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6 ダブルパンチ
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しおりを挟む日曜日の朝。
智也の熱はすっかり下がり、シャワーも浴びてすっきりしたようだった。
朝ご飯も普通にしっかりと食べて、念の為の薬も飲んだ。
「何時の便?」
「三時」
「そっか」
昨日、智也のお母さんが訪ねて来たことは、話していない。話さなくていいと言われたし、せっかく熱が下がったのに興奮してまた熱が上がってはいけないと思ったから。何よりも、私が話したくなかった。
「ありがとな、来てくれて」
智也が照れ臭そうに、言った。
「ん」
私は洗濯物を干して、時計を見た。
十時ちょうど。
智也はベッドに座って、スマホを弄っていた。
「彩、バスの時間て――」
私はカーテンを閉め、陽の光が遮られた部屋は薄暗くなった。
「彩?」
このまま帰りたくなかった。
私は智也の足元に膝をつき、背筋を伸ばしてキスをした。
そっと。
それから、舌で彼の唇をなぞり、応えてくれるのを待つ。
それはさほど時間のかかることではなくて、開かれた唇の隙間から舌をねじ込むと、珍しく智也が息を漏らした。
「んっ――」
私から迫ることはあまりないから、智也が戸惑っているのがわかる。
それでも、私はお構いなしに彼の口の中を隅々まで味わい、唇を離さなかった。
智也も応えてくれて、静かな部屋に舌が絡む水音が響く。
智也がスマホを放り出し、私の肩を抱いた。
セックスで得られる安心なんて、その場しのぎだとわかっている。こうして抱き合っても、智也に告白した女性のことにしても、智也のお母さんのことにしても、不安は消えない。
智也とのキスの最中に、そんなことを考えてしまう自分が嫌だった。智也と抱き合っている時くらい、智也の事だけを考えていたかった。
私は雑念を振り払おうと、少し焦る気持ちで、智也のスウェットに手をかけた。ほとんど無理矢理に引きずり下ろす。
「んむ――っ!」
智也が唇を離そうと仰け反ったが、私はそれを許さなかった。彼の下唇を軽く咥えて、逃さない。
期待に、ほんの少し身を膨らませているモノを両手で握ると、ソレは一気に硬直した。何か言いたげな智也を無視して、私は昨日と同様に手を動かし始めた。
彼の、好みはわかっている。
どうすれば、我慢できなくなるのか。
どうすれば、私を欲しがってくれるのか。
「あ……や――」
若さで勝てないことは、もう仕方がない。
なら、他の武器で繋ぎ止めるしかない。
私は彼の唇を解放し、代わりに手の中でピクピク跳ねているモノを頬張った。
「あやっ――。どうした……んだよ」
根元まで咥え、吸い付きながら少しずつ吐き出していく。
「んっ――。は――!」
同じ動きを繰り返す。
「やば――っ……」
夢中だった。
「あや……」
ただ、智也に気持ち良くなって欲しかった。
「やめ――」
私の事だけ、考えて欲しかった。
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