44 / 116
第44話 溢れ出し
しおりを挟む
メイをなだめていると警報が鳴った。
『13ゲートの防壁北にイノシシが向かっています。冒険者は至急集合してください。繰り返します。13ゲートの防壁北にイノシシが向かっています。冒険者は至急集合してください』
ざわざわざわざわ!
西高校の生徒が騒ぎ出した。
「やばくね? 北の防壁は修復中だろ?」
「イノシシだろ? 池を飛び越えて突撃されたらまた破壊されるぞ!」
「しゃああ、稼ぎ時だぜ!」
「お前、死んだな」
「なんでだよ! 儲け時だろ!」
「そういう奴が死ぬんだよ」
「死なない!」
「うん、稼ぎ時だと思うならどんどん前に出ていいぞ。自己責任だ」
校長が近づいてきた。
「みんなは休みなさい! 私は北に行きます」
校長も、リツカやマナも北に向かって行った。
「……イナセ、今から焼肉なんだけど、来ねえか? 無料で招待するべ」
「いいのか? パーティーでやる予定だったんだろ?」
「イナセは俺達を庇ってくれた」
「もう勝負は終わった。打ち上げだ」
「いっしょにやんべ」
「俺は行きたい」
「行こう」
「行きます☆」
俺達6人はハンダの家で焼肉を始めた。
メイはすっかり泣き止んでケロッとしている。
「兄さんとメイの成長痛はどんな感じなんだろ?」
「昨日よりはいいですよ」
「私は問題無い」
「……嘘だべ、もっと食え」
「いただこう」
兄さんは痩せて見える。
連続でソウルアップをした影響だろう。
「アキラも食べましょう」
「食え食え」
「いただきます」
メイはスマホを見ながら焼肉を食べる。
「おお! イノシシ10メートル級、1体撃破、後9体です」
「順調、なのか」
「多分順調です。でも、犠牲は出てますよ」
「マガジンに、弾を込めておいた方が良いかもな」
3人は無言でマガジンに弾をセットし始めた。
カチャカチャカチャカチャ!
「あ、いや、何も無い可能性もあるから」
「いや、万が一には備えて置くべ」
「私も出番が来るかもしれない」
「私もやっちゃいますよ☆」
「出るとしたら、防壁を突破されて状況が悪くなってじゃないべ
出るしかない理由が特にない状態でソウルアップしたばかりの2人が出るのはまずい、
「まだ緊急じゃないべ、それより食え食え」
「箸が止まらない」
横を見ると兄さんがご飯と肉を口にかきこんでいた。
「2体目撃破です」
「順調なのかもな」
「はふんふぁふぁはんふんはおへばひょうくおうはいっきに」
「兄さん、何を言っているか分からない」
「ゴクリ、多分だが、モンスターが半分になれば状況は一気に有利になる」
「10メートル級が半分になれば、か」
「3人とも食べないのか?」
「弾を込めておかないと落ち着かないべ」
「だな」
「その通りだ」
「全部食べてしまうぞ」
「まだまだたくさんあるから遠慮せず食うべ」
「俺達に気を使ってないか? 俺達が負けたのは俺の弱さとタイミングの問題だった。3人は何も悪い事をしていない」
「そうだ。むしろ嫌われ役をやらされたとも言える」
「そうですよ」
「そう言って貰えると助かるべ」
「それに、メイはすぐにCランクになる」
「……え?」
「パーティーを組んで、サモンモンスターとスティールソードで経験値を稼ぎ続けられるからな」
「きゅう♪」
「きゅうもやる気満々だな」
「それって、アキラだけが動き続ける感じになりますよね?」
「多分、すぐに上がる」
「でも、ソウルアップにはスキルの訓練も必要ですよ」
「ソウルアップの条件は能力値の上昇かスキルのアップしかないから、まずは能力値を上げてみよう。駄目だったら手を変えればいい」
「悪いですよ」
「良いから良いから」
「いや良くないですよ」
「何度も食事をごちそうしてくれたお礼をしたい」
「それはお母さんです」
「それにな、消せる悩みなら、消した方が良いだろ?」
「あう、何ですかそのイケメンキャラは、何ですかその笑顔は」
「アキラは前からイケメンだ」
「イナセはイケメンキャラだべ」
ハンダがスマホをかざした。
掲示板には『アキラ君がかっこいい』とか『アキラ君で濡れる』とか書いてある。
「多分おっさんがネタで書いているんだろ」
「アキラ、自信を持て、お前は素晴らしいんだから」
「そこで言わなくていいから!」
ウオーン! ウオーン! ウオーン! ウオーン!
「警報、か」
「アキラの予想通りだべ」
「緊急警報か」
『防壁西にウサギが向かっています。繰り返します!防壁西にウサギが向かっています。高校生を含めた冒険者は防壁西に集合してください』
「北に集合しているのに今度は西か」
「歩いて向かおう」
「おいらも弾の準備は出来たべ」
「共同戦線ですね!」
6人で歩いて防壁に向かった。
『13ゲートの防壁北にイノシシが向かっています。冒険者は至急集合してください。繰り返します。13ゲートの防壁北にイノシシが向かっています。冒険者は至急集合してください』
ざわざわざわざわ!
