無能扱いされ会社を辞めさせられ、モフモフがさみしさで命の危機に陥るが懸命なナデナデ配信によりバズる~色々あって心と音速の壁を突破するまで~

ぐうのすけ

文字の大きさ
35 / 38

第35話

しおりを挟む
 そうか、部長を通して俺は両親を見ていた。

 部長と接しているようで、俺は過去の両親を見ていた。

 俺の心は両親に縛られていたのか?

 社長と部長、2人とキッチンジャッジで話をした時、部長が小さく見えた。
 両親も部長もそんなに変わらない。

 俺は両親が怖かった。

 小さな頃、俺は走って図書館に逃げ込んだ。

 ハンター高校を卒業してから俺は大穴に逃げ込んだ。

 俺は小さい頃と何も変わっていない。

 点と点が繋がっていく。
 体が生まれ変わるような感覚に包まれていく。
 両親も部長と同じで、俺の心の中で小さくなっていく。


 会社を辞めるとすぐ、リコと出会った。
 最初はリコが苦手だった。
 でも、リコが俺に話しかけ続けたのは、俺が人を求めていたからだ。
 リコはその事を察していたんだ。

 人が苦手で、それでもさみしかった。
 自分だけが本当の気持ちに気づいていなかった。
 俺は人が苦手で、でも、人を求めている。

 自分がさみしい事に、自分だけが気づいていなかった。



 カノンと出会って最初は変な奴だと思った。
 でも、俺も変わっていて変な奴だった。

 両親と接して歪んだままの存在、それが俺だ。
 気づくタイミングはいくらでもあった。
 でも歪んだまま過ごしていた。

 カノンが俺の背中を撫でてくれた時、俺はさみしそうな顔をしていたんだろう。
 俺が可愛そうに見えてたんだよな?
 スナイプも俺の気持ちに気づいていたのかもしれない。


 きゅう、俺はきゅうを一人にはさせない、そう思っていた。
 でも、さみしかったのは俺も一緒だった。

 お祭りできゅうを護衛につけるか迷った時、俺はきゅうと離れるのが嫌だった。
 手放したくないと思ったんだ。

 リコは俺ときゅうが似ていると言った。
 
 本当にその通りだ。
 さみしがり屋なのはきゅうだけじゃない。
 俺も一緒で、俺は、人を求めていた。


 俺は人が苦手でパーティーを組みたくないと思っていた。

 でも今はリコも、カノンも失いたくない。

 みんなが、皆の存在が大きくなって、大切になっていた。



 マンパワー商事で働いていた頃、体がやりたくないと叫んでいるのに頭で強引に押さえつけるように仕事をしていた。

 ブレーキとアクセルを同時に踏んで疲弊するような感覚だった。
 今なら分かる。
 心のもやが晴れていく。

 今俺は、みんなを助けたい。

 音速の壁が俺を邪魔する。
 違う、本当に邪魔をしていたのは俺の心だ。

 俺はいつもブレーキとアクセルを両方踏んでいた。
 でもそれは、俺の弱い心が生み出した歪みに過ぎない。

 今、心と体が噛み合っている。

 俺のすべてが、カノンを、リコを、助けたいと叫んでいる。

 俺は今まで本気を出せていなかった。
 体が生まれ変わっていく。
 すべてが噛み合ったように力が溢れる。

 本気を出せよ!
 今だけでいいんだ!

 本気を出せよ!
 本気で走れよ、俺はあああ!

「壊れろおおおおおおおおおお!」

 全力で、本気で走る。
 音速の壁を打ち破り、体が一気に軽くなった。

『おおお!一気に加速した!』
『これなら行ける!後1分で入り口が爆破される!』
『間に合え!間に合え!間に合え!』
『覚醒した!』
『カケル!行けええええ!』

 道路を蹴ってジャンプして田舎の広い民家を2件飛び越える。
 森が生い茂った山に突撃し、木の枝にぶつかりながら走る。

『ショートカットか!これなら間に合う!』
『一気に速くなった!だが爆破まで時間が無い!』
『爆破される前に大穴に飛び込め!爆破まで残り10秒も無いぞ!』

 森を抜けてミサイルのように大穴に突っ込んだ。
 入り口が吹き飛んだ。
 天井に逆さに着地すると強い重力を感じる。
 崩れる天井の大岩を蹴り壊すように強引に方向転換をしながら奥に進んだ。


 沈みそうになる足を強引に蹴りながら天井を走る。
 強引に走る方向を捻じ曲げるように岩を全力で蹴って走った。

 俺のすぐ後ろで爆発が発生した。
 
 ドッコーン!ドゴンドゴン!

 爆発より早く!
 爆発を置き去りにして走る。

『おおおおおお!爆破に間に合った!』
『行けええええカケルうううウウウウウウウウウウ!』
『走れええええ!』

『奇跡が起きるのか!』
『オッドアイが2人に迫っている!』
『カケル!頼む!2人を助けてくれ!』

 壁の上を走り、上にかかる力が和らぐと横を走り、下に降りて地面を踏みしめて走る。
 きゅうが前足を動かして進む先を教えてくれる。

 大虫を飛び越えて一直線に、最短距離で2人の元を目指す。
 大部屋が、オッドアイが見えた。

 手がどうなってもいい!

 腕が壊れても構わない!

 全力全開で突き進む!

 全力で加速して、全力で殴る!

 俺に出来るのはそれだけだ!

「うおおおおおおおおおおおおおおおおりゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」

 バリアをまとったオッドアイにかまわず右腕の拳を叩きこんだ。

 オッドアイを包むバリアが歪み、弾けて消えた。
 殴った衝撃でオッドアイが壁にぶつかりぶつかった岩が崩れて轟音を発生させた。

 ゴオオオオオオオオウウウウン!

 更に遅れて後ろから雷鳴のような轟音が響いた。

 ゴオオオオオオオオウウウウン!

 衝撃で地面が揺れて岩がボロボロと落ちて、轟音が大穴内で響き渡る。
 
 振り返るとカノンとリコがいた。

 間に合った!

「「カケル!」」

『うおおおおおおお!届いたあああああ!』
『奇跡が起きたぜ!』
『来たあああああああああああああああああ!』
『カケル!行けえええええ!』
『殴った腕が無傷だと!あり得ない!』

『行ける!カケルなら行けるぞ!』
『間に合ったあああああああああああ!』
『カケル最強!』
『鳥肌と涙が止まらねえええええ!音速が遅れて聞こえて来た!』

「「グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!」」

 オッドアイが雄たけびを上げた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

(完結)魔王討伐後にパーティー追放されたFランク魔法剣士は、超レア能力【全スキル】を覚えてゲスすぎる勇者達をザマアしつつ世界を救います

しまうま弁当
ファンタジー
魔王討伐直後にクリードは勇者ライオスからパーティーから出て行けといわれるのだった。クリードはパーティー内ではつねにFランクと呼ばれ戦闘にも参加させてもらえず場美雑言は当たり前でクリードはもう勇者パーティーから出て行きたいと常々考えていたので、いい機会だと思って出て行く事にした。だがラストダンジョンから脱出に必要なリアーの羽はライオス達は分けてくれなかったので、仕方なく一階層づつ上っていく事を決めたのだった。だがなぜか後ろから勇者パーティー内で唯一のヒロインであるミリーが追いかけてきて一緒に脱出しようと言ってくれたのだった。切羽詰まっていると感じたクリードはミリーと一緒に脱出を図ろうとするが、後ろから追いかけてきたメンバーに石にされてしまったのだった。

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

最低最悪の悪役令息に転生しましたが、神スキル構成を引き当てたので思うままに突き進みます! 〜何やら転生者の勇者から強いヘイトを買っている模様

コレゼン
ファンタジー
「おいおい、嘘だろ」  ある日、目が覚めて鏡を見ると俺はゲーム「ブレイス・オブ・ワールド」の公爵家三男の悪役令息グレイスに転生していた。  幸いにも「ブレイス・オブ・ワールド」は転生前にやりこんだゲームだった。  早速、どんなスキルを授かったのかとステータスを確認してみると―― 「超低確率の神スキル構成、コピースキルとスキル融合の組み合わせを神引きしてるじゃん!!」  やったね! この神スキル構成なら処刑エンドを回避して、かなり有利にゲーム世界を進めることができるはず。  一方で、別の転生者の勇者であり、元エリートで地方自治体の首長でもあったアルフレッドは、 「なんでモブキャラの悪役令息があんなに強力なスキルを複数持ってるんだ! しかも俺が目指してる国王エンドを邪魔するような行動ばかり取りやがって!!」  悪役令息のグレイスに対して日々不満を高まらせていた。  なんか俺、勇者のアルフレッドからものすごいヘイト買ってる?  でもまあ、勇者が最強なのは検証が進む前の攻略情報だから大丈夫っしょ。  というわけで、ゲーム知識と神スキル構成で思うままにこのゲーム世界を突き進んでいきます!

追放された最強ヒーラーは、美少女令嬢たちとハーレム生活を送る ~公爵令嬢も義妹も幼馴染も俺のことを大好きらしいので一緒の風呂に入ります~

軽井広@北欧美少女 書籍化!
ファンタジー
白魔道師のクリスは、宮廷魔導師団の副団長として、王国の戦争での勝利に貢献してきた。だが、国王の非道な行いに批判的なクリスは、反逆の疑いをかけられ宮廷を追放されてしまう。 そんなクリスに与えられた国からの新たな命令は、逃亡した美少女公爵令嬢を捕らえ、処刑することだった。彼女は敵国との内通を疑われ、王太子との婚約を破棄されていた。だが、無実を訴える公爵令嬢のことを信じ、彼女を助けることに決めるクリス。 クリスは国のためではなく、自分のため、そして自分を頼る少女のために、自らの力を使うことにした。やがて、同じような境遇の少女たちを助け、クリスは彼女たちと暮らすことになる。 一方、クリスのいなくなった王国軍は、隣国との戦争に負けはじめた……。

さんざん馬鹿にされてきた最弱精霊使いですが、剣一本で魔物を倒し続けたらパートナーが最強の『大精霊』に進化したので逆襲を始めます。

ヒツキノドカ
ファンタジー
 誰もがパートナーの精霊を持つウィスティリア王国。  そこでは精霊によって人生が決まり、また身分の高いものほど強い精霊を宿すといわれている。  しかし第二王子シグは最弱の精霊を宿して生まれたために王家を追放されてしまう。  身分を剥奪されたシグは冒険者になり、剣一本で魔物を倒して生計を立てるようになる。しかしそこでも精霊の弱さから見下された。ひどい時は他の冒険者に襲われこともあった。  そんな生活がしばらく続いたある日――今までの苦労が報われ精霊が進化。  姿は美しい白髪の少女に。  伝説の大精霊となり、『天候にまつわる全属性使用可』という規格外の能力を得たクゥは、「今まで育ててくれた恩返しがしたい!」と懐きまくってくる。  最強の相棒を手に入れたシグは、今まで自分を見下してきた人間たちを見返すことを決意するのだった。 ーーーーーー ーーー 閲覧、お気に入り登録、感想等いつもありがとうございます。とても励みになります! ※2020.6.8お陰様でHOTランキングに載ることができました。ご愛読感謝!

【鑑定不能】と捨てられた俺、実は《概念創造》スキルで万物創成!辺境で最強領主に成り上がる。

夏見ナイ
ファンタジー
伯爵家の三男リアムは【鑑定不能】スキル故に「無能」と追放され、辺境に捨てられた。だが、彼が覚醒させたのは神すら解析不能なユニークスキル《概念創造》! 認識した「概念」を現実に創造できる規格外の力で、リアムは快適な拠点、豊かな食料、忠実なゴーレムを生み出す。傷ついたエルフの少女ルナを救い、彼女と共に未開の地を開拓。やがて獣人ミリア、元貴族令嬢セレスなど訳ありの仲間が集い、小さな村は驚異的に発展していく。一方、リアムを捨てた王国や実家は衰退し、彼の力を奪おうと画策するが…? 無能と蔑まれた少年が最強スキルで理想郷を築き、自分を陥れた者たちに鉄槌を下す、爽快成り上がりファンタジー!

貧乏冒険者で底辺配信者の生きる希望もないおっさんバズる~庭のFランク(実際はSSSランク)ダンジョンで活動すること15年、最強になりました~

喰寝丸太
ファンタジー
おっさんは経済的に、そして冒険者としても底辺だった。 庭にダンジョンができたが最初のザコがスライムということでFランクダンジョン認定された。 そして18年。 おっさんの実力が白日の下に。 FランクダンジョンはSSSランクだった。 最初のザコ敵はアイアンスライム。 特徴は大量の経験値を持っていて硬い、そして逃げる。 追い詰められると不壊と言われるダンジョンの壁すら溶かす酸を出す。 そんなダンジョンでの15年の月日はおっさんを最強にさせた。 世間から隠されていた最強の化け物がいま世に出る。

ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います

とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。 食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。 もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。 ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。 ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。

処理中です...