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決戦にて 巨人と巨人
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魔石が黒い水をまとった巨人形態になって以降、僕達は魔石からの激しい攻撃にさらされている。攻撃の種類は黒い淀んだ水を無数の弾丸にして撃ち込んできたり、そうかと思えば弾丸を百個ほどを一つにまとめて黒い巨大な水塊として放ってくるくらいだけど、さらに巨人形態の魔石が動いて起こす黒い津波が僕達の方に絶え間無く襲ってくるから中々に厳しい状況だ。
しかし、僕達の現状で最も問題になってるのは魔石からの僕達への攻撃じゃなくて、僕達から魔石への攻撃手段が限られている事だ。今もその事にイラついてる兄さん達の声が聞こえる。
「クソッ!! 近づいて殴りたいのに近づけねえ!!」
「奴がいるのが大霊湖の水上ではどうしようもない。船で近づこうとしても狙い撃ちに会うだけだ。……青でどうにかできないか?」
「向こうにも水に干渉できる力があるなら、こちらが水を固めて足場を作っても無駄になる可能性が高いな」
基本的に僕以外の竜人族・鬼熊・破壊猪は、圧倒的な身体能力と魔力で大概の事はゴリ押しできるけど、今は状況が悪くてその圧倒的な力を発揮できない。
「ヤート!! どうにかできねえか!?」
「方法はあるけど……」
「あるならやってくれ!! このまま何もできないのは嫌だぞ!!」
「ラカムタさん?」
「…………俺もガルと同じ気持ちだ。やれ、ヤート」
「わかった。ハインネルフさん、大霊湖に大きな魔法を使って良い?」
「……緊急事態だからな。ヤート殿、自由にやってくれ」
「ありがとう」
僕は腰の小袋から取り出した全ての苔玉を一つにまとめて、その中に別の小袋から取り出した種を詰めれるだけ詰めてから大霊湖に投げ入れ魔法を発動させる。
「緑盛魔法・超育成・苔巨人兵」
次の瞬間、苔でできた巨人が大霊湖の水面を大きく水しぶきをあげながら突き破って現れ、巨人形態の魔石を殴った。
「「「「「ハ?」」」」」
「ギィッ!!」
みんなが苔巨人兵の登場に唖然としてる中、苔巨人兵がゴボォンと粘度の高い液体に力を加えた時の鈍い音を出して巨人形態の魔石を数百ルーメ吹き飛ばす。
「そのまま攻め続けて」
僕の言葉に苔巨人兵は両腕を伸ばし魔石につかみかかっていく。魔石は反撃としてまとっている黒い水を接近してきた苔巨人兵に放つが苔巨人兵は動じず、むしろ黒い水を受けた苔巨人兵は成長していくから強化と成長を助けている。その様子を見ていたラカムタさんが正気に戻って聞いてくる。
「……おい、ヤート。何であの苔の巨人は魔石の黒い水を受けても平気なんだ?」
「苔も水分があったら成長するっていうだけだよ。ラカムタさん」
「それはおかしいです。あの魔石の黒い水は、この世界のものにとって劇毒のはず」
「それも毒を中和してるだけだよ。イーリリスさん」
「……どのように中和しているのですか?」
「特に難しい事はしてないから見えるようにするね。緑盛魔法・超育成・聖月草」
僕が魔法を発動させると待ってましたとばかりに苔巨人兵の全身から聖月草が成長して開花し、花の部分から白い光の領域を周囲に拡げていく。そして白い光の領域に入った黒い水は、魔石によって汚される前の透明な水に戻っていった。
「苔巨人兵の触媒にした苔玉の中に浄化作用のある聖月草とかの種を詰め込んで投げたから、苔玉が苔巨人兵になった時点で聖月草の浄化作用を取り込んでるんだ」
「なるほど、そういう事ですか。ヤート殿、大霊湖を守っていただきありがとうございます」
「魔石は自分が汚した水を攻撃や防御に使えるってわかったからね。僕は敵が力を出せる状況を放置するほどお人好しじゃない」
「ギィィィ……」
魔石が苔巨人兵の相手をしながら僕を思いっきりにらんでくる。僕が原因だって理解してるみたいだけど、よそ見してたらダメだよ。
「ギャブベッ!!」
ほら、苔巨人兵の腕の振り回しが直撃した。大霊湖の水の汚染も食い止めてるし、このまま攻め切れれば……って、甘くはないか。魔石が起き上がり左手を後ろに引くと、人で言う肘から拳にかけてがボコンと膨れ黒色が濃くなった。たぶん、あそこの部分に他から黒い水を集めて固めたのかな?
