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リリィがもらった信じられないご褒美(リリィside)
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「リリィ、お前は週に一回、アティカス候爵家に行って、ベルツィーニのお散歩をさせるように。アティカス候爵家は、ここから歩いて15分ほどだ。並木通りの向こう側にある緑の門構えの大きな屋敷だ」
あたしは、女主人様から信じられない言葉を聞いた。こんなことが、あるのだろうか?ベッツィをまた抱けるなんて、こんな夢みたいなことが、あっていいの?
「どうした? 返事は?」
「は、はい。喜んで、行かさせていただきます。あんまり・・・・・・嬉しくて・・・・・・夢かな、って思って、今、あたし・・・・・・自分の足をつねっていたんです」
あたしは、笑い泣きしていた。
「ふん! そんなことで喜ぶのは、まだ早い。お前は、今日から雑用女ではない。侍女見習いとして、私の側に控えていなさい。この私がお前を、最高の侍女に教育してやろう。可愛い甥っ子の大事な奥方様の頼みだ。引き受けないわけにはいくまいよ」
「え・・・・・・・?」
あたしは、それがどんな意味なのか、一瞬、わからなかった。侍女になれるのは、貴族の血が少しでも混じっているか、お金持ちの娘しかなれないと聞いたことがある。
そんなすごいものに、私なんかが、なれるわけはない。この方は、きっと、冗談を言っているのかもしれない。
「あ、あたしは、下層民で貴族の血の一滴も混じっていません。教育も、なにも受けていないです。字ですら、まともに書けないような女です。侍女になど、なれるはずもないです。王様だって、お許しにならないはずです・・・・・・私は罪人だったから・・・・・・」
「王様に私は、この件では全ての権限を与えられている。私は王の妹だ。これは誰にでも与えられるチャンスではない。よいか? 賢い者は、このチャンスをしっかりつかみ取り、周りの期待に応えて頑張る。そうして、期待以上の成果をあげる。お前には、それができると私は思うよ」
この女主人は、初めは、怖くて冷たい方だと思っていた。でも、それは全然違っていた。あたしの仕事ぶりも、よく見てくれていたし、どの使用人に対しても公平だった。
「あ、あたし、頑張ります。本当になれるなら・・・・・・どんなに辛くたって頑張ります」
「うむ。早速、アティカス候爵夫人にお礼を申し上げに行くといい。今日は、天気もいいし、ベルツィーニのお散歩日和だ」
「はい!」
あたしは、元気よく返事をすると、教えられた道を小走りになって急いだ。並木通りには、爽やかな風が吹き、朝の陽の光を木々の隙間からキラキラとのぞかせていた。
ほどなくして、緑の門構えの洒落た大きなお屋敷に着いた。門番に要件を伝えると、すぐに中に入れてくれた。
薔薇が咲き誇る庭園にはグレイス様が、たくさんの侍女に囲まれてベルツィーニと遊んでいた。
「まぁ、早速、来たのね! こちらに、いらっしゃい。この子を抱いて、庭園を一回りして午前中いっぱい遊んであげてちょうだい。 あぁ、その前にお茶を入れてあげるわ。ここまで、歩いてきたなら喉が渇いたでしょう?」
「いいえ。大丈夫です。あたし、グレイス様にお礼が言いたくて・・・・・・ありがとうございます・・・・・・こんな、あたしに・・・・・・あたし、頑張ります。すごく、いっぱい、頑張ります・・・・・・」
「うふふ。そんなに頑張らなくていいのよ? 肩の力を抜いて、深呼吸してごらんなさい? 大丈夫、リリィの人生は、始まったばかりよ? 私は、貴方が立派に侍女になれると信じていますよ」
あたしは、もう、嬉しいなんてもんじゃない。夢のような気持ちなんだ。アティカス候爵家の侍女の方が、お茶を淹れてくれた。
あたしは、それをとても大事に少しづつ飲んだ。薔薇の香りが口の中で広がって幸せな味がした。
「ローズティーよ? 素敵な香りでしょう?」
あたしは、頷いた。優雅で美しいグレイス様にぴったりなお茶だと思う。おまけに、こんなあたしにも優しくしてくださるんだ。あたしは、この方のお手伝いができるような侍女になりたい。
あたしは、ベッツィを抱いて庭園をゆっくりと歩いた。柔らかな陽射しがあたしとベッツィの上に降り注いでいる。
澄んだ空気とその柔らかな光は、あたしの心を綺麗にしていく気がした。
୨୧┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈୨୧
※ 読者の方々から、何度か、この女主人のことにつきご意見を頂き整理したいと思います。
アイザックを担当:王様の姉でアレクサンダー様のお母様。厳しいし、ダークな部分も処理する王家の闇の部分を処理する一番の実力者。王様も、ある意味、逆らえない影響力がある。アレクサンダー様とグレイスを溺愛している。
リリィを担当:王様の妹でアレクサンダー様の叔母様。優しい面があり、人情もろい。罪人を更生させるのが得意。
元男爵のお爺さん担当:王妃様の姉上で、優しい面がある。
元男爵夫人担当:王妃様の姉上その2
すべて、別人です。
あたしは、女主人様から信じられない言葉を聞いた。こんなことが、あるのだろうか?ベッツィをまた抱けるなんて、こんな夢みたいなことが、あっていいの?
「どうした? 返事は?」
「は、はい。喜んで、行かさせていただきます。あんまり・・・・・・嬉しくて・・・・・・夢かな、って思って、今、あたし・・・・・・自分の足をつねっていたんです」
あたしは、笑い泣きしていた。
「ふん! そんなことで喜ぶのは、まだ早い。お前は、今日から雑用女ではない。侍女見習いとして、私の側に控えていなさい。この私がお前を、最高の侍女に教育してやろう。可愛い甥っ子の大事な奥方様の頼みだ。引き受けないわけにはいくまいよ」
「え・・・・・・・?」
あたしは、それがどんな意味なのか、一瞬、わからなかった。侍女になれるのは、貴族の血が少しでも混じっているか、お金持ちの娘しかなれないと聞いたことがある。
そんなすごいものに、私なんかが、なれるわけはない。この方は、きっと、冗談を言っているのかもしれない。
「あ、あたしは、下層民で貴族の血の一滴も混じっていません。教育も、なにも受けていないです。字ですら、まともに書けないような女です。侍女になど、なれるはずもないです。王様だって、お許しにならないはずです・・・・・・私は罪人だったから・・・・・・」
「王様に私は、この件では全ての権限を与えられている。私は王の妹だ。これは誰にでも与えられるチャンスではない。よいか? 賢い者は、このチャンスをしっかりつかみ取り、周りの期待に応えて頑張る。そうして、期待以上の成果をあげる。お前には、それができると私は思うよ」
この女主人は、初めは、怖くて冷たい方だと思っていた。でも、それは全然違っていた。あたしの仕事ぶりも、よく見てくれていたし、どの使用人に対しても公平だった。
「あ、あたし、頑張ります。本当になれるなら・・・・・・どんなに辛くたって頑張ります」
「うむ。早速、アティカス候爵夫人にお礼を申し上げに行くといい。今日は、天気もいいし、ベルツィーニのお散歩日和だ」
「はい!」
あたしは、元気よく返事をすると、教えられた道を小走りになって急いだ。並木通りには、爽やかな風が吹き、朝の陽の光を木々の隙間からキラキラとのぞかせていた。
ほどなくして、緑の門構えの洒落た大きなお屋敷に着いた。門番に要件を伝えると、すぐに中に入れてくれた。
薔薇が咲き誇る庭園にはグレイス様が、たくさんの侍女に囲まれてベルツィーニと遊んでいた。
「まぁ、早速、来たのね! こちらに、いらっしゃい。この子を抱いて、庭園を一回りして午前中いっぱい遊んであげてちょうだい。 あぁ、その前にお茶を入れてあげるわ。ここまで、歩いてきたなら喉が渇いたでしょう?」
「いいえ。大丈夫です。あたし、グレイス様にお礼が言いたくて・・・・・・ありがとうございます・・・・・・こんな、あたしに・・・・・・あたし、頑張ります。すごく、いっぱい、頑張ります・・・・・・」
「うふふ。そんなに頑張らなくていいのよ? 肩の力を抜いて、深呼吸してごらんなさい? 大丈夫、リリィの人生は、始まったばかりよ? 私は、貴方が立派に侍女になれると信じていますよ」
あたしは、もう、嬉しいなんてもんじゃない。夢のような気持ちなんだ。アティカス候爵家の侍女の方が、お茶を淹れてくれた。
あたしは、それをとても大事に少しづつ飲んだ。薔薇の香りが口の中で広がって幸せな味がした。
「ローズティーよ? 素敵な香りでしょう?」
あたしは、頷いた。優雅で美しいグレイス様にぴったりなお茶だと思う。おまけに、こんなあたしにも優しくしてくださるんだ。あたしは、この方のお手伝いができるような侍女になりたい。
あたしは、ベッツィを抱いて庭園をゆっくりと歩いた。柔らかな陽射しがあたしとベッツィの上に降り注いでいる。
澄んだ空気とその柔らかな光は、あたしの心を綺麗にしていく気がした。
୨୧┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈୨୧
※ 読者の方々から、何度か、この女主人のことにつきご意見を頂き整理したいと思います。
アイザックを担当:王様の姉でアレクサンダー様のお母様。厳しいし、ダークな部分も処理する王家の闇の部分を処理する一番の実力者。王様も、ある意味、逆らえない影響力がある。アレクサンダー様とグレイスを溺愛している。
リリィを担当:王様の妹でアレクサンダー様の叔母様。優しい面があり、人情もろい。罪人を更生させるのが得意。
元男爵のお爺さん担当:王妃様の姉上で、優しい面がある。
元男爵夫人担当:王妃様の姉上その2
すべて、別人です。
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