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44 襲撃
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夕食の時間になっても戻って来ない父上に不安を覚えつつも、僕達四人で食卓を囲んだ。
誰一人として話をする事もなく食事を終えて、お祖父様はお祖母様と共に自室に下がった。
僕と母上は続き部屋にそれぞれの寝床を用意して貰った。
流石にもう母親と一緒の部屋に寝たりは出来ないからね。
僕が女の子だったら同じベッドに寝ても問題はないんだろうけど…。
扉一枚で隔てられた部屋だから何かあった時にはすぐに駆けつけられる。
部屋に入りベッドに体を投げ出すとシヴァもベッドに上がってきた。
「ジェレミー。王都までアルフレッドの様子を見に行こうか?」
シヴァがそう提案してきたが、すぐに懐からアーサーが這い出てきて反対した。
「駄目だ! シヴァがいなくなるのをマーリンが待っていたらどうする? 私とグィネヴィアだけでは守りきれないぞ!」
確かに今の状態でシヴァが居なくなれば僕とアーサーとグィネヴィアだけではマーリンに太刀打ち出来ないと思う。
だけど本当にマーリンは僕を狙っているのだろうか。
「ねぇ、父上が狙われている可能性はないのかな」
僕が聞くとアーサーはふるふると刀身を横に振った。
「それはないだろう。10年も私はアルフレッドの側にいなかったんだ。それをマーリンが知っていたかはわからないが、最近になって手を出してきたという事はやはりジェレミーを狙っているのに違いない」
アーサーの言葉に納得しつつもベッドのそりと上でゴロゴロしているとグィネヴィアに叱られた。
「ジェレミー、寝るのならちゃんと布団を掛けなさい。風邪を引きますよ」
聞き流すと更にお説教が始まりそうだったので慌てて布団に潜り込んだ。
眠りたくても妙に目が冴えて寝付けない。
朝方になってようやくうつらうつらしかけた時に「ドン!!」という大きな音で叩き起こされた。
「うわっ!」
「何事だ!」
慌てて飛び起きて部屋の外に飛び出した。
…寝間着に着替えてなくて正解だったな…
部屋の外に出ると使用人がバタバタと廊下を走って行く所に出くわした。
「何があったの?」
彼を捕まえて事情を聞くと彼も困惑したような表情で答えた。
「サロンの方で何かがあったようです。旦那様達にはお部屋を出ないようにと執事が伝えに行きました」
サロンというと昨日、僕と母上が居た所だろうか。
僕もその使用人と共にサロンへと向かうがシヴァとアーサー達も付いてきた。
サロンに続く扉を開けるとガラス窓の向こうに人影が見えた。
魔術師が着るようなローブを纏い、フードを目深に被っているが、体型からして男のようだ。
「誰だ!」
僕が声をかけても返事はなかった。
「ジェレミー、無事か?」
いつの間にかお祖父様が側に来て僕を庇うように立ち塞がった。
「お祖父様? お部屋に居たはずじゃ…」
僕がお祖父様を見やるとお祖父様は僕を見て頷いた。
「オリヴィアとジュリアを避難させてきた。お前一人にするわけにはいかないからな」
そしてガラス窓の向こうにいる男に目をやる。
「あいつは誰だ? この結界を張られた屋敷に攻撃を仕掛けてくるとはかなりの魔力の持ち主のはずだが…」
お祖父様が言い終わると同時にその男は右手を翳して魔力をガラス窓に向かって打ち出してきた。
ドン!!
再度、音と共に衝撃で屋敷が揺れ、ピキッとガラス窓にひびが入った。
「な! まさか!?」
間髪を入れずに男は再度魔力を打ち出してきて、ガシャンと派手な音をたててガラス窓が砕け散る。
結界が破られた!?
まさかの出来事に僕とお祖父様は呆然として立ち尽くしていた。
そこへアーサーが僕の前に飛び出して来て告げた。
「あいつからマーリンの魔力を感じる。…まさかあいつが魔石を持っているのか?」
アーサーの言葉に破れたガラス窓の向こうに佇む男を注視すると、何やら体全体が黒いもやに包まれているようだ。
シヴァも僕を庇うように前に出てくる。
「確かにマーリンの魔力のようだな。あいつはマーリンに操られているのか?」
僕達が警戒している中、その男は懐に左手を入れると何やら取り出した。
差し出された左手には妖しく紫色に輝く魔石が煌めいていた。
「マーリン様。あちらにアーサー様とジェレミー様がいらっしゃいますよ」
うっとりとしたような声音で魔石に向かって喋っている男にぞわりとした。
シヴァが男に向かってウインドカッターを打ち出すが、男に届く前にキラリと光った魔石に魔力が吸い込まれていく。
その光景はあまりにも衝撃的だった。
「シヴァ! 魔力攻撃は駄目だ! 余計な力をマーリンに与えてしまう!」
魔力攻撃が効かないとなると物理的な攻撃しか出来ないという事か。
アーサーはペーパーナイフの体を普通の剣の大きさに変えて僕の側に来る。
僕はアーサーの柄を両手で握りしめた。
「マーリン様。ご覧ください。ジェレミー様がアーサー様を手にしましたよ」
まるでこの時を待っていたかのような口ぶりだ。
僕は更に力を込めて柄を握りしめる。
「さあ、マーリン様。今こそこの体を貴方様に捧げましょう」
そう言うと男は紫色に輝く魔石を自分の口の中に入れた。
誰一人として話をする事もなく食事を終えて、お祖父様はお祖母様と共に自室に下がった。
僕と母上は続き部屋にそれぞれの寝床を用意して貰った。
流石にもう母親と一緒の部屋に寝たりは出来ないからね。
僕が女の子だったら同じベッドに寝ても問題はないんだろうけど…。
扉一枚で隔てられた部屋だから何かあった時にはすぐに駆けつけられる。
部屋に入りベッドに体を投げ出すとシヴァもベッドに上がってきた。
「ジェレミー。王都までアルフレッドの様子を見に行こうか?」
シヴァがそう提案してきたが、すぐに懐からアーサーが這い出てきて反対した。
「駄目だ! シヴァがいなくなるのをマーリンが待っていたらどうする? 私とグィネヴィアだけでは守りきれないぞ!」
確かに今の状態でシヴァが居なくなれば僕とアーサーとグィネヴィアだけではマーリンに太刀打ち出来ないと思う。
だけど本当にマーリンは僕を狙っているのだろうか。
「ねぇ、父上が狙われている可能性はないのかな」
僕が聞くとアーサーはふるふると刀身を横に振った。
「それはないだろう。10年も私はアルフレッドの側にいなかったんだ。それをマーリンが知っていたかはわからないが、最近になって手を出してきたという事はやはりジェレミーを狙っているのに違いない」
アーサーの言葉に納得しつつもベッドのそりと上でゴロゴロしているとグィネヴィアに叱られた。
「ジェレミー、寝るのならちゃんと布団を掛けなさい。風邪を引きますよ」
聞き流すと更にお説教が始まりそうだったので慌てて布団に潜り込んだ。
眠りたくても妙に目が冴えて寝付けない。
朝方になってようやくうつらうつらしかけた時に「ドン!!」という大きな音で叩き起こされた。
「うわっ!」
「何事だ!」
慌てて飛び起きて部屋の外に飛び出した。
…寝間着に着替えてなくて正解だったな…
部屋の外に出ると使用人がバタバタと廊下を走って行く所に出くわした。
「何があったの?」
彼を捕まえて事情を聞くと彼も困惑したような表情で答えた。
「サロンの方で何かがあったようです。旦那様達にはお部屋を出ないようにと執事が伝えに行きました」
サロンというと昨日、僕と母上が居た所だろうか。
僕もその使用人と共にサロンへと向かうがシヴァとアーサー達も付いてきた。
サロンに続く扉を開けるとガラス窓の向こうに人影が見えた。
魔術師が着るようなローブを纏い、フードを目深に被っているが、体型からして男のようだ。
「誰だ!」
僕が声をかけても返事はなかった。
「ジェレミー、無事か?」
いつの間にかお祖父様が側に来て僕を庇うように立ち塞がった。
「お祖父様? お部屋に居たはずじゃ…」
僕がお祖父様を見やるとお祖父様は僕を見て頷いた。
「オリヴィアとジュリアを避難させてきた。お前一人にするわけにはいかないからな」
そしてガラス窓の向こうにいる男に目をやる。
「あいつは誰だ? この結界を張られた屋敷に攻撃を仕掛けてくるとはかなりの魔力の持ち主のはずだが…」
お祖父様が言い終わると同時にその男は右手を翳して魔力をガラス窓に向かって打ち出してきた。
ドン!!
再度、音と共に衝撃で屋敷が揺れ、ピキッとガラス窓にひびが入った。
「な! まさか!?」
間髪を入れずに男は再度魔力を打ち出してきて、ガシャンと派手な音をたててガラス窓が砕け散る。
結界が破られた!?
まさかの出来事に僕とお祖父様は呆然として立ち尽くしていた。
そこへアーサーが僕の前に飛び出して来て告げた。
「あいつからマーリンの魔力を感じる。…まさかあいつが魔石を持っているのか?」
アーサーの言葉に破れたガラス窓の向こうに佇む男を注視すると、何やら体全体が黒いもやに包まれているようだ。
シヴァも僕を庇うように前に出てくる。
「確かにマーリンの魔力のようだな。あいつはマーリンに操られているのか?」
僕達が警戒している中、その男は懐に左手を入れると何やら取り出した。
差し出された左手には妖しく紫色に輝く魔石が煌めいていた。
「マーリン様。あちらにアーサー様とジェレミー様がいらっしゃいますよ」
うっとりとしたような声音で魔石に向かって喋っている男にぞわりとした。
シヴァが男に向かってウインドカッターを打ち出すが、男に届く前にキラリと光った魔石に魔力が吸い込まれていく。
その光景はあまりにも衝撃的だった。
「シヴァ! 魔力攻撃は駄目だ! 余計な力をマーリンに与えてしまう!」
魔力攻撃が効かないとなると物理的な攻撃しか出来ないという事か。
アーサーはペーパーナイフの体を普通の剣の大きさに変えて僕の側に来る。
僕はアーサーの柄を両手で握りしめた。
「マーリン様。ご覧ください。ジェレミー様がアーサー様を手にしましたよ」
まるでこの時を待っていたかのような口ぶりだ。
僕は更に力を込めて柄を握りしめる。
「さあ、マーリン様。今こそこの体を貴方様に捧げましょう」
そう言うと男は紫色に輝く魔石を自分の口の中に入れた。
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