13 / 40
12
しおりを挟む
「離せよっ!」
「もうちょっとだけ、いいだろ?」
ガイナは抱きしめながらスミレ首筋に唇を付け、鼻をスンスンとさせ、スミレの匂いを嗅ぐ。
「ああ、お前はいい匂いだ。ずっと嗅いでいたくなる」
スミレは思いっきりダイナを蹴り上げる。
「いい加減にしろっ、変態っ!!」
スミレはプリプリ怒りながら宿の下で遅めの朝食を食べる。
「よくよく考えたら、チーズだの肉だのは1人で食べに行けばいいだろ?巻き込むなよ」
ぐっすり寝た割にはスミレは不機嫌だった。
「じゃあ、すぐに王宮に行くか?」
「だから番にはならないって言ってるだろ?何回同じ事言わせるんだよ?」
「・・・、わかったスミレ。じゃあこうしよう。2週間の旅が終わった時も今と同じく番になりたくなければ、俺はスミレを諦める。ソレでどうだ?」
「いいのか?気持ちは変わらないぞ?」
「ああ、その方が俺も燃える。全力でいかせてもらうぜ?」
ガイナ殿下は獲物を前にした黒豹みたいにニヤリと笑った。
2人は遅めの朝食後、カッツェ地方に向かい馬を走らせる。街中は1列でゆっくり歩かせ、街を出でからは並んで走っている。
ガイナはさすが騎士だけあって、手綱さばきが上手い。馬に乗せて貰ってる風ではなく自分の身体の一部の様に馴染んでいる。
「そういえば、護衛騎士達はいいのか?」
素朴は疑問だ。デラウェア伯爵領に来た時は騎士達が10名程いたはずだ。
「ああ、撒いてきた。問題ない。それにせっかくスミレとの愛を育む旅に連れて行く訳ないだろ?王宮に連れて行ったら会える時間は限られてくるからな。2週間で必ず俺の番になるって言わせてやる。ここの桃が美味いんだ、食べて行こうぜ」
馬から降りたガイナは、道端にある小屋の中に声をかける。
桃の直売所らしい。中でも食べれる様に机と椅子がいくつか置いてある。
ガイナは桃を4個カゴに入れて持ってきた。皮をツルリと手で剥きかぶりつく。スミレは小振りのナイフを取り出し切って食べた。
「甘くてうまっ!!」
しかもジューシーだ。普段食べる桃も美味しいが瑞々しさに違いがある。
「裏の畑で取れたてだからな。季節が合えば地方に行く時は今回みたいにココで食べ、帰る時には箱で買って帰るんだ。2週間後ならまだシーズンだから買って帰ろうな」
ガイナ殿下はあっと言う間に2個食べ終わる。買って帰っても一緒には食べれそうにないけどな、とスミレは心の中で思った。
桃を食べ終わった2人はまた馬を走らせる。朝食が遅かった2人は14時ころ街道にある店で食事をした後、少し迂回し花畑を横目に馬を走らせた。
「もうちょっとだけ、いいだろ?」
ガイナは抱きしめながらスミレ首筋に唇を付け、鼻をスンスンとさせ、スミレの匂いを嗅ぐ。
「ああ、お前はいい匂いだ。ずっと嗅いでいたくなる」
スミレは思いっきりダイナを蹴り上げる。
「いい加減にしろっ、変態っ!!」
スミレはプリプリ怒りながら宿の下で遅めの朝食を食べる。
「よくよく考えたら、チーズだの肉だのは1人で食べに行けばいいだろ?巻き込むなよ」
ぐっすり寝た割にはスミレは不機嫌だった。
「じゃあ、すぐに王宮に行くか?」
「だから番にはならないって言ってるだろ?何回同じ事言わせるんだよ?」
「・・・、わかったスミレ。じゃあこうしよう。2週間の旅が終わった時も今と同じく番になりたくなければ、俺はスミレを諦める。ソレでどうだ?」
「いいのか?気持ちは変わらないぞ?」
「ああ、その方が俺も燃える。全力でいかせてもらうぜ?」
ガイナ殿下は獲物を前にした黒豹みたいにニヤリと笑った。
2人は遅めの朝食後、カッツェ地方に向かい馬を走らせる。街中は1列でゆっくり歩かせ、街を出でからは並んで走っている。
ガイナはさすが騎士だけあって、手綱さばきが上手い。馬に乗せて貰ってる風ではなく自分の身体の一部の様に馴染んでいる。
「そういえば、護衛騎士達はいいのか?」
素朴は疑問だ。デラウェア伯爵領に来た時は騎士達が10名程いたはずだ。
「ああ、撒いてきた。問題ない。それにせっかくスミレとの愛を育む旅に連れて行く訳ないだろ?王宮に連れて行ったら会える時間は限られてくるからな。2週間で必ず俺の番になるって言わせてやる。ここの桃が美味いんだ、食べて行こうぜ」
馬から降りたガイナは、道端にある小屋の中に声をかける。
桃の直売所らしい。中でも食べれる様に机と椅子がいくつか置いてある。
ガイナは桃を4個カゴに入れて持ってきた。皮をツルリと手で剥きかぶりつく。スミレは小振りのナイフを取り出し切って食べた。
「甘くてうまっ!!」
しかもジューシーだ。普段食べる桃も美味しいが瑞々しさに違いがある。
「裏の畑で取れたてだからな。季節が合えば地方に行く時は今回みたいにココで食べ、帰る時には箱で買って帰るんだ。2週間後ならまだシーズンだから買って帰ろうな」
ガイナ殿下はあっと言う間に2個食べ終わる。買って帰っても一緒には食べれそうにないけどな、とスミレは心の中で思った。
桃を食べ終わった2人はまた馬を走らせる。朝食が遅かった2人は14時ころ街道にある店で食事をした後、少し迂回し花畑を横目に馬を走らせた。
210
あなたにおすすめの小説
【完結】番が見ているのでさようなら
堀 和三盆
恋愛
その視線に気が付いたのはいつ頃のことだっただろう。
焦がれるような。縋るような。睨みつけるような。
どこかから注がれる――番からのその視線。
俺は猫の獣人だ。
そして、その見た目の良さから獣人だけでなく人間からだってしょっちゅう告白をされる。いわゆるモテモテってやつだ。
だから女に困ったことはないし、生涯をたった一人に縛られるなんてバカみてえ。そんな風に思っていた。
なのに。
ある日、彼女の一人とのデート中にどこからかその視線を向けられた。正直、信じられなかった。急に体中が熱くなり、自分が興奮しているのが分かった。
しかし、感じるのは常に視線のみ。
コチラを見るだけで一向に姿を見せない番を無視し、俺は彼女達との逢瀬を楽しんだ――というよりは見せつけた。
……そうすることで番からの視線に変化が起きるから。
[完結]間違えた国王〜のお陰で幸せライフ送れます。
キャロル
恋愛
国の駒として隣国の王と婚姻する事にになったマリアンヌ王女、王族に生まれたからにはいつかはこんな日が来ると覚悟はしていたが、その相手は獣人……番至上主義の…あの獣人……待てよ、これは逆にラッキーかもしれない。
離宮でスローライフ送れるのでは?うまく行けば…離縁、
窮屈な身分から解放され自由な生活目指して突き進む、美貌と能力だけチートなトンデモ王女の物語
【完結】気味が悪いと見放された令嬢ですので ~殿下、無理に愛さなくていいのでお構いなく~
Rohdea
恋愛
───私に嘘は通じない。
だから私は知っている。あなたは私のことなんて本当は愛していないのだと──
公爵家の令嬢という身分と魔力の強さによって、
幼い頃に自国の王子、イライアスの婚約者に選ばれていた公爵令嬢リリーベル。
二人は幼馴染としても仲良く過ごしていた。
しかし、リリーベル十歳の誕生日。
嘘を見抜ける力 “真実の瞳”という能力に目覚めたことで、
リリーベルを取り巻く環境は一変する。
リリーベルの目覚めた真実の瞳の能力は、巷で言われている能力と違っていて少々特殊だった。
そのことから更に気味が悪いと親に見放されたリリーベル。
唯一、味方となってくれたのは八歳年上の兄、トラヴィスだけだった。
そして、婚約者のイライアスとも段々と距離が出来てしまう……
そんな“真実の瞳”で視てしまった彼の心の中は───
※『可愛い妹に全てを奪われましたので ~あなた達への未練は捨てたのでお構いなく~』
こちらの作品のヒーローの妹が主人公となる話です。
めちゃくちゃチートを発揮しています……
番?呪いの別名でしょうか?私には不要ですわ
紅子
恋愛
私は充分に幸せだったの。私はあなたの幸せをずっと祈っていたのに、あなたは幸せではなかったというの?もしそうだとしても、あなたと私の縁は、あのとき終わっているのよ。あなたのエゴにいつまで私を縛り付けるつもりですか?
何の因果か私は10歳~のときを何度も何度も繰り返す。いつ終わるとも知れない死に戻りの中で、あなたへの想いは消えてなくなった。あなたとの出会いは最早恐怖でしかない。終わらない生に疲れ果てた私を救ってくれたのは、あの時、私を救ってくれたあの人だった。
12話完結済み。毎日00:00に更新予定です。
R15は、念のため。
自己満足の世界に付き、合わないと感じた方は読むのをお止めください。設定ゆるゆるの思い付き、ご都合主義で書いているため、深い内容ではありません。さらっと読みたい方向けです。矛盾点などあったらごめんなさい(>_<)
【完結】お前を愛することはないとも言い切れない――そう言われ続けたキープの番は本物を見限り国を出る
堀 和三盆
恋愛
「お前を愛することはない」
「お前を愛することはない」
「お前を愛することはない」
デビュタントを迎えた令嬢達との対面の後。一人一人にそう告げていく若き竜王――ヴァール。
彼は新興国である新獣人国の国王だ。
新獣人国で毎年行われるデビュタントを兼ねた成人の儀。貴族、平民を問わず年頃になると新獣人国の未婚の娘は集められ、国王に番の判定をしてもらう。国王の番ではないというお墨付きを貰えて、ようやく新獣人国の娘たちは成人と認められ、結婚をすることができるのだ。
過去、国の為に人間との政略結婚を強いられてきた王族は番感知能力が弱いため、この制度が取り入れられた。
しかし、他種族国家である新獣人国。500年を生きると言われる竜人の国王を始めとして、種族によって寿命も違うし体の成長には個人差がある。成長が遅く、判別がつかない者は特例として翌年の判別に再び回される。それが、キープの者達だ。大抵は翌年のデビュタントで判別がつくのだが――一人だけ、十年近く保留の者がいた。
先祖返りの竜人であるリベルタ・アシュランス伯爵令嬢。
新獣人国の成人年齢は16歳。既に25歳を過ぎているのに、リベルタはいわゆるキープのままだった。
あなたの運命になりたかった
夕立悠理
恋愛
──あなたの、『運命』になりたかった。
コーデリアには、竜族の恋人ジャレッドがいる。竜族には、それぞれ、番という存在があり、それは運命で定められた結ばれるべき相手だ。けれど、コーデリアは、ジャレッドの番ではなかった。それでも、二人は愛し合い、ジャレッドは、コーデリアにプロポーズする。幸せの絶頂にいたコーデリア。しかし、その翌日、ジャレッドの番だという女性が現れて──。
※一話あたりの文字数がとても少ないです。
※小説家になろう様にも投稿しています
王弟殿下の番様は溺れるほどの愛をそそがれ幸せに…
ましろ
恋愛
見つけた!愛しい私の番。ようやく手に入れることができた私の宝玉。これからは私のすべてで愛し、護り、共に生きよう。
王弟であるコンラート公爵が番を見つけた。
それは片田舎の貴族とは名ばかりの貧乏男爵の娘だった。物語のような幸運を得た少女に人々は賞賛に沸き立っていた。
貧しかった少女は番に愛されそして……え?
【完結】そう、番だったら別れなさい
堀 和三盆
恋愛
ラシーヌは狼獣人でライフェ侯爵家の一人娘。番である両親に憧れていて、番との婚姻を完全に諦めるまでは異性との交際は控えようと思っていた。
しかし、ある日を境に母親から異性との交際をしつこく勧められるようになり、仕方なく幼馴染で猫獣人のファンゲンに恋人のふりを頼むことに。彼の方にも事情があり、お互いの利害が一致したことから二人の嘘の交際が始まった。
そして二人が成長すると、なんと偽の恋人役を頼んだ幼馴染のファンゲンから番の気配を感じるようになり、幼馴染が大好きだったラシーヌは大喜び。早速母親に、
『お付き合いしている幼馴染のファンゲンが私の番かもしれない』――と報告するのだが。
「そう、番だったら別れなさい」
母親からの返答はラシーヌには受け入れ難いものだった。
お母様どうして!?
何で運命の番と別れなくてはいけないの!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる