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19 クレオパトラが勝者?
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あの夜会以来、とてもカイド様が気持ち悪いです。ベタベタ肩や腰に手をまわしてきますし、記念日でもないのに花束まで買って来てくれます。それに加えて、愛しのアイビーとか麗しのアイビーとか・・・・・・枕詞をつけての呼びかけ! うんざりしますね。・・・・・・これは、嫌がらせですわ!
あの事件以来、恋人が減ったので八つ当たりでしょうね? きっと、そうに決まっています。なんて、心根の腐った方なのでしょうか? やっぱり、綺麗な男にはろくな方がいませんね?
今も私に無駄に艶っぽく微笑みかけて、ソファではなくテーブルに座り、長い足をあり得ない角度で組みかえております。私の目の前のテーブルに座って刺繍の邪魔をするなんて、実家の猫みたいです。
「愛しのアイビー! それは、私のハンカチの刺繍だな? なんて私は果報者なのだ! 神よ、感謝します! これほど優しい妻を私に与えてくださり・・・・・・」
カイド様って、はじめはもっとまともな方だと思っていたのに、どんどんイメージが崩壊していきます。もとからこんな性格だったのか、途中からポッと目覚めた新たな人格なのかはわからないですが、ますます好きになれません。
このバイトはよく考えてお引き受けするべきだったかもしれないと思い、後悔しはじめておりました。毎日のように耳元でささやかれる愛の言葉に、私のストレスはマックスです。
「アイビー! 大好きだ! 愛してる! いいんだ、なにも言わないで。君の気持ちはわかっているよ。喜びに打ち震え、心は天にも昇る気持ち・・・・・・そうだろう?」
そっと、私の頬にキスをして抱きしめられると、甘い柑橘系とムスクの混ざり合ったコロンの香りに、むせそうになります。男性用のコロンって、わざとらしい香りが多くて苦手です。
天にも昇る気持? そうですね。ある意味、卒倒して気絶しかけましたので、あのイボちゃん用薬草汁を飲んで正気を取り戻しました。あの薬草汁はやはり万能ですね。
この気持ち悪いカイド様の行動を誰か直してくれないでしょうか? あの恋人達のどなたかが、カイド様の心をわしづかみにしてくだされば良いのに・・・・・・私はカイド様の心、いらないです。
☆彡★彡☆彡
私は、王妃殿下のお茶のお相手をしています。王妃様は隣国ラピス王国の第三王女殿下でした。つまり、女王陛下の妹君なのです。ラピス王国はこのオランジ王国の3倍の広い領土を持ち豊かな国です。
「アイビーは感心だわ。あんなに不実な夫を愛し続けて尽くしているなんて、なかなかできないことよ」
王妃殿下はとても褒めてくださるのですが、真実がまるで違っていることに私は良心の呵責を感じております。
「お恥ずかしいことに、私の妹の学費や実家の父母の生活費をカイド様に援助していただいております。これは感謝しており、ありがたいことなのです。ですから、私はカイド様がなにをなさろうと大事にすると決めています」
「そういうことなら、アイビーに私が自由をプレゼントしてあげましょう」
王妃殿下は私の顔を楽し気に見つめて、そうおっしゃったのでした。
翌日、王家の使者がザヘリー公爵家に来訪しました。
「『これより、アイビーはラピス王国のルピナス女公爵の養女になり、アイビー・ルピナス公爵令嬢となれ! そして、我が国の王女達の家庭教師となれ! 給金は文官と同じとし、働きに応じてボーナスも支給される!』以上が王妃殿下からのありがたいお言葉である!」
王妃殿下からの書簡が読み上げられ、ザヘリー女公爵夫妻は気絶しそうになっております。
「アイビーちゃんはザヘリー家の嫁よ? これは・・・・・・カイドのせいね? アイビーちゃん! 甥を全部集めるから好きな人を選んでちょうだい! カイドが嫌ならいくらでも替えて良いのよ?」
ザヘリー女公爵様は甥を集め出し、王妃殿下は第三王子殿下と私をデートさせようとするのでした。
これ、どーーなってるの? 今までモテなかった私が急にモテ期?
王宮に出仕して3人の王女殿下のお勉強をみる傍ら王妃殿下ともお茶をします。妹達も招かれるようになり、王妃殿下から可愛がられております。もう、すっかり学費の心配はなくなりました。
カイド様・・・・・・もういらなくなりましたねぇ。私は冷たい人間でしょうか? もともと契約ですから破棄してもかまわないでしょうか?
☆彡★彡☆彡
まんまるな満月が浮かぶ夜、私はカイド様に提案しました。
「カイド様! 私達、離婚しませんこと?」
「え? もしかして、クレオパトラのことがばれたの? あれは媚薬で・・・・・・」
ん? 媚薬って? あら、まぁ・・・・・・勝者はクレオパトラ様でしたか! アイリーン様とのお子様を見たかったのに、なんて残念なのでしょうか。私はがっかりしてしまいました。
「ごめんよ・・・・・・アイビーを泣かせて・・・・・・あぁ、私はなんて罪な男だ! 二度と罠にはかからない。約束する」
(二度あることは三度も四度もありますわ。このような男性はいりません! いざ、離婚ですよっ)
あの事件以来、恋人が減ったので八つ当たりでしょうね? きっと、そうに決まっています。なんて、心根の腐った方なのでしょうか? やっぱり、綺麗な男にはろくな方がいませんね?
今も私に無駄に艶っぽく微笑みかけて、ソファではなくテーブルに座り、長い足をあり得ない角度で組みかえております。私の目の前のテーブルに座って刺繍の邪魔をするなんて、実家の猫みたいです。
「愛しのアイビー! それは、私のハンカチの刺繍だな? なんて私は果報者なのだ! 神よ、感謝します! これほど優しい妻を私に与えてくださり・・・・・・」
カイド様って、はじめはもっとまともな方だと思っていたのに、どんどんイメージが崩壊していきます。もとからこんな性格だったのか、途中からポッと目覚めた新たな人格なのかはわからないですが、ますます好きになれません。
このバイトはよく考えてお引き受けするべきだったかもしれないと思い、後悔しはじめておりました。毎日のように耳元でささやかれる愛の言葉に、私のストレスはマックスです。
「アイビー! 大好きだ! 愛してる! いいんだ、なにも言わないで。君の気持ちはわかっているよ。喜びに打ち震え、心は天にも昇る気持ち・・・・・・そうだろう?」
そっと、私の頬にキスをして抱きしめられると、甘い柑橘系とムスクの混ざり合ったコロンの香りに、むせそうになります。男性用のコロンって、わざとらしい香りが多くて苦手です。
天にも昇る気持? そうですね。ある意味、卒倒して気絶しかけましたので、あのイボちゃん用薬草汁を飲んで正気を取り戻しました。あの薬草汁はやはり万能ですね。
この気持ち悪いカイド様の行動を誰か直してくれないでしょうか? あの恋人達のどなたかが、カイド様の心をわしづかみにしてくだされば良いのに・・・・・・私はカイド様の心、いらないです。
☆彡★彡☆彡
私は、王妃殿下のお茶のお相手をしています。王妃様は隣国ラピス王国の第三王女殿下でした。つまり、女王陛下の妹君なのです。ラピス王国はこのオランジ王国の3倍の広い領土を持ち豊かな国です。
「アイビーは感心だわ。あんなに不実な夫を愛し続けて尽くしているなんて、なかなかできないことよ」
王妃殿下はとても褒めてくださるのですが、真実がまるで違っていることに私は良心の呵責を感じております。
「お恥ずかしいことに、私の妹の学費や実家の父母の生活費をカイド様に援助していただいております。これは感謝しており、ありがたいことなのです。ですから、私はカイド様がなにをなさろうと大事にすると決めています」
「そういうことなら、アイビーに私が自由をプレゼントしてあげましょう」
王妃殿下は私の顔を楽し気に見つめて、そうおっしゃったのでした。
翌日、王家の使者がザヘリー公爵家に来訪しました。
「『これより、アイビーはラピス王国のルピナス女公爵の養女になり、アイビー・ルピナス公爵令嬢となれ! そして、我が国の王女達の家庭教師となれ! 給金は文官と同じとし、働きに応じてボーナスも支給される!』以上が王妃殿下からのありがたいお言葉である!」
王妃殿下からの書簡が読み上げられ、ザヘリー女公爵夫妻は気絶しそうになっております。
「アイビーちゃんはザヘリー家の嫁よ? これは・・・・・・カイドのせいね? アイビーちゃん! 甥を全部集めるから好きな人を選んでちょうだい! カイドが嫌ならいくらでも替えて良いのよ?」
ザヘリー女公爵様は甥を集め出し、王妃殿下は第三王子殿下と私をデートさせようとするのでした。
これ、どーーなってるの? 今までモテなかった私が急にモテ期?
王宮に出仕して3人の王女殿下のお勉強をみる傍ら王妃殿下ともお茶をします。妹達も招かれるようになり、王妃殿下から可愛がられております。もう、すっかり学費の心配はなくなりました。
カイド様・・・・・・もういらなくなりましたねぇ。私は冷たい人間でしょうか? もともと契約ですから破棄してもかまわないでしょうか?
☆彡★彡☆彡
まんまるな満月が浮かぶ夜、私はカイド様に提案しました。
「カイド様! 私達、離婚しませんこと?」
「え? もしかして、クレオパトラのことがばれたの? あれは媚薬で・・・・・・」
ん? 媚薬って? あら、まぁ・・・・・・勝者はクレオパトラ様でしたか! アイリーン様とのお子様を見たかったのに、なんて残念なのでしょうか。私はがっかりしてしまいました。
「ごめんよ・・・・・・アイビーを泣かせて・・・・・・あぁ、私はなんて罪な男だ! 二度と罠にはかからない。約束する」
(二度あることは三度も四度もありますわ。このような男性はいりません! いざ、離婚ですよっ)
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