34 / 37
34 オリビア、絶体絶命?
しおりを挟む
「側妃に第2王子が生まれた頃から、私の周りで不思議なことが起きはじめた。側近が賊に襲われたり、侍女が毒殺されたり、乳母が病死する事件だ。信頼できる者たちと入れ替わって雇われた者から、私自身も火傷を負わされた。
「もしかして、そのような陰謀は側妃様の指図でしょうか?」
「証拠はないから断言はできない。しかし、私の大事な人たちが怪我をしたり、死ぬことは恐ろしかったよ。幼い頃に飼っていた子犬も二回死にかけて、結局はどこかに消えてしまった。側妃は恐ろしい女だし、アイザック第二王子も、なにをするかわからない」
「暗殺されないように”怠け者の愚かな男”を装っていたのですね? なんて、可哀想に。なぜ王妃殿下はオーウェン様を守ってくださらなかったのでしょう」
「多分、王太子になるにはこのような困難を乗り越える経験が必要だと信じているのだと思う」
「子供だったオーウェン様を守らなかったなんて、王妃殿下は間違っています! その頃に私が側で仕えていたのなら、いろいろお支えできたはずですわ。今からでも、私に甘えてください。」
それからというもの、オーウェン様は常に私を側に置きたがった。幼い頃に甘えられなかったから、きっと今はその反動がきているのだわ。最近、王宮の廊下を歩いていると、女官達が聞こえよがしに私を蔑む声も目立つようになった。
「はずれ王子のお気に入りが出仕してきたわね。どんな手を使ったのかしら?」
「あれだけの美貌ですからね。きっと・・・・・・、卑しい者はやることが下品だわーー」
「きっと、なんなのですか? おっしゃりたいことがあったら、私の目の前で堂々とおっしゃればいいのですわ。そうやって、私に聞こえるようにわざと悪口を言うほうが卑しくて下品だと思いませんか?」
「な、生意気な。たかが専属侍女の分際で、私は女官ですよ。オリビア様より身分は上ですっ!」
そう言った女官のドレスのスカートの裾に小さな炎がついた。慌てて消しながら去って行くけれど、私はエマに責めるような視線を向けた。
(女官が怪我をしたら大変なのに)
けれど、王宮の廊下ですれ違いざまにアイザック第二王子殿下が私の背中からお尻にかけてなで上げた時は、エマに全身こんがりと焼いても良いと思わず許可を出しそうになった。とりあえず、エマは火魔法でアイザック第二王子殿下のお尻に火をつけた。
「ん? なにか尻が温かいなぁ。っと、熱い、熱いぞ! 私のお尻が熱い! どうなっているのだ? ここは王宮で魔法封じの札が各所に貼られているのになんで」
確かに王宮には魔法を使えないようにする魔法封じの札がかかっている場所が多かった。でも私の三人の侍女ほどの実力だと、そんなものはただの紙切れと同じなのだった。
☆彡 ★彡
「ほら、オリビア。この肉は旨いぞ。口を開けろ。食べさせてやる」
(え?なんで?)
「ほら、あけて。あーーんしてごらん?」
「あーーん? モグモグ・・・・・・美味しいです。でも、なんで私は食べさせていただいているのでしょうか?」
こんがりと焼かれた鴨肉を差し出されモグモグと噛んでいたら、今度は野菜を食べさせようとしてくるのだけれど、いろいろおかしいと思う。
「専属侍女の仕事ってこんなことでしたっけ? 私のしていることと言えば、オーウェン様のお側にいてお話を聞いて、一緒に食事をしているだけなのですが」
「母上がオリビアに専属侍女になるように言ったのは、多分こういう意味もあるはずだから大丈夫だ。この国で一番の大富豪の娘でベンジャミン商会を継ぐオリビアを、ただの専属侍女にするはずがないだろう?」
「え? ということは、私はなにになるのでしょう? オーウェン様は好きですが、側妃とか愛妾にはなりたくありません!」
思わず叫びだしてしまった私はむせて、傍らに置いてあるグラスの水を一気に飲んだ。その途端に、汗がふきだし胸が苦しくなり、身体が小刻みに震えはじめた。
「愛妾? そんなわけないだろう? 私の妃にしたいだけだ。側妃なんて一生迎える気もないし。オリビア、震えている? そんなに嫌なのかい?」
「違います。身体が・・・・・・おかしいのです。息ができない・・・・・・? エマ・・・・・・ゾーイ・・・・・・ラナ・・・・・・たっ、助けて・・・・・・」
私はそこで意識を手放したのだった。
「もしかして、そのような陰謀は側妃様の指図でしょうか?」
「証拠はないから断言はできない。しかし、私の大事な人たちが怪我をしたり、死ぬことは恐ろしかったよ。幼い頃に飼っていた子犬も二回死にかけて、結局はどこかに消えてしまった。側妃は恐ろしい女だし、アイザック第二王子も、なにをするかわからない」
「暗殺されないように”怠け者の愚かな男”を装っていたのですね? なんて、可哀想に。なぜ王妃殿下はオーウェン様を守ってくださらなかったのでしょう」
「多分、王太子になるにはこのような困難を乗り越える経験が必要だと信じているのだと思う」
