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第45話 無法地帯
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現場に近づくと怒鳴り声が聞こえた。
西高校の生徒だ。
みんな我先にドローンに乗り込み、防壁の中に降りていく。
「おい!俺の魔石を取るな! 殺すぞ!」
パンパンパンパン!
「いってえ! てめえ! 何撃ってやがる!」
「おい! 速くドローンに乗れ!」
「待て! 俺も乗る!」
「へっへっへ、今が稼ぎ時だぜ!」
「早くしろよ! 殺すぞ!」
「うるさい!」
ドローンに乗った生徒をドロップキックで落として取っ組み合いが始まった。
大人がいなくて防壁の上は無秩序状態だ。
大人たちは防壁北に向かった、高校生の多くは残ったがそこに防壁西にウサギが向かい、高校生も招集を受けた。
今ここには西高校のヤバイ奴しかいない。
西高校のまともな人間は隠れるか避難しているだろう。
ライトアップされた防壁で足を引っ張り合いながら魔石を奪い合っている。
防壁に設置された監視カメラで何人か逮捕される可能性すらある。
俺は足を止めた。
「一旦止まろう。西高校の奴らしかいない。作戦会議だ」
「ウサギを倒しに行けば、最悪銃で撃たれますね」
「そうなんだよ、あいつらどさくさに紛れて人を殺すと思う」
「普段から、人を殺したいと言ってる奴がいるべ」
「まず、ハンダは撃たれるか後ろから殴られる」
「一旦様子見だ」
「もうちょっと下がりましょう」
「それが良いべ」
「ここに立っているだけで危ないすらあるよな」
怒鳴り声と怒号が止まない。
西高校は犯罪者予備軍が多い。
前に出るのは危険だ。
西高校の生徒はモンスターより危険すらあり得る。
「しばらくカフェで時間を潰すべ」
「私お勧めのカフェを知ってます。夜のカフェに行きましょう」
「任せるべ。実は」
「入った事が無いんですよね?」
「んだんだ」
「俺も兄さんもそう言うのはよく分からない」
「2人はお金を稼げるんですから、外食に慣れておいた方が良いですよ」
「そう、かもな」
「カフェデビューか、受けて立とう」
兄さんが服の襟を正し刀の位置を整えた。
「そう言うのじゃないですよ。普通に入って飲物を飲むだけです。一回やってみましょう」
「きゅう、服の中に隠れていてくれ」
きゅうが服の中に隠れた。
俺達はメイに付き従うようにカフェに入った。
「私はキャラメルマキアートにします」
「「同じものを」」
5人が一斉に言った。
「私は飲物だけでいいですが、皆はパンサンドとかどうですか?」
「「それでお願いします」」
「は! 兄さん、これは罠だ、パンサンドとキャラメルマキアートを合わせて1000ポイントを超えている」
「く、そうか、中々罠が多い」
「あ、いいですよ、私が皆分を奢りますから」
「バカな! 6000ポイント近くの」
「いいですから、気にせず食べましょう。キャラメルマキアート6つにパンサンド5つをお願いします」
全員がメイに礼をした。
6人でテーブルに座って待つ。
緊張で汗が出て来る。
兄さんも額の汗を拭っていた。
これが、カフェか。
飲み物とパンサンドを合わせて1000ポイント越え、それを一日2食頼んだとする。
一カ月で6万越え!
これは貴族のたしなみか!
「アキラ、キドウ、2人はもうたくさん魔石を取れるんですから、慣れましょう」
「う、うむ、だが」
「ライカさんと一緒に来る事になるかもしれませんよ?」
「く、カフェか。慣れる必要があるな」
「兄さんは頑張ってくれ」
「アキラも慣れていきましょう」
「お、俺は、もう少し、か、稼げるようになってから考える」
「2人の気持ちは分かるべ。おいらも中二まで貧乏だったべ」
3人でうんうんと頷いた。
「……3人とも強いですよね?」
「俺はまだまだだと思うけど、それがどうしたんだ?」
「たくさん魔石を取れるようになれば、料理はこういう所で済ませて出来るだけ時間を節約した方が沢山お金が手に入りますよ?」
トッププレイヤーがテイクアウトの商品をゲートの中で食べながらインタビューを受けていたな。
収納に三カ月分のテイクアウト品を入れている冒険者もいた。
「刀の道以外にも新しい壁が」
「違います、普通に外食やクリーニングを利用するだけでいいんです」
「お待たせしました。キャラメルマキアート6つです」
「ありがとうございます」
「「ありがとうございます」」
「所でここのお店は避難しないんですか?」
「そうですねえ、多分大丈夫じゃないかなーと思ってます。少し防壁から遠いですし」
「そうですか」
「今からパンサンドもお持ちしますね」
「お願いします」
「パンサンドです」
「ありがとうございます」
「「ありがとうございます」」
「ごゆっくりどうぞ」
俺達は無言でパンサンドとキャラメルマキアートを頂いた。
「うわあ、誰も話さないんですね」
「緊張するんだ」
俺は服に隠していたきゅうにパンサンドを食べさせる。
きゅうがぬんと服から出て口にパンサンドを入れるとしゅっと引っ込んだ。
もぐらたたきを思い出す。
くちゃくちゃくちゃくちゃ!
「きゅう! きゅう!」
「キャラメルマキアートもあるから」
「あ、まずいですね」
「ん?」
「防壁の西が、突破されます」
「西高校の生徒が止められなかったか!」
6人で立ち上がり現場に向かった。
西高校の生徒だ。
みんな我先にドローンに乗り込み、防壁の中に降りていく。
「おい!俺の魔石を取るな! 殺すぞ!」
パンパンパンパン!
「いってえ! てめえ! 何撃ってやがる!」
「おい! 速くドローンに乗れ!」
「待て! 俺も乗る!」
「へっへっへ、今が稼ぎ時だぜ!」
「早くしろよ! 殺すぞ!」
「うるさい!」
ドローンに乗った生徒をドロップキックで落として取っ組み合いが始まった。
大人がいなくて防壁の上は無秩序状態だ。
大人たちは防壁北に向かった、高校生の多くは残ったがそこに防壁西にウサギが向かい、高校生も招集を受けた。
今ここには西高校のヤバイ奴しかいない。
西高校のまともな人間は隠れるか避難しているだろう。
ライトアップされた防壁で足を引っ張り合いながら魔石を奪い合っている。
防壁に設置された監視カメラで何人か逮捕される可能性すらある。
俺は足を止めた。
「一旦止まろう。西高校の奴らしかいない。作戦会議だ」
「ウサギを倒しに行けば、最悪銃で撃たれますね」
「そうなんだよ、あいつらどさくさに紛れて人を殺すと思う」
「普段から、人を殺したいと言ってる奴がいるべ」
「まず、ハンダは撃たれるか後ろから殴られる」
「一旦様子見だ」
「もうちょっと下がりましょう」
「それが良いべ」
「ここに立っているだけで危ないすらあるよな」
怒鳴り声と怒号が止まない。
西高校は犯罪者予備軍が多い。
前に出るのは危険だ。
西高校の生徒はモンスターより危険すらあり得る。
「しばらくカフェで時間を潰すべ」
「私お勧めのカフェを知ってます。夜のカフェに行きましょう」
「任せるべ。実は」
「入った事が無いんですよね?」
「んだんだ」
「俺も兄さんもそう言うのはよく分からない」
「2人はお金を稼げるんですから、外食に慣れておいた方が良いですよ」
「そう、かもな」
「カフェデビューか、受けて立とう」
兄さんが服の襟を正し刀の位置を整えた。
「そう言うのじゃないですよ。普通に入って飲物を飲むだけです。一回やってみましょう」
「きゅう、服の中に隠れていてくれ」
きゅうが服の中に隠れた。
俺達はメイに付き従うようにカフェに入った。
「私はキャラメルマキアートにします」
「「同じものを」」
5人が一斉に言った。
「私は飲物だけでいいですが、皆はパンサンドとかどうですか?」
「「それでお願いします」」
「は! 兄さん、これは罠だ、パンサンドとキャラメルマキアートを合わせて1000ポイントを超えている」
「く、そうか、中々罠が多い」
「あ、いいですよ、私が皆分を奢りますから」
「バカな! 6000ポイント近くの」
「いいですから、気にせず食べましょう。キャラメルマキアート6つにパンサンド5つをお願いします」
全員がメイに礼をした。
6人でテーブルに座って待つ。
緊張で汗が出て来る。
兄さんも額の汗を拭っていた。
これが、カフェか。
飲み物とパンサンドを合わせて1000ポイント越え、それを一日2食頼んだとする。
一カ月で6万越え!
これは貴族のたしなみか!
「アキラ、キドウ、2人はもうたくさん魔石を取れるんですから、慣れましょう」
「う、うむ、だが」
「ライカさんと一緒に来る事になるかもしれませんよ?」
「く、カフェか。慣れる必要があるな」
「兄さんは頑張ってくれ」
「アキラも慣れていきましょう」
「お、俺は、もう少し、か、稼げるようになってから考える」
「2人の気持ちは分かるべ。おいらも中二まで貧乏だったべ」
3人でうんうんと頷いた。
「……3人とも強いですよね?」
「俺はまだまだだと思うけど、それがどうしたんだ?」
「たくさん魔石を取れるようになれば、料理はこういう所で済ませて出来るだけ時間を節約した方が沢山お金が手に入りますよ?」
トッププレイヤーがテイクアウトの商品をゲートの中で食べながらインタビューを受けていたな。
収納に三カ月分のテイクアウト品を入れている冒険者もいた。
「刀の道以外にも新しい壁が」
「違います、普通に外食やクリーニングを利用するだけでいいんです」
「お待たせしました。キャラメルマキアート6つです」
「ありがとうございます」
「「ありがとうございます」」
「所でここのお店は避難しないんですか?」
「そうですねえ、多分大丈夫じゃないかなーと思ってます。少し防壁から遠いですし」
「そうですか」
「今からパンサンドもお持ちしますね」
「お願いします」
「パンサンドです」
「ありがとうございます」
「「ありがとうございます」」
「ごゆっくりどうぞ」
俺達は無言でパンサンドとキャラメルマキアートを頂いた。
「うわあ、誰も話さないんですね」
「緊張するんだ」
俺は服に隠していたきゅうにパンサンドを食べさせる。
きゅうがぬんと服から出て口にパンサンドを入れるとしゅっと引っ込んだ。
もぐらたたきを思い出す。
くちゃくちゃくちゃくちゃ!
「きゅう! きゅう!」
「キャラメルマキアートもあるから」
「あ、まずいですね」
「ん?」
「防壁の西が、突破されます」
「西高校の生徒が止められなかったか!」
6人で立ち上がり現場に向かった。
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