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43 マーリンへの対策
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僕とお祖父様がアーサーとシヴァを伴って屋敷の中に戻ると玄関ホールにお祖母様と母上がグィネヴィアと待っていた。
「アーサー! 大丈夫なの?」
ペーパーナイフから浮かび上がったグィネヴィアに問われてアーサーも幻影を浮かび上がらせてグィネヴィアに寄り添う。
「私達は大丈夫だ。…ただ御者には申し訳ない事になったが…」
そう言ってグィネヴィアを抱き寄せるアーサーに僕達は少しばかり複雑な思いで見つめる。
いくら僕達以外には見えないと言ってもこんなところでいちゃつくなんて止めてほしい。
アーサー達を尻目にお祖父様はお祖母様の元に近付いて行く。
「食事中にすまなかったな。…どうする? まだ食事を続けるか?」
お祖父様が問うとお祖母様と母上は首を横に振った。
「流石にもう食事をする気にはなれませんわ。それよりも一体何が起こっているのですか?」
お祖母様達の疑問も当然だろう。
また同じ話をしなくてはいけないが、そこはアーサーとグィネヴィアに任せる事にしよう。
お祖父様はお茶の準備を命じて皆でサロンへと移動した。
お茶の準備が整い、それぞれの席の前にカップが置かれると使用人達がサロンを退室していった。
皆がそれぞれのカップに口を付けてお茶を飲んでほっと一息ついた。
暖かいお茶を飲んだ事で体のこわばりが少し緩んだように思う。
各々がカップをテーブルの上に戻すと、テーブルの中央に置かれたペーパーナイフに目をやった。
ゆらりとペーパーナイフから幻影が立ち上がりアーサーとグィネヴィアが姿を表す。
アーサーが今朝、父上にした話をするとお祖母様と母上は冷ややかな視線をアーサーに向けた。
…まぁ、誰が聞いても一番の原因はアーサーにあると思うよね。
特にお祖母様と母上は同じ女性として、グィネヴィアやマーリンに同情を寄せてしまうんだろう。
アーサーが話終わるとお祖母様は気持ちを落ち着かせるためか、もう一度お茶を一口飲んだ。
カチャリとお祖母様がカップをソーサーの上に戻す。
「…お話はわかりました。いくらご先祖様とはいえ、アーサーの行いは褒められたものではありませんね。最も今更そんな事を言ってもどうにもなりません。重要なのはこれからどうするかですわ」
お祖母様の言葉に母上も同意する。
「今、一番狙われているのはジェレミーなのでしょう? それともアルフレッド様にも危険があるのでしょうか?」
母上の質問にアーサーは首を横に振る。
「そこまではわからない。ジェレミーをおびき出す為にアルフレッドを利用しようとするかもしれないし、もしかしたらオリヴィアやジュリアを人質に取ろうとするかもしれない」
自分達が狙われる可能性もあると聞かされてお祖母様と母上は身を震わせた。
自分だけでなく僕の身も危険に晒される可能性があるという事に恐怖を感じたようだ。
「アレクシス様、どうにかなりませんの?」
お祖母様がお祖父様に詰め寄るが、お祖父様も答えに窮しているようだ。
魔女マーリンを封印した魔石が今、何処にあるのかもわからないし、誰が所有しているのかもわからない。
先程のように誰かが襲撃して来るのをただ防御するしか手立てがない。
しかし、万が一魔石が見つかった場合はとうしたらマーリンを倒せるのだろうか。
「アーサー。もしマーリンの魔石が見つかったらとうしたらいいの?」
そう尋ねた時、今まで黙って話を聞いていたシヴァがのそりとテーブルに近寄ってきた。
「万が一、マーリンを封印した魔石が見つかった場合は、その魔石を魔力が籠もった剣で粉砕すればいいんだ」
魔力が籠もった剣?
それってアーサーかグィネヴィアの事なんだろうか。
「それってアーサーの事? それともグィネヴィア?」
僕がシヴァに聞くとシヴァは首を横に振った。
「私も詳しくはわからない。魔力の籠もった剣が何を指すのか。ただそう伝え聞いているだけだ」
シヴァにもわからない事があるというのが衝撃だった。
だが、シヴァの答えを聞いてアーサーがずいと僕に近寄ってきた。
「なるほど。魔力の籠もった剣か。もしかしたらそれは私の事かもしれないな。よし、これからはグィネヴィアと共にジェレミーの側についている事にしよう」
そう言ってアーサーはグィネヴィアと一緒に僕の懐へと潜り込んだ。
お祖母様と母上の冷たい視線に耐えきれなくなって隠れる場所を探していただけのような気もするけどね。
屋敷には結界を張ってあるが、なるべく一人で行動しないようにとお祖父様が告げた。
お祖父様とお祖母様が一緒にいるのは当然として、父上がいない今、僕と母上が一緒に行動するようになる。
小さい子供ならまだしも、流石にこの年になって母上と二人きりになるというのもちょっと辛い。
アーサー達やシヴァがいるから、完全に二人きりというわけではないけどね。
それでも不安そうな母上を一人にはしておくわけにはいかないだろう。
僕と母上はそのままサロンで過ごす事にした。
とりあえず父上が戻って来るまでは母上と一緒にいよう。
そう決意したが、結局父上はその日屋敷に戻って来る事はなかった。
「アーサー! 大丈夫なの?」
ペーパーナイフから浮かび上がったグィネヴィアに問われてアーサーも幻影を浮かび上がらせてグィネヴィアに寄り添う。
「私達は大丈夫だ。…ただ御者には申し訳ない事になったが…」
そう言ってグィネヴィアを抱き寄せるアーサーに僕達は少しばかり複雑な思いで見つめる。
いくら僕達以外には見えないと言ってもこんなところでいちゃつくなんて止めてほしい。
アーサー達を尻目にお祖父様はお祖母様の元に近付いて行く。
「食事中にすまなかったな。…どうする? まだ食事を続けるか?」
お祖父様が問うとお祖母様と母上は首を横に振った。
「流石にもう食事をする気にはなれませんわ。それよりも一体何が起こっているのですか?」
お祖母様達の疑問も当然だろう。
また同じ話をしなくてはいけないが、そこはアーサーとグィネヴィアに任せる事にしよう。
お祖父様はお茶の準備を命じて皆でサロンへと移動した。
お茶の準備が整い、それぞれの席の前にカップが置かれると使用人達がサロンを退室していった。
皆がそれぞれのカップに口を付けてお茶を飲んでほっと一息ついた。
暖かいお茶を飲んだ事で体のこわばりが少し緩んだように思う。
各々がカップをテーブルの上に戻すと、テーブルの中央に置かれたペーパーナイフに目をやった。
ゆらりとペーパーナイフから幻影が立ち上がりアーサーとグィネヴィアが姿を表す。
アーサーが今朝、父上にした話をするとお祖母様と母上は冷ややかな視線をアーサーに向けた。
…まぁ、誰が聞いても一番の原因はアーサーにあると思うよね。
特にお祖母様と母上は同じ女性として、グィネヴィアやマーリンに同情を寄せてしまうんだろう。
アーサーが話終わるとお祖母様は気持ちを落ち着かせるためか、もう一度お茶を一口飲んだ。
カチャリとお祖母様がカップをソーサーの上に戻す。
「…お話はわかりました。いくらご先祖様とはいえ、アーサーの行いは褒められたものではありませんね。最も今更そんな事を言ってもどうにもなりません。重要なのはこれからどうするかですわ」
お祖母様の言葉に母上も同意する。
「今、一番狙われているのはジェレミーなのでしょう? それともアルフレッド様にも危険があるのでしょうか?」
母上の質問にアーサーは首を横に振る。
「そこまではわからない。ジェレミーをおびき出す為にアルフレッドを利用しようとするかもしれないし、もしかしたらオリヴィアやジュリアを人質に取ろうとするかもしれない」
自分達が狙われる可能性もあると聞かされてお祖母様と母上は身を震わせた。
自分だけでなく僕の身も危険に晒される可能性があるという事に恐怖を感じたようだ。
「アレクシス様、どうにかなりませんの?」
お祖母様がお祖父様に詰め寄るが、お祖父様も答えに窮しているようだ。
魔女マーリンを封印した魔石が今、何処にあるのかもわからないし、誰が所有しているのかもわからない。
先程のように誰かが襲撃して来るのをただ防御するしか手立てがない。
しかし、万が一魔石が見つかった場合はとうしたらマーリンを倒せるのだろうか。
「アーサー。もしマーリンの魔石が見つかったらとうしたらいいの?」
そう尋ねた時、今まで黙って話を聞いていたシヴァがのそりとテーブルに近寄ってきた。
「万が一、マーリンを封印した魔石が見つかった場合は、その魔石を魔力が籠もった剣で粉砕すればいいんだ」
魔力が籠もった剣?
それってアーサーかグィネヴィアの事なんだろうか。
「それってアーサーの事? それともグィネヴィア?」
僕がシヴァに聞くとシヴァは首を横に振った。
「私も詳しくはわからない。魔力の籠もった剣が何を指すのか。ただそう伝え聞いているだけだ」
シヴァにもわからない事があるというのが衝撃だった。
だが、シヴァの答えを聞いてアーサーがずいと僕に近寄ってきた。
「なるほど。魔力の籠もった剣か。もしかしたらそれは私の事かもしれないな。よし、これからはグィネヴィアと共にジェレミーの側についている事にしよう」
そう言ってアーサーはグィネヴィアと一緒に僕の懐へと潜り込んだ。
お祖母様と母上の冷たい視線に耐えきれなくなって隠れる場所を探していただけのような気もするけどね。
屋敷には結界を張ってあるが、なるべく一人で行動しないようにとお祖父様が告げた。
お祖父様とお祖母様が一緒にいるのは当然として、父上がいない今、僕と母上が一緒に行動するようになる。
小さい子供ならまだしも、流石にこの年になって母上と二人きりになるというのもちょっと辛い。
アーサー達やシヴァがいるから、完全に二人きりというわけではないけどね。
それでも不安そうな母上を一人にはしておくわけにはいかないだろう。
僕と母上はそのままサロンで過ごす事にした。
とりあえず父上が戻って来るまでは母上と一緒にいよう。
そう決意したが、結局父上はその日屋敷に戻って来る事はなかった。
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