「子供だったオーウェン様を守らなかったなんて、王妃殿下は間違っています! その頃に私が側で仕えていたのなら、いろいろお支えできたはずですわ。今からでも、私に甘えてください。」
それからというもの、オーウェン様は常に私を側に置きたがった。幼い頃に甘えられなかったから、きっと今はその反動がきているのだわ。最近、王宮の廊下を歩いていると、女官達が聞こえよがしに私を蔑む声も目立つようになった。
「はずれ王子のお気に入りが出仕してきたわね。どんな手を使ったのかしら?」
「あれだけの美貌ですからね。きっと・・・・・・、卑しい者はやることが下品だわーー」
「きっと、なんなのですか? おっしゃりたいことがあったら、私の目の前で堂々とおっしゃればいいのですわ。そうやって、私に聞こえるようにわざと悪口を言うほうが卑しくて下品だと思いませんか?」
「な、生意気な。たかが専属侍女の分際で、私は女官ですよ。オリビア様より身分は上ですっ!」
そう言った女官のドレスのスカートの裾に小さな炎がついた。慌てて消しながら去って行くけれど、私はエマに責めるような視線を向けた。
(女官が怪我をしたら大変なのに)
けれど、王宮の廊下ですれ違いざまにアイザック第二王子殿下が私の背中からお尻にかけてなで上げた時は、エマに全身こんがりと焼いても良いと思わず許可を出しそうになった。とりあえず、エマは火魔法でアイザック第二王子殿下のお尻に火をつけた。
「ん? なにか尻が温かいなぁ。っと、熱い、熱いぞ! 私のお尻が熱い! どうなっているのだ? ここは王宮で魔法封じの札が各所に貼られているのになんで」
確かに王宮には魔法を使えないようにする魔法封じの札がかかっている場所が多かった。でも私の三人の侍女ほどの実力だと、そんなものはただの紙切れと同じなのだった。
☆彡 ★彡
「ほら、オリビア。この肉は旨いぞ。口を開けろ。食べさせてやる」
(え?なんで?)
「ほら、あけて。あーーんしてごらん?」
「あーーん? モグモグ・・・・・・美味しいです。でも、なんで私は食べさせていただいているのでしょうか?」
こんがりと焼かれた鴨肉を差し出されモグモグと噛んでいたら、今度は野菜を食べさせようとしてくるのだけれど、いろいろおかしいと思う。
「専属侍女の仕事ってこんなことでしたっけ? 私のしていることと言えば、オーウェン様のお側にいてお話を聞いて、一緒に食事をしているだけなのですが」
「母上がオリビアに専属侍女になるように言ったのは、多分こういう意味もあるはずだから大丈夫だ。この国で一番の大富豪の娘でベンジャミン商会を継ぐオリビアを、ただの専属侍女にするはずがないだろう?」
「え? ということは、私はなにになるのでしょう? オーウェン様は好きですが、側妃とか愛妾にはなりたくありません!」
思わず叫びだしてしまった私はむせて、傍らに置いてあるグラスの水を一気に飲んだ。その途端に、汗がふきだし胸が苦しくなり、身体が小刻みに震えはじめた。
「愛妾? そんなわけないだろう? 私の妃にしたいだけだ。側妃なんて一生迎える気もないし。オリビア、震えている? そんなに嫌なのかい?」
「違います。身体が・・・・・・おかしいのです。息ができない・・・・・・? エマ・・・・・・ゾーイ・・・・・・ラナ・・・・・・たっ、助けて・・・・・・」
私はそこで意識を手放したのだった。
201
あなたにおすすめの小説
あなたの愛が正しいわ
来須みかん
恋愛
旧題:あなたの愛が正しいわ~夫が私の悪口を言っていたので理想の妻になってあげたのに、どうしてそんな顔をするの?~
夫と一緒に訪れた夜会で、夫が男友達に私の悪口を言っているのを聞いてしまった。そのことをきっかけに、私は夫の理想の妻になることを決める。それまで夫を心の底から愛して尽くしていたけど、それがうっとうしかったそうだ。夫に付きまとうのをやめた私は、生まれ変わったように清々しい気分になっていた。
一方、夫は妻の変化に戸惑い、誤解があったことに気がつき、自分の今までの酷い態度を謝ったが、妻は美しい笑みを浮かべてこういった。
「いいえ、間違っていたのは私のほう。あなたの愛が正しいわ」
王太子妃は離婚したい
凛江
恋愛
アルゴン国の第二王女フレイアは、婚約者であり、幼い頃より想いを寄せていた隣国テルルの王太子セレンに嫁ぐ。
だが、期待を胸に臨んだ婚姻の日、待っていたのは夫セレンの冷たい瞳だった。
※この作品は、読んでいただいた皆さまのおかげで書籍化することができました。
綺麗なイラストまでつけていただき感無量です。
これまで応援いただき、本当にありがとうございました。
レジーナのサイトで番外編が読めますので、そちらものぞいていただけると嬉しいです。
https://www.regina-books.com/extra/login
殿下に寵愛されてませんが別にかまいません!!!!!
さら
恋愛
王太子アルベルト殿下の婚約者であった令嬢リリアナ。けれど、ある日突然「裏切り者」の汚名を着せられ、殿下の寵愛を失い、婚約を破棄されてしまう。
――でも、リリアナは泣き崩れなかった。
「殿下に愛されなくても、私には花と薬草がある。健気? 別に演じてないですけど?」
庶民の村で暮らし始めた彼女は、花畑を育て、子どもたちに薬草茶を振る舞い、村人から慕われていく。だが、そんな彼女を放っておけないのが、執着心に囚われた殿下。噂を流し、畑を焼き払い、ついには刺客を放ち……。
「どこまで私を追い詰めたいのですか、殿下」
絶望の淵に立たされたリリアナを守ろうとするのは、騎士団長セドリック。冷徹で寡黙な男は、彼女の誠実さに心を動かされ、やがて命を懸けて庇う。
「俺は、君を守るために剣を振るう」
寵愛などなくても構わない。けれど、守ってくれる人がいる――。
灰の大地に芽吹く新しい絆が、彼女を強く、美しく咲かせていく。
里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます
結城芙由奈@コミカライズ3巻7/30発売
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります>
政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・?
※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
全てを捨てて、わたしらしく生きていきます。
彩華(あやはな)
恋愛
3年前にリゼッタお姉様が風邪で死んだ後、お姉様の婚約者であるバルト様と結婚したわたし、サリーナ。バルト様はお姉様の事を愛していたため、わたしに愛情を向けることはなかった。じっと耐えた3年間。でも、人との出会いはわたしを変えていく。自由になるために全てを捨てる覚悟を決め、わたしはわたしらしく生きる事を決意する。
【完結】あなたのいない世界、うふふ。
やまぐちこはる
恋愛
17歳のヨヌク子爵家令嬢アニエラは栗毛に栗色の瞳の穏やかな令嬢だった。近衛騎士で伯爵家三男、かつ騎士爵を賜るトーソルド・ロイリーと幼少から婚約しており、成人とともに政略的な結婚をした。
しかしトーソルドには恋人がおり、結婚式のあと、初夜を迎える前に出たまま戻ることもなく、一人ロイリー騎士爵家を切り盛りするはめになる。
とはいえ、アニエラにはさほどの不満はない。結婚前だって殆ど会うこともなかったのだから。
===========
感想は一件づつ個別のお返事ができなくなっておりますが、有り難く拝読しております。
4万文字ほどの作品で、最終話まで予約投稿済です。お楽しみいただけましたら幸いでございます。
理想の女性を見つけた時には、運命の人を愛人にして白い結婚を宣言していました
ぺきぺき
恋愛
王家の次男として生まれたヨーゼフには幼い頃から決められていた婚約者がいた。兄の補佐として育てられ、兄の息子が立太子した後には臣籍降下し大公になるよていだった。
このヨーゼフ、優秀な頭脳を持ち、立派な大公となることが期待されていたが、幼い頃に見た絵本のお姫様を理想の女性として探し続けているという残念なところがあった。
そしてついに貴族学園で絵本のお姫様とそっくりな令嬢に出会う。
ーーーー
若気の至りでやらかしたことに苦しめられる主人公が最後になんとか幸せになる話。
作者別作品『二人のエリーと遅れてあらわれるヒーローたち』のスピンオフになっていますが、単体でも読めます。
完結まで執筆済み。毎日四話更新で4/24に完結予定。
第一章 無計画な婚約破棄
第二章 無計画な白い結婚
第三章 無計画な告白
第四章 無計画なプロポーズ
第五章 無計画な真実の愛
エピローグ
旦那様には愛人がいますが気にしません。
りつ
恋愛
イレーナの夫には愛人がいた。名はマリアンヌ。子どものように可愛らしい彼女のお腹にはすでに子どもまでいた。けれどイレーナは別に気にしなかった。彼女は子どもが嫌いだったから。
※表紙は「かんたん表紙メーカー」様で作成しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる