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80 準備
アガサの手伝いを断り、一人でお風呂に入って軽く汗を流すと、そのままベッドに直行した。
「お一人で大丈夫ですか?」
アガサには心配されたけれど、すべて終わった事だから何も問題はないと思う。
「大丈夫よ。アガサも明日は早いんでしょ? 早く休んだ方がいいわ」
私に諭されてアガサは渋々と部屋を出て行った。
一人になってベッドに横たわると、先程の出来事が本当に現実だったのかと疑ってしまう。
ミランダにつけられた傷も既に何処だったかよくわからなくなっている。
何か少しでも違う要素があれば、ミランダも私のように王宮に歓迎されて迎え入れられたかもしれない。
そして私自身もこんなふうに歓迎されなかったかも…。
そんな事を考えているうちに、いつの間にか私は眠りに落ちていた。
そして翌朝…
「フェリシア様、おはようございます。お目覚めですか?」
天幕の向こうからアガサの声が聞こえて私はハッと目を覚ました。
いつもは私が目覚めるまで声をかけてこないのに、今日はどうしたんだろう?
そう、ぼんやりと考えた所で、今日は朝早くに起こすと言われていた事を思い出した。
モゾモゾとベッドに起き上がると、アガサがサッと天幕を開けた。
「おはようございます、フェリシア様。早速湯浴みに参りましょう」
まだぼうっとする頭のまま、のそのそとベッドから這い出すと侍女に手を引かれてお風呂場に連れて行かれた。
抵抗する間もなく服を脱がされ、お風呂に入れられ、全身をくまなく洗われた。
おかげですっかり目が覚めてしまったわ。
お風呂からあがると今度はドレスを着せられ、髪を結われ化粧まで施された。
鏡の中に見える私はまるで違う世界の人のようだ。
アガサや侍女達も、出来栄えに満足そうに微笑んでいる。
お披露目の時間が迫ってきた頃、部屋の扉がノックされてお父様とお兄様が部屋に入って来た。
「フェリシア、今日は一段と綺麗だな」
「こんな綺麗なフェリシアを世の男共に晒すなんて…。父上、やはり今からでも中止にしませんか?」
…お兄様…
昨日、言っていた事とまるで違う事を言ってますよ。
「そうだな。フェリシアが風邪をひいた事にして中止にするか?」
お父様まで賛同しないでください。
「陛下、馬鹿な事を仰らないで下さいませ。国王として有言実行されなくてどうしますか。ユージーン様ももう少しどっしりと構えてくださいな」
アガサにたしなめられてお父様とお兄様は少し拗ねたような表情を見せる。
二人共、こういう発言がなければいいのに、溺愛されすぎるのも考えものだわ。
お父様とお兄様に手を取られて部屋の外に出る。
廊下を歩いていると、昨日ミランダに襲われた場所に近付いた。
床に落ちていた血の跡もなく、いつも通りの風景が広がっている。
少し歩みが遅くなった私にお兄様がそっと囁いてくる。
「もう大丈夫だよ、フェリシア。君を害する者は誰もいないよ」
優しく微笑むお兄様に見つめられて私はコクリと頷いて歩き出す。
プライベートゾーンから出て、お披露目のあるホールに向けて歩いて行くと控えの間に通された。
「こちらでしばらくお待ちください」
それぞれ椅子に腰掛けて待っていると、本日の司会を務める宰相の声が聞こえてきた。
「本日はようこそおいでくださいました。それでは先ずは国王陛下にご登場いただきましょう」
侍従の合図にお父様が立ち上がり、ホールに通じる扉からホールへと出て行った。
「皆の者、本日はよくぞ集まってくれた。既に聞き及んでいると思うが、先日私に娘がいる事が判明した。本物か、と疑う者もいるかもしれんが、鑑定の魔道具で紛れもなく私の娘である事が証明されている。よってここで皆に紹介しよう。さあ、フェリシア。こちらへ来るが良い」
お兄様が立ち上がって私に手を差し伸べてきた。
私はその手を取ると、お兄様と一緒にゆっくりと歩き出す。
いよいよ、私のお披露目だ。
「お一人で大丈夫ですか?」
アガサには心配されたけれど、すべて終わった事だから何も問題はないと思う。
「大丈夫よ。アガサも明日は早いんでしょ? 早く休んだ方がいいわ」
私に諭されてアガサは渋々と部屋を出て行った。
一人になってベッドに横たわると、先程の出来事が本当に現実だったのかと疑ってしまう。
ミランダにつけられた傷も既に何処だったかよくわからなくなっている。
何か少しでも違う要素があれば、ミランダも私のように王宮に歓迎されて迎え入れられたかもしれない。
そして私自身もこんなふうに歓迎されなかったかも…。
そんな事を考えているうちに、いつの間にか私は眠りに落ちていた。
そして翌朝…
「フェリシア様、おはようございます。お目覚めですか?」
天幕の向こうからアガサの声が聞こえて私はハッと目を覚ました。
いつもは私が目覚めるまで声をかけてこないのに、今日はどうしたんだろう?
そう、ぼんやりと考えた所で、今日は朝早くに起こすと言われていた事を思い出した。
モゾモゾとベッドに起き上がると、アガサがサッと天幕を開けた。
「おはようございます、フェリシア様。早速湯浴みに参りましょう」
まだぼうっとする頭のまま、のそのそとベッドから這い出すと侍女に手を引かれてお風呂場に連れて行かれた。
抵抗する間もなく服を脱がされ、お風呂に入れられ、全身をくまなく洗われた。
おかげですっかり目が覚めてしまったわ。
お風呂からあがると今度はドレスを着せられ、髪を結われ化粧まで施された。
鏡の中に見える私はまるで違う世界の人のようだ。
アガサや侍女達も、出来栄えに満足そうに微笑んでいる。
お披露目の時間が迫ってきた頃、部屋の扉がノックされてお父様とお兄様が部屋に入って来た。
「フェリシア、今日は一段と綺麗だな」
「こんな綺麗なフェリシアを世の男共に晒すなんて…。父上、やはり今からでも中止にしませんか?」
…お兄様…
昨日、言っていた事とまるで違う事を言ってますよ。
「そうだな。フェリシアが風邪をひいた事にして中止にするか?」
お父様まで賛同しないでください。
「陛下、馬鹿な事を仰らないで下さいませ。国王として有言実行されなくてどうしますか。ユージーン様ももう少しどっしりと構えてくださいな」
アガサにたしなめられてお父様とお兄様は少し拗ねたような表情を見せる。
二人共、こういう発言がなければいいのに、溺愛されすぎるのも考えものだわ。
お父様とお兄様に手を取られて部屋の外に出る。
廊下を歩いていると、昨日ミランダに襲われた場所に近付いた。
床に落ちていた血の跡もなく、いつも通りの風景が広がっている。
少し歩みが遅くなった私にお兄様がそっと囁いてくる。
「もう大丈夫だよ、フェリシア。君を害する者は誰もいないよ」
優しく微笑むお兄様に見つめられて私はコクリと頷いて歩き出す。
プライベートゾーンから出て、お披露目のあるホールに向けて歩いて行くと控えの間に通された。
「こちらでしばらくお待ちください」
それぞれ椅子に腰掛けて待っていると、本日の司会を務める宰相の声が聞こえてきた。
「本日はようこそおいでくださいました。それでは先ずは国王陛下にご登場いただきましょう」
侍従の合図にお父様が立ち上がり、ホールに通じる扉からホールへと出て行った。
「皆の者、本日はよくぞ集まってくれた。既に聞き及んでいると思うが、先日私に娘がいる事が判明した。本物か、と疑う者もいるかもしれんが、鑑定の魔道具で紛れもなく私の娘である事が証明されている。よってここで皆に紹介しよう。さあ、フェリシア。こちらへ来るが良い」
お兄様が立ち上がって私に手を差し伸べてきた。
私はその手を取ると、お兄様と一緒にゆっくりと歩き出す。
いよいよ、私のお披露目だ。
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