西高校の生徒が騒ぎ出した。
「やばくね? 北の防壁は修復中だろ?」
「イノシシだろ? 池を飛び越えて突撃されたらまた破壊されるぞ!」
「しゃああ、稼ぎ時だぜ!」
「お前、死んだな」
「なんでだよ! 儲け時だろ!」
「そういう奴が死ぬんだよ」
「死なない!」
「うん、稼ぎ時だと思うならどんどん前に出ていいぞ。自己責任だ」
校長が近づいてきた。
「みんなは休みなさい! 私は北に行きます」
校長も、リツカやマナも北に向かって行った。
「……イナセ、今から焼肉なんだけど、来ねえか? 無料で招待するべ」
「いいのか? パーティーでやる予定だったんだろ?」
「イナセは俺達を庇ってくれた」
「もう勝負は終わった。打ち上げだ」
「いっしょにやんべ」
「俺は行きたい」
「行こう」
「行きます☆」
俺達6人はハンダの家で焼肉を始めた。
メイはすっかり泣き止んでケロッとしている。
「兄さんとメイの成長痛はどんな感じなんだろ?」
「昨日よりはいいですよ」
「私は問題無い」
「……嘘だべ、もっと食え」
「いただこう」
兄さんは痩せて見える。
連続でソウルアップをした影響だろう。
「アキラも食べましょう」
「食え食え」
「いただきます」
メイはスマホを見ながら焼肉を食べる。
「おお! イノシシ10メートル級、1体撃破、後9体です」
「順調、なのか」
「多分順調です。でも、犠牲は出てますよ」
「マガジンに、弾を込めておいた方が良いかもな」
3人は無言でマガジンに弾をセットし始めた。
カチャカチャカチャカチャ!
「あ、いや、何も無い可能性もあるから」
「いや、万が一には備えて置くべ」
「私も出番が来るかもしれない」
「私もやっちゃいますよ☆」
「出るとしたら、防壁を突破されて状況が悪くなってじゃないべ
出るしかない理由が特にない状態でソウルアップしたばかりの2人が出るのはまずい、
「まだ緊急じゃないべ、それより食え食え」
「箸が止まらない」
横を見ると兄さんがご飯と肉を口にかきこんでいた。
「2体目撃破です」
「順調なのかもな」
「はふんふぁふぁはんふんはおへばひょうくおうはいっきに」
「兄さん、何を言っているか分からない」
「ゴクリ、多分だが、モンスターが半分になれば状況は一気に有利になる」
「10メートル級が半分になれば、か」
「3人とも食べないのか?」
「弾を込めておかないと落ち着かないべ」
「だな」
「その通りだ」
「全部食べてしまうぞ」
「まだまだたくさんあるから遠慮せず食うべ」
「俺達に気を使ってないか? 俺達が負けたのは俺の弱さとタイミングの問題だった。3人は何も悪い事をしていない」
「そうだ。むしろ嫌われ役をやらされたとも言える」
「そうですよ」
「そう言って貰えると助かるべ」
「それに、メイはすぐにCランクになる」
「……え?」
「パーティーを組んで、サモンモンスターとスティールソードで経験値を稼ぎ続けられるからな」
「きゅう♪」
「きゅうもやる気満々だな」
「それって、アキラだけが動き続ける感じになりますよね?」
「多分、すぐに上がる」
「でも、ソウルアップにはスキルの訓練も必要ですよ」
「ソウルアップの条件は能力値の上昇かスキルのアップしかないから、まずは能力値を上げてみよう。駄目だったら手を変えればいい」
「悪いですよ」
「良いから良いから」
「いや良くないですよ」
「何度も食事をごちそうしてくれたお礼をしたい」
「それはお母さんです」
「それにな、消せる悩みなら、消した方が良いだろ?」
「あう、何ですかそのイケメンキャラは、何ですかその笑顔は」
「アキラは前からイケメンだ」
「イナセはイケメンキャラだべ」
ハンダがスマホをかざした。
掲示板には『アキラ君がかっこいい』とか『アキラ君で濡れる』とか書いてある。
「多分おっさんがネタで書いているんだろ」
「アキラ、自信を持て、お前は素晴らしいんだから」
「そこで言わなくていいから!」
ウオーン! ウオーン! ウオーン! ウオーン!
「警報、か」
「アキラの予想通りだべ」
「緊急警報か」
『防壁西にウサギが向かっています。繰り返します!防壁西にウサギが向かっています。高校生を含めた冒険者は防壁西に集合してください』
「北に集合しているのに今度は西か」
「歩いて向かおう」
「おいらも弾の準備は出来たべ」
「共同戦線ですね!」
6人で歩いて防壁に向かった。
1
あなたにおすすめの小説
美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~
ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。
食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。
最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。
それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。
※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。
カクヨムで先行投稿中!
転生?したら男女逆転世界
美鈴
ファンタジー
階段から落ちたら見知らぬ場所にいた僕。名前は覚えてるけど名字は分からない。年齢は多分15歳だと思うけど…。えっ…男性警護官!?って、何?男性が少ないって!?男性が襲われる危険がある!?そんな事言われても…。えっ…君が助けてくれるの?じゃあお願いします!って感じで始まっていく物語…。
※カクヨム様にも掲載しております
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる