番探しにやって来た王子様に見初められました。逃げたらだめですか?

ゆきりん(安室 雪)

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 「だから、俺は知らないぞ?スミレが寝ぼけてベッドに来たんだろ?」

 「う~っ、そんなはずはないっ!!」

 2人は言い合いしながら宿のそばにある定食屋で朝食を食べる。この2人、食事はガッツリ食べるのでそれぞれの朝食セットに、更に2人で分けて食べれる様に何品か追加している。

 「しかし、スミレの食べっぷりは見ていて気持ちがいいな。令嬢とかって大体、チマチマ食って残して、菓子ばっかり食ってるだろ?『菓子食うなら食事は残すなっ』て思うんだよな。スミレはどっちもよく食うから色々食べさせたくなる。おっ、スミレ、口の端にソースが付いてるぞ」

 ガイナは向かいの席から手を伸ばし、口の端から唇にかけて親指で拭ってくれる。

 「うっ、すまなーーー、舐めるなよっ」

 ガイナはソースを拭った指をペロリと舐めた。その舌の動きを見て、スミレはゾクリとした。何だ?この気持ちは?

 そして、いきなりオレンジの大輪の薔薇が3輪降ってきた。

 「なっ!?何処から落ちて来たんだ、この薔薇は!?」

 驚くスミレをよそに、ガイナは薔薇を拾いあげて嬉しそうに微笑んだ。

 「俺とスミレの愛の花は、オレンジの薔薇だな。明るく元気なエンジェルにピッタリだ」

 ガイナは拾いあげた薔薇の1輪に、優しくキスをした。

 「おやおや、あんた達番なのかい。こないだの王太子様の婚約発表の儀式は見たかったんだけど、ココの商売があったから見に行けなかったんだよ。本当に番だと薔薇が舞い降りて来るんだね。もし良かったらその薔薇貰えないかい?」

 「構わない」

 店主らしきおばさんにガイナが花を渡すと、嬉しそうに持っ行き、フルーツ盛りを持ってやって来た。

 「お礼さ、食べてくれ」

 「おっ、美味そうだな。ありがとな」

 ガイナはパクパク食べ始め、スミレにもすすめてくる。

 しかし、スミレの頭の中は突然出てきた花の事で頭はいっぱいだった。大体デイジーの話しだとキスをすると愛の花とやらが降ってくるんだろ?指に付いたソース舐めて降るっておかしくないか!?



 
 「ガイナさっきの花、何か仕掛けがあるのか?」

 そうだ、スミレに番を認めさせる為に何かしているに違いない。

 宿屋に戻り、移動の準備をしながらスミレはガイナに問い詰める。

 「は?」

 「だから、オレンジの薔薇だよっ!!聞いた話しだと、キスをすると出て来るんだろ?さっきのは薔薇が出てくる要素が無いじゃないかっ!」

 「まあ・・・、そうだな。俺もさっきので愛の花が出たのは半分驚いてる。しかし、『おっ、これでも出るんだ』とも思ったよ」

 ガイナは相変わらず嬉しそうだ。

 「実はな、王太子妃のミーシャは婚約発表前に誘拐されたんだ。で、一緒に誘拐された侍女と共に誘拐途中で抜け出して、侍女の屋敷で匿われている間に、王太子と文通してたんだ」

 「は?はぁ」

 誘拐なんて初めて聞いた。

 「まあ、誘拐事件は王宮内では有名なんだけどな。で、その手紙の最期に署名して、キスをしたらしいんだ。届いた方も相手を思ってその署名にキスをしたら、さっきみたいに花が3輪出たんだよ。俺は間近で見て驚いたと共に、番の絆は凄いなって感心したんだ。だからさっきスミレと愛の花が出て嬉しかった」

 ガイナはジッとスミレを見つめながら頭を撫でる。



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