ひ弱な竜人 ~周りより弱い身体に転生して、たまに面倒くさい事にも出会うけど家族・仲間・植物に囲まれて二度目の人生を楽しんでます~

白黒 キリン

文字の大きさ
151 / 318

決戦にて 魔石の声とそれぞれの一撃

しおりを挟む
 大霊湖だいれいこから飛び出してきたのは黒い岩みたいな奴で、僕は……もっと正確に言えば僕と鬼熊オーガベア破壊猪ハンマーボア・ディグリの三体は、こいつに見覚えがある。

「どう見ても大神林だいしんりんの奥で戦った魔石だよね?」
「……ガ」
「……ブォ」
「思イ出スダケデ、ヘドガ出マス……」

 三体は嫌悪感を隠さずに表に出していた。僕も魔石は嫌いだから気持ちはよくわかる。それにしても……だ。

「ギャバッ!! ギャババババ!!!!」

 空中で笑い続けている魔石の笑い声を聞くのは気分が悪い。僕が笑う魔石を黙らそうとしたら、それより先に三体が動いた。

「ガアッ!!」
「ブオッ!!」
「黙レッ!!」

 鬼熊オーガベアは立ち上がって右前足を振り下ろし魔力刃を、破壊猪ハンマーボアは大きく息を吸い巨大な鼻息弾ノーズブレスを、ディグリは左腕を変形させ砲身にして魔力弾を、それぞれが魔石に向かって放ち同時に着弾した。

「ギャババ、ブベッ!!」

 魔石は三体の攻撃を受けて墜落し、大霊湖だいれいこの淀んだ水面に大きな水しぶきをあげる。その後すぐに魔石は水面から飛び出てきたけど、空中に戻った時には笑わずに三体をにらみつけていた。

 僕は三体と魔石との激戦が開始されるって思ったし、事実三体と魔石の間で緊張感が高まってきてた。でも、戦いは始まらない。なぜなら……。

「ギ……?」

 僕と三体の後ろから三体に負けない量の魔力が高まっていき魔石の意識がそっちに流れたからだ。誰の魔力なのかはわかった。僕が振り返ると、予想通りラカムタさんが大量の魔力を胸の辺りに溜めて仰け反っていた。

「ハアッ!!」
「ギャベッ!!」

 ラカムタさんが竜人息ドラゴニュートブレスを魔石にぶちかまし、直撃した魔石は再び撃沈する。

「ラカムタさん……?」
「ヤート、正直言うとな俺はお前が敵だって言う奴を想像ができなかった」
「そうなんだ」
「ああ、だが、あれはダメだ。絶対に許さん。欠けらも残すつもりはない」
「ギギ……、ギィ!!」


 魔石が今度は空中に飛び出ずに、水面から上半分だけを出した状態で黒く淀んだ水を水弾にして僕達の方に擊ってくるけど、僕達のところに着弾する前に無数の水の帯によって叩き落される。

「不愉快ですね。大霊湖だいれいこを汚すものは何人たりとも許しません」
「イーリリスの言う通りだ」
「見逃す理由がありませんな」

 ハインネルフさん・イーリリスさん・タキタさんの身体からも魔力が放出されていき、ラカムタさんと同じくらいの量まで膨れ上がった。

「ギィィィ!!」

 魔石の忌々しげな叫び声が聞こえて、魔石から放たれる淀んだ魔力も出力が上がり戦闘態勢になる。その証拠に魔石は淀んだ黒い水を纏って空中に浮かんでいく。大神林だいしんりんの奥で出会った魔石は、取り付いた樹の枝や根を伸ばしてきたから樹属性で、僕達とにらみ合ってる魔石は水属性って事かな?

「ギィギャアアアッ!!」
「うるせえッ!!」
「黙りなさい!!」
「貴様は目障りだ!!」
「消えよ!!」
「ガアッ!!」
「ブオッ!!」
「私ノ前ニ存在スルナ!!」

 魔石の操る澱んだ水とラカムタさん達の魔力や水が、大霊湖だいれいこの上で激突し爆発・放電・水の蒸発が起こる。……ラカムタさん達と魔獣達の攻撃で押し切れないのか。

 この大霊湖だいれいこの湖底に埋まってた魔石は、大神林だいしんりんの奥で戦った魔石よりも強いのかもしれないね。あと兄さんと姉さんの話もあるし用心しないとダメみたいだ。もちろんラカムタさん達や魔獣達も、僕と同じように警戒度を上げている。

「おい!! てめえっ!!」

 僕達と魔石のお互いに対する苦々しさが高まった時に大声が響き渡った。この声は兄さんだね。僕だけでなくみんなの視線が兄さんに集まる。

「よくも俺とマイネの身体を好き勝手に動かしてくれやがったな!! この借りは必ず返すぞ!! こんちくしょうが!!」
「…………」

 兄さんの身体から叫ぶ度に魔力が吹き出し、黙って魔石をにらんでる姉さんからも兄さんに合わせるように魔力が放たれ、その魔力は兄さんと姉さんの胸に魔力が溜まっていく。二人も竜人息ドラゴニュートブレスを吐き魔石に当てた。ラカムタさんの太い光線状の竜人息ドラゴニュートブレスに比べたら、まだまだ安定してないとはいえ間違いなく竜人息ドラゴニュートブレスと言って良いものだね。

「……ギィ」

 魔石は兄さんと姉さんの竜人息ドラゴニュートブレスを纏っていた黒い澱んだ水で防御したけど、防御に使った水の三割くらいが蒸発させられた。そんな魔石のイラだった声を聞きつつ、僕は竜人息ドラゴニュートブレスを吐いた後に口から焦げ臭い煙を出してる兄さんと姉さんのところへ走って近づき、腰の小袋から薬草団子を取り出して水生魔法ワータの水に溶かし魔法を発動させる。

緑盛魔法グリーンカーペット強薬水液ハイハーブリキット。兄さん、姉さん、これを飲んで」
「……プハッ、ヤート、悪い。助かった」
「……プハッ、私もよ。ありがとう。ちょっと魔力を溜めすぎだったわ」
「まだ戦いが本格的に始まったばかりだからね」
「おうよ。絶対にあの野郎を殴って砕くまでは動けなくなってたまるか」
「ギャバババババババババッ!!」
「……チッ、あれだけ俺達の攻撃を受けて笑いやがるか」

 魔石が笑ってる。しかもその笑い声が大きくなるにつれて水面の淀みが進み黒い部分が拡がっていく。そしてその澱んだ水が一定の範囲まで拡がった後に、今度は澱んだ水がゴボンと一気に持ち上がり全てが魔石にまとわりついていく。ラカムタさん達は魔石に水を使わせないように竜人息ドラゴニュートブレス水弾ブルーボール・魔力弾なんかを撃ち込んだけど、間に合わず完全な形になった。僕達の前にできあがったのは、魔石が心臓になっている黒い澱んだ水で形成された巨人だ。



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
◎後書き
 最後まで読んでいただきありがとうございます。

 注意はしていますが誤字・脱字がありましたら教えてもらえるとうれしいです。

 感想や評価もお待ちしています。
しおりを挟む
感想 73

あなたにおすすめの小説

病弱少年が怪我した小鳥を偶然テイムして、冒険者ギルドの採取系クエストをやらせていたら、知らないうちにLV99になってました。

もう書かないって言ったよね?
ファンタジー
 ベッドで寝たきりだった少年が、ある日、家の外で怪我している青い小鳥『ピーちゃん』を助けたことから二人の大冒険の日々が始まった。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

義妹の嫌がらせで、子持ち男性と結婚する羽目になりました。義理の娘に嫌われることも覚悟していましたが、本当の家族を手に入れることができました。

石河 翠
ファンタジー
義母と義妹の嫌がらせにより、子持ち男性の元に嫁ぐことになった主人公。夫になる男性は、前妻が残した一人娘を可愛がっており、新しい子どもはいらないのだという。 実家を出ても、自分は家族を持つことなどできない。そう思っていた主人公だが、娘思いの男性と素直になれないわがままな義理の娘に好感を持ち、少しずつ距離を縮めていく。 そんなある日、死んだはずの前妻が屋敷に現れ、主人公を追い出そうとしてきた。前妻いわく、血の繋がった母親の方が、継母よりも価値があるのだという。主人公が言葉に詰まったその時……。 血の繋がらない母と娘が家族になるまでのお話。 この作品は、小説家になろうおよびエブリスタにも投稿しております。 扉絵は、管澤捻さまに描いていただきました。

転生したので好きに生きよう!

ゆっけ
ファンタジー
前世では妹によって全てを奪われ続けていた少女。そんな少女はある日、事故にあい亡くなってしまう。 不思議な場所で目覚める少女は女神と出会う。その女神は全く人の話を聞かないで少女を地上へと送る。 奪われ続けた少女が異世界で周囲から愛される話。…にしようと思います。 ※見切り発車感が凄い。 ※マイペースに更新する予定なのでいつ次話が更新するか作者も不明。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

不倫されて離婚した社畜OLが幼女転生して聖女になりましたが、王国が揉めてて大事にしてもらえないので好きに生きます

天田れおぽん
ファンタジー
 ブラック企業に勤める社畜OL沙羅(サラ)は、結婚したものの不倫されて離婚した。スッキリした気分で明るい未来に期待を馳せるも、公園から飛び出てきた子どもを助けたことで、弱っていた心臓が止まってしまい死亡。同情した女神が、黒髪黒目中肉中背バツイチの沙羅を、銀髪碧眼3歳児の聖女として異世界へと転生させてくれた。  ところが王国内で聖女の処遇で揉めていて、転生先は草原だった。  サラは女神がくれた山盛りてんこ盛りのスキルを使い、異世界で知り合ったモフモフたちと暮らし始める―――― ※第16話 あつまれ聖獣の森 6 が抜けていましたので2025/07/30に追加しました。

【完結】巻き込まれたけど私が本物 ~転移したら体がモフモフ化してて、公爵家のペットになりました~

千堂みくま
ファンタジー
異世界に幼なじみと一緒に召喚された17歳の莉乃。なぜか体がペンギンの雛(?)になっており、変な鳥だと城から追い出されてしまう。しかし森の中でイケメン公爵様に拾われ、ペットとして大切に飼われる事になった。公爵家でイケメン兄弟と一緒に暮らしていたが、魔物が減ったり、瘴気が薄くなったりと不思議な事件が次々と起こる。どうやら謎のペンギンもどきには重大な秘密があるようで……? ※恋愛要素あるけど進行はゆっくり目。※ファンタジーなので冒険したりします。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

処理中です...