1 / 2
1
しおりを挟む
1
私には、可愛い弟がいる。この弟はとても、美しく性格も優しいから、変な女の子に騙されないようにしないといけないと思っていた。
夏の長い休暇期間に入ると、私達一家は湖の畔の別荘地に行くのが慣習化していた。そこは、涼しくて緑も豊かな場所で、他の貴族達の別荘もあった。
お隣の子爵家の別荘に来ている女の子は、とても綺麗な子らしかった。最近はその女の子に夢中な弟に、私は面白くなかった。子爵家の子と仲良しなら、きっと、その女の子も子爵家以下の下位の貴族の家柄に決まっているわ。
我が家は、伯爵家なのよ? それ以上の家柄の女の子と、付き合うべきじゃなくて?
私は、弟がその女の子と会う約束をするたびに邪魔をした。
「今日は、少し気分が悪くて、カイルがいてくれると嬉しいんだけど・・・」
私は、顔色を悪くする為にわざと白っぽい白粉をたっぷりつけて、貧血を装った。気持ちの優しい弟は、それが仮病だなんて少しも気がつかないのだ。
一緒にピクニックに行くと言われれば、風邪を引いたふりをして引き留めたし、アイスクリームを食べに行くと聞かされた時には、歯が痛いふりをした。
そのうち、弟はその女の子から誘われなくなって、失恋したらしい。少し元気がなかったけれど、どうってことないじゃない? 恋なんてすぐできるわよ? この世に女の子は、その子だけじゃないんだから・・・
一回だけ、その女の子がうちの別荘に来たときに、私はその子に罵倒したのよ。夕方の少し薄暗くなりかけた別荘の庭園に、空色のドレスが見え隠れしていた。きっと、弟の顔を少しだけでも、見たくて庭園でコソコソと様子をうかがっていたのに違いないわ。
「変な虫が庭園をうろついているけれど、弟は迷惑しているのよ? 貴女は、どうせどこかの男爵家かなにかの令嬢でしょう? 伯爵家の嫡男に手を出したい気持ちもわかるけれど、身のほど知らずなのよ?」
その女の子の、髪の色が目に入った。この国では珍しい空色の綺麗な髪だった。顔はよく見えなかったが、その優美なシルエットで、相当の美人なことは想像がついた。容姿に自信がある子って大嫌いよ! 美しければ、なんでも手に入るなんて思わないことね!
「弟は、いつも貴女を迷惑だって言ってたわ。その空色の髪も不気味だってよ? 二度と、その汚い髪を見せないでよ!」
その女の子の髪は、とても綺麗すぎて、私は嫉妬したのよ。だって、私の髪は普通のブラウンでしかも色がさめたような艶のない髪色だったから。
その女の子は、私の言葉にびっくりして、泣いて走っていってしまった。それ以来、彼女の存在を私はすっかり忘れていた。そんなことが、あったことも・・・
私には、可愛い弟がいる。この弟はとても、美しく性格も優しいから、変な女の子に騙されないようにしないといけないと思っていた。
夏の長い休暇期間に入ると、私達一家は湖の畔の別荘地に行くのが慣習化していた。そこは、涼しくて緑も豊かな場所で、他の貴族達の別荘もあった。
お隣の子爵家の別荘に来ている女の子は、とても綺麗な子らしかった。最近はその女の子に夢中な弟に、私は面白くなかった。子爵家の子と仲良しなら、きっと、その女の子も子爵家以下の下位の貴族の家柄に決まっているわ。
我が家は、伯爵家なのよ? それ以上の家柄の女の子と、付き合うべきじゃなくて?
私は、弟がその女の子と会う約束をするたびに邪魔をした。
「今日は、少し気分が悪くて、カイルがいてくれると嬉しいんだけど・・・」
私は、顔色を悪くする為にわざと白っぽい白粉をたっぷりつけて、貧血を装った。気持ちの優しい弟は、それが仮病だなんて少しも気がつかないのだ。
一緒にピクニックに行くと言われれば、風邪を引いたふりをして引き留めたし、アイスクリームを食べに行くと聞かされた時には、歯が痛いふりをした。
そのうち、弟はその女の子から誘われなくなって、失恋したらしい。少し元気がなかったけれど、どうってことないじゃない? 恋なんてすぐできるわよ? この世に女の子は、その子だけじゃないんだから・・・
一回だけ、その女の子がうちの別荘に来たときに、私はその子に罵倒したのよ。夕方の少し薄暗くなりかけた別荘の庭園に、空色のドレスが見え隠れしていた。きっと、弟の顔を少しだけでも、見たくて庭園でコソコソと様子をうかがっていたのに違いないわ。
「変な虫が庭園をうろついているけれど、弟は迷惑しているのよ? 貴女は、どうせどこかの男爵家かなにかの令嬢でしょう? 伯爵家の嫡男に手を出したい気持ちもわかるけれど、身のほど知らずなのよ?」
その女の子の、髪の色が目に入った。この国では珍しい空色の綺麗な髪だった。顔はよく見えなかったが、その優美なシルエットで、相当の美人なことは想像がついた。容姿に自信がある子って大嫌いよ! 美しければ、なんでも手に入るなんて思わないことね!
「弟は、いつも貴女を迷惑だって言ってたわ。その空色の髪も不気味だってよ? 二度と、その汚い髪を見せないでよ!」
その女の子の髪は、とても綺麗すぎて、私は嫉妬したのよ。だって、私の髪は普通のブラウンでしかも色がさめたような艶のない髪色だったから。
その女の子は、私の言葉にびっくりして、泣いて走っていってしまった。それ以来、彼女の存在を私はすっかり忘れていた。そんなことが、あったことも・・・
1,656
あなたにおすすめの小説
【完結】あら、まだ離婚していなかったのですか?って妹が言ってますが長い婚約中の原因でした。
BBやっこ
恋愛
エレナは長い間、婚約者と婚約状態であった。その元凶は妹らしい。両親は妹を可哀想だと甘やかしている。そして、私に結婚の先延ばしをさせてきた。
それを好機と見て、婚約者に色目を使うわ。私の物を盗るわで付き合ってられない。怒ると幸せを分けてくれるくらい良いでしょ!幸せなんだからっと怒り出す。
妹のイーナを近づかせると彼が危険。
もう実家には頼れない!
私はお義母様に相談をしに婚家へ、それが作戦の始まりだった。
【完結】勘違いしないでくれ!君は(仮)だから。
山葵
恋愛
「父上が婚約者を決めると言うから、咄嗟にクリスと結婚したい!と言ったんだ。ああ勘違いしないでくれ!君は(仮)だ。(仮)の婚約者だから本気にしないでくれ。学園を卒業するまでには僕は愛する人を見付けるつもりだよ」
そう笑顔で私に言ったのは第5王子のフィリップ様だ。
末っ子なので兄王子4人と姉王女に可愛がられ甘えん坊の駄目王子に育った。
新妻よりも幼馴染の居候を優先するって、嘗めてます?
章槻雅希
恋愛
よくある幼馴染の居候令嬢とそれに甘い夫、それに悩む新妻のオムニバス。
何事にも幼馴染を優先する夫にブチ切れた妻は反撃する。
パターンA:そもそも婚約が成り立たなくなる
パターンB:幼馴染居候ざまぁ、旦那は改心して一応ハッピーエンド
パターンC:旦那ざまぁ、幼馴染居候改心で女性陣ハッピーエンド
なお、反撃前の幼馴染エピソードはこれまでに読んだ複数の他作者様方の作品に影響を受けたテンプレ的展開となっています。※パターンBは他作者様の作品にあまりに似ているため修正しました。
数々の幼馴染居候の話を読んで、イラついて書いてしまった。2時間クオリティ。
面白いんですけどね! 面白いから幼馴染や夫にイライラしてしまうわけだし!
ざまぁが待ちきれないので書いてしまいました(;^_^A
『小説家になろう』『アルファポリス』『pixiv』に重複投稿。
婚約者が私の妹と結婚したいと言い出したら、両親が快く応じた話
しがついつか
恋愛
「リーゼ、僕たちの婚約を解消しよう。僕はリーゼではなく、アルマを愛しているんだ」
「お姉様、ごめんなさい。でも私――私達は愛し合っているの」
父親達が友人であったため婚約を結んだリーゼ・マイヤーとダニエル・ミュラー。
ある日ダニエルに呼び出されたリーゼは、彼の口から婚約の解消と、彼女の妹のアルマと婚約を結び直すことを告げられた。
婚約者の交代は双方の両親から既に了承を得ているという。
両親も妹の味方なのだと暗い気持ちになったリーゼだったが…。
最後に、お願いがあります
狂乱の傀儡師
恋愛
三年間、王妃になるためだけに尽くしてきた馬鹿王子から、即位の日の直前に婚約破棄されたエマ。
彼女の最後のお願いには、国を揺るがすほどの罠が仕掛けられていた。
好きな人と結婚出来ない俺に、姉が言った
しがついつか
恋愛
グレイキャット伯爵家の嫡男ジョージには、平民の恋人がいた。
彼女を妻にしたいと訴えるも、身分の差を理由に両親から反対される。
両親は彼の婚約者を選定中であった。
伯爵家を継ぐのだ。
伴侶が貴族の作法を知らない者では話にならない。
平民は諦めろ。
貴族らしく政略結婚を受け入れろ。
好きな人と結ばれない現実に憤る彼に、姉は言った。
「――で、彼女と結婚するために貴方はこれから何をするつもりなの?」
待ってるだけでは何も手に入らないのだから。
婚約者の様子がおかしいので尾行したら、隠し妻と子供がいました
Kouei
恋愛
婚約者の様子がおかしい…
ご両親が事故で亡くなったばかりだと分かっているけれど…何かがおかしいわ。
忌明けを過ぎて…もう2か月近く会っていないし。
だから私は婚約者を尾行した。
するとそこで目にしたのは、婚約者そっくりの小さな男の子と美しい女性と一緒にいる彼の姿だった。
まさかっ 隠し妻と子供がいたなんて!!!
※誤字脱字報告ありがとうございます。
※この作品は、他サイトにも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる