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決戦にて 魔石の声とそれぞれの一撃
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大霊湖から飛び出してきたのは黒い岩みたいな奴で、僕は……もっと正確に言えば僕と鬼熊・破壊猪・ディグリの三体は、こいつに見覚えがある。
「どう見ても大神林の奥で戦った魔石だよね?」
「……ガ」
「……ブォ」
「思イ出スダケデ、ヘドガ出マス……」
三体は嫌悪感を隠さずに表に出していた。僕も魔石は嫌いだから気持ちはよくわかる。それにしても……だ。
「ギャバッ!! ギャババババ!!!!」
空中で笑い続けている魔石の笑い声を聞くのは気分が悪い。僕が笑う魔石を黙らそうとしたら、それより先に三体が動いた。
「ガアッ!!」
「ブオッ!!」
「黙レッ!!」
鬼熊は立ち上がって右前足を振り下ろし魔力刃を、破壊猪は大きく息を吸い巨大な鼻息弾を、ディグリは左腕を変形させ砲身にして魔力弾を、それぞれが魔石に向かって放ち同時に着弾した。
「ギャババ、ブベッ!!」
魔石は三体の攻撃を受けて墜落し、大霊湖の淀んだ水面に大きな水しぶきをあげる。その後すぐに魔石は水面から飛び出てきたけど、空中に戻った時には笑わずに三体をにらみつけていた。
僕は三体と魔石との激戦が開始されるって思ったし、事実三体と魔石の間で緊張感が高まってきてた。でも、戦いは始まらない。なぜなら……。
「ギ……?」
僕と三体の後ろから三体に負けない量の魔力が高まっていき魔石の意識がそっちに流れたからだ。誰の魔力なのかはわかった。僕が振り返ると、予想通りラカムタさんが大量の魔力を胸の辺りに溜めて仰け反っていた。
「ハアッ!!」
「ギャベッ!!」
ラカムタさんが竜人息を魔石にぶちかまし、直撃した魔石は再び撃沈する。
「ラカムタさん……?」
「ヤート、正直言うとな俺はお前が敵だって言う奴を想像ができなかった」
「そうなんだ」
「ああ、だが、あれはダメだ。絶対に許さん。欠けらも残すつもりはない」
「ギギ……、ギィ!!」
魔石が今度は空中に飛び出ずに、水面から上半分だけを出した状態で黒く淀んだ水を水弾にして僕達の方に擊ってくるけど、僕達のところに着弾する前に無数の水の帯によって叩き落される。
「不愉快ですね。大霊湖を汚すものは何人たりとも許しません」
「イーリリスの言う通りだ」
「見逃す理由がありませんな」
ハインネルフさん・イーリリスさん・タキタさんの身体からも魔力が放出されていき、ラカムタさんと同じくらいの量まで膨れ上がった。
「ギィィィ!!」
魔石の忌々しげな叫び声が聞こえて、魔石から放たれる淀んだ魔力も出力が上がり戦闘態勢になる。その証拠に魔石は淀んだ黒い水を纏って空中に浮かんでいく。大神林の奥で出会った魔石は、取り付いた樹の枝や根を伸ばしてきたから樹属性で、僕達とにらみ合ってる魔石は水属性って事かな?
「ギィギャアアアッ!!」
「うるせえッ!!」
「黙りなさい!!」
「貴様は目障りだ!!」
「消えよ!!」
「ガアッ!!」
「ブオッ!!」
「私ノ前ニ存在スルナ!!」
魔石の操る澱んだ水とラカムタさん達の魔力や水が、大霊湖の上で激突し爆発・放電・水の蒸発が起こる。……ラカムタさん達と魔獣達の攻撃で押し切れないのか。
この大霊湖の湖底に埋まってた魔石は、大神林の奥で戦った魔石よりも強いのかもしれないね。あと兄さんと姉さんの話もあるし用心しないとダメみたいだ。もちろんラカムタさん達や魔獣達も、僕と同じように警戒度を上げている。
「おい!! てめえっ!!」
僕達と魔石のお互いに対する苦々しさが高まった時に大声が響き渡った。この声は兄さんだね。僕だけでなくみんなの視線が兄さんに集まる。
「よくも俺とマイネの身体を好き勝手に動かしてくれやがったな!! この借りは必ず返すぞ!! こんちくしょうが!!」
「…………」
兄さんの身体から叫ぶ度に魔力が吹き出し、黙って魔石をにらんでる姉さんからも兄さんに合わせるように魔力が放たれ、その魔力は兄さんと姉さんの胸に魔力が溜まっていく。二人も竜人息を吐き魔石に当てた。ラカムタさんの太い光線状の竜人息に比べたら、まだまだ安定してないとはいえ間違いなく竜人息と言って良いものだね。
「……ギィ」
魔石は兄さんと姉さんの竜人息を纏っていた黒い澱んだ水で防御したけど、防御に使った水の三割くらいが蒸発させられた。そんな魔石のイラだった声を聞きつつ、僕は竜人息を吐いた後に口から焦げ臭い煙を出してる兄さんと姉さんのところへ走って近づき、腰の小袋から薬草団子を取り出して水生魔法の水に溶かし魔法を発動させる。
「緑盛魔法・強薬水液。兄さん、姉さん、これを飲んで」
「……プハッ、ヤート、悪い。助かった」
「……プハッ、私もよ。ありがとう。ちょっと魔力を溜めすぎだったわ」
「まだ戦いが本格的に始まったばかりだからね」
「おうよ。絶対にあの野郎を殴って砕くまでは動けなくなってたまるか」
「ギャバババババババババッ!!」
「……チッ、あれだけ俺達の攻撃を受けて笑いやがるか」
魔石が笑ってる。しかもその笑い声が大きくなるにつれて水面の淀みが進み黒い部分が拡がっていく。そしてその澱んだ水が一定の範囲まで拡がった後に、今度は澱んだ水がゴボンと一気に持ち上がり全てが魔石にまとわりついていく。ラカムタさん達は魔石に水を使わせないように竜人息・水弾・魔力弾なんかを撃ち込んだけど、間に合わず完全な形になった。僕達の前にできあがったのは、魔石が心臓になっている黒い澱んだ水で形成された巨人だ。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
◎後書き
最後まで読んでいただきありがとうございます。
注意はしていますが誤字・脱字がありましたら教えてもらえるとうれしいです。
感想や評価もお待ちしています。
「どう見ても大神林の奥で戦った魔石だよね?」
「……ガ」
「……ブォ」
「思イ出スダケデ、ヘドガ出マス……」
三体は嫌悪感を隠さずに表に出していた。僕も魔石は嫌いだから気持ちはよくわかる。それにしても……だ。
「ギャバッ!! ギャババババ!!!!」
空中で笑い続けている魔石の笑い声を聞くのは気分が悪い。僕が笑う魔石を黙らそうとしたら、それより先に三体が動いた。
「ガアッ!!」
「ブオッ!!」
「黙レッ!!」
鬼熊は立ち上がって右前足を振り下ろし魔力刃を、破壊猪は大きく息を吸い巨大な鼻息弾を、ディグリは左腕を変形させ砲身にして魔力弾を、それぞれが魔石に向かって放ち同時に着弾した。
「ギャババ、ブベッ!!」
魔石は三体の攻撃を受けて墜落し、大霊湖の淀んだ水面に大きな水しぶきをあげる。その後すぐに魔石は水面から飛び出てきたけど、空中に戻った時には笑わずに三体をにらみつけていた。
僕は三体と魔石との激戦が開始されるって思ったし、事実三体と魔石の間で緊張感が高まってきてた。でも、戦いは始まらない。なぜなら……。
「ギ……?」
僕と三体の後ろから三体に負けない量の魔力が高まっていき魔石の意識がそっちに流れたからだ。誰の魔力なのかはわかった。僕が振り返ると、予想通りラカムタさんが大量の魔力を胸の辺りに溜めて仰け反っていた。
「ハアッ!!」
「ギャベッ!!」
ラカムタさんが竜人息を魔石にぶちかまし、直撃した魔石は再び撃沈する。
「ラカムタさん……?」
「ヤート、正直言うとな俺はお前が敵だって言う奴を想像ができなかった」
「そうなんだ」
「ああ、だが、あれはダメだ。絶対に許さん。欠けらも残すつもりはない」
「ギギ……、ギィ!!」
魔石が今度は空中に飛び出ずに、水面から上半分だけを出した状態で黒く淀んだ水を水弾にして僕達の方に擊ってくるけど、僕達のところに着弾する前に無数の水の帯によって叩き落される。
「不愉快ですね。大霊湖を汚すものは何人たりとも許しません」
「イーリリスの言う通りだ」
「見逃す理由がありませんな」
ハインネルフさん・イーリリスさん・タキタさんの身体からも魔力が放出されていき、ラカムタさんと同じくらいの量まで膨れ上がった。
「ギィィィ!!」
魔石の忌々しげな叫び声が聞こえて、魔石から放たれる淀んだ魔力も出力が上がり戦闘態勢になる。その証拠に魔石は淀んだ黒い水を纏って空中に浮かんでいく。大神林の奥で出会った魔石は、取り付いた樹の枝や根を伸ばしてきたから樹属性で、僕達とにらみ合ってる魔石は水属性って事かな?
「ギィギャアアアッ!!」
「うるせえッ!!」
「黙りなさい!!」
「貴様は目障りだ!!」
「消えよ!!」
「ガアッ!!」
「ブオッ!!」
「私ノ前ニ存在スルナ!!」
魔石の操る澱んだ水とラカムタさん達の魔力や水が、大霊湖の上で激突し爆発・放電・水の蒸発が起こる。……ラカムタさん達と魔獣達の攻撃で押し切れないのか。
この大霊湖の湖底に埋まってた魔石は、大神林の奥で戦った魔石よりも強いのかもしれないね。あと兄さんと姉さんの話もあるし用心しないとダメみたいだ。もちろんラカムタさん達や魔獣達も、僕と同じように警戒度を上げている。
「おい!! てめえっ!!」
僕達と魔石のお互いに対する苦々しさが高まった時に大声が響き渡った。この声は兄さんだね。僕だけでなくみんなの視線が兄さんに集まる。
「よくも俺とマイネの身体を好き勝手に動かしてくれやがったな!! この借りは必ず返すぞ!! こんちくしょうが!!」
「…………」
兄さんの身体から叫ぶ度に魔力が吹き出し、黙って魔石をにらんでる姉さんからも兄さんに合わせるように魔力が放たれ、その魔力は兄さんと姉さんの胸に魔力が溜まっていく。二人も竜人息を吐き魔石に当てた。ラカムタさんの太い光線状の竜人息に比べたら、まだまだ安定してないとはいえ間違いなく竜人息と言って良いものだね。
「……ギィ」
魔石は兄さんと姉さんの竜人息を纏っていた黒い澱んだ水で防御したけど、防御に使った水の三割くらいが蒸発させられた。そんな魔石のイラだった声を聞きつつ、僕は竜人息を吐いた後に口から焦げ臭い煙を出してる兄さんと姉さんのところへ走って近づき、腰の小袋から薬草団子を取り出して水生魔法の水に溶かし魔法を発動させる。
「緑盛魔法・強薬水液。兄さん、姉さん、これを飲んで」
「……プハッ、ヤート、悪い。助かった」
「……プハッ、私もよ。ありがとう。ちょっと魔力を溜めすぎだったわ」
「まだ戦いが本格的に始まったばかりだからね」
「おうよ。絶対にあの野郎を殴って砕くまでは動けなくなってたまるか」
「ギャバババババババババッ!!」
「……チッ、あれだけ俺達の攻撃を受けて笑いやがるか」
魔石が笑ってる。しかもその笑い声が大きくなるにつれて水面の淀みが進み黒い部分が拡がっていく。そしてその澱んだ水が一定の範囲まで拡がった後に、今度は澱んだ水がゴボンと一気に持ち上がり全てが魔石にまとわりついていく。ラカムタさん達は魔石に水を使わせないように竜人息・水弾・魔力弾なんかを撃ち込んだけど、間に合わず完全な形になった。僕達の前にできあがったのは、魔石が心臓になっている黒い澱んだ水で形成された巨人だ。
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◎後書き
最後まで読んでいただきありがとうございます。
注意はしていますが誤字・脱字がありましたら教えてもらえるとうれしいです。
感想や評価もお待ちしています。
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