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第五章:足止め
5-16秘密の村
しおりを挟む嘆きの森はそこへいるだけで精神的に負荷がかかる場所だ。
それは闇の精霊が精神に影響を及ぼすからだ。
「こんな所にずっと住んでるのでしょうかそのジーグの民は?」
「どうかしらね、でも黒龍様がベルトバッツさんの情報からここへ向かったのだから多分ね」
先頭を進むソルスタさんにくっついて行きながらカリナさんと私はそう話す。
ここは気をつけないといつの間にか心に闇の精霊が影響を及ぼし気分が沈んでくる。
「ベルトバッツ様は森の奥にきゃつらの隠れ家が有ると『至高の拷問』にて捕らえたジーグの民たちから聞き出したでござる。もうじき森の奥に着くでござる!」
ソルスタさんは闇の精霊の影響を全くと言って良いほど受けてはいない様だった。
もしかしてルラと同じでメンタルが強いのかなローグの民って。
「しかし、『嘆きの森』と言われるだけは有るか、バンシーだろこの泣き声……」
「ああ、厄介なのがいるな」
「我々は部外者ですから影響はないとは思いますが、時折聞こえるすすり泣きは確かに気分が良い物ではありませんね」
トーイさんたちはあまりいい顔色をしないでそんな事も話している。
どうやら誰かの鳴き声が聞こえるらしいけど、これって精霊?
「バンシーの叫び声が聞こえると死ぬと言われるけど、あの子らは単にその者の寿命を察知して嘆いているだけよ。別にあの子らが原因で人が死ぬわけじゃないわ」
「そうなんですか?」
正直色んな精霊がいると言うのは知っているけど全ての精霊に精通しているわけではない。
だからこの泣き声みたいのも精霊の仕業だとは思わなかった。
「むっ!? あれはでござる!!」
先頭を行くソルスタさんは何かに気付いたようだ。
「どうしたの?」
「あれを見るでござる!」
ソルスタさんが指さしたそこは淡く光る壁の様なものが有った。
そしてそれは触れると跳ね返すような感じでそれ以上先には進めさせないモノだった。
「まさか結界? ジーグの民が結界を張っているの?」
「そのような話は聞いておらんでござるな。しかしこの結界、黒龍様が使うそれによく似ているでござる」
カリナさんの疑問にソルスタさんはそう言って手を上げると残りのアビシュさんやボッシュさんがすぐに結界に沿って走り去る。
「この結界を調べさせるでござる。しばしお待ちくだされ」
そう言って待つ事しばし、アビシュさんとボッシュさんはお互い走り去った逆方向から戻って来た。
「やはり隠れ里を包んでいるようでござる」
「周りにもジーグの民も黒龍様たちもおられ無かったでござる」
アビシュさんとボッシュさんのその報告にソルスタさんは私たちに向かって言う。
「どうやら完全に結界に包まれているようでござる。黒龍様たちも多分中でござるよ」
「とは言えこれじゃぁ入れないわよ?」
「カリナさん、私が」
この結界がどれ程のモノか分からないけど私のチートスキル「消し去る」が有ればこの結界だって消し去ることが出来るはず。
私は皆と顔を合わせ頷くとみんなも頷き返してきた。
「それじゃぁやります、この結界を『消し去る』!」
私が手をかざしチートスキル、「消し去る」を発動させたその瞬間だった。
「あたしは『最強』!!」
いきなりルラがそう叫んで私の前に飛び出る。
そして飛び込んできた人の背丈くらいある大きな斧を拳で弾き飛ばす。
がんっ!
「お姉ちゃん大丈夫!?」
「へ、へぇえええええぇぇぇぇっ!?」
ルラのお陰で事無きを得たけど、いきなりそんなモンが飛んでくるとは思わなかった。
そして私たちが見たものは三匹の竜に群がる「鋼鉄の鎧騎士」や黒い竜にも負けず劣らずの大きさを持つ竜の様な頭を持つ巨人たちが争っていたのだった。
「なっ!? なにこれ!?」
「おいおい、『鋼鉄の鎧騎士』があんなに!?」
「あ、あれは古代兵器の『巨人』ですか!? 旧ホリゾン帝国が開発されたと言われる悪魔の兵器!?」
皆さんもその光景に驚く。
燃え盛る中に黒い三匹の竜と沢山の鎧姿の巨人、それに輪をかけて大きな竜の頭と鱗を持った巨人が黒い竜たちに襲いかかっている。
それはまさしくハルマゲドンではないかと思うような光景。
しかしここでカリナさんが気付く。
「あれって黒龍様たちは防戦一方? なにこれ……」
言われてその様子をもう一度よく見ると確かに三匹の黒い竜は「鋼鉄の鎧騎士」や「巨人」と呼ばれる化け物の攻撃を受けているだけだった。
本来なら東の港で見たようにクロさんやクロエさんなら「鋼鉄の鎧騎士」だって相手にすらならないはずなのに?
「一体こりゃぁどう言う事だ?」
「黒龍様たちが防戦一方?」
「見てくださいあれ!!」
トーイさんたちもコクさんたちが防戦一方だけって言うのに気付きそしてネッドさんが指をさす。
「あれは黒づくめたち、ジーグの民たちです!」
見れば黒い竜から少し離れた所に家屋が有りそこに黒づくめの衣装を着た者たちが集まっていた。
彼らは老若男女いたようだけどみな黒づくめの服で頭に黒いほっかむりをかぶっている。
「間違いないわねここがジーグの民の隠れ里だわ!」
「ならすぐにでもこの無益な争いをやめさせなければ! カリナさん!!」
私の言葉にカリナさんは頷き走りだす。
私たちはカリナさんの後を追って一緒に走り出すのだった。
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