御家騒動なんて真っ平ごめんです〜捨てられた双子の片割れは平凡な人生を歩みたい〜

伽羅

文字の大きさ
103 / 242
学院編

103 ジェイミーの様子

しおりを挟む
「実は、さっき座り込んだ時、ジェイミーの姿が見えたんだけど、僕を見て薄く笑っていたんだ」

「ジェイミーが笑っていた? そりゃまあ、エドの事を気に入らないみたいだったから、エドがケガをしたかもって事で笑っていても仕方がないとは思うけどさ」 

 アーサーはジェイミーが「笑っていた」と聞いて心底面白く無さそうな顔をする。

 そりゃまあ、ケガをしたかもしれない人を見て笑っていられるなんて人間性を疑うよね。

 特にアーサーにとっては『自分がケガをさせたかも…』って思って焦っていた時だったからね。

「うん、僕もそう思うんだけどね。なんか引っかかるんだよね」

 ただ単に『いい気味だ』というような笑いじゃなくて、『上手くいった』というようなほくそ笑みみたいなものをジェイミーに感じていた。

 僕の身に何か起こった時に痛みを倍増させるような魔法でも使ったのだろうか?

 いや、そもそもそんな魔法なんてあるんだろうか?

 マーリン先生かヴィクター先生に相談してみようかと思ったけれど、すぐにそれは却下した。

 以前話をした時に『エルフは人間社会に手を出さない』と言っていたのを思い出したからだ。

 そう言いつつもこの国の王家で双子が生まれないようにしている時点で十分、人間社会に関わっていると思うんだけどね。

 とりあえず午後からは普通の授業だけだから、僕の身に危険な事は起こらないはずだ。

 お昼の休憩を終えて僕とアーサーは教室に戻った。

 ジェイミーは既に自分の席についていたが、僕が教室に入っても見向きもしなかった。

 剣術の授業の時は座り込んだ僕を見て薄く笑っていたのに、このチグハグぶりは一体何故なのだろうか?

 だからこそジェイミーの態度に違和感を感じるのだろう。

 僕はそのまま自分の席に座り、次の授業の準備を始めた。

 次の授業は計算だ。

『筆算』を教わってから、皆の計算能力は格段に上がった。

 だけど、掛け算割り算に限っては苦手な者がいるようだ。

 ここは皆に『九九』を教えるべきか悩むところだな。

 計算の授業の先生がマーリン先生かヴィクター先生なら、『九九』を伝授して皆に教えて貰うんだけどな。

 ディクソン先生に伝えたら絶対また学院長に報告するだろうし、学院長は学院長で『国王陛下に報告』とか言い出しそうだからな。

 アーサーは『九九』を何とかマスターしたらしく、成績も上がってきた。

 昨日の小テストも「全問解けた」と喜んでいたからな。

 始業のチャイムが鳴ってディクソン先生が教室に入って来た。

「それでは授業を始めます。最初に昨日の小テストを返却しますね。今回はなんと満点が二人います。エルガーさんとコールリッジさんです。他の皆さんも満点を目指して頑張ってくださいね」

 なんと、僕とアーサーが満点だったようだ。

 ポキリ!

 何処かで何かが折れたような音がした。

 音がした方に目をやると、ジェイミーがペンを真っ二つに折っていた。

 ディクソン先生は生徒にテスト用紙を返却する事に集中しているようで、そちらには気付かなかったようだ。

「バークスさん」

 ジェイミーの名前が呼ばれたが、ジェイミーはすぐには反応しなかった。

「バークスさん?」

 もう一度、ディクソン先生に呼ばれてようやくジェイミーは立ち上がった。

 ノロノロとディクソン先生の所に歩み寄りテスト用紙を受け取った。

 その途端、ジェイミーの顔が酷く険しいものになった。

 …思ったよりテストの点が悪かったのだろうか?

 その顔のまま、ジェイミーは僕を睨みつけてきた。

 途端にゾクリと背筋が凍るような感覚に襲われた。

 ジェイミーの視線は更にアーサーにも向けられた。

 まさか。アーサーにも何かする気じゃないよね。

 僕の心に一抹の不安がよぎるのだった。


しおりを挟む
感想 144

あなたにおすすめの小説

あっ、追放されちゃった…。

satomi
恋愛
ガイダール侯爵家の長女であるパールは精霊の話を聞くことができる。がそのことは誰にも話してはいない。亡き母との約束。 母が亡くなって喪も明けないうちに義母を父は連れてきた。義妹付きで。義妹はパールのものをなんでも欲しがった。事前に精霊の話を聞いていたパールは対処なりをできていたけれど、これは…。 ついにウラルはパールの婚約者である王太子を横取りした。 そのことについては王太子は特に魅力のある人ではないし、なんにも感じなかったのですが、王宮内でも噂になり、家の恥だと、家まで追い出されてしまったのです。 精霊さんのアドバイスによりブルハング帝国へと行ったパールですが…。

嫌われたと思って離れたのに

ラム猫
恋愛
 私は、婚約者のカイルに嫌われたと思った。冷たくそっけなく、近づくたびに避けられる日々。  距離を置くことを選び、留学の準備も進めて心を落ち着かせようとするけれど——。

骸骨と呼ばれ、生贄になった王妃のカタの付け方

ウサギテイマーTK
恋愛
骸骨娘と揶揄され、家で酷い扱いを受けていたマリーヌは、国王の正妃として嫁いだ。だが結婚後、国王に愛されることなく、ここでも幽閉に近い扱いを受ける。側妃はマリーヌの義姉で、公式行事も側妃が請け負っている。マリーヌに与えられた最後の役割は、海の神への生贄だった。 注意:地震や津波の描写があります。ご注意を。やや残酷な描写もあります。

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

心が折れた日に神の声を聞く

木嶋うめ香
ファンタジー
ある日目を覚ましたアンカーは、自分が何度も何度も自分に生まれ変わり、父と義母と義妹に虐げられ冤罪で処刑された人生を送っていたと気が付く。 どうして何度も生まれ変わっているの、もう繰り返したくない、生まれ変わりたくなんてない。 何度生まれ変わりを繰り返しても、苦しい人生を送った末に処刑される。 絶望のあまり、アンカーは自ら命を断とうとした瞬間、神の声を聞く。 没ネタ供養、第二弾の短編です。

三年の想いは小瓶の中に

月山 歩
恋愛
結婚三周年の記念日だと、邸の者達がお膳立てしてくれた二人だけのお祝いなのに、その中心で一人夫が帰らない現実を受け入れる。もう彼を諦める潮時かもしれない。だったらこれからは自分の人生を大切にしよう。アレシアは離縁も覚悟し、邸を出る。 ※こちらの作品は契約上、内容の変更は不可であることを、ご理解ください。

田舎娘をバカにした令嬢の末路

冬吹せいら
恋愛
オーロラ・レンジ―は、小国の産まれでありながらも、名門バッテンデン学園に、首席で合格した。 それを不快に思った、令嬢のディアナ・カルホーンは、オーロラが試験官を買収したと嘘をつく。 ――あんな田舎娘に、私が負けるわけないじゃない。 田舎娘をバカにした令嬢の末路は……。

完結 王族の醜聞がメシウマ過ぎる件

音爽(ネソウ)
恋愛
王太子は言う。 『お前みたいなつまらない女など要らない、だが優秀さはかってやろう。第二妃として存分に働けよ』 『ごめんなさぁい、貴女は私の代わりに公儀をやってねぇ。だってそれしか取り柄がないんだしぃ』 公務のほとんどを丸投げにする宣言をして、正妃になるはずのアンドレイナ・サンドリーニを蹴落とし正妃の座に就いたベネッタ・ルニッチは高笑いした。王太子は彼女を第二妃として迎えると宣言したのである。 もちろん、そんな事は罷りならないと王は反対したのだが、その言葉を退けて彼女は同意をしてしまう。 屈辱的なことを敢えて受け入れたアンドレイナの真意とは…… *表紙絵自作

処理中です...