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第十四章 兵(つわもの)どもが夢の跡
そもそも古代人ってやつは
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――遺跡・長廊下
私たちは手分けして他の部屋を調べていた。
しかし、どの部屋も今まで覗いてきた部屋と同じで柔らかな球体が乗った台座ばかり。
球体たちは沈黙を保ったままだが、これもまた電気ショックを与えると動き出すのだろうか?
「ケント、ちょっとこっちに来いニャ」
マフィンの呼ぶ声が聞こえる。
彼に呼ばれ、私は階段近くに来る。
マフィンはもふもふのお腹から小さな鈴を取り出して、下へ続く階段へ投げた。
すると、鈴は途中で見えない壁に弾かれ、チリーンと寂しげな音を鳴らし床に転がった。
「にゃんでかわからにぇ~けど、結界みてぇのが邪魔して下にはいけにゃいニャ」
「そうか……上には戻れるんだろうな?」
「それならワシが確認してきた」
「マスティフ殿」
マスティフが上階へと続く階段から降りてきた。
彼は奇妙な事実を口にする。
「屋上まではしっかり戻れたが、少々、いや、かなり奇妙なことがあってな」
「何があったというんだ?」
「……遺体が全て消えていた」
「なっ!?」
「服も残さず、文字通り跡形もなくというやつだな」
「施設が浄化された際に、遺体も処分されたのだろうか?」
「そうだとすれば、ひどい話だ。弔ってやることもできなんだ」
「そうだな。何百年もこの施設に閉じ込められて……せめて、地上へ出してあげたかったのだが」
「二人とも、しんみりしていても仕方ないニャ。あとで花でも供えてやるとして、今は探索ニャ」
「マフィンの言うとおりだ。とりあえず、二人は上階をくわし――」
「旦那っ」
「ケント様、ちょっとこちらへっ」
親父とエクアの声がする。
私たちは二人に呼ばれ、そこへ向かうことにした。
廊下を進み、途中十字路になっている右の通路奥へ向かう。
その奥にあった扉の前で、二人は私たちを待っていた。
「どうした、二人とも?」
「そいつがですね、ちょっと奇妙な模様が描かれた扉がありまして」
「ケント様、この扉です」
エクアが手を扉へ差し向ける。
扉の表面には黒い四つの円が描かれている。
模様は、一つの円を中心に置いて、大きく湾曲した三日月のような三つの円を、中心の円に重ね合わせたもの。
「これは、バイオハザードマーク」
「ばいお……なんですか、それ?」
「危険な病原体を扱う施設の実験室や保管庫、また輸送容器などに使うマークだ。地球でも使われているが、何故か古代人も同じマークを使用している」
「どうしてでしょうか?」
「さてな。彼らは数多の世界から有用な情報を集めているらしいから、地球で使われているマークを有用と判断したのかもしれない」
「あの、旦那。そもそも古代人ってやつはどんな姿をして、本当の名前はなんて言うんですかい? そして、スカルペルに何しにやってきて、なんで消えちまったんで? 俺はトーワの執務室で初めて世界の秘密とやらを知って、色々わからないことだらけなんですわ」
「それは私もです。詳しいお話は伺ってませんから」
「そうだったな。実を言うと、姿や名前に関しては遺跡に情報がなくわかっていない。しかし、クライエン大陸にある遺物の形状から、姿かたちは我らに似ていると推測されている」
「そうなんですか。この遺跡から古代人の種族名と姿がわかるといいですね」
「ふふ、そうだな。一体どのような存在なのか? 毛はあるのか? 肌は何色か? 目は何個あるのか?」
「あんまり、俺たちからかけ離れた姿じゃなければいいですがね」
「そうですか? 全然違う方が異世界の人って感じがしますけど」
どうやら、親父と芸術家の目を持つエクアとでは少し目線が違うようだ。
姿の話はさておき、話題を進める。
「それとだ、何しにやってきたのかは基本的に謎だ。いくつか説はあるが、彼らは様々な世界を旅して有用な情報を集めている可能性が高い。その途中でスカルペルに立ち寄ったんじゃないかという話だ」
「それじゃあ、消えちまった理由は?」
「彼らは調査を阻害する魔族を排除しつつ有用な情報を集め、それが終えたために立ち去った……が、有力だが……」
私はちらりとマスティフとマフィンを見る。
二人は……
「ここまで来たら話しても構わないのではないか」
「ある意味、最高の中の最高機密ニャが、こんなところまで来ていまさらニャ。それに、この説について都合がわりぃのは教会だけにゃしニャ」
「そうだな……」
私はゆっくりと首を縦に振る。
その様子に怯えた二人は声を静かに立てる。
「何か、まずいことなんですか?」
「聞いたらやべぇことなら、耳を閉ざしますが」
「あははは、やばいも何もここに居る時点で十分に最高機密事項を超えているからな」
「まぁ、そうですがね」
「それじゃあ、話そう。先に断っておくが、この話は機密とされていても確証のない話。数多にある説の中の一つだと言っておこう。では、彼らが消えた理由は……」
私たちは手分けして他の部屋を調べていた。
しかし、どの部屋も今まで覗いてきた部屋と同じで柔らかな球体が乗った台座ばかり。
球体たちは沈黙を保ったままだが、これもまた電気ショックを与えると動き出すのだろうか?
「ケント、ちょっとこっちに来いニャ」
マフィンの呼ぶ声が聞こえる。
彼に呼ばれ、私は階段近くに来る。
マフィンはもふもふのお腹から小さな鈴を取り出して、下へ続く階段へ投げた。
すると、鈴は途中で見えない壁に弾かれ、チリーンと寂しげな音を鳴らし床に転がった。
「にゃんでかわからにぇ~けど、結界みてぇのが邪魔して下にはいけにゃいニャ」
「そうか……上には戻れるんだろうな?」
「それならワシが確認してきた」
「マスティフ殿」
マスティフが上階へと続く階段から降りてきた。
彼は奇妙な事実を口にする。
「屋上まではしっかり戻れたが、少々、いや、かなり奇妙なことがあってな」
「何があったというんだ?」
「……遺体が全て消えていた」
「なっ!?」
「服も残さず、文字通り跡形もなくというやつだな」
「施設が浄化された際に、遺体も処分されたのだろうか?」
「そうだとすれば、ひどい話だ。弔ってやることもできなんだ」
「そうだな。何百年もこの施設に閉じ込められて……せめて、地上へ出してあげたかったのだが」
「二人とも、しんみりしていても仕方ないニャ。あとで花でも供えてやるとして、今は探索ニャ」
「マフィンの言うとおりだ。とりあえず、二人は上階をくわし――」
「旦那っ」
「ケント様、ちょっとこちらへっ」
親父とエクアの声がする。
私たちは二人に呼ばれ、そこへ向かうことにした。
廊下を進み、途中十字路になっている右の通路奥へ向かう。
その奥にあった扉の前で、二人は私たちを待っていた。
「どうした、二人とも?」
「そいつがですね、ちょっと奇妙な模様が描かれた扉がありまして」
「ケント様、この扉です」
エクアが手を扉へ差し向ける。
扉の表面には黒い四つの円が描かれている。
模様は、一つの円を中心に置いて、大きく湾曲した三日月のような三つの円を、中心の円に重ね合わせたもの。
「これは、バイオハザードマーク」
「ばいお……なんですか、それ?」
「危険な病原体を扱う施設の実験室や保管庫、また輸送容器などに使うマークだ。地球でも使われているが、何故か古代人も同じマークを使用している」
「どうしてでしょうか?」
「さてな。彼らは数多の世界から有用な情報を集めているらしいから、地球で使われているマークを有用と判断したのかもしれない」
「あの、旦那。そもそも古代人ってやつはどんな姿をして、本当の名前はなんて言うんですかい? そして、スカルペルに何しにやってきて、なんで消えちまったんで? 俺はトーワの執務室で初めて世界の秘密とやらを知って、色々わからないことだらけなんですわ」
「それは私もです。詳しいお話は伺ってませんから」
「そうだったな。実を言うと、姿や名前に関しては遺跡に情報がなくわかっていない。しかし、クライエン大陸にある遺物の形状から、姿かたちは我らに似ていると推測されている」
「そうなんですか。この遺跡から古代人の種族名と姿がわかるといいですね」
「ふふ、そうだな。一体どのような存在なのか? 毛はあるのか? 肌は何色か? 目は何個あるのか?」
「あんまり、俺たちからかけ離れた姿じゃなければいいですがね」
「そうですか? 全然違う方が異世界の人って感じがしますけど」
どうやら、親父と芸術家の目を持つエクアとでは少し目線が違うようだ。
姿の話はさておき、話題を進める。
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「それじゃあ、消えちまった理由は?」
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二人は……
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