ひ弱な竜人 ~周りより弱い身体に転生して、たまに面倒くさい事にも出会うけど家族・仲間・植物に囲まれて二度目の人生を楽しんでます~

白黒 キリン

文字の大きさ
159 / 318

決戦にて 青の竜人の意地と執念

しおりを挟む
 ドウンッ、ドウンッと魔石が何度も加速して僕へと向かってこようとするが、青のヌイジュが鬼の形相で魔石の固まり鋭角になった黒い水の先端をガッシリつかんで離さない。逆にヌイジュが強化魔法パワーダを全力で発動させジリジリと魔石を押し返す。

「ギィィィィ!!」

 魔石が自分のする事のことごとく邪魔をされ、なおかつ正面から自分の突進を止められた事で激怒しヌイジュに攻撃を加え始めた。僕はヌイジュを助けるために魔法の準備にする。

緑盛魔法グリーンカーペット超育成ハイグロウ樹根激けルートナッ「余計な事をするな!!」 え?」
「お前はさっさと、そのバカげた量の魔力を使う魔法を完成させろ!! 今、こいつの相手をするのは俺、グハッ!!」

 ヌイジュが背中越しに僕へと叫んでいると魔石の攻撃を受け体勢を崩す。魔石の黒い水を鞭や刺状にした攻撃は強化魔法パワーダを発動させたヌイジュには効かなかったけど、魔石の黒い水を棍棒のように変形させた重たい攻撃を側頭部にくらうのは、さすがにきつかったらしい。魔石はヌイジュの押さえ込む力が緩んだから、すぐさま大きく動いてヌイジュを振りほどこうとしたけどできなかった。なぜならヌイジュが倒れなかったからだ。

「なめ……るなよ」
「ギ?」
「この程度で俺を退けられると思うな!!」
「ギィ……」

 ヌイジュの身体からさっき以上の強化魔法パワーダの魔光が放たれ、魔石を僕から離れるように押し返していく。……ヌイジュって、こんなに強かったんだな。交流会の時とは違って、なんというか今のヌイジュの背中は見ていて安心感がある。でも、魔石に殴られたヌイジュの側頭部からダラダラと血が流れてるのは見過ごせない。僕はヌイジュに治癒と補助をしようとしたけど……。

「余計な事をするなと言った
はずだ!!」
「その出血は放っておけない」
「あの時も言ったが、貴様の治療は受ける気はない!!」
「……この状況でも、それを言うんだ」
「当然だ!! 俺は今でも貴様を認めていない!!」
「それなら、なんで僕を助けたの?」
「貴様以上にこいつが気に入らないからだ!!」

 ……すごい意地というか、とことん頑固な奴だね。まあ、でも、ここまで一貫していると逆に好感が持てるから不思議だ。僕がヌイジュの背中を見ていると、それを遮るようにヌイジュの大声が聞こえてきた。

「貴様はこいつを消滅させるために時間をかけている!! もし、くだらない理由で失敗してみろ……、俺が貴様を殺す!! わかったら、その魔法を完成させろ!!」
「……わかった。もうお前の事は考えずに魔法に集中する。だけど、僕からも言っておく」
「何だ!!」
「お前は魔石の相手をするって言った。もし、僕の魔法の完成する前や、ラカムタさん達がここに来るまでにお前が倒れた時は、お前抜きで魔石を倒してから僕がお前をぶちのめすからね」
「……上等だ。はああああ!!」
「ギィッ!!」

 僕とヌイジュはお互いを挑発し合ってから、僕は再び目を閉じて魔法の完成に集中しヌイジュは魔石への対応に全力を尽くす。……目を閉じてもヌイジュの強化魔法パワーダと気迫の強さを感じるから心配はしない。

「ギィギャギャ!!」
「ウグ……」

 魔石はヤートとヌイジュの会話が終わるとすぐに、固めた黒い水の棍棒を新しく複数作り出しヌイジュへと視線を向けた。これは少し離れた場所で大規模魔法を完成させつつある最も危険なヤートよりも、今自分を押さえ込んでいるヌイジュを排除すると決めたためだ。そして魔石はこれまで積み重なったイラつきや怒りを込めてヌイジュを殴り始める。



「き……かん……な」
「…………ギィ」

 かれこれ一分以上殴り続けてもヌイジュは倒れない。間違いなく傷は増えているし骨も折られているのにヌイジュは倒れない。むしろヌイジュは魔石を射殺さんばかりににらみつけており、強化魔法パワーダの魔光もまったく衰える事はなかった。魔石はそんなヌイジュの執念に困惑する。

「……確かにかなりの威力だな。しかしだ……、さっきも言ったがこの程度で俺を殺せると思うな!!」
「ギィ……」

 魔石はラカムタ達の包囲を抜けて作り出したヤートを倒すための貴重な時間が削られているのを自覚し、なんとかヌイジュを排除する手段を考え試す。しかしどのような方法でもヌイジュに押さえ込まれている状況を変える事ができず、とうとう魔石の貴重な時間は無くなった。

「ギギィ……、ギャ?」

 魔石の頭上に小さな影が四つ現れる。

「「ヤートから……」」
「「ヤート君から……」」
「「「「離れろ!!」」」」

 ガル・マイネ・リンリー・イリュキンの渾身の一撃が魔石に炸裂した。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
◎後書き
 最後まで読んでいただきありがとうございます。

 注意はしていますが誤字・脱字がありましたら教えてもらえるとうれしいです。

 感想や評価もお待ちしています。
しおりを挟む
感想 73

あなたにおすすめの小説

【長編・完結】私、12歳で死んだ。赤ちゃん還り?水魔法で救済じゃなくて、給水しますよー。

BBやっこ
ファンタジー
死因の毒殺は、意外とは言い切れない。だって貴族の後継者扱いだったから。けど、私はこの家の子ではないかもしれない。そこをつけいられて、親族と名乗る人達に好き勝手されていた。 辺境の地で魔物からの脅威に領地を守りながら、過ごした12年間。その生が終わった筈だったけど…雨。その日に辺境伯が連れて来た赤ん坊。「セリュートとでも名付けておけ」暫定後継者になった瞬間にいた、私は赤ちゃん?? 私が、もう一度自分の人生を歩み始める物語。給水係と呼ばれる水魔法でお悩み解決?

転生したので好きに生きよう!

ゆっけ
ファンタジー
前世では妹によって全てを奪われ続けていた少女。そんな少女はある日、事故にあい亡くなってしまう。 不思議な場所で目覚める少女は女神と出会う。その女神は全く人の話を聞かないで少女を地上へと送る。 奪われ続けた少女が異世界で周囲から愛される話。…にしようと思います。 ※見切り発車感が凄い。 ※マイペースに更新する予定なのでいつ次話が更新するか作者も不明。

《完結》当て馬悪役令息のツッコミ属性が強すぎて、物語の仕事を全くしないんですが?!

犬丸大福
ファンタジー
ユーディリア・エアトルは母親からの折檻を受け、そのまま意識を失った。 そして夢をみた。 日本で暮らし、平々凡々な日々の中、友人が命を捧げるんじゃないかと思うほどハマっている漫画の推しの顔。 その顔を見て目が覚めた。 なんと自分はこのまま行けば破滅まっしぐらな友人の最推し、当て馬悪役令息であるエミリオ・エアトルの双子の妹ユーディリア・エアトルである事に気がついたのだった。 数ある作品の中から、読んでいただきありがとうございます。 幼少期、最初はツラい状況が続きます。 作者都合のゆるふわご都合設定です。 日曜日以外、1日1話更新目指してます。 エール、お気に入り登録、いいね、コメント、しおり、とても励みになります。 お楽しみ頂けたら幸いです。 *************** 2024年6月25日 お気に入り登録100人達成 ありがとうございます! 100人になるまで見捨てずに居て下さった99人の皆様にも感謝を!! 2024年9月9日  お気に入り登録200人達成 感謝感謝でございます! 200人になるまで見捨てずに居て下さった皆様にもこれからも見守っていただける物語を!! 2025年1月6日  お気に入り登録300人達成 感涙に咽び泣いております! ここまで見捨てずに読んで下さった皆様、頑張って書ききる所存でございます!これからもどうぞよろしくお願いいたします! 2025年3月17日 お気に入り登録400人達成 驚愕し若干焦っております! こんなにも多くの方に呼んでいただけるとか、本当に感謝感謝でございます。こんなにも長くなった物語でも、ここまで見捨てずに居てくださる皆様、ありがとうございます!! 2025年6月10日 お気に入り登録500人達成 ひょえぇぇ?! なんですと?!完結してからも登録してくださる方が?!ありがとうございます、ありがとうございます!! こんなに多くの方にお読み頂けて幸せでございます。 どうしよう、欲が出て来た? …ショートショートとか書いてみようかな? 2025年7月8日 お気に入り登録600人達成?! うそぉん?! 欲が…欲が…ック!……うん。減った…皆様ごめんなさい、欲は出しちゃいけないらしい… 2025年9月21日 お気に入り登録700人達成?! どうしよう、どうしよう、何をどう感謝してお返ししたら良いのだろう…

異世界ママ、今日も元気に無双中!

チャチャ
ファンタジー
> 地球で5人の子どもを育てていた明るく元気な主婦・春子。 ある日、建設現場の事故で命を落としたと思ったら――なんと剣と魔法の異世界に転生!? 目が覚めたら村の片隅、魔法も戦闘知識もゼロ……でも家事スキルは超一流! 「洗濯魔法? お掃除召喚? いえいえ、ただの生活の知恵です!」 おせっかい上等! お節介で世界を変える異世界ママ、今日も笑顔で大奮闘! 魔法も剣もぶっ飛ばせ♪ ほんわかテンポの“無双系ほんわかファンタジー”開幕!

異世界人生を楽しみたい そのためにも赤ん坊から努力する

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕の名前は朝霧 雷斗(アサギリ ライト) 前世の記憶を持ったまま僕は別の世界に転生した 生まれてからすぐに両親の持っていた本を読み魔法があることを学ぶ 魔力は筋力と同じ、訓練をすれば上達する ということで努力していくことにしました

転生令嬢の食いしん坊万罪!

ねこたま本店
ファンタジー
   訳も分からないまま命を落とし、訳の分からない神様の手によって、別の世界の公爵令嬢・プリムローズとして転生した、美味しい物好きな元ヤンアラサー女は、自分に無関心なバカ父が後妻に迎えた、典型的なシンデレラ系継母と、我が儘で性格の悪い妹にイビられたり、事故物件王太子の中継ぎ婚約者にされたりつつも、しぶとく図太く生きていた。  そんなある日、プリムローズは王侯貴族の子女が6~10歳の間に受ける『スキル鑑定の儀』の際、邪悪とされる大罪系スキルの所有者であると判定されてしまう。  プリムローズはその日のうちに、同じ判定を受けた唯一の友人、美少女と見まごうばかりの気弱な第二王子・リトス共々捕えられた挙句、国境近くの山中に捨てられてしまうのだった。  しかし、中身が元ヤンアラサー女の図太い少女は諦めない。  プリムローズは時に気弱な友の手を引き、時に引いたその手を勢い余ってブン回しながらも、邪悪と断じられたスキルを駆使して生き残りを図っていく。  これは、図太くて口の悪い、ちょっと(?)食いしん坊な転生令嬢が、自分なりの幸せを自分の力で掴み取るまでの物語。  こちらの作品は、2023年12月28日から、カクヨム様でも掲載を開始しました。  今後、カクヨム様掲載用にほんのちょっとだけ内容を手直しし、1話ごとの文章量を増やす事でトータルの話数を減らした改訂版を、1日に2回のペースで投稿していく予定です。多量の加筆修正はしておりませんが、もしよろしければ、カクヨム版の方もご笑覧下さい。 ※作者が適当にでっち上げた、完全ご都合主義的世界です。細かいツッコミはご遠慮頂ければ幸いです。もし、目に余るような誤字脱字を発見された際には、コメント欄などで優しく教えてやって下さい。 ※検討の結果、「ざまぁ要素あり」タグを追加しました。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

【最強モブの努力無双】~ゲームで名前も登場しないようなモブに転生したオレ、一途な努力とゲーム知識で最強になる~

くーねるでぶる(戒め)
ファンタジー
アベル・ヴィアラットは、五歳の時、ベッドから転げ落ちてその拍子に前世の記憶を思い出した。 大人気ゲーム『ヒーローズ・ジャーニー』の世界に転生したアベルは、ゲームの知識を使って全男の子の憧れである“最強”になることを決意する。 そのために努力を続け、順調に強くなっていくアベル。 しかしこの世界にはゲームには無かった知識ばかり。 戦闘もただスキルをブッパすればいいだけのゲームとはまったく違っていた。 「面白いじゃん?」 アベルはめげることなく、辺境最強の父と優しい母に見守られてすくすくと成長していくのだった。

処理中です...