156 / 242
学院編
156 到着
しおりを挟む
僕は向かい側に座るブライアンの姿を見て(あれっ?)と思った。
学院に来ていたのなら制服を着ているはずなのに、彼が着ているのはどう見ても私服のようだ。
もしかしてブライアンも今日は学院を休んでいたのだろうか?
クラスが違うので確かな事は言えないが、ブライアンの姿を見る限りそうなのだろう。
それにしても二人は僕をどこに連れて行く気なんだろう。
宰相とブライアンの親子が揃っているという事はアルドリッジ公爵家に向かうのだろうか?
外の景色を見ようとしたが、窓にはカーテンが下ろされていて何も見えない。
中から外の景色が見えないという事は、外からもこの馬車の中に誰が乗っているかわからないという事だ。
そんな隠密行動を取らなくてはいけないなんて余程の事が起こったに違いない。
やがて馬車が止まると重い扉が開くような音が聞こえた。
どうやらどこかの門が開いた音のようだが、その音が止むと再び馬車が走り出した。
門を入ったはずなのになかなか止まらないのはそれだけ玄関までの距離があるという事だろう。
しばらく走っていた馬車の速度を落とすと、ようやく馬車が止まった。
御者が降りて扉に近づいてくる足音が聞こえる。
外から扉が開けられると真っ先にブライアンが降りて次に宰相が続いた。
宰相が振り返り僕に手を差し出してきた。
「エドアルド様、どうぞお降りください」
差し出された手を無視するわけにもいかず、僕はその手につかまって馬車から降りた。
「…ここは…?」
僕は降りた先の閑散とした玄関に違和感を感じた。
普通の貴族の屋敷なら出迎えの執事か使用人かがいるはずだ。
なのにここには玄関先に立つ護衛騎士すらいなかった。
「今日は特別に人払いをしています。それよりも中に入る前にその眼鏡を外してもらえますか?」
宰相に言われて僕は渋々と眼鏡を外してポケットに仕舞った。
宰相は眼鏡を外した僕の顔をじっと見ると満足そうにうなずいた。
「さあ、どうぞこちらへ…」
宰相が自ら扉を開けて屋敷の中へと入って行った。
その後を僕とブライアンが続いて行くのだけれど、屋敷の中はかなり豪華な造りになっていた。
いったいここは何処なんだろう?
キラキラと輝く装飾品や美術品に目を奪われ、思わずキョロキョロとしてしまう。
宰相は歩き慣れた場所なのか迷いもなく進んで行く。
やがて一つの扉の前で立ち止まった。
宰相が扉をノックすると、中から「どうぞ」という女性の声が聞こえた。
今の声は誰だ?
何処かで聞いたような声に誰の声かを必死に思い出そうとするが、まるで見当もつかない。
考えている間にも宰相は扉を開いて僕に中に入るように促した。
僕は部屋の中に入ろうとして、その場にいる人物に驚きのあまり固まってしまった。
「エドアルド様、早くお入りください」
宰相に部屋の中に押し込まれるように足を踏み入れた。
僕に続いて宰相とブライアンも部屋の中に入ると、そこにいる人達に深々と頭を下げた。
「お待たせいたしました。エドアルド様を連れてまいりました」
部屋の中央に据えられたソファには国王陛下と王妃が並んで座っていた。
王妃の姿を見て先ほどの声の主が王妃であることにようやく思い至った。
どうやら僕を連れてくるように宰相に言いつけたのはこの二人のようだ。
それにしてもどうしてこの二人が僕を呼び出したんだろうか?
今更僕に王宮に戻って来いとか言うんじゃないよね?
僕は戦々恐々としながら二人を見つめるのだった。
学院に来ていたのなら制服を着ているはずなのに、彼が着ているのはどう見ても私服のようだ。
もしかしてブライアンも今日は学院を休んでいたのだろうか?
クラスが違うので確かな事は言えないが、ブライアンの姿を見る限りそうなのだろう。
それにしても二人は僕をどこに連れて行く気なんだろう。
宰相とブライアンの親子が揃っているという事はアルドリッジ公爵家に向かうのだろうか?
外の景色を見ようとしたが、窓にはカーテンが下ろされていて何も見えない。
中から外の景色が見えないという事は、外からもこの馬車の中に誰が乗っているかわからないという事だ。
そんな隠密行動を取らなくてはいけないなんて余程の事が起こったに違いない。
やがて馬車が止まると重い扉が開くような音が聞こえた。
どうやらどこかの門が開いた音のようだが、その音が止むと再び馬車が走り出した。
門を入ったはずなのになかなか止まらないのはそれだけ玄関までの距離があるという事だろう。
しばらく走っていた馬車の速度を落とすと、ようやく馬車が止まった。
御者が降りて扉に近づいてくる足音が聞こえる。
外から扉が開けられると真っ先にブライアンが降りて次に宰相が続いた。
宰相が振り返り僕に手を差し出してきた。
「エドアルド様、どうぞお降りください」
差し出された手を無視するわけにもいかず、僕はその手につかまって馬車から降りた。
「…ここは…?」
僕は降りた先の閑散とした玄関に違和感を感じた。
普通の貴族の屋敷なら出迎えの執事か使用人かがいるはずだ。
なのにここには玄関先に立つ護衛騎士すらいなかった。
「今日は特別に人払いをしています。それよりも中に入る前にその眼鏡を外してもらえますか?」
宰相に言われて僕は渋々と眼鏡を外してポケットに仕舞った。
宰相は眼鏡を外した僕の顔をじっと見ると満足そうにうなずいた。
「さあ、どうぞこちらへ…」
宰相が自ら扉を開けて屋敷の中へと入って行った。
その後を僕とブライアンが続いて行くのだけれど、屋敷の中はかなり豪華な造りになっていた。
いったいここは何処なんだろう?
キラキラと輝く装飾品や美術品に目を奪われ、思わずキョロキョロとしてしまう。
宰相は歩き慣れた場所なのか迷いもなく進んで行く。
やがて一つの扉の前で立ち止まった。
宰相が扉をノックすると、中から「どうぞ」という女性の声が聞こえた。
今の声は誰だ?
何処かで聞いたような声に誰の声かを必死に思い出そうとするが、まるで見当もつかない。
考えている間にも宰相は扉を開いて僕に中に入るように促した。
僕は部屋の中に入ろうとして、その場にいる人物に驚きのあまり固まってしまった。
「エドアルド様、早くお入りください」
宰相に部屋の中に押し込まれるように足を踏み入れた。
僕に続いて宰相とブライアンも部屋の中に入ると、そこにいる人達に深々と頭を下げた。
「お待たせいたしました。エドアルド様を連れてまいりました」
部屋の中央に据えられたソファには国王陛下と王妃が並んで座っていた。
王妃の姿を見て先ほどの声の主が王妃であることにようやく思い至った。
どうやら僕を連れてくるように宰相に言いつけたのはこの二人のようだ。
それにしてもどうしてこの二人が僕を呼び出したんだろうか?
今更僕に王宮に戻って来いとか言うんじゃないよね?
僕は戦々恐々としながら二人を見つめるのだった。
226
あなたにおすすめの小説
あっ、追放されちゃった…。
satomi
恋愛
ガイダール侯爵家の長女であるパールは精霊の話を聞くことができる。がそのことは誰にも話してはいない。亡き母との約束。
母が亡くなって喪も明けないうちに義母を父は連れてきた。義妹付きで。義妹はパールのものをなんでも欲しがった。事前に精霊の話を聞いていたパールは対処なりをできていたけれど、これは…。
ついにウラルはパールの婚約者である王太子を横取りした。
そのことについては王太子は特に魅力のある人ではないし、なんにも感じなかったのですが、王宮内でも噂になり、家の恥だと、家まで追い出されてしまったのです。
精霊さんのアドバイスによりブルハング帝国へと行ったパールですが…。
骸骨と呼ばれ、生贄になった王妃のカタの付け方
ウサギテイマーTK
恋愛
骸骨娘と揶揄され、家で酷い扱いを受けていたマリーヌは、国王の正妃として嫁いだ。だが結婚後、国王に愛されることなく、ここでも幽閉に近い扱いを受ける。側妃はマリーヌの義姉で、公式行事も側妃が請け負っている。マリーヌに与えられた最後の役割は、海の神への生贄だった。
注意:地震や津波の描写があります。ご注意を。やや残酷な描写もあります。
嫌われたと思って離れたのに
ラム猫
恋愛
私は、婚約者のカイルに嫌われたと思った。冷たくそっけなく、近づくたびに避けられる日々。
距離を置くことを選び、留学の準備も進めて心を落ち着かせようとするけれど——。
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
完結 王族の醜聞がメシウマ過ぎる件
音爽(ネソウ)
恋愛
王太子は言う。
『お前みたいなつまらない女など要らない、だが優秀さはかってやろう。第二妃として存分に働けよ』
『ごめんなさぁい、貴女は私の代わりに公儀をやってねぇ。だってそれしか取り柄がないんだしぃ』
公務のほとんどを丸投げにする宣言をして、正妃になるはずのアンドレイナ・サンドリーニを蹴落とし正妃の座に就いたベネッタ・ルニッチは高笑いした。王太子は彼女を第二妃として迎えると宣言したのである。
もちろん、そんな事は罷りならないと王は反対したのだが、その言葉を退けて彼女は同意をしてしまう。
屈辱的なことを敢えて受け入れたアンドレイナの真意とは……
*表紙絵自作
田舎娘をバカにした令嬢の末路
冬吹せいら
恋愛
オーロラ・レンジ―は、小国の産まれでありながらも、名門バッテンデン学園に、首席で合格した。
それを不快に思った、令嬢のディアナ・カルホーンは、オーロラが試験官を買収したと嘘をつく。
――あんな田舎娘に、私が負けるわけないじゃない。
田舎娘をバカにした令嬢の末路は……。
心が折れた日に神の声を聞く
木嶋うめ香
ファンタジー
ある日目を覚ましたアンカーは、自分が何度も何度も自分に生まれ変わり、父と義母と義妹に虐げられ冤罪で処刑された人生を送っていたと気が付く。
どうして何度も生まれ変わっているの、もう繰り返したくない、生まれ変わりたくなんてない。
何度生まれ変わりを繰り返しても、苦しい人生を送った末に処刑される。
絶望のあまり、アンカーは自ら命を断とうとした瞬間、神の声を聞く。
没ネタ供養、第二弾の短編です。
結婚結婚煩いので、愛人持ちの幼馴染と偽装結婚してみた
夏菜しの
恋愛
幼馴染のルーカスの態度は、年頃になっても相変わらず気安い。
彼のその変わらぬ態度のお陰で、周りから男女の仲だと勘違いされて、公爵令嬢エーデルトラウトの相手はなかなか決まらない。
そんな現状をヤキモキしているというのに、ルーカスの方は素知らぬ顔。
彼は思いのままに平民の娘と恋人関係を持っていた。
いっそそのまま結婚してくれれば、噂は間違いだったと知れるのに、あちらもやっぱり公爵家で、平民との結婚など許さんと反対されていた。
のらりくらりと躱すがもう限界。
いよいよ親が煩くなってきたころ、ルーカスがやってきて『偽装結婚しないか?』と提案された。
彼の愛人を黙認する代わりに、贅沢と自由が得られる。
これで煩く言われないとすると、悪くない提案じゃない?
エーデルトラウトは軽い気持ちでその提案に乗った。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる