転生少女と黒猫メイスのぶらり異世界旅

うみの渚

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第一章 

第41話 美味しい魔獣の肉

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 遠くを眺めて感慨に耽っていたメイスだったが、急にハッと我に返ると口を開いた。

『懐かしい話しに花を咲かせるのは良いが、もう少し先に進んでおいた方がよくはないか?』

 そう言われて私もハッとする。
 午後まで解体待ちをしていたから、街を発つのが遅くなってしまった。
 今晩は、確実に野宿は確定しているが、出来れば少しでも距離を稼いでおきたいと考えていた。

「うん、そうだね。つもる話しは後でいくらでも出来るから、とりあえず今は先を急ごう」

 防音壁を解除してメイスが肩に乗ったのを確認した私は、足早にその場を後にして先を急いだ。







 やはり、発つのが遅くなったためか、街道ですれ違う人や馬車はなかった。
 太陽は地平線の向こうに沈み始めていた。
 ここは無理して先に進むより、野営地を探した方が賢明な気がする。
 メイスにそのことを伝えようとしたら、先にメイスが提案してきた。

『ユーリ。ここいらで野営地を探してみてはどうだ?足元が明るいうちに野営地を確保しておくのも旅をする者としての常識だ』

 メイスのありがたい提案に頷いた私は、さっそく野営地を確保するため動き始めた。
 街道から少し逸れた場所に、野営をするにはうってつけの平たんな場所がすぐに見つかり、そこにテントを張る。
 そして、魔物や盗賊の侵入を拒むように周囲を結界で覆う。
 太陽が沈み切る前に全ての準備を終えて、地面に腰を下ろした。
 二度目の野営にしては、手早くスムーズに出来たと思う。
 満足気に周囲を見渡して一人頷く。
 メイスは肩から飛び降りて辺りをぐるっと歩いた後、再び肩に飛び乗ると言った。

『二度目にしては上出来だ。あとは慣れだな』

 メイスからの褒め言葉に、満面の笑みを浮かべて応えた。

「うん!もっと手早く準備出来るように頑張る!……ねぇ、メイス。お昼ご飯沢山食べたせいかもうお腹が空いちゃった。ご飯にしようよ」

 お腹に手をあててアピールすると、メイスが笑い声を上げて肩から飛び降りた。

『ははっ!確かに、あの量を食せば腹は減るな。よし、今晩はあの魔獣の肉にしよう』

 そう言うと、折り畳みのテーブルに出来立てほやほやの料理がどこからともなく現れた。
 いつ料理を作っているのか分からないが、そんなことは今更気にしない。
 だって、目の前に美味しい料理が並んでいるのに、小難しく考えるより美味しくいただいた方が良いに決まっている。
 まぁ、要は考えるだけ無駄ってことなんだけどね。
 この世界には不思議が沢山詰まっている、そんな認識で十分だろう。
 テーブルに並べられた料理に手を伸ばして一口肉をかじる。

「っ!うんまぁ!口に入れた瞬間にほろほろと溶けるような、それでいてちゃんと肉の食感もある……はぁ……幸せ」

 頬に手をあてて肉の味をじっくりと嚙みしめる。
 何の魔獣の肉かビリーさんに聞いておけば良かったと若干後悔したが、カリーナさんが料理してくれた時より味に深みがあることに気がついて首を傾げた。
 
「カリーナさんの料理も美味しかったけど、それより柔らかくて深みがあって美味しい……。いくらでも食べられそうだわ」

『そうか。それは良かった。どんどんしょくせ。お代わりならあるぞ』

 メイスはそう言いながら、美味しい魔獣の肉を上品に且つもの凄い勢いで胃袋に収めていく。
 あれだけの量の肉があっという間に消えていくのを眺めていると、さっきまで悶々と抱えていた疑問がいつの間にか吹き飛んでいた。






「ふぃ~。食った食った。もう無理」

 満腹になったお腹を擦りながら、ふと夜空を見上げる。
 キラキラと輝きを放つ無数の星を眺めていると、ここが異世界なのか分からなくなってくる。
 しかし、見慣れた星座が無いことに気づいて、やはりここが元の世界とは違うと改めて認識した。
 
「……オリオン座も北極星も見当たらない。やっぱり異世界なんだなぁ……」

 独り言のように呟いたつもりだったが、メイスにはバッチリと聞こえていたようだ。

『アイツも似たようなことを言っていたな。あの夜空に浮かぶキラキラとしたものは、確かホシと呼んでいた記憶がある。お前達二ホン人というのは夢見がちな種族なのだな』

 夢見がちというよりは、あの星々の中に地球があるかもしれないという期待を胸に見上げていたのではないだろうか。
 英雄と呼ばれたその男性も、遠く離れた故郷を想って夜空を見上げていたに違いない。
 男性の胸の内を推し量ることは出来ないけど、ほんの少しだけ分かるような気がして夜空を眺めた。
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