番探しにやって来た王子様に見初められました。逃げたらだめですか?

ゆきりん(安室 雪)

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 畑には花が沢山咲いていて、緑の絨毯に白い小花が点在している。

 「わっ、綺麗だな」

 「何の花か知ってるか」

 2人は馬の歩みを緩め、小花を見ながら話す。

 「多分見た事はあるが、何の花かは気にした事無かったな」

 屋敷内に飾ってある花は、デイジーが名前をよく教えてくれたが、あんまり覚えてないし。そもそも興味がない。

 「さっき食ったぞ」

 「さっき・・・。トマトパスタ・蕎麦の野菜とチーズのガレット・野菜スープ・スペアリブ」

 「小麦か?」

 「ぷっ。まあ、考え的には悪くないな、蕎麦の花だ」

 「花は白いんだな、蕎麦はグレーなのに」

 「ああ、実が黒っぽいからな」

 答えが出た所で馬の歩みを早める。

 「異国では小麦と合わせてパスタみたいに細長くして、つけ汁に付けて食べるんだ。美味いぞ」

 「あんまりソレには興味わかないな。ガレットで充分だ」

 下手に食べたいと言ったら、この旅の延長で連れて行かれそうだからな。




 「で、何でまた同じ部屋なんだ?ガイナード殿下?」

 わざとちゃんとした呼び名で呼んでやる。

 ガイナが手配した部屋は1部屋だったのだ、しかも大きめなベッドが1つ。

 「スミレを口説くには2週間しかないんだ。出来るだけ一緒にいたいと思うのは当然だろ?大丈夫だ、スミレの寝相は悪くなかったぞ?起きてからは足癖が悪いけどな?」

 「もう1部屋頼んでくる」

 スミレが部屋を出ようとすると、ガイナに腕を掴まれる。

 「安心しろよ、襲わないからな。それに、俺に何かあるかも知れないから部屋に一緒にいるのは助かる」

 うっ、確かにガイナは騎士で腕も立つ。だが他に護衛が1人もいない。もし、寝込みを賊に襲われたら・・・。

 スミレは気配で起きる事が出来るし、ガイナもそうだろう。しかし、先日みたいに数で来られれば苦しいかも知れない。

 「わかった。ただし、この部屋にはソファーがあるから、私はそちらで寝るからな!ソレが譲歩する条件だ」

 ガイナの目を睨みながら言う。

 「ふぅ、わかった。そっちで寝ればいい」

 ガイナが折れる形になり、スミレは満足気に頷いた。




 しかし、翌朝。

 「おかしいだろっ!?何でガイナに抱きしめられてるんだよっ!?」

 スミレは目を覚ました途端、怒鳴り散らすのだった。





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