不能の公爵令息は婚約者を愛でたい(が難しい)

たたら

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12・僕の騎士さん

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 僕の屋敷にガイの部屋が出来た。

僕とガイが結婚したら
この屋敷で一緒に住むから、
慣れるために早めに部屋を
準備するって兄様が決めたのだ。

だから僕は、ガイの部屋は
僕の隣の部屋がいい、って言ったの。

結婚したら二人の部屋は
隣同士になるって本で読んだことがる。

だから僕がそう言ったんだけど、
セバスも兄様も少し嫌そうな顔をした。

「ダメ?」って聞いたら、
セバスが僕の部屋の隣は、
僕が成人してから仕立てる服を
収納するための衣装部屋に
する予定だって言う。

でも僕はそんなに服はいらないし、
外にもあまり出れないと思う。

だから僕の隣の部屋を
ガイの部屋にして、ってお願いしたら
兄様は仕方ない、と僕の頭を撫でる。

僕は嬉しくなって、
兄様の膝に座る。

僕が膝に乗ると
兄様は嬉しそうな顔をするんだ。

「エレが望むのなら
そうしよう。
あいつには
行動をするように言えば
いいだけのことだからな」

兄様がそう言い、
僕が意味を聞く前に
背中から僕をぎゅーっと抱きしめる。

「可愛いエレ。
嫌なことがあったら
すぐに兄に言うんだぞ」

「うん、ありがとう兄さま」

兄様は僕を可愛い、可愛いと
いつも抱きしめてくれる。

父様と母様が領地に行ってしまい、
あまり会えないから、
僕の親代わりだと
思っているのかもしれない。

でも僕ももうすぐ成人するのだ。

それに兄様だって結婚する。

いつまでも甘えてたらダメだよね。

頑張らないと、と思っていたら、
僕の考えたことなんて
兄様にはお見通しなのだろう。

「エレはずっと俺の可愛い弟だからな。
ずっと甘えてくれ」と言われてしまった。

ちらりとセバスを見ると
セバスも頷いているから
兄様の言う通りにした方が良いみたい。

じゃあ、もう少しだけ
おねだりしちゃおうかな。

「あのね、兄様」

「なんだ?」

「僕ね、サンルームに
大きなクッションを置きたいの」

「大きなクッション?
構わないが……」

「あのね、
サンルームでお昼寝すると
気持ちがいいでしょ?

ガイにも教えてあげようと思ってるの」

ガイの身体は大きいから
クッションも大きなものがいると思う。

僕がそう言うと、何故か兄様の
眉間にしわが寄った。

「ダメ?」

「……い、や。構わない。
セバス、用意を」

「かしこまりました」と
セバスが頭を下げるのを見て
僕は、ほっとした。

次にガイが来る時までには
クッションがあったらいいな、と思う。

この話は、この時で終わったんだけど、
さすがセバスは仕事が早かった。

翌日には僕の身体が埋もれるぐらいの
大きなクッションが2つ、
サンルームに準備されたのだ。

僕は嬉しくなって、
その日はベットにあるぬいぐるみの
くまさんと一緒に、
大きなクッションに埋もれて昼寝をした。

そうだ。
このくまさんは、ガイの部屋の
ベットにおいてあげよう。

知らない屋敷で寝泊まりするのは
慣れるまでは寂しいかもしれないし。

僕が一緒に寝てあげたいけれど、
兄様がそれだけはダメだって
言ってたから、ダメなんだと思う。

僕が読んだ本の中でも、
結婚した二人が同じ部屋で
一緒に眠る話はあった。

でも結婚したから
一緒に寝ることができたのなら
僕もガイと結婚するまでは
一緒に寝たらダメなんだと思う。

僕は沢山のことを学んでいるのに、
こういう常識?みたいなことは
全然、学ぶ機会が無い。

セバスも教えてくれないし、
学院の授業にもない。

みんな、どうやって学んでいるのか
誰かに聞いてみたい。

でも誰に聞けばいいかわからない。

やっぱりガイに聞くしかないのかな。

ガイは僕と結婚するんだもん。
聞いてもいいよね。

僕はそう結論付けて、
次にガイが屋敷に来た時、
ガイをサロンに案内した。

ガイの部屋はまだ準備が
できていない。

だから知らせるのはまだ早いけれど、
サンルームのクッションはいいと思う。

僕はガイの手を引き、
さっそくサンルームに案内をした。

そして大きな二つのクッションを見せて
目を丸くするガイを引っ張って
一緒にクッションに転がり込む。

というか。
僕はクッションに埋もれるつもりだったけれど、
ガイは体が大きかったから、
クッションは思ったよりも小さかった。

ガイはクッションをお尻に敷いて、
僕の身体が床に当たらないように
僕を抱き上げてくれたんだ。

ガイは僕が転んだと思ったみたい。

僕はガイの勘違いに笑ってしまって、
でも、子どもみたいに抱き上げて
僕を守ってくれたことが嬉しくて。

僕はガイに抱きついた。

それから、ガイの膝の上にのって
一緒にクッションを堪能したんだ。

ガイは大きなクッションを下敷きに
していたけれど、背中はもう一つの
クッションにもたれている。

だから僕は安心して
ガイの大きな胸に身体を預けた。

ガイを背もたれにしたけど
大きな体はビクともしないし、
がっちりとした体は安心できる。

僕はガイにもたれながら
準備していた本を開く。

「あのね。
兄様が婚約式のことを
勉強しておくように、って
本を渡してくれたんだ」

「あ、あぁ、そうか」

ガイが上ずった声を出す。

身体をひねって
ガイの顔を見上げると、
何故かガイは顔を真っ赤にしている。

「僕、重い?」

「いや、そんなことない」

大丈夫だ、と言われたので
僕は本に視線を戻した。

本には婚約式の流れが書いてある。

僕はガイに本を見せながら
内容を読んであげた。

でも。

なんかお尻に当たってる気がする。

なんだろう。
急に、固いものが生まれた気がする。

よくわからなくて、僕は
お尻を動かした。

ガイの膝の上は安心できて
心地が良いから、移動する気持ちはない。

だからお尻をグリグリ動かして
固いものを避けようと思ったけれど
うまくいかなかった。

ガイの服のポケットに
何か入っているのかも。

僕が動くたびに、ガイが、
息を飲んだり、小さな声を
出したりしているから、
動かない方が良かったのかな。

もしかしたらガイは騎士だから
武器を隠し持ってたりするのかも。

騎士って、かっこいいよね。

僕は固いものをお尻で踏みつけた。

動かなければ気にならないや。

「それでね」と僕が言うと
ガイはうんうん、と聞いてくれる。

僕が隠している武器に
気が付いたことは黙っておこう。

だって、隠してることに
意味があるんだよね?

隠し武器だもん。

僕はそう納得して、
本を読むことに集中した。

だから僕の頭上でガイが顔を
真赤にしていたことも。

視線を彷徨わせて、
「冷静になれ」と呟いていたことも。

僕は全く気が付かなかったのだ。

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