203 / 412
7章
突入
しおりを挟む
「さて、こうして帝国に潜り込んだのはいいけど……」
「誰もいない……」
カモメ達は魔王を倒す為、帝国の首都、ヴァルネッサに来ていた。
だが、その首都は大きな街であるにも関わらず、人の気配が全くない。
やはり先の砦の戦いで魔鬼にされたのはこの国の人間すべてだったのだろう。
「お陰で簡単に侵入できましたけれど……」
「素直に喜べないね」
人っ子一人いない街ではあるが、どこに魔族がいるか……もしくは魔族の監視の目があるかは不明である。
家の影を伝いながら慎重に進むカモメたちだが、その心配は無駄に終わった。
「魔族と出会うことも無く、城にまでついてしまったわね」
「どういうこと?今までの戦いで魔族も殆ど倒しちゃったとか?」
「まさか、まだ十二神将も残っているし、いくらなんでもそれは無いでしょう」
十二神将、今まで出会った十二神将の数は九人……うち二人、グラネルザとアルメルダ倒せず取り逃がしているので消滅をさせたのは七人である。つまり、他の国との戦いで十二神将が倒されていなければのこりは五人ということになる。
「そうね、もしかしたら何かしらの罠の可能性もあるわ気を抜かないで」
「うん、わかった」
気を引き締め、城の門をくぐるカモメ達……が、その瞬間、視界が歪む。
「え、何!?」
「これは……空間魔法よ!?」
空間魔法、リーナが使う魔法で行ったことのある場所であれば瞬時に移動できる魔法だ。
つまり、今私達は別の場所に移動しているという事か……。
「ギャギャギャ!馬鹿な人間がまたやってきた!」
「おうおう、今度のは随分うまそうじゃねぇか?」
移動した先は暗く、黒い世界……そこにヴァルネッサ城と同じ形をした城がある……だが、違うのはヴァルネッサ城は外から見ても敵がいないのではと思う程閑散としていた。……が、ここのヴァルネッサ城は魔族がウヨウヨといる。
移動した瞬間に、見えるだけでも5体の魔族が現れたのだ……そして、城の中にはやはり多くの気配がある。
「やられたわね、異空間に本来の城を隠していたのか……」
「気を引き締めるといいましたのに……迂闊でしたわ」
「入っちゃったものは仕方ないよ!全部倒せばいいんだ!」
「はは、カモメの言う通りだ!」
「行くわよぉん!」
各々が武器を抜き、魔族へと仕掛ける……ついに、魔族との最終決戦が始まるのだった。
===========================================
場所は変わり、ヴァルネッサ城の中、その中心にある王座の間に3人の姿があった。
一人は王座に座る男……見た目だけを言えば若い銀髪の男性である。
残り二人は十二神将であるグラネルザとアルメルダであった。
「陛下、どうやらツァインへ送った魔鬼は全滅したようです」
「おいおい、マジかよ?あの数の魔鬼を倒しちまったのか?」
「ああ、どうやらそのようだ」
「ふむ、闇の魔女……リーン殿言う闇の子だったな……忌まわしき闇よ……我が世界を蝕み、我れの邪魔をする……」
「………」
「どうしたアルメルダよ?」
闇の子と呼ばれた少女、カモメと一度戦闘をしているアルメルダが何かを考えるような仕草を見せる。
それに気づいた魔王が疑問の言葉をかけた。
「はっ……俺は一度ツァインで魔女の嬢ちゃんと戦ってるんですが……その……普通の人間のように見えました」
「何を言っている?我らが世界を蝕む存在だぞ?普通の人間の訳がないだろう?」
アルメルダの言葉に魔王ではなくグラネルザが答える。
だが、そのグラネルザを手で制し、魔王はアルメルダの言葉の続きを促した。
「リーン様の話だと、『闇』はこの世界を壊し、さらに我々の世界をも蝕む存在だと言っておりました、だが、あの魔女の嬢ちゃんは人間を護るために自分が傷つくことをためらわなかったんです」
以前アルメルダとの戦闘の時、カモメはリーナを護る為、自らの背中に傷を負った。
そのことが、アルメルダには引っ掛かってるのだろう、もしカモメが自分たちの世界を蝕む『闇』その力を引いているのであれば、この世界をも壊そうとする存在の筈だ。ならば、エルフとはいえこの世界の者を自らを犠牲にして助けるわけがない。
「アルメルダ、貴様、リーン様が嘘を吐いているというのか?」
「いや、そうじゃねぇけど……もしかしたら闇の魔女は闇の子じゃないんじゃないかと……」
「とすれば、闇の子は他にいることになるな……だが、それは無かろう」
「そうだ、我々はすべての国に攻撃を仕掛けた、そしてその時に闇の魔法を操る人間はその魔女と呼ばれる少女しかいなかったのだ」
「うむ、我が宿敵である闇の女神の力を使える者など、闇の子しかおらんだろう……唯の人間にあの女神の力は扱えん」
リーンから闇の女神であるディータがその魂を異空間に閉じ込め、自分の力を扱える人間が生まれるのを待っているという話を魔王たちは聞いていた。
そして、その力を扱える者こそ、闇の子であるとも伝えられていたのだ。
つまり、カモメを捕らえればこの世界を壊し、魔王たちの世界を蝕もうとしている『闇』の場所を聞けると思っているのだ……だが。
だが、魔王たちは知らない、そのリーンこそが『闇』であり、『闇の子』と呼ばれるカモメこそがその『闇』を倒せるかもしれない唯一の存在であることを……その為リーンはカモメを敵と認識させるように『闇の子』であることを教えたのだ。
「陛下!」
「なんだ、騒々しい」
一人の魔族が何もない空間から現れる。
だが、その表情は慌てているのか必死であった。
「闇の魔女が攻めてまいりました!城門近くにいた魔族は全滅!奴らはそのまま城に侵入した模様です!」
「なんだと!?」
「あらら……」
「ほう……ちょうどいい、そ奴が本当に闇の子かどうか我が直接確認しようではないか」
「ちょ、陛下、それはさすがに……」
「そうです、我ら十二神将にお任せください……」
「ふむ……いいだろう、闇の魔女から『闇』の居場所を聞き出すのだ」
「「はっ」」
魔王の言葉に応えるとアルメルダ達はその場から姿を消した。
「リーン殿が我らを謀っている……まさかな」
一人残った魔王はそうポツリと言葉を漏らすのだった。
「誰もいない……」
カモメ達は魔王を倒す為、帝国の首都、ヴァルネッサに来ていた。
だが、その首都は大きな街であるにも関わらず、人の気配が全くない。
やはり先の砦の戦いで魔鬼にされたのはこの国の人間すべてだったのだろう。
「お陰で簡単に侵入できましたけれど……」
「素直に喜べないね」
人っ子一人いない街ではあるが、どこに魔族がいるか……もしくは魔族の監視の目があるかは不明である。
家の影を伝いながら慎重に進むカモメたちだが、その心配は無駄に終わった。
「魔族と出会うことも無く、城にまでついてしまったわね」
「どういうこと?今までの戦いで魔族も殆ど倒しちゃったとか?」
「まさか、まだ十二神将も残っているし、いくらなんでもそれは無いでしょう」
十二神将、今まで出会った十二神将の数は九人……うち二人、グラネルザとアルメルダ倒せず取り逃がしているので消滅をさせたのは七人である。つまり、他の国との戦いで十二神将が倒されていなければのこりは五人ということになる。
「そうね、もしかしたら何かしらの罠の可能性もあるわ気を抜かないで」
「うん、わかった」
気を引き締め、城の門をくぐるカモメ達……が、その瞬間、視界が歪む。
「え、何!?」
「これは……空間魔法よ!?」
空間魔法、リーナが使う魔法で行ったことのある場所であれば瞬時に移動できる魔法だ。
つまり、今私達は別の場所に移動しているという事か……。
「ギャギャギャ!馬鹿な人間がまたやってきた!」
「おうおう、今度のは随分うまそうじゃねぇか?」
移動した先は暗く、黒い世界……そこにヴァルネッサ城と同じ形をした城がある……だが、違うのはヴァルネッサ城は外から見ても敵がいないのではと思う程閑散としていた。……が、ここのヴァルネッサ城は魔族がウヨウヨといる。
移動した瞬間に、見えるだけでも5体の魔族が現れたのだ……そして、城の中にはやはり多くの気配がある。
「やられたわね、異空間に本来の城を隠していたのか……」
「気を引き締めるといいましたのに……迂闊でしたわ」
「入っちゃったものは仕方ないよ!全部倒せばいいんだ!」
「はは、カモメの言う通りだ!」
「行くわよぉん!」
各々が武器を抜き、魔族へと仕掛ける……ついに、魔族との最終決戦が始まるのだった。
===========================================
場所は変わり、ヴァルネッサ城の中、その中心にある王座の間に3人の姿があった。
一人は王座に座る男……見た目だけを言えば若い銀髪の男性である。
残り二人は十二神将であるグラネルザとアルメルダであった。
「陛下、どうやらツァインへ送った魔鬼は全滅したようです」
「おいおい、マジかよ?あの数の魔鬼を倒しちまったのか?」
「ああ、どうやらそのようだ」
「ふむ、闇の魔女……リーン殿言う闇の子だったな……忌まわしき闇よ……我が世界を蝕み、我れの邪魔をする……」
「………」
「どうしたアルメルダよ?」
闇の子と呼ばれた少女、カモメと一度戦闘をしているアルメルダが何かを考えるような仕草を見せる。
それに気づいた魔王が疑問の言葉をかけた。
「はっ……俺は一度ツァインで魔女の嬢ちゃんと戦ってるんですが……その……普通の人間のように見えました」
「何を言っている?我らが世界を蝕む存在だぞ?普通の人間の訳がないだろう?」
アルメルダの言葉に魔王ではなくグラネルザが答える。
だが、そのグラネルザを手で制し、魔王はアルメルダの言葉の続きを促した。
「リーン様の話だと、『闇』はこの世界を壊し、さらに我々の世界をも蝕む存在だと言っておりました、だが、あの魔女の嬢ちゃんは人間を護るために自分が傷つくことをためらわなかったんです」
以前アルメルダとの戦闘の時、カモメはリーナを護る為、自らの背中に傷を負った。
そのことが、アルメルダには引っ掛かってるのだろう、もしカモメが自分たちの世界を蝕む『闇』その力を引いているのであれば、この世界をも壊そうとする存在の筈だ。ならば、エルフとはいえこの世界の者を自らを犠牲にして助けるわけがない。
「アルメルダ、貴様、リーン様が嘘を吐いているというのか?」
「いや、そうじゃねぇけど……もしかしたら闇の魔女は闇の子じゃないんじゃないかと……」
「とすれば、闇の子は他にいることになるな……だが、それは無かろう」
「そうだ、我々はすべての国に攻撃を仕掛けた、そしてその時に闇の魔法を操る人間はその魔女と呼ばれる少女しかいなかったのだ」
「うむ、我が宿敵である闇の女神の力を使える者など、闇の子しかおらんだろう……唯の人間にあの女神の力は扱えん」
リーンから闇の女神であるディータがその魂を異空間に閉じ込め、自分の力を扱える人間が生まれるのを待っているという話を魔王たちは聞いていた。
そして、その力を扱える者こそ、闇の子であるとも伝えられていたのだ。
つまり、カモメを捕らえればこの世界を壊し、魔王たちの世界を蝕もうとしている『闇』の場所を聞けると思っているのだ……だが。
だが、魔王たちは知らない、そのリーンこそが『闇』であり、『闇の子』と呼ばれるカモメこそがその『闇』を倒せるかもしれない唯一の存在であることを……その為リーンはカモメを敵と認識させるように『闇の子』であることを教えたのだ。
「陛下!」
「なんだ、騒々しい」
一人の魔族が何もない空間から現れる。
だが、その表情は慌てているのか必死であった。
「闇の魔女が攻めてまいりました!城門近くにいた魔族は全滅!奴らはそのまま城に侵入した模様です!」
「なんだと!?」
「あらら……」
「ほう……ちょうどいい、そ奴が本当に闇の子かどうか我が直接確認しようではないか」
「ちょ、陛下、それはさすがに……」
「そうです、我ら十二神将にお任せください……」
「ふむ……いいだろう、闇の魔女から『闇』の居場所を聞き出すのだ」
「「はっ」」
魔王の言葉に応えるとアルメルダ達はその場から姿を消した。
「リーン殿が我らを謀っている……まさかな」
一人残った魔王はそうポツリと言葉を漏らすのだった。
0
あなたにおすすめの小説
追放貴族少年リュウキの成り上がり~魔力を全部奪われたけど、代わりに『闘気』を手に入れました~
さとう
ファンタジー
とある王国貴族に生まれた少年リュウキ。彼は生まれながらにして『大賢者』に匹敵する魔力を持って生まれた……が、義弟を溺愛する継母によって全ての魔力を奪われ、次期当主の座も奪われ追放されてしまう。
全てを失ったリュウキ。家も、婚約者も、母の形見すら奪われ涙する。もう生きる力もなくなり、全てを終わらせようと『龍の森』へ踏み込むと、そこにいたのは死にかけたドラゴンだった。
ドラゴンは、リュウキの境遇を憐れみ、ドラゴンしか使うことのできない『闘気』を命をかけて与えた。
これは、ドラゴンの力を得た少年リュウキが、新しい人生を歩む物語。
充実した人生の送り方 ~妹よ、俺は今異世界に居ます~
中畑 道
ファンタジー
「充実した人生を送ってください。私が創造した剣と魔法の世界で」
唯一の肉親だった妹の葬儀を終えた帰り道、不慮の事故で命を落とした世良登希雄は異世界の創造神に召喚される。弟子である第一女神の願いを叶えるために。
人類未開の地、魔獣の大森林最奥地で異世界の常識や習慣、魔法やスキル、身の守り方や戦い方を学んだトキオ セラは、女神から遣わされた御供のコタローと街へ向かう。
目的は一つ。充実した人生を送ること。
酒好きおじさんの異世界酒造スローライフ
天野 恵
ファンタジー
酒井健一(51歳)は大の酒好きで、酒類マスターの称号を持ち世界各国を飛び回っていたほどの実力だった。
ある日、深酒して帰宅途中に事故に遭い、気がついたら異世界に転生していた。転移した際に一つの“スキル”を授かった。
そのスキルというのは【酒聖(しゅせい)】という名のスキル。
よくわからないスキルのせいで見捨てられてしまう。
そんな時、修道院シスターのアリアと出会う。
こうして、2人は異世界で仲間と出会い、お酒作りや飲み歩きスローライフが始まる。
解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る
早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」
解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。
そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。
彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。
(1話2500字程度、1章まで完結保証です)
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。
カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。
地上最強ヤンキーの転生先は底辺魔力の下級貴族だった件
フランジュ
ファンタジー
地区最強のヤンキー・北条慎吾は死後、不思議な力で転生する。
だが転生先は底辺魔力の下級貴族だった!?
体も弱く、魔力も低いアルフィス・ハートルとして生まれ変わった北条慎吾は気合と根性で魔力差をひっくり返し、この世界で最強と言われる"火の王"に挑むため成長を遂げていく。
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる