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81 ダンス
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お兄様に手を引かれてホールに続く扉を抜けると、そこはステージのようになっていて中央にお父様が立っていた。
広々としたホールには大勢の貴族達で埋め尽くされている。
私とお兄様が姿を現した途端、すべての視線が私に注がれたように感じた。
「娘がいる事が判明した」なんて、要は浮気して出来た娘がいるって公言したようなものだものね。
そんな私を貴族達が受け入れてくれるのかしら?
ドキドキしながらお父様の側まで行くと、パチパチと拍手の音が聞こえた。
音のした方に目をやるとそこにはアシェトン公爵家のお祖父様とパトリシア、ハミルトンがいて、私に拍手をしてくれている。
それに触発されたように拍手の音が大きくなっていき、ホール全体から聞こえてきた。
流石に国王のいるこの場で、不平を言うような輩はいないわよね。
お父様に促されて、私はホールの貴族達に向かって優雅にお辞儀をした。
「さて、フェリシア。最初のダンスを私と踊ってくれるかな?」
お父様の言葉にお兄様は目を剥いていたけれど、流石にこの場でお父様に文句は言わなかったわね。
「勿論ですわ、お父様」
差し出されたお父様の手をとって、階段を降りて、ホールの中央へと進む。
周りの貴族達の好奇の目や、値踏みするような視線の中をお父様とダンスを踊る。
音楽にかき消されて聞こえないけれど、扇で口元を隠している女性達は、私の話に暇がないのだろう。
ジェシカのふりをして、アシェトン公爵家に行かなければ、こんな世界に足を踏み入れる事はなかったのだろうか?
いや、たとえあのまま平民として暮らしていても、王妃様が亡くなられた時点でお父様が私の母を捜していたのだから、いずれは王宮に連れて行かれたのだろう。
ダンスをしながら、私はふと壇上にいるお兄様に目を向けた。
少し悔しそうな顔で私とお父様を見つめているけれど、その背後に妙な黒い影が見えた。
…あれは、何?
もう一度、よく見ようと目をこらした時、不意にお父様に話しかけられた。
「フェリシアには謝らなければならないな」
「え、何をですか?」
問いかけながらも、(昨日の事かしら?)と思い至ったが、違う答えが返ってきた。
「フェリシアという存在がいた事が嬉しくてお披露目をしたが、貴族達の好奇の目に曝す事になってしまったな。本当に申し訳ない」
どうやらお父様は今のこの状況について謝りたかったようだ。
舞い上がりすぎて、他人からどう見られるかなんて、思い至らなかったみたいね。
こちらを見ている宰相の表情からして、助言したのに聞く耳を持たなかったというところかしら。
「大丈夫です。今日くらいは乗り切ってみせます。その代わり、次はありませんからね」
「勿論だ。もう二度とこんな連中の前にお前を出したりはしないからな」
お父様の言葉に苦笑を漏らしつつも、私はもう一度壇上にいるお兄様に目をやった。
けれど、先程見えた黒い影はもうそこには見当たらなかった。
…見間違いだったのかしら?
首を傾げつつも踊っていると、ホールに立っているハミルトンと目が合った。
ニコリと笑いかけられて思わず頬が赤くなる。
それに気付いたお父様が少し不機嫌そうな声を出す。
「フェリシア。私と踊っているのだから、他の男を見るんじゃない。…全く。ハミルトンを呼ぶんじゃなかったな。今からでも追い出すか?」
いやいや、いくら何でもそれは横暴でしょう。
ここはきっちり釘を刺しておかないとね。
「お父様。そんな事をしたら二度と口をききませんからね」
上目遣いでお父様を睨むと、引き攣った顔でコクコクと頷いてくれた。
音楽が止まって私とお父様がお辞儀をすると、ホール内は拍手に包まれた。
お父様とのダンスは無事に終わったけれど、お兄様とハミルトンが次のダンスをどちらが踊るかで一悶着ありそうね。
私は凄い勢いで近付いてくるお兄様とハミルトンを交互に見ながら、こっそりとため息をついた。
広々としたホールには大勢の貴族達で埋め尽くされている。
私とお兄様が姿を現した途端、すべての視線が私に注がれたように感じた。
「娘がいる事が判明した」なんて、要は浮気して出来た娘がいるって公言したようなものだものね。
そんな私を貴族達が受け入れてくれるのかしら?
ドキドキしながらお父様の側まで行くと、パチパチと拍手の音が聞こえた。
音のした方に目をやるとそこにはアシェトン公爵家のお祖父様とパトリシア、ハミルトンがいて、私に拍手をしてくれている。
それに触発されたように拍手の音が大きくなっていき、ホール全体から聞こえてきた。
流石に国王のいるこの場で、不平を言うような輩はいないわよね。
お父様に促されて、私はホールの貴族達に向かって優雅にお辞儀をした。
「さて、フェリシア。最初のダンスを私と踊ってくれるかな?」
お父様の言葉にお兄様は目を剥いていたけれど、流石にこの場でお父様に文句は言わなかったわね。
「勿論ですわ、お父様」
差し出されたお父様の手をとって、階段を降りて、ホールの中央へと進む。
周りの貴族達の好奇の目や、値踏みするような視線の中をお父様とダンスを踊る。
音楽にかき消されて聞こえないけれど、扇で口元を隠している女性達は、私の話に暇がないのだろう。
ジェシカのふりをして、アシェトン公爵家に行かなければ、こんな世界に足を踏み入れる事はなかったのだろうか?
いや、たとえあのまま平民として暮らしていても、王妃様が亡くなられた時点でお父様が私の母を捜していたのだから、いずれは王宮に連れて行かれたのだろう。
ダンスをしながら、私はふと壇上にいるお兄様に目を向けた。
少し悔しそうな顔で私とお父様を見つめているけれど、その背後に妙な黒い影が見えた。
…あれは、何?
もう一度、よく見ようと目をこらした時、不意にお父様に話しかけられた。
「フェリシアには謝らなければならないな」
「え、何をですか?」
問いかけながらも、(昨日の事かしら?)と思い至ったが、違う答えが返ってきた。
「フェリシアという存在がいた事が嬉しくてお披露目をしたが、貴族達の好奇の目に曝す事になってしまったな。本当に申し訳ない」
どうやらお父様は今のこの状況について謝りたかったようだ。
舞い上がりすぎて、他人からどう見られるかなんて、思い至らなかったみたいね。
こちらを見ている宰相の表情からして、助言したのに聞く耳を持たなかったというところかしら。
「大丈夫です。今日くらいは乗り切ってみせます。その代わり、次はありませんからね」
「勿論だ。もう二度とこんな連中の前にお前を出したりはしないからな」
お父様の言葉に苦笑を漏らしつつも、私はもう一度壇上にいるお兄様に目をやった。
けれど、先程見えた黒い影はもうそこには見当たらなかった。
…見間違いだったのかしら?
首を傾げつつも踊っていると、ホールに立っているハミルトンと目が合った。
ニコリと笑いかけられて思わず頬が赤くなる。
それに気付いたお父様が少し不機嫌そうな声を出す。
「フェリシア。私と踊っているのだから、他の男を見るんじゃない。…全く。ハミルトンを呼ぶんじゃなかったな。今からでも追い出すか?」
いやいや、いくら何でもそれは横暴でしょう。
ここはきっちり釘を刺しておかないとね。
「お父様。そんな事をしたら二度と口をききませんからね」
上目遣いでお父様を睨むと、引き攣った顔でコクコクと頷いてくれた。
音楽が止まって私とお父様がお辞儀をすると、ホール内は拍手に包まれた。
お父様とのダンスは無事に終わったけれど、お兄様とハミルトンが次のダンスをどちらが踊るかで一悶着ありそうね。
私は凄い勢いで近付いてくるお兄様とハミルトンを交互に見ながら、こっそりとため息をついた。
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