御家騒動なんて真っ平ごめんです〜捨てられた双子の片割れは平凡な人生を歩みたい〜

伽羅

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学院編

154 食堂

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 自分の席に戻ると隣に座るアーサーが怪訝そうな顔で僕を見てくる。

「どうした? そんな焦ったような顔をして…。何かあった?」

「いや、別に…。ただ、こんなふうに壇上に呼ばれるとは思っていなかったからさ…」 

 僕が言葉を濁すとアーサーはクスッと笑い声を漏らした。

「何言ってるんだよ。あんな魔獣を倒したんだから評価されるのは当然だろう」

 アーサーはそう言うけれど、あまり目立ちたくない僕としては、少々不満が残る。

 学院長にしたって高位貴族にはヘコヘコして、下位貴族は少し見下したような態度をとるくせに、功績をあげたような人物には寄り添うような態度を見せる。

 そんなふうに権力者や功績者に媚びへつらいながら生きてきたんだろうな。

 そんな事を考えているうちに全校集会は終わりを告げた。

 ゾロゾロと学生達は講堂を出て、自分達の教室に戻って行く。

 先ほど「似ている」と声を上げた生徒は高位貴族の生徒だったので、僕達とは退出口が違う。

 その事に安堵しつつ、下位貴族の生徒達に混じって教室に戻った。

 教室に戻るとそのまま本日の授業が始まり、あっという間に昼食の時間を迎えた。

 アーサーと一緒に食堂に行くと、他の生徒達が修復された食堂を見て驚きの声を上げていた。

「うわぁー! すごい! 建て替えたみたいに綺麗になっているわ!」

「本当に魔獣に壊されたのか? とてもそんなふうには見えないぞ?」

「ここを修復したのはマーリン先生なんだって!? ただの年老いた魔術師かと思っていたけれど、案外とすごいんだな」

 …そりゃ、マーリン先生の実態はエルフだからね。

 僕は心の中でこっそりと呟いてみせる。

「マーリン先生が修復した時に居合わせたけど、こうして改めて見るとやっぱりすごいよね」 

 アーサーもぐるりと食堂の床や天井を見回して感心している。

 テーブルについて食べ始めようとしたところで、こちらに近づいてくる足音に気づいた。

 誰が来たかなんて見なくてもわかる。

「やあ、今日もお邪魔するよ」

 案の定、エドワード王子の声が高らかに響いた。

「…どうぞ」

 不機嫌さを隠さずに返事をすると、僕の隣に座ったエドワード王子が、ヒョイと僕の顔を覗き込んできた。

「そんなに冷たい態度を取らないでくれよ。あと半年もしたら公務に出るようになるから、こんなふうに一緒に食事も出来なくなるんだし…」

 自分と同じ顔が目の前に現れるなんて、どんな拷問だろうか?
 
 しかも、捨てられそうな子犬のように悲しそうな目を僕に向けてくるなんて…。

「わかったから! ちゃんと前を向いて座ってくれないか? エドワード」

 名前を呼んでやるとエドワード王子は嬉しそうにパアッと顔を輝かせた。

「コホン!」 

 わざとらしい咳払いに顔を上げると、いつの間にかブライアンとクリフトンが同じテーブルに座っていた。

 エドワード王子を呼び捨てにしたのが気に入らないらしく、ブライアンが頬を引きつらせているのが見えた。

 周りに人がいなければ恐らく僕を怒鳴りつけていたに違いない。

 エドワード王子本人が文句を言わないし、声を荒げてこちらに注目されても困るので黙っているのだろう。

 そんなブライアンの顔を見てクリフトンがニヤニヤと小馬鹿にしたように笑っている。

 そもそも、どうしてクリフトンまで一緒について来るんだろう?

 ブライアンのアルドリッジ公爵家とクリフトンのダウナー公爵家はあまり仲が良くないと聞いている。

 それにクリフトンはジェイコブに憑依されて僕に近づいてきた事があるからな。

 クリフトンに対しては多少の警戒心を持っていた方が良いんだろうか?

 周りの生徒達はエドワード王子達がこの食堂にいる事に違和感を覚えているようで、チラチラとこちらに視線を寄こしてくるが、決して近寄ろうとはしない。

 後で僕かアーサーに話を聞きに来るつもりなんだろうな。

 昨日は魔獣が現れたためにそれどころじゃなかったからね。

 僕はげんなりしながら食事をするのだった。


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