29 / 50
グレイスの幸せな生活
しおりを挟む
レイラ男爵達が王家の騎士達に連れて行かれると、私はアレクサンダー様から抱きしめられた。
「グレイスは、気にしないでいいよ。あの者達は、当然の罰を受ける。でも、改心すれば、けっして殺しはしない」
その言葉に、ほっとした。私は、レイラ男爵家にいた頃は、とても辛かったけれど、彼らが殺されることを望んではいない。ただ、これ以上、人を傷つけ虐げることをしてほしくない。それだけだった。
「さて、これからは、気分を一掃して、私の可愛い王女と甥っ子の結婚式だ。皆の者、祝福してくれ!」
王様の呼びかけに、貴族全員の拍手喝采が鳴り響いた。
私とアレクサンダー様は、その祝福のなかで、王様の御前で誓いの言葉を交わした。
「・・・・・・未来永劫、愛を誓います・・・・・・」
その誓いの言葉の他に、アレクサンダー様は私の耳元で、そっと囁いた。
「一生、グレイスだけを愛し、尽くすことを誓おう」
この、とても綺麗な英雄は私だけのために囁いて頬にキスをしてくれた。嬉しさで、全身が震えた。
式が終わって、盛大にご馳走とワインが振る舞われ、私の口元に早速、アレクサンダー様が、親鳥のように食べ物を差し出すのだった。
「はい。私の可愛い奥方様。お口を開けて。あーーんして?」
私が食べると、蕩けるような笑顔で微笑んだ。こんなに、今から甘やかされていいのかしら。
大好きな男性を夫にして、傍らには頼りになるお兄様もいて、こんなに幸せな日が来るなんて思わなかった。
屋敷に戻る馬車の中では、ずっと抱きかかえられていた。
「あの、アレクサンダー様。私は、一人でちゃんと座れますよ?」
私が言うと、アレクサンダー様はもっと大事そうに私を抱え込んだ。
「こうしていないと、あんまり綺麗で天女のようだから空に帰ってしまわないかと心配なんだ」
そう、おっしゃって愛おしげに見つめられた。この英雄のアメジストの瞳は、私への愛に輝いていた。神様、感謝します。この愛おしい人を私の旦那様と呼べることに・・・・・・!
*:.。 。.:*・゚✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*
初夜は怖い・・・・・・あの行為は、すごく苦手だった。アイザックとの営みを思い出すと、吐き気すらしてくる。
私は、物のように扱われたから。
ところが、アレクサンダー様は全然違った。
うっとりするような、筋肉がほどよくついた身体に優しく抱かれれば、それだけで幸せな気分になった。
これが、同じ行為なのだろうか? 本当に好きな男性から、心がこもった愛をもらう行為は、少しも嫌じゃなかった。私達は、笑い合いながらキスをして、汗にまみれて貪欲に愛し合った。それでも、その行為は美しく神聖なものだった。
「愛しているよ」その言葉を、幾度も囁かれて私は満たされる。心地よく眠りにつこうとすると、アレクサンダー様は必ず腕枕をしてくれた。
身体をぴったり寄せ合って眠る暖かさ。幸せすぎる時間に私は、いつでも包まれている。
アレクサンダー様がお仕事でいない間は、私はリリィの子供と遊んであげる。この子は行き場がなかったので、私達が引き取って育てることにしたのだ。聞き分けの良い子で、賢い。
ある日、異変が訪れた。なにも食べたくないし、吐き気がして、身体はだるい。
リリィの子供は侍女達に任せて、寝ていることが多くなった。
医者が呼ばれて、検診が終わり下がっていくと同時に、
「グレイス様。おめでとうございます!!」
侍女達が、一斉に私に跪き、声をはりあげたのだった。
「グレイスは、気にしないでいいよ。あの者達は、当然の罰を受ける。でも、改心すれば、けっして殺しはしない」
その言葉に、ほっとした。私は、レイラ男爵家にいた頃は、とても辛かったけれど、彼らが殺されることを望んではいない。ただ、これ以上、人を傷つけ虐げることをしてほしくない。それだけだった。
「さて、これからは、気分を一掃して、私の可愛い王女と甥っ子の結婚式だ。皆の者、祝福してくれ!」
王様の呼びかけに、貴族全員の拍手喝采が鳴り響いた。
私とアレクサンダー様は、その祝福のなかで、王様の御前で誓いの言葉を交わした。
「・・・・・・未来永劫、愛を誓います・・・・・・」
その誓いの言葉の他に、アレクサンダー様は私の耳元で、そっと囁いた。
「一生、グレイスだけを愛し、尽くすことを誓おう」
この、とても綺麗な英雄は私だけのために囁いて頬にキスをしてくれた。嬉しさで、全身が震えた。
式が終わって、盛大にご馳走とワインが振る舞われ、私の口元に早速、アレクサンダー様が、親鳥のように食べ物を差し出すのだった。
「はい。私の可愛い奥方様。お口を開けて。あーーんして?」
私が食べると、蕩けるような笑顔で微笑んだ。こんなに、今から甘やかされていいのかしら。
大好きな男性を夫にして、傍らには頼りになるお兄様もいて、こんなに幸せな日が来るなんて思わなかった。
屋敷に戻る馬車の中では、ずっと抱きかかえられていた。
「あの、アレクサンダー様。私は、一人でちゃんと座れますよ?」
私が言うと、アレクサンダー様はもっと大事そうに私を抱え込んだ。
「こうしていないと、あんまり綺麗で天女のようだから空に帰ってしまわないかと心配なんだ」
そう、おっしゃって愛おしげに見つめられた。この英雄のアメジストの瞳は、私への愛に輝いていた。神様、感謝します。この愛おしい人を私の旦那様と呼べることに・・・・・・!
*:.。 。.:*・゚✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*
初夜は怖い・・・・・・あの行為は、すごく苦手だった。アイザックとの営みを思い出すと、吐き気すらしてくる。
私は、物のように扱われたから。
ところが、アレクサンダー様は全然違った。
うっとりするような、筋肉がほどよくついた身体に優しく抱かれれば、それだけで幸せな気分になった。
これが、同じ行為なのだろうか? 本当に好きな男性から、心がこもった愛をもらう行為は、少しも嫌じゃなかった。私達は、笑い合いながらキスをして、汗にまみれて貪欲に愛し合った。それでも、その行為は美しく神聖なものだった。
「愛しているよ」その言葉を、幾度も囁かれて私は満たされる。心地よく眠りにつこうとすると、アレクサンダー様は必ず腕枕をしてくれた。
身体をぴったり寄せ合って眠る暖かさ。幸せすぎる時間に私は、いつでも包まれている。
アレクサンダー様がお仕事でいない間は、私はリリィの子供と遊んであげる。この子は行き場がなかったので、私達が引き取って育てることにしたのだ。聞き分けの良い子で、賢い。
ある日、異変が訪れた。なにも食べたくないし、吐き気がして、身体はだるい。
リリィの子供は侍女達に任せて、寝ていることが多くなった。
医者が呼ばれて、検診が終わり下がっていくと同時に、
「グレイス様。おめでとうございます!!」
侍女達が、一斉に私に跪き、声をはりあげたのだった。
56
あなたにおすすめの小説
冷遇王妃はときめかない
あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。
だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。
【完結】貴方が好きなのはあくまでも私のお姉様
すだもみぢ
恋愛
伯爵令嬢であるカリンは、隣の辺境伯の息子であるデュークが苦手だった。
彼の悪戯にひどく泣かされたことがあったから。
そんな彼が成長し、年の離れたカリンの姉、ヨーランダと付き合い始めてから彼は変わっていく。
ヨーランダは世紀の淑女と呼ばれた女性。
彼女の元でどんどんと洗練され、魅力に満ちていくデュークをカリンは傍らから見ていることしかできなかった。
しかしヨーランダはデュークではなく他の人を選び、結婚してしまう。
それからしばらくして、カリンの元にデュークから結婚の申し込みが届く。
私はお姉さまの代わりでしょうか。
貴方が私に優しくすればするほど悲しくなるし、みじめな気持ちになるのに……。
そう思いつつも、彼を思う気持ちは抑えられなくなっていく。
8/21 MAGI様より表紙イラストを、9/24にはMAGI様の作曲された
この小説のイメージソング「意味のない空」をいただきました。
https://www.youtube.com/watch?v=L6C92gMQ_gE
MAGI様、ありがとうございます!
イメージが広がりますので聞きながらお話を読んでくださると嬉しいです。
三年の想いは小瓶の中に
月山 歩
恋愛
結婚三周年の記念日だと、邸の者達がお膳立てしてくれた二人だけのお祝いなのに、その中心で一人夫が帰らない現実を受け入れる。もう彼を諦める潮時かもしれない。だったらこれからは自分の人生を大切にしよう。アレシアは離縁も覚悟し、邸を出る。
※こちらの作品は契約上、内容の変更は不可であることを、ご理解ください。
王妃様は死にました~今さら後悔しても遅いです~
由良
恋愛
クリスティーナは四歳の頃、王子だったラファエルと婚約を結んだ。
両親が事故に遭い亡くなったあとも、国王が大病を患い隠居したときも、ラファエルはクリスティーナだけが自分の妻になるのだと言って、彼女を守ってきた。
そんなラファエルをクリスティーナは愛し、生涯を共にすると誓った。
王妃となったあとも、ただラファエルのためだけに生きていた。
――彼が愛する女性を連れてくるまでは。
地獄の業火に焚べるのは……
緑谷めい
恋愛
伯爵家令嬢アネットは、17歳の時に2つ年上のボルテール侯爵家の長男ジェルマンに嫁いだ。親の決めた政略結婚ではあったが、小さい頃から婚約者だった二人は仲の良い幼馴染だった。表面上は何の問題もなく穏やかな結婚生活が始まる――けれど、ジェルマンには秘密の愛人がいた。学生時代からの平民の恋人サラとの関係が続いていたのである。
やがてアネットは男女の双子を出産した。「ディオン」と名付けられた男児はジェルマンそっくりで、「マドレーヌ」と名付けられた女児はアネットによく似ていた。
※ 全5話完結予定
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
将来を誓い合った王子様は聖女と結ばれるそうです
きぬがやあきら
恋愛
「聖女になれなかったなりそこない。こんなところまで追って来るとはな。そんなに俺を忘れられないなら、一度くらい抱いてやろうか?」
5歳のオリヴィエは、神殿で出会ったアルディアの皇太子、ルーカスと恋に落ちた。アルディア王国では、皇太子が代々聖女を妻に迎える慣わしだ。しかし、13歳の選別式を迎えたオリヴィエは、聖女を落選してしまった。
その上盲目の知恵者オルガノに、若くして命を落とすと予言されたオリヴィエは、せめてルーカスの傍にいたいと、ルーカスが団長を務める聖騎士への道へと足を踏み入れる。しかし、やっとの思いで再開したルーカスは、昔の約束を忘れてしまったのではと錯覚するほど冷たい対応で――?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる