銀眼の左遷王ケントの素人領地開拓&未踏遺跡攻略~だけど、領民はゼロで土地は死んでるし、遺跡は結界で入れない~

雪野湯

文字の大きさ
156 / 359
第十四章 兵(つわもの)どもが夢の跡

古代人と魔族

しおりを挟む
――古代人がスカルペルに現れ、姿を消した理由(裏の説)


 スカルペルには種族の敵、魔族が存在する。
 この説では、古代人は有用なものを求めスカルペルに現れたわけではなく、知性ある我々を守るために異世界より訪れたという。
 だが、激しい戦闘の末……。

「ここから先もいくつか説が分かれてしまうのだが、敗北して滅びた説。諦めて元の世界に帰った説。何かの事情で帰還せざるを得なかった説」
「最後の説はなんだか、ふわっとしてますね」
「エクアの言うとおりだ。これらの説はもちろんのこと、定説としての有用なものを求めて旅をしているを含め、正直、なぜ彼らがスカルペルに訪れ消えたのかは謎、というのが正解だろう」

 
 ここで親父がある部分について、納得のいかない様子で言葉を漏らす。
「古代人が魔族を退治にって、そりゃサノアの役目でしょうに。何やってんすかね、我らが創造主様は?」
「親父のような意見が出るからこの説は機密、というか封印されている……その魔族は、サノアと敵対していた悪神の落とし子という話もあるのだが。まぁ、だからこそ、サノアの役目なのだろうが……」

「でしょうよ」
「だけどな、実際のところ魔族について詳しいことはわかってない。私たちよりも強く、コミュニケーションも取れない。そのため、なかなか調べることができないので生体は謎に満ちている。過去の解剖の所見によると、強再生の理由すらわからなかったらしい。その解剖もまた易々とは……」

「教会の連中がうるさいんですね?」
「その言葉にはっきりとは同意しかねるが、まぁそうだ。彼らは不浄なる存在である魔族を調べることを禁忌としているからな」
「教会もサノアも役に立ちやしねぇな」

 親父は信仰心が薄く、教会やサノアをよく思っていないのだろう。
 唾を飛ばすような口調を見せた。


 すると、エクアがサノアを擁護する声を上げる。

「サノア様は悪神との戦いで傷を負ったと言われています。だから、魔族を滅ぼすことができなかったのでは?」
「それはそれで、俺たちを創った神様ってわりには情けなくねぇか?」
「そんな……あっ」
「どうした、エクアの嬢ちゃん?」
「もしかしたら、魔族を退治するためにサノア様が古代人を呼び寄せたのかも」

 エクアの柔軟な発想に、私は軽い笑い見せて答える。
「ははは、そういった説もある。ま、記録が不確かな千年前の出来事。神話として割り切り、今はまだ謎ということにしておくしかないのかもな」


 と、ここまでの話は、裏とはいえ従来の古代人渡来説・消失説にすぎない。

 だが、我々理論派は彼らを知らべ、真実の一端を知った。これは理論派の一部とヴァンナスの支配階級しか知らぬこと。
 古代人が訪れた理由は不明だが、魔族の正体と消えた原因はある程度推測できている。

 当時、古代人たちは何者かと敵対しており、魔族はその敵が創ったものではないか? という推測と、ほぼ確実視されている説――古代人は敵によってばら撒かれた致死性の物質に侵されて滅んだ……。

 敵が何者でどこへ行ったのかは全くの不明だが……少なくとも、かつて古代人に匹敵する存在がいた可能性がある。
 ただし、その痕跡は見つかっていない。
 あるのは、古代人を死に至らしめた痕跡のみ……。

 このことを話せばフィナが気づきかねない。私や、勇者であるアイリやレイの正体を。
 彼女は賢い。欠片から全体を知ることのできる人物。
 だから、今はまだ、皆に真実を渡すわけにはいかない。
 


――私がサノアや教会を卑下する説を披露する中、会話に参加していなかったマフィンとマスティフが声を震わせて扉に向かい指を差してきた。

「あのニャ、楽しいご歓談の最中~、申し訳ニャいが……話しの頭で、このばいおなんちゃらマークは危険な病原体を扱うマークと言ったよニャ?」
「ああ、言ったぞ。このマークはそれに使われる。古代人も同じ意味で使っていたとすればだが」
「そうであるならば、相当まずいことでは? 扉が少し、開いておるぞ」
「え!?」


 私は体ごと扉へ顔を向けた。
 マスティフの言った通り、扉が少し開いている。
 すぐさま青いひし形のナルフを浮かべ、扉とその隙間。そして、周囲を調べる。

「……異常なし。ふぅ~、少し焦ったな」
「安全、なんですか?」
「ああ、エクア。大丈夫、安全だ。室内にも汚染はないようだ」
「この部屋も他の部屋と同じで、空っぽなんでしょうか?」
「それは覗いてみないと。中には何かの研究器具があるかもしれん。有用なものがあれば嬉しいが」

 といって、扉に近づくが、全く反応しない。

「扉が壊れているようだ。ならば、仕方がない。親父、マスティフ殿」
「こじ開けるってわけですな」
「それしかなかろう」
 
 私たち三人は隙間に指を入れて、タイミングを合わせ扉を横にずった。

「おお~!!」
「むぐぐぐ!!」
「ふんぬ!!」

 扉は横に押し込まれた。
 私は息を切らし、内部へ目を向ける。
 中には何らかの機械や器具とベッドの形をしたガラスケースのようなものがあった。
 ケースの中には何も入っていない。


 室内に入る前にナルフ浮かべ、調べる。

「うん、何もなしだな。ガラスケースの方も調べるか」
 私は部屋へ入る。
 後ろからエクアたちが続こうとしたが――突如扉が閉まり、私たちを分断した!

「なっ!?」

 扉に近づき、扉を横へずらそうとする。
 しかし、びくともしない。


「クソッ! みんな、聞こえるか?」

 完全に密閉されているのか、室内で声が反響するだけで外には届いていないように思える。
「病原体を扱う研究室。密閉されていて当然か。おそらく、エクアたちがフィナを呼びに行ったはず。それまで大人しく、っ!?」


『fでょいhてぇんfllfほえrふぇjlごいyふぇjg』

 室内に声が響き渡り、部屋全体に赤の点滅が広がる。
 どう考えても、いやな予感しかしない。
 私は扉を叩きつけ、横へ動かそうとする。

「この、うごけ、うごけ、うごけぇえぇ!」



――幻想のアーガメイトの書斎


 フィナはナルフを使い、この部屋全体を解析していた。そこに、机に置いた懐中時計のアラームが鳴り響く。
 その音に大きく心臓を跳ね上げ、次に大きく呼吸を行い、時計をポシェットに納めた。

「大丈夫。大丈夫よ」

 フィナはそう言葉を残して、部屋から長廊下へと向かった。
しおりを挟む
感想 33

あなたにおすすめの小説

精霊に愛される(呪いにもにた愛)少女~全属性の加護を貰う~

如月花恋
ファンタジー
今この世界にはたくさんの精霊がいる その精霊達から生まれた瞬間に加護を貰う 稀に2つ以上の属性の2体の精霊から加護を貰うことがある まぁ大体は親の属性を受け継ぐのだが… だが…全属性の加護を貰うなど不可能とされてきた… そんな時に生まれたシャルロッテ 全属性の加護を持つ少女 いったいこれからどうなるのか…

第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。

黒ハット
ファンタジー
 前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。  

処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜

放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!? 「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」 不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。

剣ぺろ伝説〜悪役貴族に転生してしまったが別にどうでもいい〜

みっちゃん
ファンタジー
俺こと「天城剣介」は22歳の日に交通事故で死んでしまった。 …しかし目を覚ますと、俺は知らない女性に抱っこされていた! 「元気に育ってねぇクロウ」 (…クロウ…ってまさか!?) そうここは自分がやっていた恋愛RPGゲーム 「ラグナロク•オリジン」と言う学園と世界を舞台にした超大型シナリオゲームだ そんな世界に転生して真っ先に気がついたのは"クロウ"と言う名前、そう彼こそ主人公の攻略対象の女性を付け狙う、ゲーム史上最も嫌われている悪役貴族、それが 「クロウ•チューリア」だ ありとあらゆる人々のヘイトを貯める行動をして最後には全てに裏切られてザマァをされ、辺境に捨てられて惨めな日々を送る羽目になる、そう言う運命なのだが、彼は思う 運命を変えて仕舞えば物語は大きく変わる "バタフライ効果"と言う事を思い出し彼は誓う 「ザマァされた後にのんびりスローライフを送ろう!」と! その為に彼がまず行うのはこのゲーム唯一の「バグ技」…"剣ぺろ"だ 剣ぺろと言う「バグ技」は "剣を舐めるとステータスのどれかが1上がるバグ"だ この物語は 剣ぺろバグを使い優雅なスローライフを目指そうと奮闘する悪役貴族の物語 (自分は学園編のみ登場してそこからは全く登場しない、ならそれ以降はのんびりと暮らせば良いんだ!) しかしこれがフラグになる事を彼はまだ知らない

お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~

志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」 この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。 父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。 ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。 今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。 その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。

【完結】帝国から追放された最強のチーム、リミッター外して無双する

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】  スペイゴール大陸最強の帝国、ユハ帝国。  帝国に仕え、最強の戦力を誇っていたチーム、『デイブレイク』は、突然議会から追放を言い渡される。  しかし帝国は気づいていなかった。彼らの力が帝国を拡大し、恐るべき戦力を誇示していたことに。  自由になった『デイブレイク』のメンバー、エルフのクリス、バランス型のアキラ、強大な魔力を宿すジャック、杖さばきの達人ランラン、絶世の美女シエナは、今まで抑えていた実力を完全開放し、ゼロからユハ帝国を超える国を建国していく。   ※この世界では、杖と魔法を使って戦闘を行います。しかし、あの稲妻型の傷を持つメガネの少年のように戦うわけではありません。どうやって戦うのかは、本文を読んでのお楽しみです。杖で戦う戦士のことを、本文では杖士(ブレイカー)と描写しています。 ※舞台の雰囲気は中世ヨーロッパ〜近世ヨーロッパに近いです。 〜『デイブレイク』のメンバー紹介〜 ・クリス(男・エルフ・570歳)   チームのリーダー。もともとはエルフの貴族の家系だったため、上品で高潔。白く透明感のある肌に、整った顔立ちである。エルフ特有のとがった耳も特徴的。メンバーからも信頼されているが…… ・アキラ(男・人間・29歳)  杖術、身体能力、頭脳、魔力など、あらゆる面のバランスが取れたチームの主力。独特なユーモアのセンスがあり、ムードメーカーでもある。唯一の弱点が…… ・ジャック(男・人間・34歳)  怪物級の魔力を持つ杖士。その魔力が強大すぎるがゆえに、普段はその魔力を抑え込んでいるため、感情をあまり出さない。チームで唯一の黒人で、ドレッドヘアが特徴的。戦闘で右腕を失って以来義手を装着しているが…… ・ランラン(女・人間・25歳)  優れた杖の腕前を持ち、チームを支える杖士。陽気でチャレンジャーな一面もあり、可愛さも武器である。性格の共通点から、アキラと親しく、親友である。しかし実は…… ・シエナ(女・人間・28歳)  絶世の美女。とはいっても杖士としての実力も高く、アキラと同じくバランス型である。誰もが羨む美貌をもっているが、本人はあまり自信がないらしく、相手の反応を確認しながら静かに話す。あるメンバーのことが……

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

えっ、能力なしでパーティ追放された俺が全属性魔法使い!? ~最強のオールラウンダー目指して謙虚に頑張ります~

たかたちひろ【令嬢節約ごはん23日発売】
ファンタジー
コミカライズ10/19(水)開始! 2024/2/21小説本編完結! 旧題:えっ能力なしでパーティー追放された俺が全属性能力者!? 最強のオールラウンダーに成り上がりますが、本人は至って謙虚です ※ 書籍化に伴い、一部範囲のみの公開に切り替えられています。 ※ 書籍化に伴う変更点については、近況ボードを確認ください。 生まれつき、一人一人に魔法属性が付与され、一定の年齢になると使うことができるようになる世界。  伝説の冒険者の息子、タイラー・ソリス(17歳)は、なぜか無属性。 勤勉で真面目な彼はなぜか報われておらず、魔法を使用することができなかった。  代わりに、父親から教わった戦術や、体術を駆使して、パーティーの中でも重要な役割を担っていたが…………。 リーダーからは無能だと疎まれ、パーティーを追放されてしまう。  ダンジョンの中、モンスターを前にして見捨てられたタイラー。ピンチに陥る中で、その血に流れる伝説の冒険者の能力がついに覚醒する。  タイラーは、全属性の魔法をつかいこなせる最強のオールラウンダーだったのだ! その能力のあまりの高さから、あらわれるのが、人より少し遅いだけだった。  タイラーは、その圧倒的な力で、危機を回避。  そこから敵を次々になぎ倒し、最強の冒険者への道を、駆け足で登り出す。  なにせ、初の強モンスターを倒した時点では、まだレベル1だったのだ。 レベルが上がれば最強無双することは約束されていた。 いつか彼は血をも超えていくーー。  さらには、天下一の美女たちに、これでもかと愛されまくることになり、モフモフにゃんにゃんの桃色デイズ。  一方、タイラーを追放したパーティーメンバーはというと。 彼を失ったことにより、チームは瓦解。元々大した力もないのに、タイラーのおかげで過大評価されていたパーティーリーダーは、どんどんと落ちぶれていく。 コメントやお気に入りなど、大変励みになっています。お気軽にお寄せくださいませ! ・12/27〜29 HOTランキング 2位 記録、維持 ・12/28 ハイファンランキング 3位

処理中です...