9 / 16
集結
「はぁ……」
街に戻ってきた私は、どっと疲れてしまっていた。
だけど、休んでいてはいけない。
キリアの件を、街のみんなに話して、協力を得るんだ。
私は、商店の並ぶエリアを訪れた。
すると、何やら人が集まっていた。
「あっ、スズカ!」
その集団のうちの一人、酒屋の娘のベオリーナが、元気にこちらに手を振ってきた。
「みんな集まって……。どうしたの?」
「それがさぁ。またブレッザ家の女が出てきて、金を回収して回ったんだよ」
さっき、キリアに酷いことをしたばかりなのに……。
あの人には、人の心が無いのだろうか。
「でも、レオーラの誕生日プレゼントを買う金だけは、なんとか取り返してやったぜ!」
「いや……。本当に情けない話だ。ありがとうベオリーナ」
「良いって良いって! レオーラに、良いもん買ってやってくれよな!」
ベオリーナは、強い人だなぁ……。
……ベオリーナに頼んだら、街の人を、一つにしてくれるだろうか。
「ん? どうした? あたしの顔に、なんかついてるか?」
「う、ううん。なんでもないの」
「……」
ベオリーナが、無言でこちらに近づいてきた。
私は思わず、後ずさりをする。
「べ、ベオリーナ。何?」
「なんか怪しいなぁ……。スズカ、あたしに隠し事してないか?」
「隠し事……っていうか」
「なんでも話してくれよ! あたしとあんたは、小さい時から仲良しだろ? な?」
ベオリーナが、私の肩をバンバンと叩いてくる。
頼れる存在なのは確かだけど、正直言って、苦手なタイプだった。
……でも、そうも言ってられない。
「……じゃあ、向こうで話そう」
「おう!」
ベオリーナを連れて、人のいない場所に向かった。
そして、キリアに起こったことと、ネイトルの件を話した。
「……とんでもないことになってるな」
「……現実じゃないみたい」
「ほっぺ、抓ってやろうか?」
「い、いいから。大丈夫」
「じゃあ、現実ってわかってんじゃん」
ベオリーナが、にっこりと笑った。
……悪い人じゃないのは、確かなんだけど。
「そんで、やることも決まったな」
「え?」
「お姫様の力を借りられるんなら……。怖いもの無しじゃねぇか」
「だけど……」
「だけどじゃない。スズカ。お前は、弟に甘えすぎなんだよ」
「えっ、ど、どうして急に、キリアの話?」
「キリアが優しいから、お前はいつまで経っても優柔不断なんじゃないかって話」
……そうなのかな。
私は、キリアの優しさに、甘えすぎていたのだろうか。
「お姉ちゃんなんだろ? 弟を救うって決めたんだろ? だったら迷うことはねぇって。運まで味方につけたんだから、後は実行するのみ……な?」
「……そうだよね」
ベオリーナの明るさに、引っ張られるようにして、私も段々と前向きになってきた。
「で、そのお姫様は、いつ来るんだよ」
「それは、よくわかってなくて……。だけど、話を聞いてる感じだと、割とすぐかも」
「すぐって、今日中か?」
「さすがにそれは――」
「お~い!! 姉さん!!!」
キリアが、いきなりこちらに走ってきた。
「よかった……。ここにいたんだね」
「キ、キリア!? 体はもう大丈夫なの?」
「あぁうん。元々そんなに、強く殴られてはないし……。って、そんなことより! 王都から、ものすごい数の人が、押し寄せて来てるけど!? しかも、姉さんに用事があるって……。一体何をしたんだよ!」
動揺するキリア。
私も、同じように、狼狽えている。
……ベオリーナだけが、ニコニコしていた。
街に戻ってきた私は、どっと疲れてしまっていた。
だけど、休んでいてはいけない。
キリアの件を、街のみんなに話して、協力を得るんだ。
私は、商店の並ぶエリアを訪れた。
すると、何やら人が集まっていた。
「あっ、スズカ!」
その集団のうちの一人、酒屋の娘のベオリーナが、元気にこちらに手を振ってきた。
「みんな集まって……。どうしたの?」
「それがさぁ。またブレッザ家の女が出てきて、金を回収して回ったんだよ」
さっき、キリアに酷いことをしたばかりなのに……。
