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決戦にて 大規模魔法の説明と進撃開始
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大霊湖の水面という青の世界が、僕が起点となった緑の世界に変わった。初めての割に安定してるし、手に持った世界樹の杖を通して同調すれば僕が望んだ効果もきちんと現れているのがわかる。僕が望んだのは魔石に不利な状況を押し付け、僕達に有利な状況になる環境。
「ギ……ギィ……」
今の魔石は魔石の直下以外の水面が苔達に覆われているので、新たに大霊湖の水を汚そうとしても苔の大地一面に咲いている聖月草の浄化作用に邪魔をされてできない。さらに魔石が動こうとしても苔達が水面をガッチリと覆っているからできない。
逆に僕達の方には利点が多くできる。まずは僕の遠距離攻撃である純粋なる緑の強化。魔石を湖底の岩盤から解放した時の純粋なる緑は大霊湖の水生植物だけから力を借りたものだったけど、今なら大霊湖の水生植物だけでなく見渡す限りを覆う苔達・その苔達を土台に咲いている聖月草・苔達に覆われた青の村の各所に生えた樹々に力を借りれる。というわけで環境の激変に戸惑ってる魔石に攻撃を加えよう。
「緑盛魔法・純粋なる緑の弾丸」
「ギィッ!!」
僕の魔法の発動とともに辺り一面から緑光の弾丸が生み出され次々と魔石に射ち込まれる。魔石はまとっている黒い水の面積を減らして密度を高め防御態勢に入った。……かなり純粋なる緑の弾丸の威力は上がってるのに押し切れない。これは魔石の防御力を褒めるべきなのかな。
「ヤ、ヤート殿……」
僕は樹林緑地界降臨を発動させた今最も役に立つ利点を駆使して、さらに魔石を攻めようとしたんだけど、その前にイーリリスさんが震えながら話しかけてきた。……まあ、純粋なる緑の弾丸で攻め続けてるから答える余裕はあるか。
「何? イーリリスさん」
「なぜ、これほどの大規模な魔法を、ヤート殿が発動できるのですか?」
懐かしいな。交流会での決闘で多重射種草を発動させた時、イリュキンに同じ事を聞かれたね。あの時はイリュキンと会ったばっかりで関係性が薄かったから説明しなかったけど、今は魔石に対しての運命共同体だし喜んで説明をする。
「始めに言っておくと、僕の魔力は樹林緑地界降臨の発動にほとんど使ってない」
「そんな馬鹿な……。それでは一体何の魔力を使って……」
「大霊湖の魔力だよ」
「「「「「「は……?」」」」」」
みんなが驚いてる。僕は欠色で魔力が少ないから、自分以外の魔力を使ってるのがそんなにおかしいのかな?
「ラカムタさん、そんなに変?」
「変も何もヤート良いか、よく聞け」
「うん」
「普通は自分以外の魔力を使えないんだ」
「……そうなの?」
「当たり前だ。むしろ俺達の方が知りたい。どうやってヤートは自分以外の魔力を使っている?」
「わかりやすく言うと焚き火を起こす時みたいな感じで、僕の魔力が種火で周りの魔力が薪だよ」
「ええと……」
僕が言うと姉さんが頭を押さえた。頭痛かな? 決戦中の今、姉さんに戦線離脱されるのは痛いな。
「姉さん、魔力に当てられたとかで頭痛がするなら今すぐ薬草を出すよ?」
「……ヤート、私の事は良いから、もっと説明してちょうだい。樹林緑地界降臨だったかしら? どういう順番で発動したの?」
「まず前段階として僕は種を埋め込んだ苔玉を魔石へと投げて苔巨人兵を発動させたでしょ。あの苔巨人兵を発動させた時の魔力は僕の魔力で、その後の魔法の維持は苔巨人兵が吸収する大霊湖の水の魔力だよ。さすがに僕の魔力だけじゃ見上げるくらい大きい苔巨人兵を維持できないからね」
「……それで?」
「苔巨人兵が魔石の打撃を受けてバラバラに飛び散ったから樹林緑地界降臨の準備が整った」
「待ってくれ」
今度はイリュキンが手を伸ばして、僕の話を一度止める。
「ヤート君、私にはそこがわからないだ。なんで魔法から魔法に繋げれたんだい?」
「前に説明したけど僕の緑盛魔法は、植物または植物由来のものに力を貸してもらう魔法で発動には触媒がいる。触媒は葉っぱ一枚でも一欠片の植物でも僕の魔法で生み出されたものでも良い」
「あっ、もしかしてヤート君は魔石にバラバラにされた苔巨人兵の破片を触媒にして樹林緑地界降臨を発動したんですか?」
イリュキンが僕のしている事を理解してくれた。
「そういう事だよ。苔巨人兵になった時点で大量の魔力を吸収してるから、例えバラバラにされても吸収した魔力はすぐには消えない。触媒としては最上級だよ」
「……それならその杖は?」
「これは大神林の最奥で出会った世界樹からもらった天辺付近の枝で、樹林緑地界降臨を制御するためのものだよ。さすがにこれだけ大規模な魔法は僕の手に余る。…………なんかこうやって説明したら魔力は大霊湖のものだし制御は世界樹の杖に任せてるから、僕はほとんど何もしていないね」
「誰もそんな風に思わねえよ……」
兄さんが何か言った気がしたけど、僕は声を出した魔石の方を振り向いたから聞こえなかった。
「ギ、ギ……ギィ」
魔石は僕の純粋なる緑の弾丸を受け続けて、かなりまとっている黒い水を減らした。やっぱり聖月草の浄化作用で黒い水の補給ができてない。攻め時だね。
「鬼熊に破壊猪、そこの苔の上に移動して」
「……ガア?」
「そう、そこの上」
「ブオ?」
「ちょっと確かめたい事があるから、お願い」
「「…………」」
二体は顔を見合わせ首をかしげた後にドスドスと僕が指差した場所に移動していった。そしてその場所に行くと僕の方に振り返る。……うん、大丈夫だね。
「みんな、行けるよ」
「……ヤート、何の事だ?」
「二体がいる場所は本当なら大霊湖の水面の上。つまり二体は地面の支えがない場所にいる」
僕の言葉にみんなが二体の方を見て、二体は自分達の足もとを見ていた。
「樹林緑地界降臨でできた苔達の緑の大地は二体の体重を支えるだけの強さがある。みんなが魔石に近づいて激しく戦ってもだいじょ「やっとブン殴れるぜ!!」うぶだよ……」
「ガア!!」
「ブオ!!」
僕が言い終わる前に兄さんが魔石に向かって走り出し、二体も兄さんの後を追っていった。……兄さんの思い切りの良さはすごいと思うけど、もう少し警戒しても良いんじゃない? ラカムタさんを見たら額に青筋を浮かべてた。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
◎後書き
最後まで読んでいただきありがとうございます。
注意はしていますが誤字・脱字がありましたら教えてもらえるとうれしいです。
感想や評価もお待ちしています。
「ギ……ギィ……」
今の魔石は魔石の直下以外の水面が苔達に覆われているので、新たに大霊湖の水を汚そうとしても苔の大地一面に咲いている聖月草の浄化作用に邪魔をされてできない。さらに魔石が動こうとしても苔達が水面をガッチリと覆っているからできない。
逆に僕達の方には利点が多くできる。まずは僕の遠距離攻撃である純粋なる緑の強化。魔石を湖底の岩盤から解放した時の純粋なる緑は大霊湖の水生植物だけから力を借りたものだったけど、今なら大霊湖の水生植物だけでなく見渡す限りを覆う苔達・その苔達を土台に咲いている聖月草・苔達に覆われた青の村の各所に生えた樹々に力を借りれる。というわけで環境の激変に戸惑ってる魔石に攻撃を加えよう。
「緑盛魔法・純粋なる緑の弾丸」
「ギィッ!!」
僕の魔法の発動とともに辺り一面から緑光の弾丸が生み出され次々と魔石に射ち込まれる。魔石はまとっている黒い水の面積を減らして密度を高め防御態勢に入った。……かなり純粋なる緑の弾丸の威力は上がってるのに押し切れない。これは魔石の防御力を褒めるべきなのかな。
「ヤ、ヤート殿……」
僕は樹林緑地界降臨を発動させた今最も役に立つ利点を駆使して、さらに魔石を攻めようとしたんだけど、その前にイーリリスさんが震えながら話しかけてきた。……まあ、純粋なる緑の弾丸で攻め続けてるから答える余裕はあるか。
「何? イーリリスさん」
「なぜ、これほどの大規模な魔法を、ヤート殿が発動できるのですか?」
懐かしいな。交流会での決闘で多重射種草を発動させた時、イリュキンに同じ事を聞かれたね。あの時はイリュキンと会ったばっかりで関係性が薄かったから説明しなかったけど、今は魔石に対しての運命共同体だし喜んで説明をする。
「始めに言っておくと、僕の魔力は樹林緑地界降臨の発動にほとんど使ってない」
「そんな馬鹿な……。それでは一体何の魔力を使って……」
「大霊湖の魔力だよ」
「「「「「「は……?」」」」」」
みんなが驚いてる。僕は欠色で魔力が少ないから、自分以外の魔力を使ってるのがそんなにおかしいのかな?
「ラカムタさん、そんなに変?」
「変も何もヤート良いか、よく聞け」
「うん」
「普通は自分以外の魔力を使えないんだ」
「……そうなの?」
「当たり前だ。むしろ俺達の方が知りたい。どうやってヤートは自分以外の魔力を使っている?」
「わかりやすく言うと焚き火を起こす時みたいな感じで、僕の魔力が種火で周りの魔力が薪だよ」
「ええと……」
僕が言うと姉さんが頭を押さえた。頭痛かな? 決戦中の今、姉さんに戦線離脱されるのは痛いな。
「姉さん、魔力に当てられたとかで頭痛がするなら今すぐ薬草を出すよ?」
「……ヤート、私の事は良いから、もっと説明してちょうだい。樹林緑地界降臨だったかしら? どういう順番で発動したの?」
「まず前段階として僕は種を埋め込んだ苔玉を魔石へと投げて苔巨人兵を発動させたでしょ。あの苔巨人兵を発動させた時の魔力は僕の魔力で、その後の魔法の維持は苔巨人兵が吸収する大霊湖の水の魔力だよ。さすがに僕の魔力だけじゃ見上げるくらい大きい苔巨人兵を維持できないからね」
「……それで?」
「苔巨人兵が魔石の打撃を受けてバラバラに飛び散ったから樹林緑地界降臨の準備が整った」
「待ってくれ」
今度はイリュキンが手を伸ばして、僕の話を一度止める。
「ヤート君、私にはそこがわからないだ。なんで魔法から魔法に繋げれたんだい?」
「前に説明したけど僕の緑盛魔法は、植物または植物由来のものに力を貸してもらう魔法で発動には触媒がいる。触媒は葉っぱ一枚でも一欠片の植物でも僕の魔法で生み出されたものでも良い」
「あっ、もしかしてヤート君は魔石にバラバラにされた苔巨人兵の破片を触媒にして樹林緑地界降臨を発動したんですか?」
イリュキンが僕のしている事を理解してくれた。
「そういう事だよ。苔巨人兵になった時点で大量の魔力を吸収してるから、例えバラバラにされても吸収した魔力はすぐには消えない。触媒としては最上級だよ」
「……それならその杖は?」
「これは大神林の最奥で出会った世界樹からもらった天辺付近の枝で、樹林緑地界降臨を制御するためのものだよ。さすがにこれだけ大規模な魔法は僕の手に余る。…………なんかこうやって説明したら魔力は大霊湖のものだし制御は世界樹の杖に任せてるから、僕はほとんど何もしていないね」
「誰もそんな風に思わねえよ……」
兄さんが何か言った気がしたけど、僕は声を出した魔石の方を振り向いたから聞こえなかった。
「ギ、ギ……ギィ」
魔石は僕の純粋なる緑の弾丸を受け続けて、かなりまとっている黒い水を減らした。やっぱり聖月草の浄化作用で黒い水の補給ができてない。攻め時だね。
「鬼熊に破壊猪、そこの苔の上に移動して」
「……ガア?」
「そう、そこの上」
「ブオ?」
「ちょっと確かめたい事があるから、お願い」
「「…………」」
二体は顔を見合わせ首をかしげた後にドスドスと僕が指差した場所に移動していった。そしてその場所に行くと僕の方に振り返る。……うん、大丈夫だね。
「みんな、行けるよ」
「……ヤート、何の事だ?」
「二体がいる場所は本当なら大霊湖の水面の上。つまり二体は地面の支えがない場所にいる」
僕の言葉にみんなが二体の方を見て、二体は自分達の足もとを見ていた。
「樹林緑地界降臨でできた苔達の緑の大地は二体の体重を支えるだけの強さがある。みんなが魔石に近づいて激しく戦ってもだいじょ「やっとブン殴れるぜ!!」うぶだよ……」
「ガア!!」
「ブオ!!」
僕が言い終わる前に兄さんが魔石に向かって走り出し、二体も兄さんの後を追っていった。……兄さんの思い切りの良さはすごいと思うけど、もう少し警戒しても良いんじゃない? ラカムタさんを見たら額に青筋を浮かべてた。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
◎後書き
最後まで読んでいただきありがとうございます。
注意はしていますが誤字・脱字がありましたら教えてもらえるとうれしいです。
感想や評価もお待ちしています。
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