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第四章
第十話
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べレムジアへ向かう馬車に新たなメンバーが加わった。
「あくまで僕たちは君のことを信用していない。命を狙ってきた刺客だからね。もしかしたら君は仲間の所に行って僕らの情報を渡し、僕たちを危機に晒すかもしれない。だからしばらく拘束させてもらうよ」
そんな感じなのでテンも乗り込むことになったのだ。
昨夜の睡眠不足の為か、リレラはぐっすり眠っていた。
マギクは彼女を膝枕しながら本を読んでいる。
「君は寝ないのかい?」
テンが話し掛けてきた。
「朝起きるのが遅かったので、その分みんなより長く睡眠を取れたんです。テンさんこそ夜『仕事』してたんだし眠くないですか?」
「いいや、俺は生まれつきそんなに眠らなくてもいい体質でな。マギク、貴方もそうだろう?」
マギクがほんのり驚いた表情で顔を上げる。
「…よくわかったね」
「誰よりも遅くまで起きていたのに、誰よりも早く目覚めて食事の準備をしていたんだ。自分自身と重なる部分があれば、何となく気になって見てしまうものだから」
「なるほどね」
「…そういえば」
テンは先頭の方を見ながら言った。
「彼、ウロはどこで武術を身に着けたのだろうか」
武術家の彼らしい質問だ。だがその前に
「横から失礼します。テン様の場合はどうなんですか?」と私は質問してみた。
彼曰く、彼の先祖は大陸極東地域からこちらへ移住してきた人物で、その結果一族が代々彼の流派を「お家芸」として伝承しているらしい。
「東方の武術を教えている場所は『西』では少ない。全く存在しない訳じゃないが」
「やっぱりそうなんですね。でもだとすると、確かにどうやってウロ様は武術を身に着けたんでしょう」
そもそもウロが東洋武術を使えるという話自体この場で初めて聞いたのだが、興味をそそられてきた。
マギクはにやりと笑いながら答えた。
「東方の武術を学べる場所が少ないって話、ウロのせいってのもあるかもね」
曰く、ウロはかつて数年を掛けて各国にあるあらゆる形態の武術の道場を破って回ったらしい。
「ウロはいわゆる『万能型』の天才でね。しかも知的好奇心に溢れ、コレクション好きでもある。だから色んな道場に行ってそれぞれの場所で学べる技法を『収集』して回った。でも、彼は同時に人類史上最大の飽き性でもある。学びたいことを学んだらすぐにそこを辞めてしまう。ただ辞める時に力試しを兼ねて師範と戦うんだ。『習って数ヶ月の素人に負ける程度なら道場なんてやめてしまえ』と挑発してね」
「そしてもし師範を負かすことができれば…」
「そう。道場破りが成立するんだ」
なんて恐ろしい才能だろう。
「彼はどれくらい破ったんだ?」
テンが明らかに楽しんでいる様子だ。
「そうだな、具体的な数は判りかねるんだけど、二桁であることは確かかな」
テンはそれを聞いて軽く首を振りながらハハハと笑った。
「そうか、納得したぞ。俺はそんな男に敗北できたんだ。満足だよ」
武術家の魂。
強さを求め、誇りを求める戦士ならではの言葉だ。
昼前、森を抜けると、一面に大きな湖が広がった
道はその湖に浮かぶ、白鳥のように真っ白な城壁都市へと伸びている。
魔法都市べレムジア。
ようやく到着だ。
宿屋に馬車を預けてから、商会に行くと言ってウロとマギクが出掛けた。
私達は部屋で談笑しながらのんびりと過ごしていた。
一時間ほど経ってから二人が戻って来た。
「どうだ?」
ジールバードの問いにマギクは首を横に振った。
「ユメリアが不在だった。しかも完全にこの件はユメリアの個人行動らしくて、商会からも対応して貰えなかったよ」
「いつ戻るって?」
今度はベッドから体を起こしたリレラが質問する。
「それがわかんねぇんだとさ。ほぼ失踪状態らしい」
そしてそれにはウロが答えた。
苦労して遥々ここまで来たのに成果なし、見通し不明。部屋全体に沈黙が満ちていた。
リレラがそれを破る。
「ねえ、折角魔法都市に来たんだし見て回らない? お昼もまだだし」
「…そうだね。一先ずは心を休めようか」
