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令嬢による支配
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※令嬢視点です
☆ ☆ ☆
家に戻った私は、すぐに着替え直し、商店の並ぶ通りに向かった。
金の回収をするためだ。
本来、当主である父上がするべき仕事だけど、私が受け持っている。
私たち、ブレッザ家は、元いた国で事業に失敗し、国外追放されることになった。
なんとかして、そこから遠く離れた国の、この小さな街に、辿りついたのだ。
幸いにも、ブレッザ家の名前は、ある程度通用し、町民たちを支配することができている。
とは言っても、町民から回収できる金は、微々たるもので……。
今は、父上と母上は、どこかの国で、働いてくれている。
この街に来た次の日には、出て行ってしまったから、もう一年間顔を合わせていない。
だけど、私は一人でもやっていける……。
軍人らしく、かつての軍服を模した、戦闘服を着て、気合十分の私は、堂々と胸を張って、道を歩き始めた。
「では、あの家から参りましょう」
回収は、定期的ではなく、いつも突発的に行うことにしている。
そして、毎回その日目に入った店を、ターゲットにしていた。
「そんな! 私たちは、もう三週間連続で、金を払っています! このままでは、生活が……」
「運が悪かったと思いなさい。何も、全財産を出せとは言ってません。生活ができるギリギリになるまで、金を寄越せと言っているのです」
「……明日、娘の誕生日なんです。どうか、お許しを」
「塩でも舐めさせておけばいいでしょう?」
ボディガードに合図して、逆らう男を殴らせた。
「わ、わかりました! 払いますからぁ……」
……最初から、逆らわなければいいのに。
それから次々と店を回り、金を回収していく。
やせ細った街であるせいか、やっぱり今日も、回収できる額は、たかが知れていた。
……悔しいけど、あの小太りのお宝を売った方が、効率が良い。
だけど、町民に、支配されているという意識を植え付けるためには、この仕事は絶対に必要だ。
ブレッザ家は、強くなければいけない。
他国に出向き、必死で仕事をしている父上。
それに付き添う母上。
二人が帰ってくる家を守るためにも、私は……。
「待ちな」
道の途中で、急に呼び止められた。
振り返ると、腕組みをした女性が、こちらを睨んでいる。
酒屋の娘の、ベオリーナだ。
……厄介な奴が来た。
「さっき、レオーラの父ちゃんから聞いたよ。誕生日プレゼントのために、溜めてた金、あんたが取っちまったんだって?」
「……回収しただけですよ」
「一緒じゃねぇか!」
「ベオリーナ。女性らしい言葉遣いをしなさい」
「軍人崩れが。口調のこと言うなよ」
「……」
腹が立つけれど、女性を殴らせるわけにはいかない。
「返してやれよ。どうせ今日も、たんまり儲けたんだろ?」
「うるさいですね……」
「……」
ベオリーナが、無言で睨みつけてくる。
仕方ない……。これ以上話すのも面倒だ。
ボディガードに合図して、少しだけ金を渡させた。
「……これでいいですか?」
ベオリーナは、何も言わずに、走って行ってしまった。
あいつ……。せっかく恵んでやったのに。
ブレッザ家が、これだけ怖さを見せていても、あの女だけは、いつも反抗してくる。
……だけど、本当に、あいつ一人だけだ。
他の町民は、穏やかで……。反撃の、はの字もないような。無害な連中。
「帰りましょう。今日はもう、十分です」
今日は、あんなこともあって、疲れてしまった。
帰って……。ゆっくり休もう。
☆ ☆ ☆
家に戻った私は、すぐに着替え直し、商店の並ぶ通りに向かった。
金の回収をするためだ。
本来、当主である父上がするべき仕事だけど、私が受け持っている。
私たち、ブレッザ家は、元いた国で事業に失敗し、国外追放されることになった。
なんとかして、そこから遠く離れた国の、この小さな街に、辿りついたのだ。
幸いにも、ブレッザ家の名前は、ある程度通用し、町民たちを支配することができている。
とは言っても、町民から回収できる金は、微々たるもので……。
今は、父上と母上は、どこかの国で、働いてくれている。
この街に来た次の日には、出て行ってしまったから、もう一年間顔を合わせていない。
だけど、私は一人でもやっていける……。
軍人らしく、かつての軍服を模した、戦闘服を着て、気合十分の私は、堂々と胸を張って、道を歩き始めた。
「では、あの家から参りましょう」
回収は、定期的ではなく、いつも突発的に行うことにしている。
そして、毎回その日目に入った店を、ターゲットにしていた。
「そんな! 私たちは、もう三週間連続で、金を払っています! このままでは、生活が……」
「運が悪かったと思いなさい。何も、全財産を出せとは言ってません。生活ができるギリギリになるまで、金を寄越せと言っているのです」
「……明日、娘の誕生日なんです。どうか、お許しを」
「塩でも舐めさせておけばいいでしょう?」
ボディガードに合図して、逆らう男を殴らせた。
「わ、わかりました! 払いますからぁ……」
……最初から、逆らわなければいいのに。
それから次々と店を回り、金を回収していく。
やせ細った街であるせいか、やっぱり今日も、回収できる額は、たかが知れていた。
……悔しいけど、あの小太りのお宝を売った方が、効率が良い。
だけど、町民に、支配されているという意識を植え付けるためには、この仕事は絶対に必要だ。
ブレッザ家は、強くなければいけない。
他国に出向き、必死で仕事をしている父上。
それに付き添う母上。
二人が帰ってくる家を守るためにも、私は……。
「待ちな」
道の途中で、急に呼び止められた。
振り返ると、腕組みをした女性が、こちらを睨んでいる。
酒屋の娘の、ベオリーナだ。
……厄介な奴が来た。
「さっき、レオーラの父ちゃんから聞いたよ。誕生日プレゼントのために、溜めてた金、あんたが取っちまったんだって?」
「……回収しただけですよ」
「一緒じゃねぇか!」
「ベオリーナ。女性らしい言葉遣いをしなさい」
「軍人崩れが。口調のこと言うなよ」
「……」
腹が立つけれど、女性を殴らせるわけにはいかない。
「返してやれよ。どうせ今日も、たんまり儲けたんだろ?」
「うるさいですね……」
「……」
ベオリーナが、無言で睨みつけてくる。
仕方ない……。これ以上話すのも面倒だ。
ボディガードに合図して、少しだけ金を渡させた。
「……これでいいですか?」
ベオリーナは、何も言わずに、走って行ってしまった。
あいつ……。せっかく恵んでやったのに。
ブレッザ家が、これだけ怖さを見せていても、あの女だけは、いつも反抗してくる。
……だけど、本当に、あいつ一人だけだ。
他の町民は、穏やかで……。反撃の、はの字もないような。無害な連中。
「帰りましょう。今日はもう、十分です」
今日は、あんなこともあって、疲れてしまった。
帰って……。ゆっくり休もう。
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