30 / 50
妊娠中のグレイスにはいろいろあったーリリィへの救い(グレイスsaide)その1
しおりを挟む
私は、アレクサンダー様に抱かれて、たっぷりと甘やかされている。甘くて冷たい『アイス』は、最近新発売で市井では、とても流行っているという。
それをスプーンですくって、私の口元に持ってくるから、私は笑いながらそのアイスをパクッと食べる。
その度に、アレクサンダー様は蕩けそうに微笑んで、私の髪に口づけた。
侍女達は、もう私達の、そんな様子は慣れっこだったけれど、必ず賞賛のため息が聞こえた。
「アティカス候爵夫妻のこの光景は眼福ですわぁーー。なんて、美しいご夫婦でしょうねぇ」
「全くですわ。天上の神々達でも、これほど優雅で美しくはないでしょう。はぁー、お生れになるお子様は、きっと光り輝くようなお子様でしょうね」
まだ見ぬ我が子に、期待が膨らむ一方で、リリィの子供のベルツィーニを見る。お昼寝中のぷくぷくのほっぺは、可愛らしくて男の子とは思えない。
「このベッツィ(ベルツィーニの愛称)は、鍛えてこの侯爵家の騎士にしよう。教育を受けさせて、愛してあげればきっと、まっすぐ育ってくれるよ」
私は、もちろん、笑顔で頷いた。まだ、お腹も膨らまない頃に、アレクサンダー様の叔母様の侍従が一通の手紙を持ってきたのだった。
*:゚+。.☆.+*✩⡱:゚
リリィは、改心したようだ。
このまま、私の屋敷で雑用女として働かせることにした。
なにか、リリィに望むことはあるだろうか?
謝罪がほしければ、そちらに行かせることも可能だ。
この女は、もう別人のように勤勉で嘘はつかず、同僚にも大変信頼されている。
それから、このリリィの過去は・・・・・・
*:゚+。.☆.+*✩⡱:゚
改心したと書いてあった手紙を読んで、私はとても嬉しかった。リリィの過去の話も、あわせて書いてあったものを見た時は、涙がこぼれた。悲惨な過去には、同情しかないし、なんとかリリィの力になりたいと思った。
*:゚+。.☆.+*✩⡱:゚
謝りに来させる必要は全くありません。ですが、当家ではたまに人手が足りなくなるようです。特に、午前中のベッツィのベビーカーを引いてお散歩させる者が必要です。週に1回、リリィを寄越していただけませんか?
加えて、リリィには、侍女になるためにお勉強をする機会を与えてくださいますようお願いいたします。
侍女になり、もし望むのであれば、当家で雇いたいと思います。
可哀想なリリィに、少しでもチャンスを与えてほしいと思います。
*:゚+。.☆.+*✩⡱:゚
私は、手紙を丁寧にしたため、侍従に持たせたのだった。
それをスプーンですくって、私の口元に持ってくるから、私は笑いながらそのアイスをパクッと食べる。
その度に、アレクサンダー様は蕩けそうに微笑んで、私の髪に口づけた。
侍女達は、もう私達の、そんな様子は慣れっこだったけれど、必ず賞賛のため息が聞こえた。
「アティカス候爵夫妻のこの光景は眼福ですわぁーー。なんて、美しいご夫婦でしょうねぇ」
「全くですわ。天上の神々達でも、これほど優雅で美しくはないでしょう。はぁー、お生れになるお子様は、きっと光り輝くようなお子様でしょうね」
まだ見ぬ我が子に、期待が膨らむ一方で、リリィの子供のベルツィーニを見る。お昼寝中のぷくぷくのほっぺは、可愛らしくて男の子とは思えない。
「このベッツィ(ベルツィーニの愛称)は、鍛えてこの侯爵家の騎士にしよう。教育を受けさせて、愛してあげればきっと、まっすぐ育ってくれるよ」
私は、もちろん、笑顔で頷いた。まだ、お腹も膨らまない頃に、アレクサンダー様の叔母様の侍従が一通の手紙を持ってきたのだった。
*:゚+。.☆.+*✩⡱:゚
リリィは、改心したようだ。
このまま、私の屋敷で雑用女として働かせることにした。
なにか、リリィに望むことはあるだろうか?
謝罪がほしければ、そちらに行かせることも可能だ。
この女は、もう別人のように勤勉で嘘はつかず、同僚にも大変信頼されている。
それから、このリリィの過去は・・・・・・
*:゚+。.☆.+*✩⡱:゚
改心したと書いてあった手紙を読んで、私はとても嬉しかった。リリィの過去の話も、あわせて書いてあったものを見た時は、涙がこぼれた。悲惨な過去には、同情しかないし、なんとかリリィの力になりたいと思った。
*:゚+。.☆.+*✩⡱:゚
謝りに来させる必要は全くありません。ですが、当家ではたまに人手が足りなくなるようです。特に、午前中のベッツィのベビーカーを引いてお散歩させる者が必要です。週に1回、リリィを寄越していただけませんか?
加えて、リリィには、侍女になるためにお勉強をする機会を与えてくださいますようお願いいたします。
侍女になり、もし望むのであれば、当家で雇いたいと思います。
可哀想なリリィに、少しでもチャンスを与えてほしいと思います。
*:゚+。.☆.+*✩⡱:゚
私は、手紙を丁寧にしたため、侍従に持たせたのだった。
55
あなたにおすすめの小説
冷遇王妃はときめかない
あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。
だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。
三年の想いは小瓶の中に
月山 歩
恋愛
結婚三周年の記念日だと、邸の者達がお膳立てしてくれた二人だけのお祝いなのに、その中心で一人夫が帰らない現実を受け入れる。もう彼を諦める潮時かもしれない。だったらこれからは自分の人生を大切にしよう。アレシアは離縁も覚悟し、邸を出る。
※こちらの作品は契約上、内容の変更は不可であることを、ご理解ください。
いいえ、望んでいません
わらびもち
恋愛
「お前を愛することはない!」
結婚初日、お決まりの台詞を吐かれ、別邸へと押し込まれた新妻ジュリエッタ。
だが彼女はそんな扱いに傷つくこともない。
なぜなら彼女は―――
私を幽閉した王子がこちらを気にしているのはなぜですか?
水谷繭
恋愛
婚約者である王太子リュシアンから日々疎まれながら過ごしてきたジスレーヌ。ある日のお茶会で、リュシアンが何者かに毒を盛られ倒れてしまう。
日ごろからジスレーヌをよく思っていなかった令嬢たちは、揃ってジスレーヌが毒を入れるところを見たと証言。令嬢たちの嘘を信じたリュシアンは、ジスレーヌを「裁きの家」というお屋敷に幽閉するよう指示する。
そこは二十年前に魔女と呼ばれた女が幽閉されて死んだ、いわくつきの屋敷だった。何とか幽閉期間を耐えようと怯えながら過ごすジスレーヌ。
一方、ジスレーヌを閉じ込めた張本人の王子はジスレーヌを気にしているようで……。
◇小説家になろう、ベリーズカフェにも掲載中です!
◆表紙はGilry Drop様からお借りした画像を加工して使用しています
愛する夫が目の前で別の女性と恋に落ちました。
ましゅぺちーの
恋愛
伯爵令嬢のアンジェは公爵家の嫡男であるアランに嫁いだ。
子はなかなかできなかったが、それでも仲の良い夫婦だった。
――彼女が現れるまでは。
二人が結婚して五年を迎えた記念パーティーでアランは若く美しい令嬢と恋に落ちてしまう。
それからアランは変わり、何かと彼女のことを優先するようになり……
復讐のための五つの方法
炭田おと
恋愛
皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。
それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。
グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。
72話で完結です。
王妃様は死にました~今さら後悔しても遅いです~
由良
恋愛
クリスティーナは四歳の頃、王子だったラファエルと婚約を結んだ。
両親が事故に遭い亡くなったあとも、国王が大病を患い隠居したときも、ラファエルはクリスティーナだけが自分の妻になるのだと言って、彼女を守ってきた。
そんなラファエルをクリスティーナは愛し、生涯を共にすると誓った。
王妃となったあとも、ただラファエルのためだけに生きていた。
――彼が愛する女性を連れてくるまでは。
将来を誓い合った王子様は聖女と結ばれるそうです
きぬがやあきら
恋愛
「聖女になれなかったなりそこない。こんなところまで追って来るとはな。そんなに俺を忘れられないなら、一度くらい抱いてやろうか?」
5歳のオリヴィエは、神殿で出会ったアルディアの皇太子、ルーカスと恋に落ちた。アルディア王国では、皇太子が代々聖女を妻に迎える慣わしだ。しかし、13歳の選別式を迎えたオリヴィエは、聖女を落選してしまった。
その上盲目の知恵者オルガノに、若くして命を落とすと予言されたオリヴィエは、せめてルーカスの傍にいたいと、ルーカスが団長を務める聖騎士への道へと足を踏み入れる。しかし、やっとの思いで再開したルーカスは、昔の約束を忘れてしまったのではと錯覚するほど冷たい対応で――?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる