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決戦にて 魔石の厄介さと進む魔力の充填
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大霊湖を舞台に静と動ができあがっていた。
一方は外見を見ると砲身のできた杖を持ちながら目を閉じているだけだが、内面では集まってくる植物達の膨大な魔力を一欠片も無駄にしないよう神経と精神をすり減らして制御に徹する静かな戦いをしていた。
もう一方は静かな戦いを続けているものを排除しようとする異物と、その異物から静かな戦いをするものを守る守護者達の激しい戦い。
「フンッ!!」
「ギァッ!!」
ラカムタが魔石を強化魔法を発動させながら全力で殴り、集中しているヤートから離れるように吹き飛ばす。魔石はすぐさま反撃としてまとっている黒い水の一部を鞭にしてラカムタを打ち払おうとしたが、その魔石の鞭はディグリが腕を変形させた鞭をぶつけてからませる事で無効化した。
「ソノ攻撃手段ハ見飽キマシタ」
「ギィィ……」
魔石は攻撃対象をディグリに変えた。現状、魔石の黒い水の鞭とディグリの腕が変形した鞭がからみ合っているため、魔石はからみ合った鞭を通してディグリへの侵蝕を試みたが、ディグリは魔石の意図を読み取り侵蝕をされる前にからみ合った部分を自切して爆発させる。これにより魔石の鞭となっていた黒い水が消滅し魔石の攻防力が減少した。
「単純スギマスネ」
「ギャギィア!!」
「隙を見せたな」
「ギィ!!」
魔石がディグリをにらんでいる隙にハインネルフが魔石の下へと入り込み、魔石をさらにヤートから離れるように弾き飛ばした。魔石は何度も弾かれる事にイラつくが、それよりも自分への追撃を防ぐため固めた黒い水を使った攻撃を次々に放つ。ラカムタ達は目的をヤートを守る事に定めているため深追いはせず冷静に対応していく。
圧倒的な戦闘経験のある竜人達と驚異的な身体能力を誇る魔獣達にとっては、初めて戦う相手の初めて見る攻撃手段とは言え慣れる時間があれば十分に許容範囲内のものだった。魔石は徐々に追い詰められているのを感じ、伸ばしていた黒い水を自らの元に戻して多面体に形状を整える。
「全員、言うまでもないが気を引き締めろよ」
「「「「「「…………」」」」」」
「……ギィギャ」
魔石はまとっている黒い水の中からラカムタ達が警戒しているのを見て笑い、ヤートに向けて自分を押し出した時のように前へ跳ぶ。しかしヤートの時のように一直線に向かう事はなく、魔石はラカムタ達から少し離れた苔達の地面に落ちて右真横に跳ねた。
「なっ!!」
魔石の予想外の軌道に驚いて動けないラカムタ達をよそに、魔石は次に右斜め前に跳ねその次は放物線を描きながらラカムタ達の間に着地し、その後はラカムタ達の間の前後左右縦横無尽に跳ね回る。
……うん、なんとか順調に植物達からの魔力を樹根の大砲に集められてる。僕が目を開けて見ると樹根の大砲が、淡く緑色に光っているのがその証拠だ。あと集まってくる膨大な魔力のせいなのか、樹根の大砲の周りの空間が歪んで見えるのはこの際無視する。僕の感覚であと三割くらい溜めたら魔石を消滅させる出力になるから、このまま乱さずに溜めていこう。
「ギィッギァッ!!」
ラカムタさん達と魔石の戦に目を移すと、魔石がラカムタさん達の間を縫うように飛び跳ねていた。どうやら魔石がまとっている黒い水がゴムのような状態になっていて、さらに多面体の複雑な形状に固める事で予測できない軌道に跳ねているみたい。ラカムタさん達はどうにか魔石の動きを止めようと攻撃を加えるけど、魔石の不規則な動きに翻弄されてる。
「……今だ。くらえ!! 何!!」
「ギィア」
タキタさんが魔石の不規則な動きをかいくぐり攻撃したけど、魔石は回転してタキタさんの攻撃をいなした。そして攻撃をいなされ体勢を崩したタキタさんに刺を伸ばす。
「タキタ、避けなさい!!」
「クッ」
「大丈夫デス」
「ディグリ殿、申し訳ない」
「ココデ貴方ニ倒レラレルト困ルノデ気ニシナイデクダサイ」
タキタさんはディグリの根に引かれて難を逃れた。……魔石が固めた黒い水による衝撃吸収と黒い水を変形させて行う変幻自在の攻撃に加えて、多面体を利用した複雑な移動と回転してのいなしまでするようになり、ラカムタさん達が魔石の攻撃への対応に遅れる場面が多くなる。ラカムタさん達相手にここまで戦況を盛り返すなんて魔石は本当に厄介だって、僕が思っていたら魔石と目が合った。そうか今、僕と魔石の間に誰もいないのか。
「ギャギャギャッ!!」
「しまったっ!!」
「魔石がヤート殿のところに!!」
僕の感覚で樹根の大砲への植物達の魔力の充填が九割を越した時に、樹根の大砲からブゥゥゥンという唸り声のようなものが発せられるようになった。でも、それと同時に魔石がみんなの包囲網に開いた一瞬の隙を逃さず僕の方に抜けてきた。みんなが魔石を僕から離すように動いてくれて、それなりに距離はあるから残り一割の魔力の充填は大丈夫だと思う。
「ギィギィッ!!」
ドウンッと音と共に魔石が今まで見た中で一番の加速を見せた。苔達の地面が押し破られるくらいの強さで、魔石は自分を押し出したんだね。……これは間に合わない。僕はそう判断して、さらに魔法を発動させようとしたら迫り来る魔石の正面に人影が飛び込んできて魔石の僕への直進を押さえ込む。
魔石を止めたのは強化魔法を発動させたヌイジュだった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
◎後書き
最後まで読んでいただきありがとうございます。
注意はしていますが誤字・脱字がありましたら教えてもらえるとうれしいです。
感想や評価もお待ちしています。
一方は外見を見ると砲身のできた杖を持ちながら目を閉じているだけだが、内面では集まってくる植物達の膨大な魔力を一欠片も無駄にしないよう神経と精神をすり減らして制御に徹する静かな戦いをしていた。
もう一方は静かな戦いを続けているものを排除しようとする異物と、その異物から静かな戦いをするものを守る守護者達の激しい戦い。
「フンッ!!」
「ギァッ!!」
ラカムタが魔石を強化魔法を発動させながら全力で殴り、集中しているヤートから離れるように吹き飛ばす。魔石はすぐさま反撃としてまとっている黒い水の一部を鞭にしてラカムタを打ち払おうとしたが、その魔石の鞭はディグリが腕を変形させた鞭をぶつけてからませる事で無効化した。
「ソノ攻撃手段ハ見飽キマシタ」
「ギィィ……」
魔石は攻撃対象をディグリに変えた。現状、魔石の黒い水の鞭とディグリの腕が変形した鞭がからみ合っているため、魔石はからみ合った鞭を通してディグリへの侵蝕を試みたが、ディグリは魔石の意図を読み取り侵蝕をされる前にからみ合った部分を自切して爆発させる。これにより魔石の鞭となっていた黒い水が消滅し魔石の攻防力が減少した。
「単純スギマスネ」
「ギャギィア!!」
「隙を見せたな」
「ギィ!!」
魔石がディグリをにらんでいる隙にハインネルフが魔石の下へと入り込み、魔石をさらにヤートから離れるように弾き飛ばした。魔石は何度も弾かれる事にイラつくが、それよりも自分への追撃を防ぐため固めた黒い水を使った攻撃を次々に放つ。ラカムタ達は目的をヤートを守る事に定めているため深追いはせず冷静に対応していく。
圧倒的な戦闘経験のある竜人達と驚異的な身体能力を誇る魔獣達にとっては、初めて戦う相手の初めて見る攻撃手段とは言え慣れる時間があれば十分に許容範囲内のものだった。魔石は徐々に追い詰められているのを感じ、伸ばしていた黒い水を自らの元に戻して多面体に形状を整える。
「全員、言うまでもないが気を引き締めろよ」
「「「「「「…………」」」」」」
「……ギィギャ」
魔石はまとっている黒い水の中からラカムタ達が警戒しているのを見て笑い、ヤートに向けて自分を押し出した時のように前へ跳ぶ。しかしヤートの時のように一直線に向かう事はなく、魔石はラカムタ達から少し離れた苔達の地面に落ちて右真横に跳ねた。
「なっ!!」
魔石の予想外の軌道に驚いて動けないラカムタ達をよそに、魔石は次に右斜め前に跳ねその次は放物線を描きながらラカムタ達の間に着地し、その後はラカムタ達の間の前後左右縦横無尽に跳ね回る。
……うん、なんとか順調に植物達からの魔力を樹根の大砲に集められてる。僕が目を開けて見ると樹根の大砲が、淡く緑色に光っているのがその証拠だ。あと集まってくる膨大な魔力のせいなのか、樹根の大砲の周りの空間が歪んで見えるのはこの際無視する。僕の感覚であと三割くらい溜めたら魔石を消滅させる出力になるから、このまま乱さずに溜めていこう。
「ギィッギァッ!!」
ラカムタさん達と魔石の戦に目を移すと、魔石がラカムタさん達の間を縫うように飛び跳ねていた。どうやら魔石がまとっている黒い水がゴムのような状態になっていて、さらに多面体の複雑な形状に固める事で予測できない軌道に跳ねているみたい。ラカムタさん達はどうにか魔石の動きを止めようと攻撃を加えるけど、魔石の不規則な動きに翻弄されてる。
「……今だ。くらえ!! 何!!」
「ギィア」
タキタさんが魔石の不規則な動きをかいくぐり攻撃したけど、魔石は回転してタキタさんの攻撃をいなした。そして攻撃をいなされ体勢を崩したタキタさんに刺を伸ばす。
「タキタ、避けなさい!!」
「クッ」
「大丈夫デス」
「ディグリ殿、申し訳ない」
「ココデ貴方ニ倒レラレルト困ルノデ気ニシナイデクダサイ」
タキタさんはディグリの根に引かれて難を逃れた。……魔石が固めた黒い水による衝撃吸収と黒い水を変形させて行う変幻自在の攻撃に加えて、多面体を利用した複雑な移動と回転してのいなしまでするようになり、ラカムタさん達が魔石の攻撃への対応に遅れる場面が多くなる。ラカムタさん達相手にここまで戦況を盛り返すなんて魔石は本当に厄介だって、僕が思っていたら魔石と目が合った。そうか今、僕と魔石の間に誰もいないのか。
「ギャギャギャッ!!」
「しまったっ!!」
「魔石がヤート殿のところに!!」
僕の感覚で樹根の大砲への植物達の魔力の充填が九割を越した時に、樹根の大砲からブゥゥゥンという唸り声のようなものが発せられるようになった。でも、それと同時に魔石がみんなの包囲網に開いた一瞬の隙を逃さず僕の方に抜けてきた。みんなが魔石を僕から離すように動いてくれて、それなりに距離はあるから残り一割の魔力の充填は大丈夫だと思う。
「ギィギィッ!!」
ドウンッと音と共に魔石が今まで見た中で一番の加速を見せた。苔達の地面が押し破られるくらいの強さで、魔石は自分を押し出したんだね。……これは間に合わない。僕はそう判断して、さらに魔法を発動させようとしたら迫り来る魔石の正面に人影が飛び込んできて魔石の僕への直進を押さえ込む。
魔石を止めたのは強化魔法を発動させたヌイジュだった。
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◎後書き
最後まで読んでいただきありがとうございます。
注意はしていますが誤字・脱字がありましたら教えてもらえるとうれしいです。
感想や評価もお待ちしています。
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