくれたのは、身分を隠した第二王子でした。
彼に求婚され、王宮で輝きを取り戻した私が舞踏会に現れると、そこには没落した元家族の姿が……。
ねぇ、今さら私にすり寄ってきたって遅いのです。だって、私にはもう、すべてがあるのですから。
地味な私では退屈だったのでしょう? 最強聖騎士団長の溺愛妃になったので、元婚約者はどうぞお好きに
有賀冬馬
恋愛
「君と一緒にいると退屈だ」――そう言って、婚約者の伯爵令息カイル様は、私を捨てた。
選んだのは、華やかで社交的な公爵令嬢。
地味で無口な私には、誰も見向きもしない……そう思っていたのに。
失意のまま辺境へ向かった私が出会ったのは、偶然にも国中の騎士の頂点に立つ、最強の聖騎士団長でした。
「君は、僕にとってかけがえのない存在だ」
彼の優しさに触れ、私の世界は色づき始める。
そして、私は彼の正妃として王都へ……
「輝きがない」と言って婚約破棄した元婚約者様へ、私は隣国の皇后になりました
有賀冬馬
恋愛
「君のような輝きのない女性を、妻にするわけにはいかない」――そう言って、近衛騎士カイルは私との婚約を一方的に破棄した。
私は傷つき、絶望の淵に落ちたけれど、森で出会った傷だらけの青年を助けたことが、私の人生を大きく変えることになる。
彼こそ、隣国の若き皇子、ルイス様だった。
彼の心優しさに触れ、皇后として迎え入れられた私は、見違えるほど美しく、そして強く生まれ変わる。
数年後、権力を失い、みすぼらしい姿になったカイルが、私の目の前に現れる。
「お久しぶりですわ、カイル様。私を見捨てたあなたが、今さら縋るなんて滑稽ですわね」。
見捨ててくれてありがとうございます。あとはご勝手に。
有賀冬馬
恋愛
「君のような女は俺の格を下げる」――そう言って、侯爵家嫡男の婚約者は、わたしを社交界で公然と捨てた。
選んだのは、華やかで高慢な伯爵令嬢。
涙に暮れるわたしを慰めてくれたのは、王国最強の騎士団副団長だった。
彼に守られ、真実の愛を知ったとき、地味で陰気だったわたしは、もういなかった。
やがて、彼は新妻の悪行によって失脚。復縁を求めて縋りつく元婚約者に、わたしは冷たく告げる。
【完結】大聖女は無能と蔑まれて追放される〜殿下、1%まで力を封じよと命令したことをお忘れですか?隣国の王子と婚約しましたので、もう戻りません
冬月光輝
恋愛
「稀代の大聖女が聞いて呆れる。フィアナ・イースフィル、君はこの国の聖女に相応しくない。職務怠慢の罪は重い。無能者には国を出ていってもらう。当然、君との婚約は破棄する」
アウゼルム王国の第二王子ユリアンは聖女フィアナに婚約破棄と国家追放の刑を言い渡す。
フィアナは侯爵家の令嬢だったが、両親を亡くしてからは教会に預けられて類稀なる魔法の才能を開花させて、その力は大聖女級だと教皇からお墨付きを貰うほどだった。
そんな彼女は無能者だと追放されるのは不満だった。
なぜなら――
「君が力を振るうと他国に狙われるし、それから守るための予算を割くのも勿体ない。明日からは能力を1%に抑えて出来るだけ働くな」
何を隠そう。フィアナに力を封印しろと命じたのはユリアンだったのだ。
彼はジェーンという国一番の美貌を持つ魔女に夢中になり、婚約者であるフィアナが邪魔になった。そして、自らが命じたことも忘れて彼女を糾弾したのである。
国家追放されてもフィアナは全く不自由しなかった。
「君の父親は命の恩人なんだ。私と婚約してその力を我が国の繁栄のために存分に振るってほしい」
隣国の王子、ローレンスは追放されたフィアナをすぐさま迎え入れ、彼女と婚約する。
一方、大聖女級の力を持つといわれる彼女を手放したことがバレてユリアンは国王陛下から大叱責を食らうことになっていた。
あなたが「いらない」と言った私ですが、溺愛される妻になりました
有賀冬馬
恋愛
「君みたいな女は、俺の隣にいる価値がない!」冷酷な元婚約者に突き放され、すべてを失った私。
けれど、旅の途中で出会った辺境伯エリオット様は、私の凍った心をゆっくりと溶かしてくれた。
彼の領地で、私は初めて「必要とされる」喜びを知り、やがて彼の妻として迎えられる。
一方、王都では元婚約者の不実が暴かれ、彼の破滅への道が始まる。
かつて私を軽んじた彼が、今、私に助けを求めてくるけれど、もう私の目に映るのはあなたじゃない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる