御家騒動なんて真っ平ごめんです〜捨てられた双子の片割れは平凡な人生を歩みたい〜

伽羅

文字の大きさ
101 / 242
学院編

101 痛み

しおりを挟む
 学院に通いだしてひと月以上が過ぎたが、いつの間にかジェイミーのストーカー(?)が止まっていた。

 あんなに僕の事を監視していたのに急に止めてしまうなんて一体何があったんだろうか?

 勿論、監視が無くなってホッとしているのだけれど、なんだかスッキリしない気分だ。

 それとも、ただ単に執着されなくなってガッカリしているだけなのだろうか?

「エド。最近、ジェイミーの奴、エドの事を監視しなくなってないか?」

 アーサーもジェイミーが最近、僕の事をじっと見たり、後をついて来なくなったのに気付いたようだ。

「うん、そうなんだよね。いつの間にか僕の事をじっと見たりして来なくなったんだ」

「ジェイミーもとうとうエドが不正なんかしていないって気づいたんだな」

「…うん、そうかなぁ?」

「何だよ、歯切れ悪いな。監視して来なくなったんだから、良かったじゃないか」

 バシッとアーサーに背中を叩かれ、僕は思わず「痛っ」と声を上げる。

「え? そんなに強く叩いた覚えはないぞ」

 アーサーが不思議そうな顔をするが、妙に叩かれた背中が痛かった。

「おかしいな? なんでだろう?」

 僕もこの叩かれた痛みには違和感があった。

 いつもアーサーと接しているから、アーサーに軽く叩かれるという事はしょっちゅうだ。

 今だっていつもの軽いノリで叩いてきたはずなのに、どうしてこんなに痛く感じたのだろう?

「何処かで背中をぶつけたりしたのか?」

 アーサーに尋ねられたけれど、そんな覚えは全くない。

「いや、別に? 剣術の稽古の時だって腕に当たる事はあっても背中は無いよ」

 アーサーが心配そうにそっと僕の背中を触ってくる。

「今僕が触ってても痛いか?」

 そっとアーサーに背中を撫でられるが、今は特に痛みを感じない。

「いいや、今は痛くない」

 それを聞いてアーサーはホッとした顔を見せる。

「そっか。きっと、思ったより強く叩いちゃったんだな。ごめん、エド」

「いや、大丈夫だよ。僕が大げさに言っちゃっただけだ」

 そう言ってアーサーを安心させるようにニコッと笑いかける。

 けれど、内心何処か腑に落ちなかった。

 どうしてあれだけの痛みを感じたのだろうか?

 まさか、何かの病気じゃないよね?

 そんな不安がよぎるけれど、体調は至って万全だ。

 生まれてこのかた、風邪一つひいた事がない(多分)。

 そんな健康優良児の僕が、友人に軽く背中を叩かれただけで「痛い」と言うなんて…。

 僕は首をひねりながらも自分の席についた。

 

 次の授業は剣術の時間だ。

 僕達はいつものようにゾロゾロと更衣室に向かった。

 制服から運動着に着替えて校庭に向かった。

 整列して待っていると、ヴィクター先生とベアトリス先生が颯爽と現れる。

 二人とも相変わらずかっこいい。

 女子生徒の中には「あの二人は付き合っているんじゃないか?」と話題にしている子もいたが、それだけは「ない!」と断言できる。

 もっともそんな事は口が裂けても言えないので、黙って聞き流しているが…。

 始業の挨拶を交わすと早速ランニングが始まる。
 
 校庭を走っていると、前方にジェイミーの姿が見えた、

 今まで僕の後ろをついて走っていたので、こうして僕がジェイミーの後ろ姿を見ながら走るのは妙な気分だった。

 うーん。

 やっぱりジェイミーに相手にされなくなって寂しいと思っているんだろうか?

 ランニングを終えて息を整えた後は、二人一組になって剣の打ち合いだ。

 勿論、扱うのは模造剣と決まっている。

「エド、いいか?」 
 
 アーサーが剣を携えてやって来る。

「よし、やろう」

 僕も剣を構えてアーサーと対峙する。

「始め!」

 ヴィクター先生の合図で打ち合いが始まる。

 何度もアーサーと稽古をしているので、お互いのクセはわかっているつもりだ。

 それでも時折、アーサーは予想外の動きを見せる。

 その時もアーサーの剣を受け止めきれずに、アーサーの模造剣が僕の腕に当たった。

「あっ!」

 あまりの痛みに僕は剣を取り落とし、その場にうずくまる。

「エド!?」

 驚いたアーサーが僕の所に駆け寄ってくる。

 ヴィクター先生も向こうからこちらに駆け寄ってくる。

 腕を押さえながらふと顔を上げると、ジェイミーが薄く笑っているのが見えた。



 
 
しおりを挟む
感想 144

あなたにおすすめの小説

あっ、追放されちゃった…。

satomi
恋愛
ガイダール侯爵家の長女であるパールは精霊の話を聞くことができる。がそのことは誰にも話してはいない。亡き母との約束。 母が亡くなって喪も明けないうちに義母を父は連れてきた。義妹付きで。義妹はパールのものをなんでも欲しがった。事前に精霊の話を聞いていたパールは対処なりをできていたけれど、これは…。 ついにウラルはパールの婚約者である王太子を横取りした。 そのことについては王太子は特に魅力のある人ではないし、なんにも感じなかったのですが、王宮内でも噂になり、家の恥だと、家まで追い出されてしまったのです。 精霊さんのアドバイスによりブルハング帝国へと行ったパールですが…。

嫌われたと思って離れたのに

ラム猫
恋愛
 私は、婚約者のカイルに嫌われたと思った。冷たくそっけなく、近づくたびに避けられる日々。  距離を置くことを選び、留学の準備も進めて心を落ち着かせようとするけれど——。

骸骨と呼ばれ、生贄になった王妃のカタの付け方

ウサギテイマーTK
恋愛
骸骨娘と揶揄され、家で酷い扱いを受けていたマリーヌは、国王の正妃として嫁いだ。だが結婚後、国王に愛されることなく、ここでも幽閉に近い扱いを受ける。側妃はマリーヌの義姉で、公式行事も側妃が請け負っている。マリーヌに与えられた最後の役割は、海の神への生贄だった。 注意:地震や津波の描写があります。ご注意を。やや残酷な描写もあります。

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

心が折れた日に神の声を聞く

木嶋うめ香
ファンタジー
ある日目を覚ましたアンカーは、自分が何度も何度も自分に生まれ変わり、父と義母と義妹に虐げられ冤罪で処刑された人生を送っていたと気が付く。 どうして何度も生まれ変わっているの、もう繰り返したくない、生まれ変わりたくなんてない。 何度生まれ変わりを繰り返しても、苦しい人生を送った末に処刑される。 絶望のあまり、アンカーは自ら命を断とうとした瞬間、神の声を聞く。 没ネタ供養、第二弾の短編です。

三年の想いは小瓶の中に

月山 歩
恋愛
結婚三周年の記念日だと、邸の者達がお膳立てしてくれた二人だけのお祝いなのに、その中心で一人夫が帰らない現実を受け入れる。もう彼を諦める潮時かもしれない。だったらこれからは自分の人生を大切にしよう。アレシアは離縁も覚悟し、邸を出る。 ※こちらの作品は契約上、内容の変更は不可であることを、ご理解ください。

田舎娘をバカにした令嬢の末路

冬吹せいら
恋愛
オーロラ・レンジ―は、小国の産まれでありながらも、名門バッテンデン学園に、首席で合格した。 それを不快に思った、令嬢のディアナ・カルホーンは、オーロラが試験官を買収したと嘘をつく。 ――あんな田舎娘に、私が負けるわけないじゃない。 田舎娘をバカにした令嬢の末路は……。

完結 王族の醜聞がメシウマ過ぎる件

音爽(ネソウ)
恋愛
王太子は言う。 『お前みたいなつまらない女など要らない、だが優秀さはかってやろう。第二妃として存分に働けよ』 『ごめんなさぁい、貴女は私の代わりに公儀をやってねぇ。だってそれしか取り柄がないんだしぃ』 公務のほとんどを丸投げにする宣言をして、正妃になるはずのアンドレイナ・サンドリーニを蹴落とし正妃の座に就いたベネッタ・ルニッチは高笑いした。王太子は彼女を第二妃として迎えると宣言したのである。 もちろん、そんな事は罷りならないと王は反対したのだが、その言葉を退けて彼女は同意をしてしまう。 屈辱的なことを敢えて受け入れたアンドレイナの真意とは…… *表紙絵自作

処理中です...