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4.ヘンリーサイド1
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ヘンリーは自惚れではなく事実として、かなり容姿が整っていた。
黒い髪は光輝き、ブルーサファイアのような瞳は、冷たさもあるがそれがまた女性にとってはいいらしい。
社交界で女性たちから熱い視線を受けていれば、それは自信にもなる。
年相応に悪い遊びを覚え、男の社交に現を抜かし、時には賭博も楽しんだ。
金遣いが荒いヘンリーだが、両親共に長男であるヘンリーに口うるさく言ってきたことはない。
長男であり一人息子のヘンリーは歴史ある伯爵家の後を継ぐことが決まっているので、後継者争いなどというものとも縁がなく、ただ若者らしく一時の享楽にふけっていた。
そのうち、それなりの家柄の娘と結婚することは分かっていたが、それまではと――。
そんな時であったのがマリアだ。
とある伯爵家の夜会に参加したときに、庭で隠れるように佇んでいたのがマリアだった。
月夜に照らされた姿は儚げで、社交界にいるような女性とは全く違かった。
なにより、その容姿がヘンリーのタイプそのままだった。
柔らかそうに曲線を描く肢体。
美しく波打つ黄金の髪と温かみのある琥珀の瞳。
一目で欲しいと思った。
ヘンリーの視線に気づいたのか、マリアははっとしながらも、ヘンリーに悲し気な微笑みを残すとすっと姿を消した。
まるで一夜の夢のように。
身体がかっと熱くなり、一刻も早くこの熱を散らした思いが駆け巡ったが、いつもの娼婦の元に行く気にはなれず、自室にこもって久しぶりに自分で慰めた。
それ以降、彼女の正体が知りたくて仕方がなかった。
だが、意外にも正体はすぐに知れた。
伯爵の愛人の娘――。
愛人の娘だが、由緒ある伯爵家の血を引く娘。
しかし、認知されていないので貴族ではない、身分は平民の娘。
平民ならば、ヘンリーがどうしようと問題はない。
ヘンリーは平民など貴族のために存在していると思っているからだ。
問題なのは、平民だが一応伯爵の血を引いているという事。
そして、伯爵邸で暮らしている事。
しかし、一度燃え上がった身体はそんなことどうでもいいとでもいうように、マリアに会いに伯爵邸に忍び混んだ。
本邸から離れているために、マリア達の住む離れはひっそりと静まり返っていた。
どうやって会おうかと考えていると、天はどうやらヘンリーに味方したようだ。
マリアが外に出てきて庭を散歩していた。
日の光を浴びて輝く髪に、その身体を包むのは柔らかな布地。
誰もいないと安心しているのかドレスがいやに薄手で、そのせいかその身体の曲線は夜会の時に見たよりもはっきりと分かる。
ああ、やはり素晴らしい。
ごくりと唾を飲み込み突き動かされるようにマリアの前に姿を現し、声をかけようとした。
マリアは驚きながらもすぐに、ヘンリーに近づきその手を取ると、庭の奥へと連れて行く。
積極的な女性は嫌いではない。
マリアが立ち止まり、人気がない事を確認すると、ヘンリーはマリアを押し倒す。
マリアもすべてを分かっているかのように潤んだ瞳でヘンリーを見上げた。
相手は平民。
貴族の自分に逆らうことなどできない。
平民の女は、せっかく貴族のヘンリーが情けを与えてやっているのに泣き叫び嫌がる、不敬な女もいる。しかし、マリアは従順だった。
ヘンリーのすることを受け入れ、しかもまるで愛しているとでも言うように抱きしめてくる。
優しく髪を梳かれ、その行動が嫌いではないと思い、普段あまりしない愛撫というやつをやってやると、マリアからは甘い啼き声が漏れ、それがさらにヘンリーを燃え上がらせた。
お互い言葉もないのに、分かり合える。
ほぼ初対面なのに、マリアもヘンリーに気を許していた。
本当になんて心地がいいのだ。
思う存分マリアの身体を楽しんだ。
ヘンリーを受け入れる瞬間は初めてだったせいか苦し気だったが、止められなかった。
何度も何度もマリアの中に精を放ち、その度にマリアの中は優しくヘンリーを締め付けた。
事が終わると、マリアははあはあと息を吐きながらも、満足しているようだ。
中から抜き取る瞬間の短い「あっ」という声が、あまりにも甘くそのまま再びマリアを制圧しそうになったが、さすがに自重した。
「最高だった。何か褒美でもやろう」
ヘンリーからしてみれば最高の賛辞。
しかし、マリアは首を振った。
「いいえ……、わたくしは何もいりませんわ。その代わり、また会いに来てくださいませ」
いじらしく上目遣いでマリアが控えめに言う姿が新鮮に映った。
奉仕することが当然の平民の分際で、泣き叫ぶ女や報酬を強請る女のどちらでもない。
だからこそ、心が揺さぶられた。
どちらにしても、マリアの身体はヘンリーと番のようにぴったりと重なり、最高だった。
そして、もっとマリアを欲しいと思った。
黒い髪は光輝き、ブルーサファイアのような瞳は、冷たさもあるがそれがまた女性にとってはいいらしい。
社交界で女性たちから熱い視線を受けていれば、それは自信にもなる。
年相応に悪い遊びを覚え、男の社交に現を抜かし、時には賭博も楽しんだ。
金遣いが荒いヘンリーだが、両親共に長男であるヘンリーに口うるさく言ってきたことはない。
長男であり一人息子のヘンリーは歴史ある伯爵家の後を継ぐことが決まっているので、後継者争いなどというものとも縁がなく、ただ若者らしく一時の享楽にふけっていた。
そのうち、それなりの家柄の娘と結婚することは分かっていたが、それまではと――。
そんな時であったのがマリアだ。
とある伯爵家の夜会に参加したときに、庭で隠れるように佇んでいたのがマリアだった。
月夜に照らされた姿は儚げで、社交界にいるような女性とは全く違かった。
なにより、その容姿がヘンリーのタイプそのままだった。
柔らかそうに曲線を描く肢体。
美しく波打つ黄金の髪と温かみのある琥珀の瞳。
一目で欲しいと思った。
ヘンリーの視線に気づいたのか、マリアははっとしながらも、ヘンリーに悲し気な微笑みを残すとすっと姿を消した。
まるで一夜の夢のように。
身体がかっと熱くなり、一刻も早くこの熱を散らした思いが駆け巡ったが、いつもの娼婦の元に行く気にはなれず、自室にこもって久しぶりに自分で慰めた。
それ以降、彼女の正体が知りたくて仕方がなかった。
だが、意外にも正体はすぐに知れた。
伯爵の愛人の娘――。
愛人の娘だが、由緒ある伯爵家の血を引く娘。
しかし、認知されていないので貴族ではない、身分は平民の娘。
平民ならば、ヘンリーがどうしようと問題はない。
ヘンリーは平民など貴族のために存在していると思っているからだ。
問題なのは、平民だが一応伯爵の血を引いているという事。
そして、伯爵邸で暮らしている事。
しかし、一度燃え上がった身体はそんなことどうでもいいとでもいうように、マリアに会いに伯爵邸に忍び混んだ。
本邸から離れているために、マリア達の住む離れはひっそりと静まり返っていた。
どうやって会おうかと考えていると、天はどうやらヘンリーに味方したようだ。
マリアが外に出てきて庭を散歩していた。
日の光を浴びて輝く髪に、その身体を包むのは柔らかな布地。
誰もいないと安心しているのかドレスがいやに薄手で、そのせいかその身体の曲線は夜会の時に見たよりもはっきりと分かる。
ああ、やはり素晴らしい。
ごくりと唾を飲み込み突き動かされるようにマリアの前に姿を現し、声をかけようとした。
マリアは驚きながらもすぐに、ヘンリーに近づきその手を取ると、庭の奥へと連れて行く。
積極的な女性は嫌いではない。
マリアが立ち止まり、人気がない事を確認すると、ヘンリーはマリアを押し倒す。
マリアもすべてを分かっているかのように潤んだ瞳でヘンリーを見上げた。
相手は平民。
貴族の自分に逆らうことなどできない。
平民の女は、せっかく貴族のヘンリーが情けを与えてやっているのに泣き叫び嫌がる、不敬な女もいる。しかし、マリアは従順だった。
ヘンリーのすることを受け入れ、しかもまるで愛しているとでも言うように抱きしめてくる。
優しく髪を梳かれ、その行動が嫌いではないと思い、普段あまりしない愛撫というやつをやってやると、マリアからは甘い啼き声が漏れ、それがさらにヘンリーを燃え上がらせた。
お互い言葉もないのに、分かり合える。
ほぼ初対面なのに、マリアもヘンリーに気を許していた。
本当になんて心地がいいのだ。
思う存分マリアの身体を楽しんだ。
ヘンリーを受け入れる瞬間は初めてだったせいか苦し気だったが、止められなかった。
何度も何度もマリアの中に精を放ち、その度にマリアの中は優しくヘンリーを締め付けた。
事が終わると、マリアははあはあと息を吐きながらも、満足しているようだ。
中から抜き取る瞬間の短い「あっ」という声が、あまりにも甘くそのまま再びマリアを制圧しそうになったが、さすがに自重した。
「最高だった。何か褒美でもやろう」
ヘンリーからしてみれば最高の賛辞。
しかし、マリアは首を振った。
「いいえ……、わたくしは何もいりませんわ。その代わり、また会いに来てくださいませ」
いじらしく上目遣いでマリアが控えめに言う姿が新鮮に映った。
奉仕することが当然の平民の分際で、泣き叫ぶ女や報酬を強請る女のどちらでもない。
だからこそ、心が揺さぶられた。
どちらにしても、マリアの身体はヘンリーと番のようにぴったりと重なり、最高だった。
そして、もっとマリアを欲しいと思った。
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