無能扱いされ会社を辞めさせられ、モフモフがさみしさで命の危機に陥るが懸命なナデナデ配信によりバズる~色々あって心と音速の壁を突破するまで~

ぐうのすけ

文字の大きさ
37 / 38

第37話

しおりを挟む
 進化したスキルが噛み合っていく。
 俺がやって来た事を圧縮したように出来上がっていった。

 全力で加速して音速の壁を突き抜けた感覚。
 一瞬で音速の壁を突破し、その速度のまま拳を固めてありったけの魔力を込めて全力でぶん殴る。

 俺が得意な事、やって来た事を凝縮した一撃。
 そうか、この感覚は、スキルを覚えたのか。

『走って全力で殴る』


「衝撃に備えてくれ!来るぞ!」

 オッドアイが頭を振って刺さった角を抜くと地面に着地した。
 俺は後ろに走り、大部屋の隅で止まった。

『おいおいおい!カノンとリコを置いて逃げるな!』
『カケル!ビビるな!戦ってくれ!』
『ここで逃げるは無いだろ』

「違うよ!カノン!離れよう!凄いのが来るよ!新しいスキルが来る!」

『何だ?何が始まるんだ?』
『カケルが構えたぞ。走る気か』
『まるで獣のようだ』
『クラウチングスタートか』

「カノン、リコ、離れていてくれ!!」
「「グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!」」

 オッドアイの両眼が光った。
 バリアと角の剣が同時に発生した。

『オッドアイも必殺技を使う気じゃないか?』
『オッドアイの様子から見るにそうだろうな』
『嫌な予感がするぜ』
『両目、両方の力を使っている。必殺技に決まっているだろう』

 俺とオッドアイは同時に走った。

『オッドアイが速い!まずいぞ!』
『いや、カケルの方が、どんどん速くなっていく!』
『だがオッドアイはでかい。カケルが有利とはいえないぞ!』

 加速して音速の壁を越えた。

 そして思いっきり右腕を硬化させて全力でぶん殴る!

「断空!!!」

 オッドアイを殴って一瞬でバリアを消滅させた。
 更にオッドアイの腹にパンチが直撃して全力でパンチを振りぬいた。
 タックルをするように後ろの壁に叩きつけるとオッドアイの体が歪む。

 オッドアイが魔石に変わり、俺は魔石をキャッチした。
 雷鳴のような音が遅れて聞こえ、壁が激しく揺れた。

『はあ!一瞬で倒した!』
『今見えなかった!』
『殴って倒したんだよな?』
『100人のトップハンターが逃げ帰ったオッドアイを1人で、一瞬で倒した!?』

『うおおおおぉ!やったぜえええ!』
『きゅうも大虫の大軍を倒したで』
『完全勝利やん!』
『オーバーキルやん!すげえええええ!』

 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!

「まずい!大部屋が崩れる!オッドアイが暴れたせいか!」

『とどめはお前やろ!』
『さらっとオッドアイのせいにするカケル』
『岩が崩れ落ちてくるぞ』
『早く逃げろって!早く!』

 オッドアイの魔石を一本道にぶん投げた。
 そしてカノンとリコを両脇に抱えて走った。

「わわわ!崩れるよ!」
「ぐえ、加速が凄すぎて!」
 
 ガラガラガラ!ドゴーン!

 俺達が退避した瞬間に大部屋が崩れた。
 土煙が舞い、地震のような地鳴りが収まるとリコが話を始めた。

「危なかったね。何とか避難で来たよ。それにしてもカケルのおかげで助かったよ!一時はどうなる事かと……」

 リコがひたすら話を続ける。

『リコが話しだしたで』
『今まで緊張状態だった反動だろ』
『カノンちゃん、大丈夫かな?』

 カノンの顔色が悪い。
 俺はカノンを横にした。

「カノン、一旦横になろう」
「ありがとう、ございます」

 カノンは横になって目を閉じた。
 きゅうがカノンの上に乗った。
 きゅうもカノンが心配なようだ。

 俺がきゅうを渡していれば危ない目に合わずに済んだかもしれない。
 でも、それを言うと、2人は余計に俺に気を使うだろう。
 俺は言葉を飲み込んだ。

 リコがいつもより良くしゃべり、コメントの質問に答えている。

「ねえ、大穴の入り口が壊されちゃったんだよね?」
「そうだけど、待っていればまた掘り返すだろ」

『せっかく爆破したのにまた掘るのか。無駄じゃね?』
『しゃあない。穴を埋めてもアリが変な所に入り口を作る。街の中心部に穴が出来たら大事件やで』
『基本危なくなれば入り口を爆破して安全になったら穴を開ける、これの繰り返しだな』
『ついでに監視カメラや爆弾も設置し直すだろう』
『労力しかかからん、でもそんなもんよ」

 俺もほっとした。
 心に引っ掛かりがあった。
 本当は皆といたかった。
 でも、怖くて仮のパーティーを組んだ。
 きゅうと同じようにみんなが大事だ。

「皆、聞いて欲しい。俺、仮のパーティーを組むって言ってたけど、正式にパーティーを組みたいんだ」

 俺はみんなに頭を下げた。

「ええええ!仮のパーティーだと思っているのはカケルだけだよ!」

 リコは驚いた顔をして言った。

 カノンが笑い出した。

「ふふふふふふふふふ、ふふふふふふふふふふ」
「な、なんだ?」
「いえ、カケルは……カケルらしくていいと思います」
「最後まで言ってくれ」
「ふふふふふふふふふふ」

『カケル、皆は最初からパーティーだったんだ。仮じゃなかったんだよ』
『みんな音速の壁で結ばれたパーティーだ』
『急に頭を下げる所が面白い』

 カノンが起き上がって手を出した。
 リコも手を出してカノンの手に重ねる。
 きゅうが俺を見つめた。

「……カケル、きゅうが手を出すのを待ってるよ」
「カケル、早く手を出してください」

 俺は手を出した。
 きゅうがぴょんとジャンプして俺の手に乗った。

「……」
「……」
「……え?なに?」

「カケル、掛け声だよ」
「俺?」
「早く言いましょう」

 何も思いつかない。
 パーティーは組んでいるから結成する必要はないし……

「……皆って……スナイプはいないけど、今日はお疲れさまでした」

 リコとカノンが笑う。

『締まらない最後だなwwwwww』
『でもこれでいい。うん、カケルらしい』
『発言がネガティブすぎる。大勝利うぇーいみたいな意味のない感じのでいいんだよ』
『薄っぺらいのよりこっちの方が俺は好きだな』

 コメントでも笑いの文章が高速で流れる。

 きゅうは連続でジャンプして俺とハイタッチを繰り返した。
 テンションの高いきゅうを見て更にみんなが笑う。



 笑いが収まると、話題を変えた。

「そう言えば、いつ出られるんだろうな」
「きゅ!」

「きゅう、出口があるの?」
「きゅう♪」

「ついていきましょう」
「きゅう♪」

 俺達はきゅうについていく。



 ◇



 木が生い茂った穴から地上に出た。

「……ここって未発見の大穴じゃね?」
「きゅう、どうやって分かったんですか?」
「きゅう?」

「多分だけど、空気の流れと匂い、かな。私より斥候の能力が高いのかも」

『やっぱきゅうは意味不明生物だわ』
『ここは、見つけられんわ』
『道が長すぎるんだよなあ。いったん下がってまた上がるからそこそこ奥に潜れないと発見できんよな』

 俺はジャンプして周りを見渡した。
 街の光が見える。
 着地すると2人が言った。

「急にジャンプするとびっくりするよ!」
「カケル、風圧が凄いのでゆっくり動きましょう」

「あ、悪い。5キロくらい歩けば道路に出ると思う」

『長いな』
『ここだけはコンクリートでも流し込んで埋めた方がいい』
『帰ったら報告だな』
『俺が報告しておくわ』

 俺達は街に戻った。


 お祭り会場では警察官が待機していた。

「行って来る」
「え?どこに?」
「警察ですか?どうして!?」

「俺は、スピード違反で条例を破ったんだ。だから、捕まりに行って来る」

 俺は警察官の元に歩いた。

『今回の件で捕まるのはおかしいだろ!』
『さすがにこの最後は無いわ!警察に電話をかけてやる』
『おかしいおかしい!これは無いわ!』
『これだけは納得できん!』

 その瞬間にリコとカノンが取り乱した。




しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

(完結)魔王討伐後にパーティー追放されたFランク魔法剣士は、超レア能力【全スキル】を覚えてゲスすぎる勇者達をザマアしつつ世界を救います

しまうま弁当
ファンタジー
魔王討伐直後にクリードは勇者ライオスからパーティーから出て行けといわれるのだった。クリードはパーティー内ではつねにFランクと呼ばれ戦闘にも参加させてもらえず場美雑言は当たり前でクリードはもう勇者パーティーから出て行きたいと常々考えていたので、いい機会だと思って出て行く事にした。だがラストダンジョンから脱出に必要なリアーの羽はライオス達は分けてくれなかったので、仕方なく一階層づつ上っていく事を決めたのだった。だがなぜか後ろから勇者パーティー内で唯一のヒロインであるミリーが追いかけてきて一緒に脱出しようと言ってくれたのだった。切羽詰まっていると感じたクリードはミリーと一緒に脱出を図ろうとするが、後ろから追いかけてきたメンバーに石にされてしまったのだった。

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

最低最悪の悪役令息に転生しましたが、神スキル構成を引き当てたので思うままに突き進みます! 〜何やら転生者の勇者から強いヘイトを買っている模様

コレゼン
ファンタジー
「おいおい、嘘だろ」  ある日、目が覚めて鏡を見ると俺はゲーム「ブレイス・オブ・ワールド」の公爵家三男の悪役令息グレイスに転生していた。  幸いにも「ブレイス・オブ・ワールド」は転生前にやりこんだゲームだった。  早速、どんなスキルを授かったのかとステータスを確認してみると―― 「超低確率の神スキル構成、コピースキルとスキル融合の組み合わせを神引きしてるじゃん!!」  やったね! この神スキル構成なら処刑エンドを回避して、かなり有利にゲーム世界を進めることができるはず。  一方で、別の転生者の勇者であり、元エリートで地方自治体の首長でもあったアルフレッドは、 「なんでモブキャラの悪役令息があんなに強力なスキルを複数持ってるんだ! しかも俺が目指してる国王エンドを邪魔するような行動ばかり取りやがって!!」  悪役令息のグレイスに対して日々不満を高まらせていた。  なんか俺、勇者のアルフレッドからものすごいヘイト買ってる?  でもまあ、勇者が最強なのは検証が進む前の攻略情報だから大丈夫っしょ。  というわけで、ゲーム知識と神スキル構成で思うままにこのゲーム世界を突き進んでいきます!

追放された最強ヒーラーは、美少女令嬢たちとハーレム生活を送る ~公爵令嬢も義妹も幼馴染も俺のことを大好きらしいので一緒の風呂に入ります~

軽井広@北欧美少女 書籍化!
ファンタジー
白魔道師のクリスは、宮廷魔導師団の副団長として、王国の戦争での勝利に貢献してきた。だが、国王の非道な行いに批判的なクリスは、反逆の疑いをかけられ宮廷を追放されてしまう。 そんなクリスに与えられた国からの新たな命令は、逃亡した美少女公爵令嬢を捕らえ、処刑することだった。彼女は敵国との内通を疑われ、王太子との婚約を破棄されていた。だが、無実を訴える公爵令嬢のことを信じ、彼女を助けることに決めるクリス。 クリスは国のためではなく、自分のため、そして自分を頼る少女のために、自らの力を使うことにした。やがて、同じような境遇の少女たちを助け、クリスは彼女たちと暮らすことになる。 一方、クリスのいなくなった王国軍は、隣国との戦争に負けはじめた……。

さんざん馬鹿にされてきた最弱精霊使いですが、剣一本で魔物を倒し続けたらパートナーが最強の『大精霊』に進化したので逆襲を始めます。

ヒツキノドカ
ファンタジー
 誰もがパートナーの精霊を持つウィスティリア王国。  そこでは精霊によって人生が決まり、また身分の高いものほど強い精霊を宿すといわれている。  しかし第二王子シグは最弱の精霊を宿して生まれたために王家を追放されてしまう。  身分を剥奪されたシグは冒険者になり、剣一本で魔物を倒して生計を立てるようになる。しかしそこでも精霊の弱さから見下された。ひどい時は他の冒険者に襲われこともあった。  そんな生活がしばらく続いたある日――今までの苦労が報われ精霊が進化。  姿は美しい白髪の少女に。  伝説の大精霊となり、『天候にまつわる全属性使用可』という規格外の能力を得たクゥは、「今まで育ててくれた恩返しがしたい!」と懐きまくってくる。  最強の相棒を手に入れたシグは、今まで自分を見下してきた人間たちを見返すことを決意するのだった。 ーーーーーー ーーー 閲覧、お気に入り登録、感想等いつもありがとうございます。とても励みになります! ※2020.6.8お陰様でHOTランキングに載ることができました。ご愛読感謝!

【鑑定不能】と捨てられた俺、実は《概念創造》スキルで万物創成!辺境で最強領主に成り上がる。

夏見ナイ
ファンタジー
伯爵家の三男リアムは【鑑定不能】スキル故に「無能」と追放され、辺境に捨てられた。だが、彼が覚醒させたのは神すら解析不能なユニークスキル《概念創造》! 認識した「概念」を現実に創造できる規格外の力で、リアムは快適な拠点、豊かな食料、忠実なゴーレムを生み出す。傷ついたエルフの少女ルナを救い、彼女と共に未開の地を開拓。やがて獣人ミリア、元貴族令嬢セレスなど訳ありの仲間が集い、小さな村は驚異的に発展していく。一方、リアムを捨てた王国や実家は衰退し、彼の力を奪おうと画策するが…? 無能と蔑まれた少年が最強スキルで理想郷を築き、自分を陥れた者たちに鉄槌を下す、爽快成り上がりファンタジー!

貧乏冒険者で底辺配信者の生きる希望もないおっさんバズる~庭のFランク(実際はSSSランク)ダンジョンで活動すること15年、最強になりました~

喰寝丸太
ファンタジー
おっさんは経済的に、そして冒険者としても底辺だった。 庭にダンジョンができたが最初のザコがスライムということでFランクダンジョン認定された。 そして18年。 おっさんの実力が白日の下に。 FランクダンジョンはSSSランクだった。 最初のザコ敵はアイアンスライム。 特徴は大量の経験値を持っていて硬い、そして逃げる。 追い詰められると不壊と言われるダンジョンの壁すら溶かす酸を出す。 そんなダンジョンでの15年の月日はおっさんを最強にさせた。 世間から隠されていた最強の化け物がいま世に出る。

ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います

とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。 食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。 もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。 ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。 ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。

処理中です...