彼女の提案にマギクが乗り、他のメンバーも賛成した。
七人は街へ繰り出した。
「あくまで僕たちは君のことを信用していない。命を狙ってきた刺客だからね。もしかしたら君は仲間の所に行って僕らの情報を渡し、僕たちを危機に晒すかもしれない。だからしばらく拘束させてもらうよ」
そんな感じなのでテンも乗り込むことになったのだ。
昨夜の睡眠不足の為か、リレラはぐっすり眠っていた。
マギクは彼女を膝枕しながら本を読んでいる。
「君は寝ないのかい?」
テンが話し掛けてきた。
「朝起きるのが遅かったので、その分みんなより長く睡眠を取れたんです。テンさんこそ夜『仕事』してたんだし眠くないですか?」
「いいや、俺は生まれつきそんなに眠らなくてもいい体質でな。マギク、貴方もそうだろう?」
マギクがほんのり驚いた表情で顔を上げる。
「…よくわかったね」
「誰よりも遅くまで起きていたのに、誰よりも早く目覚めて食事の準備をしていたんだ。自分自身と重なる部分があれば、何となく気になって見てしまうものだから」
「なるほどね」
「…そういえば」
テンは先頭の方を見ながら言った。
「彼、ウロはどこで武術を身に着けたのだろうか」
武術家の彼らしい質問だ。だがその前に
「横から失礼します。テン様の場合はどうなんですか?」と私は質問してみた。
彼曰く、彼の先祖は大陸極東地域からこちらへ移住してきた人物で、その結果一族が代々彼の流派を「お家芸」として伝承しているらしい。
「東方の武術を教えている場所は『西』では少ない。全く存在しない訳じゃないが」
「やっぱりそうなんですね。でもだとすると、確かにどうやってウロ様は武術を身に着けたんでしょう」
そもそもウロが東洋武術を使えるという話自体この場で初めて聞いたのだが、興味をそそられてきた。
マギクはにやりと笑いながら答えた。
「東方の武術を学べる場所が少ないって話、ウロのせいってのもあるかもね」
曰く、ウロはかつて数年を掛けて各国にあるあらゆる形態の武術の道場を破って回ったらしい。
「ウロはいわゆる『万能型』の天才でね。しかも知的好奇心に溢れ、コレクション好きでもある。だから色んな道場に行ってそれぞれの場所で学べる技法を『収集』して回った。でも、彼は同時に人類史上最大の飽き性でもある。学びたいことを学んだらすぐにそこを辞めてしまう。ただ辞める時に力試しを兼ねて師範と戦うんだ。『習って数ヶ月の素人に負ける程度なら道場なんてやめてしまえ』と挑発してね」
「そしてもし師範を負かすことができれば…」
「そう。道場破りが成立するんだ」
なんて恐ろしい才能だろう。
「彼はどれくらい破ったんだ?」
テンが明らかに楽しんでいる様子だ。
「そうだな、具体的な数は判りかねるんだけど、二桁であることは確かかな」
テンはそれを聞いて軽く首を振りながらハハハと笑った。
「そうか、納得したぞ。俺はそんな男に敗北できたんだ。満足だよ」
武術家の魂。
強さを求め、誇りを求める戦士ならではの言葉だ。
昼前、森を抜けると、一面に大きな湖が広がった
道はその湖に浮かぶ、白鳥のように真っ白な城壁都市へと伸びている。
魔法都市べレムジア。
ようやく到着だ。
宿屋に馬車を預けてから、商会に行くと言ってウロとマギクが出掛けた。
私達は部屋で談笑しながらのんびりと過ごしていた。
一時間ほど経ってから二人が戻って来た。
「どうだ?」
ジールバードの問いにマギクは首を横に振った。
「ユメリアが不在だった。しかも完全にこの件はユメリアの個人行動らしくて、商会からも対応して貰えなかったよ」
「いつ戻るって?」
今度はベッドから体を起こしたリレラが質問する。
「それがわかんねぇんだとさ。ほぼ失踪状態らしい」
そしてそれにはウロが答えた。
苦労して遥々ここまで来たのに成果なし、見通し不明。部屋全体に沈黙が満ちていた。
リレラがそれを破る。
「ねえ、折角魔法都市に来たんだし見て回らない? お昼もまだだし」
「…そうだね。一先ずは心を休めようか」
彼女の提案にマギクが乗り、他のメンバーも賛成した。
七人は街へ繰り出した。
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