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7 祖父との対面
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部屋の中は明かりは点いているものの、全体的に薄暗い。
窓は厚いカーテンで覆われて光が入らないようになっている。
部屋の奥の方にベッドがあって、そこに一人の老人が横たわっていた。
あそこに寝ているのがジェシカのお祖父様なのね。
前世でもお祖父さんと接した事はない。
両親のどちらの祖父も私が物心付く前に亡くなっていたからだ。
だからお祖父様に会ってもどういう態度をとったらいいのか皆目見当もつかない。
それでもモーガンに促されるまま、お祖父様が寝ているベッドへと近寄った。
「旦那様、ジェシカ様をお連れしました。こちらにお座り頂いてもよろしいですか?」
モーガンのお祖父様に声をかけると、お祖父様は顔をこちらに向けて軽く頷いた。
私はお祖父様の枕元にある椅子に腰掛けて、お祖父様に向かって軽く微笑んだ。
「はじめまして、お祖父様。ジェシカです」
お祖父様はまじまじと私の顔を見ていたが、やがて相好を崩した。
「おお、お前がジェシカか。子供の頃のダグラスにそっくりだ。ラモーナが生きていたらどんなに喜んだ事か…。これからは私がラモーナの分までジェシカの面倒をみてやるからな。今まで苦労した分、ここでゆっくりと過ごすがいい」
そう言ってシワだらけの手を私に向かって差し出してきた。
そっと手を伸ばしてお祖父様の手に触れると、お祖父様はもう片方の手を出して両手で私の手を包みこんだ。
シワだらけではあるが、私よりも大きくてゴツゴツとした手だった。
「…お祖父様…」
ここで本当はジェシカではないことを打ち明けるべきだろうか?
だけど、目に涙を浮かべて喜んでいるお祖父様を見ていると、何も言い出せなくなってしまう。
「旦那様。そろそろお休みになられてはいかがですか? それにジェシカ様をお部屋に案内しなければなりませんので…」
モーガンに言われてお祖父様は渋々と私から手を離した。
「お祖父様は何処がお悪いんですか?」
何気なく口に出してしまった後で、聞いてはいけない事だったかと思い、慌てて口に手をやった。
「なあに、ラモーナが死んですっかり気落ちして寝込んでしまったんだ。その内に歩くのもままならなくなって、こうして1日中ベッドに寝ていると言うわけだ」
つまり寝込んでいる間に足腰も弱ってしまったというわけね。
それにしてもこんな暗くてカーテンも締め切った部屋で寝ていると余計に具合が悪くなりそうだわ。
「お祖父様。カーテンを開けてみてもよろしいかしら?」
私がお祖父様に尋ねるとお祖父様は怪訝な顔を私に見せた。
「カーテンを開ける? 具合が悪くて寝ているのだから、閉めているのが当たり前じゃないのか?」
…まあ、今にも死にそうな場面であればカーテンが開いていようが閉まっていようが関係ないかもしれないけれど、お祖父様はどう見てもそんなに悪いようには見えない。
「お熱はないんですよね? それに具合が悪いと仰るけれど、お食事とかは普通に食べられるんですよね?」
お顔もシワがあるけれど、決して肌艶が悪いわけではない。
こんな暗くて陰気な部屋で寝ていたら気持ちが萎えてしまいそうだ。
この部屋に入って来たばかりの私がそう感じるのだから、この部屋でずっと寝ているお祖父様にはもっと顕著だろう。
お祖父様は側に控えていた侍女にカーテンを開けるように命じた。
侍女が分厚いカーテンを開けると眩しいくらいの光が部屋に差し込んで、一気に雰囲気が変わる。
私はカーテンが開けられた外の景色を見て思わず「うわぁっ」と声をあげた。
窓の外には色とりどりの花が植えられた庭園が一望出来た。
…素敵なお庭ね。
歩けないならせめて車椅子で散歩をすれば、気持ちが前向きになって歩こうと思えるかも…。
そこで私はこの世界でまだ車椅子を見たことがないのに気が付いた。
ただ単に平民に普及していないだけなのかしら?
たとえまだ開発されていないにしても、公爵家ならば作ることが出来るかも…。
それに、本当のジェシカだったらお祖父様が寝込んでいるのを悲しく思って、どうにかしたいと思うはずだわ。
ジェシカが出来ない分、私がお祖父様に何かしてあげたい。
私はお祖父様に向き直るとおもむろに口を開いた。
「お祖父様。車椅子ってご存知ですか?」
窓は厚いカーテンで覆われて光が入らないようになっている。
部屋の奥の方にベッドがあって、そこに一人の老人が横たわっていた。
あそこに寝ているのがジェシカのお祖父様なのね。
前世でもお祖父さんと接した事はない。
両親のどちらの祖父も私が物心付く前に亡くなっていたからだ。
だからお祖父様に会ってもどういう態度をとったらいいのか皆目見当もつかない。
それでもモーガンに促されるまま、お祖父様が寝ているベッドへと近寄った。
「旦那様、ジェシカ様をお連れしました。こちらにお座り頂いてもよろしいですか?」
モーガンのお祖父様に声をかけると、お祖父様は顔をこちらに向けて軽く頷いた。
私はお祖父様の枕元にある椅子に腰掛けて、お祖父様に向かって軽く微笑んだ。
「はじめまして、お祖父様。ジェシカです」
お祖父様はまじまじと私の顔を見ていたが、やがて相好を崩した。
「おお、お前がジェシカか。子供の頃のダグラスにそっくりだ。ラモーナが生きていたらどんなに喜んだ事か…。これからは私がラモーナの分までジェシカの面倒をみてやるからな。今まで苦労した分、ここでゆっくりと過ごすがいい」
そう言ってシワだらけの手を私に向かって差し出してきた。
そっと手を伸ばしてお祖父様の手に触れると、お祖父様はもう片方の手を出して両手で私の手を包みこんだ。
シワだらけではあるが、私よりも大きくてゴツゴツとした手だった。
「…お祖父様…」
ここで本当はジェシカではないことを打ち明けるべきだろうか?
だけど、目に涙を浮かべて喜んでいるお祖父様を見ていると、何も言い出せなくなってしまう。
「旦那様。そろそろお休みになられてはいかがですか? それにジェシカ様をお部屋に案内しなければなりませんので…」
モーガンに言われてお祖父様は渋々と私から手を離した。
「お祖父様は何処がお悪いんですか?」
何気なく口に出してしまった後で、聞いてはいけない事だったかと思い、慌てて口に手をやった。
「なあに、ラモーナが死んですっかり気落ちして寝込んでしまったんだ。その内に歩くのもままならなくなって、こうして1日中ベッドに寝ていると言うわけだ」
つまり寝込んでいる間に足腰も弱ってしまったというわけね。
それにしてもこんな暗くてカーテンも締め切った部屋で寝ていると余計に具合が悪くなりそうだわ。
「お祖父様。カーテンを開けてみてもよろしいかしら?」
私がお祖父様に尋ねるとお祖父様は怪訝な顔を私に見せた。
「カーテンを開ける? 具合が悪くて寝ているのだから、閉めているのが当たり前じゃないのか?」
…まあ、今にも死にそうな場面であればカーテンが開いていようが閉まっていようが関係ないかもしれないけれど、お祖父様はどう見てもそんなに悪いようには見えない。
「お熱はないんですよね? それに具合が悪いと仰るけれど、お食事とかは普通に食べられるんですよね?」
お顔もシワがあるけれど、決して肌艶が悪いわけではない。
こんな暗くて陰気な部屋で寝ていたら気持ちが萎えてしまいそうだ。
この部屋に入って来たばかりの私がそう感じるのだから、この部屋でずっと寝ているお祖父様にはもっと顕著だろう。
お祖父様は側に控えていた侍女にカーテンを開けるように命じた。
侍女が分厚いカーテンを開けると眩しいくらいの光が部屋に差し込んで、一気に雰囲気が変わる。
私はカーテンが開けられた外の景色を見て思わず「うわぁっ」と声をあげた。
窓の外には色とりどりの花が植えられた庭園が一望出来た。
…素敵なお庭ね。
歩けないならせめて車椅子で散歩をすれば、気持ちが前向きになって歩こうと思えるかも…。
そこで私はこの世界でまだ車椅子を見たことがないのに気が付いた。
ただ単に平民に普及していないだけなのかしら?
たとえまだ開発されていないにしても、公爵家ならば作ることが出来るかも…。
それに、本当のジェシカだったらお祖父様が寝込んでいるのを悲しく思って、どうにかしたいと思うはずだわ。
ジェシカが出来ない分、私がお祖父様に何かしてあげたい。
私はお祖父様に向き直るとおもむろに口を開いた。
「お祖父様。車椅子ってご存知ですか?」
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