(完)子供も産めない役立たずと言われて・・・・・・

青空一夏

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王の誕生日には断罪と幸せがやってくる?(マイケルside)

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 「あははは。アイザックの母上。なにを勘違いをしているか知らんが、アレクサンダーの家来達は元は王家が抱え込んでいた者達が多い。王様がアレクへのご褒美にくださった大事な人材を、簡単にクビにできるわけがない。血の気の多い若者は、私が後で注意しておこう」

 私は、穏やかに笑ってなんとかその場をおさめようとした。アレクサンダーも私へのフォローは忘れない。

「あぁ、アイザック君は、その職場がそんなに嫌なら、私が王宮への郵便物を扱っている部署に替えてあげよう。あそこなら、ひたすら郵便物を仕分するだけだから、最低限の人との関わり合いで済む。誰からも虐められる心配はないよ」

 アレクサンダーの提案にアイザックは、顔を輝かせている。

「そこは、給料はいかほどですか? 前より下がったら嫌だなぁ。ほら、このグレイスの子供にこれからいっぱい金がかかるから」

 郵便物の仕分けは、単純作業で子供でもできる仕事だぞ! あそこの給料は、それほど良くないはずだが・・・・・・

「あぁ、それは大丈夫だろう。郵便物の仕分けと、それを各部署にまで届けることまでしてくれるかな? そうしたら、前と同じ給料にしよう」

 アレクサンダーは、にっこり笑った。なるほどね・・・・・・まぁ、王様の誕生日まで、無事に機嫌良く勤めてもらえれば有り難い。私も、それまでは嫌がらせはさせないでおこう。

 アイザックは、職場が変わることで、満足した。ただ、まだアイザックの母親が不満顔でアレクサンダーを睨んでいた。

 おい、おい! 私も、冒険のさなかでは平民と思っていたアレクが王族とは知らないで失礼なことも散々したが。
アレクが王族なことはもう公表されていて、おまけに英雄なんだぞ! それを、忌々しげに堂々と睨み付けるとは恐ろしいご婦人だ。

 私は、ため息をつきそうになるのを、なんとかこらえた。

「あぁ、レイラ前男爵夫人には、来週のオペラのチケットを差し上げよう。いろいろな友人を誘って行くといい。ボックス席が3個分だ。敷居をとっぱらい大宴会もできよう」

 途端に、レイラ前男爵夫人は機嫌をなおして、恐ろしいほどの愛想の良さで私に、こう言ってきたのだった。

「まぁ、流石にグレイスさんのお兄様です! 嬉しくて今から楽しみです。家族と友人も誘いますとも! そこで、料理とお酒も注文してよろしいですよねぇ? 大宴会など、そのような場所でしたことがないのです! オペラでそれが許されるのは伯爵以上の王家のお気に入りの家紋の者だけです。カリブ伯爵の名前で宴会させてもらいますよ。あぁ、請求書もあとで持ってきますね!」

 むぅ。大宴会を本当にやるつもりのようだ。この世界ではオペラを見にいくこと自体がとても贅沢なことだ。ボックス席はさらに、特別料金がかかり、そこでの料理や酒は通常の倍の金額をとる。財力を誇り王家からの覚えもめでたい大貴族が年に数回行うイベントのようなものだった。

 アレクサンダーとその恋人、今では本物のグレイスとわかったが、それといつも頑張ってくれる部下や友人を誘うつもりで購入したものだった。

「あぁ、好きにしなさい。私は疲れた。もうそろそろ、お引き取り願えますかな? 急用も思い出したし・・・・・・」

「まぁーー。じゃぁ、私達は失礼します。なんて、実りの多い、訪問だったのかしらぁーー。さぁ、さぁ。帰りましょう」

 レイラ男爵一家は、もう用は済んだとばかりに帰っていった。帰り際に偽グレイスが、私の胸に飛び込んできた。

「流石に私のお兄様ですわ! あぁ、お小遣い、あと少しだけもらいたいです。あとね、明日も来ていいですかぁ?」

 あぁ、もううんざりだ。この、下品な女は限度というものを知らない。優しくすればするほど、感謝するどころか、もっと、もっと、と更に上を望む。

「グレイス! 兄は、明日からしばらく、忙しい! 多めに、お小遣いを今やるから、しばらくは来てはいけない。いいね?」

「えぇーー。なんて、意地悪! あぁ、でも、そのぶんお小遣いが貰えるならいいです。10日ぶん、欲しいな」

 偽物は、ずる賢くニヤリと笑った。

「いや、王様の誕生日の準備を私もしなくてはならない。とても忙しいのだ。だから、その日までの2ヶ月分を今あげよう」

 偽物にまた抱きつかれてお礼を言われた。

「なんて、素敵なの! お兄様、お仕事を頑張ってくださいね! お小遣いさえ貰えば、私は邪魔はしませんとも!」

 上機嫌で帰っていく偽物に、アレクサンダーは、笑いをこらえていた。

 レイラ男爵一家が帰った途端に、アレクサンダーは早速、腹を抱えて笑いだした。

「なんだ、あれ? あいつらは、ハゲタカかハイエナだろう? あぁ、ハゲタカやハイエナに失礼なぐらい貪欲で浅ましい。本物のグレイスに酷すぎる仕打ちをしておいて・・・・・・もう、言葉もないよ」

 あぁ、アレクサンダーの言うとおりだ。彼らを表現できる適当な言葉は思い浮かばない・・・・・・けれど、やるべきことは、思い浮かんだ。この復讐劇を完璧にする為のお膳立てだ。

「アレクサンダー! そろそろ、王様に話をしに行こうじゃないか?」

「いいとも! 伯父上は、私とお前なら、いつでも大歓迎と言っている。明日にでも、グレイスも連れていこう!伯父上は、面白いことを企んでいそうだから、気をつけろよ? マイケル!」

 アレクサンダーは、悪戯っ子の笑みを浮かべていた。

 アレクサンダーは当然のように、グレイスを連れて帰ろうとしたが、そこは私が全力で止めた。

「妹とわかった以上は、グレイスはカリブ家に住まわすぞ! 正式に結婚してからでないと、お前とは住ませられない!」

 アレクサンダーが苦笑した。

「グレイス。王様の誕生日が終わったら迎えに来るからね。私と結婚していただけませんか?」

 私の親友は妹のグレイスに膝をつき、求婚をしたのだった。

 あぁ、これこそは、私が望んだ最も楽しく喜ばしい光景だった。グレイスは私の顔を見つめてきた。私は、ゆっくりと頷く。グレイスは、輝くような微笑みを浮かべた。

「はい、喜んで」

 綺麗なグレイスの短いが、とても嬉しいという思いのこもった声を聞けて、兄として大満足だった。


*:.。 。.:*・゚✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*


 翌日、アレクサンダーとグレイスと私で、王様の謁見の場に立っていた。

アレクサンダーと私が話す内容に、王は黙って聞いていた。

「それは、儂も黙ってはいられんなぁー。そうだ、良いことを考えた。儂の誕生日には、ハイエナ達の断罪をしよう。加えて、おめでたい結婚式を二つしようじゃないか?」

 二つ? 一つはわかる・・・・・・アレクサンダーとグレイスだろう? もう一つは・・・・・・?

 奥から、ほっそりした黒髪の女性が出てきた。王によく似た目元の綺麗な女性が、私を見て頬を染めていたのだった。 

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