魔石がどんな攻撃をするのか見ていると、苔巨人兵は魔石の様子にかまわず近づき攻撃を加えようとした時に、魔石の黒い水を固めた左手が消え苔巨人兵が空中に打ち上げられて爆散した。……魔石が左手を振り上げた姿勢になってるから、黒い水を固めた左手を水面下から振り上げて苔巨人兵に叩き込んだみたいだね。魔石の左手やや前方の水面が爆発したから間違いないと思う。
ただ、振り上げる手の動き出し見えなかったのは問題だ。単純に考えれば静止状態からの急激っていう言葉が生ぬるく感じるような加速をしただけなんだけど、どうやったらそんな加速が? …………そうか、魔石がまとってるのは水なんだ。水なら骨も関節もない水の腕ならムチのように流れるような動きができるはず。あれだけの巨体と密度で繰り出されたムチみたいな異常な速度の打撃だから、苔巨人兵を空中高く打ち上げてバラバラにできたんだね。僕が理解できる攻撃で良かった。
僕は魔石によって苔巨人兵が爆散させられたから、次の段階に進むため目を閉じて僕の腰に巻きつけてるものに意識を集中する。
「緑盛魔法・世界樹の杖」
魔法の発動とともに僕の腰に巻きついていたものが、シュルシュルと蛇のように動いて僕の身体や腕を伝い僕の右手に移動する。そして僕が右掌で握ると、蛇のように動いていたものがピンッと伸び僕の身長くらいの樹の枝でできた杖になった。
「……よし、フンッ」
僕が樹の枝の杖の状態を確かめた後に杖の片方を広場の地面に突き刺し、大きく静かに息を吸って言葉を紡いでいく。
「緑よ……」
地面に刺さず空に向いている樹の枝の杖の先端に小さな葉が開く。
「緑よ……」
小さな葉が大きくなり茎が伸びて赤いバラみたいな花が咲く。
「緑よ……」
その後、杖の先端に様々な色・形の花が増えていき、その全てが満開になると僕を中心に花の良い香りが満ちて準備が整った。
「我が望む世界を再現せよ。緑盛魔法・超育成・樹林緑地界降臨」
僕を中心に青の村の大部分・大霊湖の見渡せる限りの水面が緑色に光って苔に覆われていく。さらに出現した苔の至るところに聖月草が咲いていき、苔に覆われた青の村の聖月草がない場所には樹木がメキメキと成長していった。
うん、僕の世界ができあがったね。これで大霊湖の水を汚して操れるっていう魔石の有利は消せたはずだけど、青の村にまで僕の魔法の範囲を拡げたのはやりすぎだったかもしれない。……ハインネルフさんが言ってたように緊急事態という事で今は見逃してもらおう。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
◎後書き
最後まで読んでいただきありがとうございます。
注意はしていますが誤字・脱字がありましたら教えてもらえるとうれしいです。
感想や評価もお待ちしています。
しかし、僕達の現状で最も問題になってるのは魔石からの僕達への攻撃じゃなくて、僕達から魔石への攻撃手段が限られている事だ。今もその事にイラついてる兄さん達の声が聞こえる。
「クソッ!! 近づいて殴りたいのに近づけねえ!!」
「奴がいるのが大霊湖の水上ではどうしようもない。船で近づこうとしても狙い撃ちに会うだけだ。……青でどうにかできないか?」
「向こうにも水に干渉できる力があるなら、こちらが水を固めて足場を作っても無駄になる可能性が高いな」
基本的に僕以外の竜人族・鬼熊・破壊猪は、圧倒的な身体能力と魔力で大概の事はゴリ押しできるけど、今は状況が悪くてその圧倒的な力を発揮できない。
「ヤート!! どうにかできねえか!?」
「方法はあるけど……」
「あるならやってくれ!! このまま何もできないのは嫌だぞ!!」
「ラカムタさん?」
「…………俺もガルと同じ気持ちだ。やれ、ヤート」
「わかった。ハインネルフさん、大霊湖に大きな魔法を使って良い?」
「……緊急事態だからな。ヤート殿、自由にやってくれ」
「ありがとう」
僕は腰の小袋から取り出した全ての苔玉を一つにまとめて、その中に別の小袋から取り出した種を詰めれるだけ詰めてから大霊湖に投げ入れ魔法を発動させる。
「緑盛魔法・超育成・苔巨人兵」
次の瞬間、苔でできた巨人が大霊湖の水面を大きく水しぶきをあげながら突き破って現れ、巨人形態の魔石を殴った。
「「「「「ハ?」」」」」
「ギィッ!!」
みんなが苔巨人兵の登場に唖然としてる中、苔巨人兵がゴボォンと粘度の高い液体に力を加えた時の鈍い音を出して巨人形態の魔石を数百ルーメ吹き飛ばす。
「そのまま攻め続けて」
僕の言葉に苔巨人兵は両腕を伸ばし魔石につかみかかっていく。魔石は反撃としてまとっている黒い水を接近してきた苔巨人兵に放つが苔巨人兵は動じず、むしろ黒い水を受けた苔巨人兵は成長していくから強化と成長を助けている。その様子を見ていたラカムタさんが正気に戻って聞いてくる。
「……おい、ヤート。何であの苔の巨人は魔石の黒い水を受けても平気なんだ?」
「苔も水分があったら成長するっていうだけだよ。ラカムタさん」
「それはおかしいです。あの魔石の黒い水は、この世界のものにとって劇毒のはず」
「それも毒を中和してるだけだよ。イーリリスさん」
「……どのように中和しているのですか?」
「特に難しい事はしてないから見えるようにするね。緑盛魔法・超育成・聖月草」
僕が魔法を発動させると待ってましたとばかりに苔巨人兵の全身から聖月草が成長して開花し、花の部分から白い光の領域を周囲に拡げていく。そして白い光の領域に入った黒い水は、魔石によって汚される前の透明な水に戻っていった。
「苔巨人兵の触媒にした苔玉の中に浄化作用のある聖月草とかの種を詰め込んで投げたから、苔玉が苔巨人兵になった時点で聖月草の浄化作用を取り込んでるんだ」
「なるほど、そういう事ですか。ヤート殿、大霊湖を守っていただきありがとうございます」
「魔石は自分が汚した水を攻撃や防御に使えるってわかったからね。僕は敵が力を出せる状況を放置するほどお人好しじゃない」
「ギィィィ……」
魔石が苔巨人兵の相手をしながら僕を思いっきりにらんでくる。僕が原因だって理解してるみたいだけど、よそ見してたらダメだよ。
「ギャブベッ!!」
ほら、苔巨人兵の腕の振り回しが直撃した。大霊湖の水の汚染も食い止めてるし、このまま攻め切れれば……って、甘くはないか。魔石が起き上がり左手を後ろに引くと、人で言う肘から拳にかけてがボコンと膨れ黒色が濃くなった。たぶん、あそこの部分に他から黒い水を集めて固めたのかな?
魔石がどんな攻撃をするのか見ていると、苔巨人兵は魔石の様子にかまわず近づき攻撃を加えようとした時に、魔石の黒い水を固めた左手が消え苔巨人兵が空中に打ち上げられて爆散した。……魔石が左手を振り上げた姿勢になってるから、黒い水を固めた左手を水面下から振り上げて苔巨人兵に叩き込んだみたいだね。魔石の左手やや前方の水面が爆発したから間違いないと思う。
ただ、振り上げる手の動き出し見えなかったのは問題だ。単純に考えれば静止状態からの急激っていう言葉が生ぬるく感じるような加速をしただけなんだけど、どうやったらそんな加速が? …………そうか、魔石がまとってるのは水なんだ。水なら骨も関節もない水の腕ならムチのように流れるような動きができるはず。あれだけの巨体と密度で繰り出されたムチみたいな異常な速度の打撃だから、苔巨人兵を空中高く打ち上げてバラバラにできたんだね。僕が理解できる攻撃で良かった。
僕は魔石によって苔巨人兵が爆散させられたから、次の段階に進むため目を閉じて僕の腰に巻きつけてるものに意識を集中する。
「緑盛魔法・世界樹の杖」
魔法の発動とともに僕の腰に巻きついていたものが、シュルシュルと蛇のように動いて僕の身体や腕を伝い僕の右手に移動する。そして僕が右掌で握ると、蛇のように動いていたものがピンッと伸び僕の身長くらいの樹の枝でできた杖になった。
「……よし、フンッ」
僕が樹の枝の杖の状態を確かめた後に杖の片方を広場の地面に突き刺し、大きく静かに息を吸って言葉を紡いでいく。
「緑よ……」
地面に刺さず空に向いている樹の枝の杖の先端に小さな葉が開く。
「緑よ……」
小さな葉が大きくなり茎が伸びて赤いバラみたいな花が咲く。
「緑よ……」
その後、杖の先端に様々な色・形の花が増えていき、その全てが満開になると僕を中心に花の良い香りが満ちて準備が整った。
「我が望む世界を再現せよ。緑盛魔法・超育成・樹林緑地界降臨」
僕を中心に青の村の大部分・大霊湖の見渡せる限りの水面が緑色に光って苔に覆われていく。さらに出現した苔の至るところに聖月草が咲いていき、苔に覆われた青の村の聖月草がない場所には樹木がメキメキと成長していった。
うん、僕の世界ができあがったね。これで大霊湖の水を汚して操れるっていう魔石の有利は消せたはずだけど、青の村にまで僕の魔法の範囲を拡げたのはやりすぎだったかもしれない。……ハインネルフさんが言ってたように緊急事態という事で今は見逃してもらおう。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
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最後まで読んでいただきありがとうございます。
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感想や評価もお待ちしています。
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