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レイラ男爵の処分その4
「ふん! そうかい。 ならば、お望み通りに処刑してやろうかね。
お前は絞首刑だ。
この屋敷にいる者は、みんなお前の事情を知っている。今日は、ちょっとしたご馳走を振る舞おう。皆と、最期の別れをするが良い」
なんて、ありがたいんだ。望み通り以上の答えに涙が出てきた。ヘイズリーも、アイザックも殺されたと聞いたし、自分だけが生き恥をさらしてここで生きることは間違っている。
その夜は上等な肉とワインが、使用人全員に振る舞われた。
「私の事情を、あんたも知っていたのかい?」
私は『生きているだけで丸儲け』が口癖の男に尋ねた。
「あぁ、始めから皆が知らされていたさ。『事情を知ったうえで、それぞれが判断をし、それにあった対応をすれば良い』と女主人様がおっしゃったさ。俺はよぉ、初めは、あんたは大嫌いだったよ。でも、一緒にいたら案外素直で、悪い奴でもねぇなって思うようになったさ。なんで、処刑なんか選んだんだよ? 俺は、悲しいよ・・・・・・」
私は、涙が出てきた。私が処刑されるのを悲しんでくれる人間がいるだけで、ありがたい。
「そうだよ。生きていれば、また、いいことだってあるじゃないか? この暮らしが、そんなに嫌なのかい?」
雑用女も、涙ぐんでいた。
「違うんだよ。ここは、とてもいい所だ。ここで働けて、本当に良かった。私だけが、ここで幸せを感じて生きるのは申し訳なくてなぁ。妻も息子も死んだ。リリィは生きているらしいが、私のことは恨んでいるかもしれない。私が死ぬことは、正しいことなんだよ。それだけのことを、してきた愚か者さ」
それに、あっちには大好きだった恋人がいる。こんな生き方をしたから、あのかつての恋人のところには行けないかもしれない。でも、あの世というものがあるのなら、一目だけでもあの姿が見たいな、と思う。
いや、無理かな・・・・・・きっと、地獄に墜ちてヘイズリーやアイザックと会うことになるのかな。
あぁ、でも、そうしたらあいつらにとてもいいことが教えられると思う。
多くを望まず、人に感謝して、与えられた仕事をきっちりこなして生きていれば心は平穏でイライラすることはないんだって。そう、私の家族は、不平不満だらけでイライラしてばかりいたから。そのストレスは、必ず弱い者虐めになった。使用人やグレイスは、その餌食だった。私がもっとしっかりして、家族を諭すべきだったなぁ。
*:.。 。.:*・゚✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*
絞首刑台が屋敷の前に設置されて、私は皆の前でその台に上った。一段、一段と登っていくその先には、なんとグレイスとアレクサンダー様がいらっしゃった。私は、深く頭を下げた。台の上から、周りを見回す。同僚のじじぃ達と、雑用女達。コックや馬丁、侍女や侍従達までいるなかに、リリィもいたのだった。
あぁ、こうして全ての見知った者達のなかで刑が執行されるのか・・・・・・
同僚のじじぃ達が、皆泣いているのには、驚いた。普段、話さない者まで泣いてくれている。
あぁ、充分さ。充分過ぎる・・・・・・この死に方はご褒美だ。
首に縄が巻かれて、ガタンと下の床が抜け落ちた。そのまま下に落下し・・・・・・
パフン!! ん? なにか、柔らかいものに落下した。
絞首刑台の下には、厚いマットが3重に敷かれていたのだった。
「前のお前は死んだ。昨夜、私は皆に言ったのだ。『この者に生きて欲しいと思う者はナイフをもって縄を傷つけに来い』とな。なんと、お前と関わって働いていた者全員がやって来た。そこでアティカス候爵夫妻にも相談した結果、お前は、生まれ変わって新しく生きることを許された。
死んではならない。そこにいるリリィも、罪を悔い改めて健気に生きている。死に急ぐな!」
「「「うわぁーー。良かったよ。縄が切れるようになっていたなんて! 知らなかったなぁーー。」」」
「「「ここで、また働こうぜ!」」」
「「「一緒に、汗を流して、頑張ろうぜ!」」」
私は、生きていていいのだろうか・・・・・・私が泣きながら、グレイスの方を見つめると、綺麗な声が言葉を紡いだ。
「生きなさい。私は、貴方を許します」
୨୧┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈୨୧
次回のお知らせ
グレイスとアレクサンダーの結婚式やラブラブ満開の様子を更新予定です。
宣伝です(´,,•ω•,,`)◝ご不快な方は飛ばしてくださいませ
「私の夫を奪う姉」
ブラックコメディー
ショートショート
5話完結
執筆済みですので更新が滞ることはございません。
他作品、最近更新していないものも、順次、すすめていきますのでよろしくお願いします。
(❁ᴗ͈ˬᴗ͈)⁾⁾⁾
お前は絞首刑だ。
この屋敷にいる者は、みんなお前の事情を知っている。今日は、ちょっとしたご馳走を振る舞おう。皆と、最期の別れをするが良い」
なんて、ありがたいんだ。望み通り以上の答えに涙が出てきた。ヘイズリーも、アイザックも殺されたと聞いたし、自分だけが生き恥をさらしてここで生きることは間違っている。
その夜は上等な肉とワインが、使用人全員に振る舞われた。
「私の事情を、あんたも知っていたのかい?」
私は『生きているだけで丸儲け』が口癖の男に尋ねた。
「あぁ、始めから皆が知らされていたさ。『事情を知ったうえで、それぞれが判断をし、それにあった対応をすれば良い』と女主人様がおっしゃったさ。俺はよぉ、初めは、あんたは大嫌いだったよ。でも、一緒にいたら案外素直で、悪い奴でもねぇなって思うようになったさ。なんで、処刑なんか選んだんだよ? 俺は、悲しいよ・・・・・・」
私は、涙が出てきた。私が処刑されるのを悲しんでくれる人間がいるだけで、ありがたい。
「そうだよ。生きていれば、また、いいことだってあるじゃないか? この暮らしが、そんなに嫌なのかい?」
雑用女も、涙ぐんでいた。
「違うんだよ。ここは、とてもいい所だ。ここで働けて、本当に良かった。私だけが、ここで幸せを感じて生きるのは申し訳なくてなぁ。妻も息子も死んだ。リリィは生きているらしいが、私のことは恨んでいるかもしれない。私が死ぬことは、正しいことなんだよ。それだけのことを、してきた愚か者さ」
それに、あっちには大好きだった恋人がいる。こんな生き方をしたから、あのかつての恋人のところには行けないかもしれない。でも、あの世というものがあるのなら、一目だけでもあの姿が見たいな、と思う。
いや、無理かな・・・・・・きっと、地獄に墜ちてヘイズリーやアイザックと会うことになるのかな。
あぁ、でも、そうしたらあいつらにとてもいいことが教えられると思う。
多くを望まず、人に感謝して、与えられた仕事をきっちりこなして生きていれば心は平穏でイライラすることはないんだって。そう、私の家族は、不平不満だらけでイライラしてばかりいたから。そのストレスは、必ず弱い者虐めになった。使用人やグレイスは、その餌食だった。私がもっとしっかりして、家族を諭すべきだったなぁ。
*:.。 。.:*・゚✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*
絞首刑台が屋敷の前に設置されて、私は皆の前でその台に上った。一段、一段と登っていくその先には、なんとグレイスとアレクサンダー様がいらっしゃった。私は、深く頭を下げた。台の上から、周りを見回す。同僚のじじぃ達と、雑用女達。コックや馬丁、侍女や侍従達までいるなかに、リリィもいたのだった。
あぁ、こうして全ての見知った者達のなかで刑が執行されるのか・・・・・・
同僚のじじぃ達が、皆泣いているのには、驚いた。普段、話さない者まで泣いてくれている。
あぁ、充分さ。充分過ぎる・・・・・・この死に方はご褒美だ。
首に縄が巻かれて、ガタンと下の床が抜け落ちた。そのまま下に落下し・・・・・・
パフン!! ん? なにか、柔らかいものに落下した。
絞首刑台の下には、厚いマットが3重に敷かれていたのだった。
「前のお前は死んだ。昨夜、私は皆に言ったのだ。『この者に生きて欲しいと思う者はナイフをもって縄を傷つけに来い』とな。なんと、お前と関わって働いていた者全員がやって来た。そこでアティカス候爵夫妻にも相談した結果、お前は、生まれ変わって新しく生きることを許された。
死んではならない。そこにいるリリィも、罪を悔い改めて健気に生きている。死に急ぐな!」
「「「うわぁーー。良かったよ。縄が切れるようになっていたなんて! 知らなかったなぁーー。」」」
「「「ここで、また働こうぜ!」」」
「「「一緒に、汗を流して、頑張ろうぜ!」」」
私は、生きていていいのだろうか・・・・・・私が泣きながら、グレイスの方を見つめると、綺麗な声が言葉を紡いだ。
「生きなさい。私は、貴方を許します」
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