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第一章
第15話 初めて目にした街並み
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――それは突然訪れた。
いつものように使用人が運んできた食事はメイスが処分して、朝食を済ませてすぐのことだった。
ピクッと金色の耳飾りを揺らしてメイスの耳が扉に向けられた。
私もメイスの行動に違和感を覚えて扉に視線を向けると、同時にメイスの舌打ちが聞こえて視線を戻した。
『ちっ!ユ―リ、ここを出るぞ!』
メイスの怒りにも似たようなピリピリとした声音に、何が起きたのか分からないままベッドの下に隠していた斜め掛けのバッグを手に、窓を開けてメイスに急かされるようにして外に飛び出す。
薄汚れたワンピ―スのままだったため、着替える時間すらなかった。
メイスを先頭に、後を追って木の間を駆けて行く。
湖の見える小高い丘まで来ると、メイスが足を止めて振り返った。
『もう、あそこには戻れない。このまま街に向かう』
突然のことに、私は目を白黒させながら尋ねた。
「え?どういうこと?何があったの?」
しかし、メイスはその質問には答えずに着替えるように促してきた。
『その話しはあとだ。さっさと着替えろ。もうその汚い服は捨てるぞ。急げ』
早口で告げたメイスは、辺りに視線を向けて警戒するような姿勢を見せた。
只事ではないと悟った私は、メイスに言われるまま急いで亜空間から服を取り出した。
着替えている間も疑問は大きくなるばかりだが、いつにないメイスの様子が気になって、そそくさと身支度を整えた。
薄汚れたワンピ―スを捨てると言われたが、何となくここに捨てるのは良くないと判断して亜空間に収納した。
着替え終わった私を見てメイスは言った。
『とっとと冒険者登録を済ませたら街を出るぞ。ここに長居は無用だ』
そう話すメイスの険しい雰囲気に押されて、私は無言で頷くことしか出来なかった。
フ―ドを目深に被り、ちらりと盗み見した街並みに私の口は開きっぱなしだった。
生まれた時から離れしか知らなかったのだから、中世ヨ―ロッパのような建物が建ち並ぶ街並みに興味を示してしまうのは仕方がない。
ポカンと口を開けてキョロキョロと見ていたら、前を歩いていたメイスが振り返って注意を促してきた。
『ちゃんと前を見ろ。あと、フ―ドをしっかりと被っていろ。この国ではお前の混じりけの無い黒髪と瞳は目立ってしまうからな。認識阻害の魔法をかけてあるとはいえ、用心に越したことはない』
街に入ってからというもの、すれ違う人達のほぼ全員が赤や緑といったカラフルな色合いをしていたが、私のような暗い色を持つ者は見かけなかった。
しかし、そう言って注意を促したメイス自身は、ビロ―ドのような綺麗な黒い毛並みを隠そうともせずに前を歩いている。
フ―ドを目深に被りなおしてメイスに問いかけた。
「メイスだってそのままだと目立つんじゃない?大丈夫なの?」
メイスはこちらを振り返らずに答えた。
『さっきも言ったが、認識阻害の魔法をかけてある。人間にはただのどこにでも居る猫にしか映っていない。俺のことは心配するな』
メイスの自信満々な言葉に、私は口を閉じた。
確かに、メイスは魔法に長けている。
認識阻害だけでなく、他の魔法も重ね掛けしているのだろう。
私だってこの三ヶ月、みっちりと魔法にスキルに体力作りにと鍛錬を重ねてきた。
だけど、メイスのように咄嗟に判断して魔法を発動させるまでには至っていない。
これも経験の差なのだろう。
もっと精進せねばと、小さく拳を握る。
カラフルな髪色の人達が通りを行き交うのを横目に、メイスの後を追ってついて行く。
歩く速度を上げたメイスに置いて行かれないように、自然と足の運びが速くなっていた。
不意にメイスの足が止まり、私も慌てて足を止めた。
メイスは振り返るなり上を見上げて告げた。
『着いたぞ。ここが冒険者ギルドだ』
メイスが見上げた先に視線を向けると、剣と盾と何か動物のようなものが描かれた看板が目に入った。
その下には確かに冒険者ギルドという文字が刻まれていた。
視線を戻すとメイスと視線が合う。
肩に飛び乗ってきたメイスは、艶やかな尻尾で私の背中を叩いて言った。
『とっとと冒険者登録を済ませてしまおう』
緊張でゴクリと喉を鳴らした私は、メイスに促されるまま冒険者ギルドの扉をそっと開けた。
いつものように使用人が運んできた食事はメイスが処分して、朝食を済ませてすぐのことだった。
ピクッと金色の耳飾りを揺らしてメイスの耳が扉に向けられた。
私もメイスの行動に違和感を覚えて扉に視線を向けると、同時にメイスの舌打ちが聞こえて視線を戻した。
『ちっ!ユ―リ、ここを出るぞ!』
メイスの怒りにも似たようなピリピリとした声音に、何が起きたのか分からないままベッドの下に隠していた斜め掛けのバッグを手に、窓を開けてメイスに急かされるようにして外に飛び出す。
薄汚れたワンピ―スのままだったため、着替える時間すらなかった。
メイスを先頭に、後を追って木の間を駆けて行く。
湖の見える小高い丘まで来ると、メイスが足を止めて振り返った。
『もう、あそこには戻れない。このまま街に向かう』
突然のことに、私は目を白黒させながら尋ねた。
「え?どういうこと?何があったの?」
しかし、メイスはその質問には答えずに着替えるように促してきた。
『その話しはあとだ。さっさと着替えろ。もうその汚い服は捨てるぞ。急げ』
早口で告げたメイスは、辺りに視線を向けて警戒するような姿勢を見せた。
只事ではないと悟った私は、メイスに言われるまま急いで亜空間から服を取り出した。
着替えている間も疑問は大きくなるばかりだが、いつにないメイスの様子が気になって、そそくさと身支度を整えた。
薄汚れたワンピ―スを捨てると言われたが、何となくここに捨てるのは良くないと判断して亜空間に収納した。
着替え終わった私を見てメイスは言った。
『とっとと冒険者登録を済ませたら街を出るぞ。ここに長居は無用だ』
そう話すメイスの険しい雰囲気に押されて、私は無言で頷くことしか出来なかった。
フ―ドを目深に被り、ちらりと盗み見した街並みに私の口は開きっぱなしだった。
生まれた時から離れしか知らなかったのだから、中世ヨ―ロッパのような建物が建ち並ぶ街並みに興味を示してしまうのは仕方がない。
ポカンと口を開けてキョロキョロと見ていたら、前を歩いていたメイスが振り返って注意を促してきた。
『ちゃんと前を見ろ。あと、フ―ドをしっかりと被っていろ。この国ではお前の混じりけの無い黒髪と瞳は目立ってしまうからな。認識阻害の魔法をかけてあるとはいえ、用心に越したことはない』
街に入ってからというもの、すれ違う人達のほぼ全員が赤や緑といったカラフルな色合いをしていたが、私のような暗い色を持つ者は見かけなかった。
しかし、そう言って注意を促したメイス自身は、ビロ―ドのような綺麗な黒い毛並みを隠そうともせずに前を歩いている。
フ―ドを目深に被りなおしてメイスに問いかけた。
「メイスだってそのままだと目立つんじゃない?大丈夫なの?」
メイスはこちらを振り返らずに答えた。
『さっきも言ったが、認識阻害の魔法をかけてある。人間にはただのどこにでも居る猫にしか映っていない。俺のことは心配するな』
メイスの自信満々な言葉に、私は口を閉じた。
確かに、メイスは魔法に長けている。
認識阻害だけでなく、他の魔法も重ね掛けしているのだろう。
私だってこの三ヶ月、みっちりと魔法にスキルに体力作りにと鍛錬を重ねてきた。
だけど、メイスのように咄嗟に判断して魔法を発動させるまでには至っていない。
これも経験の差なのだろう。
もっと精進せねばと、小さく拳を握る。
カラフルな髪色の人達が通りを行き交うのを横目に、メイスの後を追ってついて行く。
歩く速度を上げたメイスに置いて行かれないように、自然と足の運びが速くなっていた。
不意にメイスの足が止まり、私も慌てて足を止めた。
メイスは振り返るなり上を見上げて告げた。
『着いたぞ。ここが冒険者ギルドだ』
メイスが見上げた先に視線を向けると、剣と盾と何か動物のようなものが描かれた看板が目に入った。
その下には確かに冒険者ギルドという文字が刻まれていた。
視線を戻すとメイスと視線が合う。
肩に飛び乗ってきたメイスは、艶やかな尻尾で私の背中を叩いて言った。
『とっとと冒険者登録を済ませてしまおう』
緊張でゴクリと喉を鳴らした私は、メイスに促されるまま冒険者ギルドの扉をそっと開けた。
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