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3 フェルゼン様は超イケメン!
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「むむむっ。まっ、まぁ、エリーゼもどうやら喜んでいるようだし問題ないな。ならばエリーゼがフェルゼン様を欲しがったことにしても良いよな? フェルゼン様が醜いから姉に押しつけたとフローレンスに悪い噂がたっては可哀想だからな!」
「私がフェルゼン様を欲しがった? それは名案ですわ。そのような方には興味がありますし、類い希な才能が備わっている場合も多いかもしれませんからね! それに私が望んだと申しあげた方がフェルゼン様も嬉しいと思いますわ。ご自分が醜いからフローレンスに捨てられ私に押しつけられたなんて噂が広まったらフェルゼン様が悲しみますものね!」
いつもは迂闊なことばかり言うお父様もたまには良いことを言うわ、と思いながら私は深く頷いた。
「では早速、婚約者の変更をお手紙でお知らせしなければ・・・・・・」
お母様は嬉々としてリッチ家へのお手紙を書き始め、フローレンスはニコニコとその様子をそれこそピョンピョン跳ねだしそうな表情で見ていた。
――うふふ、やっぱりこの子はネザーランドドワーフの生まれ変わりだわ! でも、これはお手紙だけでお知らせするようなことじゃないわね。
「お母様、そのような大事なことを手紙1通で済ませられると思うのですか? このようなことは、直接あちらに訪問をしてお願いすべきお話ですわ。ポピンズ候爵家は借金を払っていただく立場ですよ?」
私はお母様が書いた手紙をヒョイと拝借するとゴミ箱に放り投げた。
「おぉ、確かにそうだな。こんな大事なことをお伝えするのに手紙ではまずい。しかし、もう行きたくはないぞ。・・・・・・そうだ! エリーゼが行けば良い。お前がリッチ候爵家に一人で出向き説明して来ておくれ」
お父様は名案とばかりに手を打ち鳴らして満足気に微笑んだ。
「まぁ、それはいいですわね。婚約者になる私が行って説明するのが一番手っ取り早いです。アーロン、リッチ候爵家に大事なお話があるのでいつ訪ねたら良いかお聞きしなくてはいけないわ。侍従を使いにだしてくれる? それから、手土産にはポピンズ家でとれたブドウを持っていって」
「なに? ブドウってあの高級ブドウか? ダメだ、ダメ、ダメ! あれは一房5,000ピエン(1ピエン=1円)もするのだぞ! いくらでも自分で買える大金持ちに持っていくことはない。勿体ないじゃないかっ!」
鼻の穴を膨らませて醜く怒鳴り散らすお父様にはのど飴をその手に握らせた。あまり怒鳴っていると喉を痛めてしまうものね。
「お姉様! あのブドウはフローレンスも大好きです。フェルゼン様にあげるなんて勿体ないわよ」
またもや鼻ピクで私のウサギ愛を刺激する妹には、にっこり微笑み高級ブドウの代わりに安価な干しぶどうをお口に放り込んであげた。
「甘い! モグモグ。干しブドウはお菓子にいれてほしいです!」
「よく聞きなさい、フローレンス! こんなに可愛いフローレンスを奥方に迎えられないフェルゼン様が可哀想でしょう? 高級ブドウぐらいでフローレンスを諦めてくれるなら安いものです。あとで干しブドウ入りのお菓子を一緒につくりましょうね」
「あぁ、確かにそうですわね。私の価値はやはり高級ブドウぐらいの価値ですものね! だったらお姉様、たくさんブドウを持って行っていいです。干しぶどう入りお菓子は面倒だからお姉様一人で作ってください。お菓子ができたら食べてあげます!」
フローレンスと両親は納得したようでニコニコしていたからこれでよしっと。
今日も私のおやつ袋は役に立ったわ。いつも私のドレスには小さなポケットを自分でぬいつけそこにお菓子袋をいれていた。その中には飴と干しぶどう、ほんの一握りのナッツ類が入っている。小腹がすいた時のおやつにちょうどいいし、こうして家族にも分けてあげられるしね。
執事のアーロンはメイドに高級ブドウ10房ほど早速持って来させ、綺麗な包装紙に包み侍従に持たせて使いに出したのだった。
リッチ候爵家から戻ってきた侍従は、当主夫妻がブドウを大変喜んで受け取ってくださったことと、二日後に来るようにとおっしゃっていたことを私に伝えた。
早速私は着て行くドレスをクローゼットから選ぼうとするけれど、クローゼットの中はすっかりスカスカだった。それはフローレンスが次々と私のドレスを借りていき、返すのを忘れているからなのだけれどそろそろ返してもらわなきゃね。
私は侍女にフローレンスに貸したドレスを受け取って来るように言った。まもなく戻って来た侍女は青ざめた顔で腕いっぱいのドレスを握りしめていた。
「なぁに、どうしたの?」
顔に果実パックをしていた私に侍女はドレスを広げて見せた。どのドレスも袖が引きちぎられていたり、ワインでもこぼしたのか紫の染みやソースの薄茶色の染みがところどころに飛んでいた。
「あっははは! さすがはネザーランドドワーフね! うさぎって噛んだり引きちぎったりする習性があるらしいわ。食べこぼしはウサギちゃんの特権ね。」
私は鼻歌を歌いながらドレスの袖を両側カットしノースリーブにして、ブドウや玉葱の皮で煮出した。落ち着いた藤色や鮮やかな黄色に染まったドレス達は前よりずっと洗練されたドレスに見える。長いレースの白い手袋達も同様に染めるとすっかりドレスと調和する。
新しく生まれ変わったドレスは悪戯っ子のネザーランドドワーフのわからない所に保管。私は侍女の部屋にそのドレス達を移動させたのだった。
☆彡★彡☆彡
その二日後、私はリッチ候爵家のサロンにいた。
「この手紙を見るとエリーゼ様が僕と結婚したいということでいいのですか? 自分から望んだなんて嘘でしょう? この肌を見て気持ち悪がった妹に押しつけられたのでしょう?」
苦笑しながら言うフェルゼン様に私は驚きの目を向けた。
「そんなにジロジロ見ないでください! どうせ醜い肌だって思っているのでしょう。僕は醜すぎて愛せないでしょう?」
「あら、ごめんなさい。つい見とれてしまいましたわ。醜い? むしろ貴男はイケメン最高じゃないの!」
「え?」
うっとりして叫んだ私にたじろいだフェルゼン様。それを愉快そうに見守るリッチ候爵夫妻。
「私が望んだのですわ。そして今はフェルゼン様を望んで心から良かったと思っております。フェルゼン様はとても素敵です。今日はなんていい日かしら!」
私は心の底から嬉しい思いを口にしたのだった。だって、フェルゼン様は・・・・・・
「私がフェルゼン様を欲しがった? それは名案ですわ。そのような方には興味がありますし、類い希な才能が備わっている場合も多いかもしれませんからね! それに私が望んだと申しあげた方がフェルゼン様も嬉しいと思いますわ。ご自分が醜いからフローレンスに捨てられ私に押しつけられたなんて噂が広まったらフェルゼン様が悲しみますものね!」
いつもは迂闊なことばかり言うお父様もたまには良いことを言うわ、と思いながら私は深く頷いた。
「では早速、婚約者の変更をお手紙でお知らせしなければ・・・・・・」
お母様は嬉々としてリッチ家へのお手紙を書き始め、フローレンスはニコニコとその様子をそれこそピョンピョン跳ねだしそうな表情で見ていた。
――うふふ、やっぱりこの子はネザーランドドワーフの生まれ変わりだわ! でも、これはお手紙だけでお知らせするようなことじゃないわね。
「お母様、そのような大事なことを手紙1通で済ませられると思うのですか? このようなことは、直接あちらに訪問をしてお願いすべきお話ですわ。ポピンズ候爵家は借金を払っていただく立場ですよ?」
私はお母様が書いた手紙をヒョイと拝借するとゴミ箱に放り投げた。
「おぉ、確かにそうだな。こんな大事なことをお伝えするのに手紙ではまずい。しかし、もう行きたくはないぞ。・・・・・・そうだ! エリーゼが行けば良い。お前がリッチ候爵家に一人で出向き説明して来ておくれ」
お父様は名案とばかりに手を打ち鳴らして満足気に微笑んだ。
「まぁ、それはいいですわね。婚約者になる私が行って説明するのが一番手っ取り早いです。アーロン、リッチ候爵家に大事なお話があるのでいつ訪ねたら良いかお聞きしなくてはいけないわ。侍従を使いにだしてくれる? それから、手土産にはポピンズ家でとれたブドウを持っていって」
「なに? ブドウってあの高級ブドウか? ダメだ、ダメ、ダメ! あれは一房5,000ピエン(1ピエン=1円)もするのだぞ! いくらでも自分で買える大金持ちに持っていくことはない。勿体ないじゃないかっ!」
鼻の穴を膨らませて醜く怒鳴り散らすお父様にはのど飴をその手に握らせた。あまり怒鳴っていると喉を痛めてしまうものね。
「お姉様! あのブドウはフローレンスも大好きです。フェルゼン様にあげるなんて勿体ないわよ」
またもや鼻ピクで私のウサギ愛を刺激する妹には、にっこり微笑み高級ブドウの代わりに安価な干しぶどうをお口に放り込んであげた。
「甘い! モグモグ。干しブドウはお菓子にいれてほしいです!」
「よく聞きなさい、フローレンス! こんなに可愛いフローレンスを奥方に迎えられないフェルゼン様が可哀想でしょう? 高級ブドウぐらいでフローレンスを諦めてくれるなら安いものです。あとで干しブドウ入りのお菓子を一緒につくりましょうね」
「あぁ、確かにそうですわね。私の価値はやはり高級ブドウぐらいの価値ですものね! だったらお姉様、たくさんブドウを持って行っていいです。干しぶどう入りお菓子は面倒だからお姉様一人で作ってください。お菓子ができたら食べてあげます!」
フローレンスと両親は納得したようでニコニコしていたからこれでよしっと。
今日も私のおやつ袋は役に立ったわ。いつも私のドレスには小さなポケットを自分でぬいつけそこにお菓子袋をいれていた。その中には飴と干しぶどう、ほんの一握りのナッツ類が入っている。小腹がすいた時のおやつにちょうどいいし、こうして家族にも分けてあげられるしね。
執事のアーロンはメイドに高級ブドウ10房ほど早速持って来させ、綺麗な包装紙に包み侍従に持たせて使いに出したのだった。
リッチ候爵家から戻ってきた侍従は、当主夫妻がブドウを大変喜んで受け取ってくださったことと、二日後に来るようにとおっしゃっていたことを私に伝えた。
早速私は着て行くドレスをクローゼットから選ぼうとするけれど、クローゼットの中はすっかりスカスカだった。それはフローレンスが次々と私のドレスを借りていき、返すのを忘れているからなのだけれどそろそろ返してもらわなきゃね。
私は侍女にフローレンスに貸したドレスを受け取って来るように言った。まもなく戻って来た侍女は青ざめた顔で腕いっぱいのドレスを握りしめていた。
「なぁに、どうしたの?」
顔に果実パックをしていた私に侍女はドレスを広げて見せた。どのドレスも袖が引きちぎられていたり、ワインでもこぼしたのか紫の染みやソースの薄茶色の染みがところどころに飛んでいた。
「あっははは! さすがはネザーランドドワーフね! うさぎって噛んだり引きちぎったりする習性があるらしいわ。食べこぼしはウサギちゃんの特権ね。」
私は鼻歌を歌いながらドレスの袖を両側カットしノースリーブにして、ブドウや玉葱の皮で煮出した。落ち着いた藤色や鮮やかな黄色に染まったドレス達は前よりずっと洗練されたドレスに見える。長いレースの白い手袋達も同様に染めるとすっかりドレスと調和する。
新しく生まれ変わったドレスは悪戯っ子のネザーランドドワーフのわからない所に保管。私は侍女の部屋にそのドレス達を移動させたのだった。
☆彡★彡☆彡
その二日後、私はリッチ候爵家のサロンにいた。
「この手紙を見るとエリーゼ様が僕と結婚したいということでいいのですか? 自分から望んだなんて嘘でしょう? この肌を見て気持ち悪がった妹に押しつけられたのでしょう?」
苦笑しながら言うフェルゼン様に私は驚きの目を向けた。
「そんなにジロジロ見ないでください! どうせ醜い肌だって思っているのでしょう。僕は醜すぎて愛せないでしょう?」
「あら、ごめんなさい。つい見とれてしまいましたわ。醜い? むしろ貴男はイケメン最高じゃないの!」
「え?」
うっとりして叫んだ私にたじろいだフェルゼン様。それを愉快そうに見守るリッチ候爵夫妻。
「私が望んだのですわ。そして今はフェルゼン様を望んで心から良かったと思っております。フェルゼン様はとても素敵です。今日はなんていい日かしら!」
私は心の底から嬉しい思いを口にしたのだった。だって、フェルゼン様は・・・・・・
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