あの人には、人の心が無いのだろうか。
「でも、レオーラの誕生日プレゼントを買う金だけは、なんとか取り返してやったぜ!」
「いや……。本当に情けない話だ。ありがとうベオリーナ」
「良いって良いって! レオーラに、良いもん買ってやってくれよな!」
ベオリーナは、強い人だなぁ……。
……ベオリーナに頼んだら、街の人を、一つにしてくれるだろうか。
「ん? どうした? あたしの顔に、なんかついてるか?」
「う、ううん。なんでもないの」
「……」
ベオリーナが、無言でこちらに近づいてきた。
私は思わず、後ずさりをする。
「べ、ベオリーナ。何?」
「なんか怪しいなぁ……。スズカ、あたしに隠し事してないか?」
「隠し事……っていうか」
「なんでも話してくれよ! あたしとあんたは、小さい時から仲良しだろ? な?」
ベオリーナが、私の肩をバンバンと叩いてくる。
頼れる存在なのは確かだけど、正直言って、苦手なタイプだった。
……でも、そうも言ってられない。
「……じゃあ、向こうで話そう」
「おう!」
ベオリーナを連れて、人のいない場所に向かった。
そして、キリアに起こったことと、ネイトルの件を話した。
「……とんでもないことになってるな」
「……現実じゃないみたい」
「ほっぺ、抓ってやろうか?」
「い、いいから。大丈夫」
「じゃあ、現実ってわかってんじゃん」
ベオリーナが、にっこりと笑った。
……悪い人じゃないのは、確かなんだけど。
「そんで、やることも決まったな」
「え?」
「お姫様の力を借りられるんなら……。怖いもの無しじゃねぇか」
「だけど……」
「だけどじゃない。スズカ。お前は、弟に甘えすぎなんだよ」
「えっ、ど、どうして急に、キリアの話?」
「キリアが優しいから、お前はいつまで経っても優柔不断なんじゃないかって話」
……そうなのかな。
私は、キリアの優しさに、甘えすぎていたのだろうか。
「お姉ちゃんなんだろ? 弟を救うって決めたんだろ? だったら迷うことはねぇって。運まで味方につけたんだから、後は実行するのみ……な?」
「……そうだよね」
ベオリーナの明るさに、引っ張られるようにして、私も段々と前向きになってきた。
「で、そのお姫様は、いつ来るんだよ」
「それは、よくわかってなくて……。だけど、話を聞いてる感じだと、割とすぐかも」
「すぐって、今日中か?」
「さすがにそれは――」
「お~い!! 姉さん!!!」
キリアが、いきなりこちらに走ってきた。
「よかった……。ここにいたんだね」
「キ、キリア!? 体はもう大丈夫なの?」
「あぁうん。元々そんなに、強く殴られてはないし……。って、そんなことより! 王都から、ものすごい数の人が、押し寄せて来てるけど!? しかも、姉さんに用事があるって……。一体何をしたんだよ!」
動揺するキリア。
私も、同じように、狼狽えている。
……ベオリーナだけが、ニコニコしていた。
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢にされたので婚約破棄を受け入れたら、なぜか全員困っています
かきんとう
恋愛
王城の大広間は、いつも以上に華やいでいた。
磨き上げられた床は燭台の光を反射し、色とりどりのドレスが揺れるたびに、まるで花畑が動いているかのように見える。貴族たちの笑い声、楽団の優雅な旋律、そして、ひそやかな噂話が、空気を満たしていた。
その中心に、私は立っていた。
――今日、この瞬間のために。
「エレノア・フォン・リーベルト嬢」
高らかに呼ばれた私の名に、ざわめきがぴたりと止む。
ゴースト聖女は今日までです〜お父様お義母さま、そして偽聖女の妹様、さようなら。私は魔神の妻になります〜
嘉神かろ
恋愛
魔神を封じる一族の娘として幸せに暮していたアリシアの生活は、母が死に、継母が妹を産んだことで一変する。
妹は聖女と呼ばれ、もてはやされる一方で、アリシアは周囲に気付かれないよう、妹の影となって魔神の眷属を屠りつづける。
これから先も続くと思われたこの、妹に功績を譲る生活は、魔神の封印を補強する封魔の神儀をきっかけに思いもよらなかった方へ動き出す。
手作りお菓子をゴミ箱に捨てられた私は、自棄を起こしてとんでもない相手と婚約したのですが、私も含めたみんな変になっていたようです
珠宮さくら
恋愛
アンゼリカ・クリットの生まれた国には、不思議な習慣があった。だから、アンゼリカは必死になって頑張って馴染もうとした。
でも、アンゼリカではそれが難しすぎた。それでも、頑張り続けた結果、みんなに喜ばれる才能を開花させたはずなのにどうにもおかしな方向に突き進むことになった。
加えて好きになった人が最低野郎だとわかり、自棄を起こして婚約した子息も最低だったりとアンゼリカの周りは、最悪が溢れていたようだ。
公爵令嬢ですが、実は神の加護を持つ最強チート持ちです。婚約破棄? ご勝手に
ゆっこ
恋愛
王都アルヴェリアの中心にある王城。その豪奢な大広間で、今宵は王太子主催の舞踏会が開かれていた。貴族の子弟たちが華やかなドレスと礼装に身を包み、音楽と笑い声が響く中、私——リシェル・フォン・アーデンフェルトは、端の席で静かに紅茶を飲んでいた。
私は公爵家の長女であり、かつては王太子殿下の婚約者だった。……そう、「かつては」と言わねばならないのだろう。今、まさにこの瞬間をもって。
「リシェル・フォン・アーデンフェルト。君との婚約を、ここに正式に破棄する!」
唐突な宣言。静まり返る大広間。注がれる無数の視線。それらすべてを、私はただ一口紅茶を啜りながら見返した。
婚約破棄の相手、王太子レオンハルト・ヴァルツァーは、金髪碧眼のいかにも“主役”然とした青年である。彼の隣には、勝ち誇ったような笑みを浮かべる少女が寄り添っていた。
「そして私は、新たにこのセシリア・ルミエール嬢を伴侶に選ぶ。彼女こそが、真に民を導くにふさわしい『聖女』だ!」
ああ、なるほど。これが今日の筋書きだったのね。
姉の厄介さは叔母譲りでしたが、嘘のようにあっさりと私の人生からいなくなりました
珠宮さくら
恋愛
イヴォンヌ・ロカンクールは、自分宛てに届いたものを勝手に開けてしまう姉に悩まされていた。
それも、イヴォンヌの婚約者からの贈り物で、それを阻止しようとする使用人たちが悪戦苦闘しているのを心配して、諦めるしかなくなっていた。
それが日常となってしまい、イヴォンヌの心が疲弊していく一方となっていたところで、そこから目まぐるしく変化していくとは思いもしなかった。
知らぬはヒロインだけ
ネコフク
恋愛
「クエス様好きです!」婚約者が隣にいるのに告白する令嬢に唖然とするシスティアとクエスフィール。
告白してきた令嬢アリサは見目の良い高位貴族の子息ばかり粉をかけて回っていると有名な人物だった。
しかも「イベント」「システム」など訳が分からない事を言っているらしい。
そう、アリサは転生者。ここが乙女ゲームの世界で自分はヒロインだと思っている。
しかし彼女は知らない。他にも転生者がいることを。
※不定期連載です。毎日投稿する時もあれば日が開く事もあります。
婚約破棄をされ、谷に落ちた女は聖獣の血を引く
基本二度寝
恋愛
「不憫に思って平民のお前を召し上げてやったのにな!」
王太子は女を突き飛ばした。
「その恩も忘れて、お前は何をした!」
突き飛ばされた女を、王太子の護衛の男が走り寄り支える。
その姿に王太子は更に苛立った。
「貴様との婚約は破棄する!私に魅了の力を使って城に召し上げさせたこと、私と婚約させたこと、貴様の好き勝手になどさせるか!」
「ソル…?」
「平民がっ馴れ馴れしく私の愛称を呼ぶなっ!」
王太子の怒声にはらはらと女は涙をこぼした。
王国最強の天才魔導士は、追放された悪役令嬢の息子でした
由香
ファンタジー
追放された悪役令嬢が選んだのは復讐ではなく、母として息子を守ること。
無自覚天才に育った息子は、魔法を遊び感覚で扱い、王国を震撼させてしまう。
再び招かれたのは、かつて母を追放した国。
礼儀正しく圧倒する息子と、静かに完全勝利する母。
これは、親子が選ぶ“最も美しいざまぁ”。