104 / 271
学院編
104 将来の夢
僕の不安をよそに授業は進められていく。
時折チラッとジェイミーの様子を確認するけれど、何事もなかったかのような顔で授業を受けている。
流石に授業中にジェイミーが何かしらの行動を起こすとは考えにくかった。
やがて授業が終わり。ディクソン先生はそのままホームルームを行った。
ホームルームが終わりディクソン先生が教室を出ると、皆バタバタと帰り支度を始めた。
僕も帰り支度をしながらジェイミーを盗み見ていたが、ジェイミーはさっさと鞄を持って教室を出て行った。
何事も起こらなかった事にホッとしつつも何処か不安な気持ちを払拭出来ない事がもどかしい。
「エド、帰ろうか」
先に帰り支度を終えたらしくアーサーが鞄を持って僕に近寄って来た。
「ああ、帰ろう」
手早く荷物をまとめると僕はアーサーと一緒に馬車乗り場へと向かった。
「それにしても、アーサーも満点を取るなんて凄いじゃないか」
先ほどの小テストの事に触れるとアーサーは照れたような笑いを浮かべる。
「エドが『九九』を教えてくれたおかげだよ。最初に聞いた時は謎の呪文のように聞こえたけど、『九九表』と照らし合わせながら覚えるとわかりやすかったよ。だけど僕達だけで独占しちゃうのも何だか悪い気がしてくるな」
アーサーがこっそりと告げるけれど、それには僕も同感だ。
「皆にも教えてあげたいけれど、『九九』の事で変に注目されたくないからね。何か良い方法はないかな?」
「流石に『九九』を広めておいて注目されないって事はあり得ないな。『天才が現れた』って一気に有名人になれるぞ。そうなったらエドワード王子の側近入り間違い無しだな」
アーサーの言葉に僕はプルプルと首を振る。
「たかが男爵家の養子が王子の側近なんてとんでもないよ。それに僕は冒険者になって色んな所を旅してみたいんだ」
「そうだったね。…冒険者になったら僕とパーティーを組んで欲しいな」
ポツリとアーサーに言われて僕は目をパチクリさせた。
確かにアーサーも冒険者になりたいとは言っていたが、てっきりソロでやるのだと思っていたからだ。
まだまだ先の話ではあるけれど、アーサーとパーティーを組めたら楽しい旅が出来そうだ。
「いいね、それ。僕からもお願いしたいな。アーサー、冒険者になったら僕とパーティーを組んでくれるかな?」
ちょっと首を傾げながらアーサーに尋ねると、アーサーはこれ以上ないくらいの笑顔を見せた。
「勿論だよ。…あー、早く冒険者になりたいな」
アーサーがワクワクした顔で待ち遠しそうに言うけれど、僕達が正式な冒険者になれるのは十五歳からだ。
昔は十歳からでも冒険者になれたらしいが、やはり魔物相手に十歳では若すぎると問題になったらしい。
だが、十五歳からとなると、困るのは学校に通わない平民の子供達だ。
何しろ仕事先が一つ減ることになるのだから死活問題である。
そこで冒険者ギルドでは学校に通わない子供に限っては十三歳からでも冒険者になれるようにした。
但し、三人以上の大人のパーティーに所属する事を条件とした。
また、子供を加入させたパーティーは必ず生きて子供を帰還させる事が条件となる。
大人の冒険者にとっても子供は雑用係として雇えるので、この制度は歓迎されたようだ。
そう考えると男爵家の養子にならなければ、三年後には冒険者になれていたんだな。
でも。こうしてアーサーと出会えたんだから、養子になれて良かったのだろう。
そう前向きに捉える事にした。
だが。そんな事よりも今はジェイミーの事が先決だ。
今日の僕の二度の痛みがジェイミーによるものだとしたら、一体どんな方法を使ったんだろうか?
そして、あのジェイミーの顔つきからしてアーサーもその対象になったんじゃないだろうか?
僕はそんな懸念を抱きながら帰路についた。
時折チラッとジェイミーの様子を確認するけれど、何事もなかったかのような顔で授業を受けている。
流石に授業中にジェイミーが何かしらの行動を起こすとは考えにくかった。
やがて授業が終わり。ディクソン先生はそのままホームルームを行った。
ホームルームが終わりディクソン先生が教室を出ると、皆バタバタと帰り支度を始めた。
僕も帰り支度をしながらジェイミーを盗み見ていたが、ジェイミーはさっさと鞄を持って教室を出て行った。
何事も起こらなかった事にホッとしつつも何処か不安な気持ちを払拭出来ない事がもどかしい。
「エド、帰ろうか」
先に帰り支度を終えたらしくアーサーが鞄を持って僕に近寄って来た。
「ああ、帰ろう」
手早く荷物をまとめると僕はアーサーと一緒に馬車乗り場へと向かった。
「それにしても、アーサーも満点を取るなんて凄いじゃないか」
先ほどの小テストの事に触れるとアーサーは照れたような笑いを浮かべる。
「エドが『九九』を教えてくれたおかげだよ。最初に聞いた時は謎の呪文のように聞こえたけど、『九九表』と照らし合わせながら覚えるとわかりやすかったよ。だけど僕達だけで独占しちゃうのも何だか悪い気がしてくるな」
アーサーがこっそりと告げるけれど、それには僕も同感だ。
「皆にも教えてあげたいけれど、『九九』の事で変に注目されたくないからね。何か良い方法はないかな?」
「流石に『九九』を広めておいて注目されないって事はあり得ないな。『天才が現れた』って一気に有名人になれるぞ。そうなったらエドワード王子の側近入り間違い無しだな」
アーサーの言葉に僕はプルプルと首を振る。
「たかが男爵家の養子が王子の側近なんてとんでもないよ。それに僕は冒険者になって色んな所を旅してみたいんだ」
「そうだったね。…冒険者になったら僕とパーティーを組んで欲しいな」
ポツリとアーサーに言われて僕は目をパチクリさせた。
確かにアーサーも冒険者になりたいとは言っていたが、てっきりソロでやるのだと思っていたからだ。
まだまだ先の話ではあるけれど、アーサーとパーティーを組めたら楽しい旅が出来そうだ。
「いいね、それ。僕からもお願いしたいな。アーサー、冒険者になったら僕とパーティーを組んでくれるかな?」
ちょっと首を傾げながらアーサーに尋ねると、アーサーはこれ以上ないくらいの笑顔を見せた。
「勿論だよ。…あー、早く冒険者になりたいな」
アーサーがワクワクした顔で待ち遠しそうに言うけれど、僕達が正式な冒険者になれるのは十五歳からだ。
昔は十歳からでも冒険者になれたらしいが、やはり魔物相手に十歳では若すぎると問題になったらしい。
だが、十五歳からとなると、困るのは学校に通わない平民の子供達だ。
何しろ仕事先が一つ減ることになるのだから死活問題である。
そこで冒険者ギルドでは学校に通わない子供に限っては十三歳からでも冒険者になれるようにした。
但し、三人以上の大人のパーティーに所属する事を条件とした。
また、子供を加入させたパーティーは必ず生きて子供を帰還させる事が条件となる。
大人の冒険者にとっても子供は雑用係として雇えるので、この制度は歓迎されたようだ。
そう考えると男爵家の養子にならなければ、三年後には冒険者になれていたんだな。
でも。こうしてアーサーと出会えたんだから、養子になれて良かったのだろう。
そう前向きに捉える事にした。
だが。そんな事よりも今はジェイミーの事が先決だ。
今日の僕の二度の痛みがジェイミーによるものだとしたら、一体どんな方法を使ったんだろうか?
そして、あのジェイミーの顔つきからしてアーサーもその対象になったんじゃないだろうか?
僕はそんな懸念を抱きながら帰路についた。
あなたにおすすめの小説
あっ、追放されちゃった…。
satomi
恋愛
ガイダール侯爵家の長女であるパールは精霊の話を聞くことができる。がそのことは誰にも話してはいない。亡き母との約束。
母が亡くなって喪も明けないうちに義母を父は連れてきた。義妹付きで。義妹はパールのものをなんでも欲しがった。事前に精霊の話を聞いていたパールは対処なりをできていたけれど、これは…。
ついにウラルはパールの婚約者である王太子を横取りした。
そのことについては王太子は特に魅力のある人ではないし、なんにも感じなかったのですが、王宮内でも噂になり、家の恥だと、家まで追い出されてしまったのです。
精霊さんのアドバイスによりブルハング帝国へと行ったパールですが…。
姉に代わって立派に息子を育てます! 前日譚
mio
恋愛
ウェルカ・ティー・バーセリクは侯爵家の二女であるが、母亡き後に侯爵家に嫁いできた義母、転がり込んできた義妹に姉と共に邪魔者扱いされていた。
王家へと嫁ぐ姉について王都に移住したウェルカは侯爵家から離れて、実母の実家へと身を寄せることになった。姉が嫁ぐ中、学園に通いながらウェルカは自分の才能を伸ばしていく。
数年後、多少の問題を抱えつつ姉は懐妊。しかし、出産と同時にその命は尽きてしまう。そして残された息子をウェルカは姉に代わって育てる決意をした。そのためにはなんとしても王宮での地位を確立しなければ!
自分でも考えていたよりだいぶ話数が伸びてしまったため、こちらを姉が子を産むまでの前日譚として本編は別に作っていきたいと思います。申し訳ございません。
転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです
NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた
聖女様と間違って召喚された腐女子ですが、申し訳ないので仕事します!
碧桜
恋愛
私は花園美月。20歳。派遣期間が終わり無職となった日、馴染の古書店で顔面偏差値高スペックなイケメンに出会う。さらに、そこで美少女が穴に吸い込まれそうになっていたのを助けようとして、私は古書店のイケメンと共に穴に落ちてしまい、異世界へ―。実は、聖女様として召喚されようとしてた美少女の代わりに、地味でオタクな私が間違って来てしまった!
落ちたその先の世界で出会ったのは、私の推しキャラと見た目だけそっくりな王(仮)や美貌の側近、そして古書店から一緒に穴に落ちたイケメンの彼は、騎士様だった。3人ともすごい美形なのに、みな癖強すぎ難ありなイケメンばかり。
オタクで人見知りしてしまう私だけど、元の世界へ戻れるまで2週間、タダでお世話になるのは申し訳ないから、お城でメイドさんをすることにした。平和にお給料分の仕事をして、異世界観光して、2週間後自分の家へ帰るつもりだったのに、ドラゴンや悪い魔法使いとか出てきて、異能を使うイケメンの彼らとともに戦うはめに。聖女様の召喚の邪魔をしてしまったので、美少女ではありませんが、地味で腐女子ですが出来る限り、精一杯頑張ります。
ついでに無愛想で苦手と思っていた彼は、なかなかいい奴だったみたい。これは、恋など始まってしまう予感でしょうか!?
*カクヨムにて先に連載しているものを加筆・修正をおこなって掲載しております
「ちょっと待った」コールをしたのはヒロインでした
みおな
恋愛
「オフェーリア!貴様との婚約を破棄する!!」
学年の年度末のパーティーで突然告げられた婚約破棄。
「ちょっと待ってください!」
婚約者に諸々言おうとしていたら、それに待ったコールをしたのは、ヒロインでした。
あらあら。婚約者様。周囲をご覧になってくださいませ。
あなたの味方は1人もいませんわよ?
ですが、その婚約破棄。喜んでお受けしますわ。
即席異世界転移して薬草師になった
黒密
ファンタジー
ある日、学校から帰ってきて机を見たら即席異世界転移と書かれたカップ麺みたいな容器が置いてある事に気がついた普通の高校生、華崎 秦(かざき しん)
秦は興味本位でその容器にお湯と中に入っていた粉を入れて三分待ち、封を開けたら異世界に転移した。
そして気がつくと異世界の大半を管理している存在、ユーリ・ストラスに秦は元の世界に帰れない事を知った。
色々考えた結果、秦は異世界で生きることを決めてユーリから六枚のカードからスキルを選んだ。
秦はその選んだスキル、薬草師で異世界を生きる事になる。
断罪される令嬢は、悪魔の顔を持った天使だった
Blue
恋愛
王立学園で行われる学園舞踏会。そこで意気揚々と舞台に上がり、この国の王子が声を張り上げた。
「私はここで宣言する!アリアンナ・ヴォルテーラ公爵令嬢との婚約を、この場を持って破棄する!!」
シンと静まる会場。しかし次の瞬間、予期せぬ反応が返ってきた。
アリアンナの周辺の目線で話しは進みます。