御家騒動なんて真っ平ごめんです〜捨てられた双子の片割れは平凡な人生を歩みたい〜

伽羅

文字の大きさ
155 / 242
学院編

155 異変

しおりを挟む
 月日が流れるのは早いもので、僕は十二歳になり三年生へと上がった。

 以前から言っていたとおり、エドワード王子は時々公務に出るようになり、学院を欠席する事が増えた。

 エドワード王子の欠席に伴い、ブライアンとクリフトンも食堂に顔を出す事はなくなった。

 と言いたいが、ブライアンはともかく、クリフトンはエドワード王子がいなくても僕とアーサーの前に姿を現した。

 今日もまた、僕とアーサーが座っているテーブルにクリフトンが躊躇いもなく座ってくる。

「どうしてエドワード王子がお休みなのにクリフトンはこちらにやって来るんですか?」

 カトラリーを手にしようとしたクリフトンに質問をぶつけると、クリフトンはニコリと笑い返してくる。

「別に私はエドワード王子と行動を共にしているわけではありませんからね。私は私の意思でこちらに来ているんです」

 そんな爽やかな笑顔を向けられてもどう返してよいのか返答に困る。

 何が目的で僕に近づいてくるんだろう?

 まだエドワード王子と行動を共にしてくるブライアンの方がよっぽどマシだ。

 かと言って本人の意思でここに来ているのなら僕にそれを止める権利はない。

「そうですか。それならば僕には何もいう事はありません」

 クリフトンが勝手にここに来ているのなら、僕だってクリフトンの相手をしなくてはならないという義務はない。

 ただ単に同じテーブルについて食事をしているだけに過ぎないのだ。

 実際にクリフトンにしたって一緒に昼食をとるだけでそれ以上は僕に踏み込んできたりはしない。

 だが、それを言うならエドワード王子も一緒だな。

 この食堂に来て昼食を食べるけれど、特に僕に話しかけてくるような事はない。

 もっとも周りに他の生徒達がいるので、他人に聞かれて困るような話は出来ないと言った方がいいだろう。

 そんな日々が続く中、バッタリとエドワード王子が姿を見せなくなった。

 公務に出るにしても大概一日だけしか休まないのにもう三日も姿を現さなかった。

 来たら来たで煩わしく感じるが、急に姿が見えなくなると逆に不安を感じてしまうとは不思議なものだ。

 クリフトンもエドワード王子からは何も聞いていないようで「いったいどうしたんでしょうね」なんてこぼしていた。

 同じクラスのクリフトンが知らないのに僕にわかるわけがない。

 エドワード王子が姿を見せなくなって三日目の放課後、スクール馬車に乗ろうとした僕の前にブライアンが現れた。

「エドアルド様。申し訳ありませんが、これから私と一緒に来てください」

 周りに聞こえない声で僕に告げてきたが、その声には有無を言わさない響きがあった。

「…わかりました。アーサー、悪いけど僕の家に…」

「エドアルド様の家には既に連絡を入れてあります。アーサーはそのまま帰られて構いません!」

 アーサーに僕の家へ伝言を頼もうとしたが、ブライアンがピシャリと遮った。

 既に僕の家に連絡が行っているなんて、いったいどういう事なんだろうか?

 わけがわからないまま、僕はブライアンと一緒に歩きだした。

 着いた先に家紋の入っていない目立たない馬車が待っていた。

 御者が開けてくれた扉から中に入ると、そこにはブライアンの父親である宰相の姿があった。

「エドアルド様、直接お迎え出来ずに申し訳ありません。流石に他の生徒達に私の姿を見られるわけにはいきませんのでブライアンを使いに出しました」

 馬車に乗り込んだ僕に宰相が頭を下げてくる。

 確かにこんな場所に宰相が来たとわかったら騒ぎになりそうだ。

 それにしても、宰相が僕にいったい何の用事があるんだろう?

 不安に思いながらも僕は宰相とブライアンに向かい合う形で腰を下ろした。

 
しおりを挟む
感想 144

あなたにおすすめの小説

あっ、追放されちゃった…。

satomi
恋愛
ガイダール侯爵家の長女であるパールは精霊の話を聞くことができる。がそのことは誰にも話してはいない。亡き母との約束。 母が亡くなって喪も明けないうちに義母を父は連れてきた。義妹付きで。義妹はパールのものをなんでも欲しがった。事前に精霊の話を聞いていたパールは対処なりをできていたけれど、これは…。 ついにウラルはパールの婚約者である王太子を横取りした。 そのことについては王太子は特に魅力のある人ではないし、なんにも感じなかったのですが、王宮内でも噂になり、家の恥だと、家まで追い出されてしまったのです。 精霊さんのアドバイスによりブルハング帝国へと行ったパールですが…。

骸骨と呼ばれ、生贄になった王妃のカタの付け方

ウサギテイマーTK
恋愛
骸骨娘と揶揄され、家で酷い扱いを受けていたマリーヌは、国王の正妃として嫁いだ。だが結婚後、国王に愛されることなく、ここでも幽閉に近い扱いを受ける。側妃はマリーヌの義姉で、公式行事も側妃が請け負っている。マリーヌに与えられた最後の役割は、海の神への生贄だった。 注意:地震や津波の描写があります。ご注意を。やや残酷な描写もあります。

嫌われたと思って離れたのに

ラム猫
恋愛
 私は、婚約者のカイルに嫌われたと思った。冷たくそっけなく、近づくたびに避けられる日々。  距離を置くことを選び、留学の準備も進めて心を落ち着かせようとするけれど——。

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

完結 王族の醜聞がメシウマ過ぎる件

音爽(ネソウ)
恋愛
王太子は言う。 『お前みたいなつまらない女など要らない、だが優秀さはかってやろう。第二妃として存分に働けよ』 『ごめんなさぁい、貴女は私の代わりに公儀をやってねぇ。だってそれしか取り柄がないんだしぃ』 公務のほとんどを丸投げにする宣言をして、正妃になるはずのアンドレイナ・サンドリーニを蹴落とし正妃の座に就いたベネッタ・ルニッチは高笑いした。王太子は彼女を第二妃として迎えると宣言したのである。 もちろん、そんな事は罷りならないと王は反対したのだが、その言葉を退けて彼女は同意をしてしまう。 屈辱的なことを敢えて受け入れたアンドレイナの真意とは…… *表紙絵自作

田舎娘をバカにした令嬢の末路

冬吹せいら
恋愛
オーロラ・レンジ―は、小国の産まれでありながらも、名門バッテンデン学園に、首席で合格した。 それを不快に思った、令嬢のディアナ・カルホーンは、オーロラが試験官を買収したと嘘をつく。 ――あんな田舎娘に、私が負けるわけないじゃない。 田舎娘をバカにした令嬢の末路は……。

心が折れた日に神の声を聞く

木嶋うめ香
ファンタジー
ある日目を覚ましたアンカーは、自分が何度も何度も自分に生まれ変わり、父と義母と義妹に虐げられ冤罪で処刑された人生を送っていたと気が付く。 どうして何度も生まれ変わっているの、もう繰り返したくない、生まれ変わりたくなんてない。 何度生まれ変わりを繰り返しても、苦しい人生を送った末に処刑される。 絶望のあまり、アンカーは自ら命を断とうとした瞬間、神の声を聞く。 没ネタ供養、第二弾の短編です。

結婚結婚煩いので、愛人持ちの幼馴染と偽装結婚してみた

夏菜しの
恋愛
 幼馴染のルーカスの態度は、年頃になっても相変わらず気安い。  彼のその変わらぬ態度のお陰で、周りから男女の仲だと勘違いされて、公爵令嬢エーデルトラウトの相手はなかなか決まらない。  そんな現状をヤキモキしているというのに、ルーカスの方は素知らぬ顔。  彼は思いのままに平民の娘と恋人関係を持っていた。  いっそそのまま結婚してくれれば、噂は間違いだったと知れるのに、あちらもやっぱり公爵家で、平民との結婚など許さんと反対されていた。  のらりくらりと躱すがもう限界。  いよいよ親が煩くなってきたころ、ルーカスがやってきて『偽装結婚しないか?』と提案された。  彼の愛人を黙認する代わりに、贅沢と自由が得られる。  これで煩く言われないとすると、悪くない提案じゃない?  エーデルトラウトは軽い気持ちでその提案に乗った。

処理中です...