転生少女と黒猫メイスのぶらり異世界旅

うみの渚

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第一章 

第47話 慌ただしい旅立ち

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 翌日、朝日が顔を覗かせたのと同時にメイスに叩き起こされた。

『起きろ。今日は早く出発するのだろう?早く起きて準備をしろ』

 重低音の耳触りの良い声を耳に、温かくて柔らかい肉球が額をタシタシと叩く。
 叩かれているのだが、全く痛くはない。
 五日ぶりのベッドの寝心地が良すぎて、一秒でも長くこの寝心地から目を覚ましたくなかった。

「ん~……。あと五分……」

 寝返りを打ち、枕を抱きかかえるようにしてうつ伏せになる。

『起きろ!』

 うつ伏せになった瞬間、背中に衝撃が加わった。

「ぐあっ!」

 あまりの衝撃に変な声が出て、すぐに起き上がる。
 四つん這いのまま上半身を起こした私に、枕元に飛び降りたメイスは鼻をふんと鳴らすと告げた。

『昨夜の話しを忘れたのか?俺はアイツと関わりたくないのだ。とっとと身支度を整えろ』

 背中に手をあてて擦っている私を無視して、メイスは急き立ててくる。
 めちゃめちゃ痛い訳ではないけど、こんな乱暴に起こされたのは初めてのことだった。
 それだけ、あのフェンリルが鬱陶うっとうしいのだろう。
 メイスに急き立てられて身支度を整える。
 早朝ということもあり、食堂は人がまばらだった。
 かき込むように朝食を済ませて宿を後にすると、真っ直ぐ門へと向かった。

 門を潜り、街を振り返る。
 できればもう少し、この街でのんびりとしたかった。
 よくよく思い返してみれば、あの家を慌ただしく飛び出してからというもの、ゆっくりと街を見ていなかったような気がする。
 醬油の件があるから、王都に寄った際にはゆっくりと見て回りたいものだ。
 感慨に耽っていたら、肩に乗ったメイスが一刻も早くここから離れたいのか、急かしてきた。

『何をボケッとしている。先を急ぐぞ』

 私は苦笑を零しながら返事をした。

「はいはい、分かってるって。それじゃあ、行こう」

 名残惜しいが、メイスに急き立てられるようにして前を向いた私は一歩足を踏み出した。
 ちなみに、夕食の時に宿の女将さんに尋ねたところ、乗り合い馬車は二日に一回、王都のような大きい街をメインに出ているそうだ。
 そして、今日は出ていないとのことだったので、徒歩で向かうことにした。

 乗り合い馬車で三日なら、徒歩だとどれくらいかかるのだろう。
 大人の足と子供の足では、歩く速度も歩幅も違う。
 久しぶりのベッドは、最高に寝心地が良かった。
 再びあの寝心地を味わえる日が待ち遠しい。
 次こそは街でゆっくりと過ごせることを夢見て、徒歩での旅を再開した。








 街道沿いの草を採取しつつ、徒歩での旅は順調に進んでいた。
 一日目、二日目、三日目と旅は順調に続き、時折現れる小型の魔物を狩りながら、野営の準備も随分と慣れてきた。
 やはり、私の足では王都に着くにはあと数日はかかりそうだ。
 野営の準備を終えて地面に腰を下ろした私は、深いため息を零した。

「は~。王都まではまだ数日はかかりそう。のんびりと徒歩での旅も良いけど、こうも景色に変化がないと飽きちゃうなぁ……」

 街を一歩出たら目の前に広がるのは、街道という名の舗装もされていない道と一面緑色の景色。
 初めて外に出た頃は、この景色が綺麗で眺めているだけで気分が高揚したものだが、いい加減見飽きていた。
 私のボヤキを聞いたメイスは、肩から飛び降りて膝の上に移動すると、こちらを見上げて言った。

『だったら、明日は身体強化して走ってみるか?のんびりと歩くのも良いが、風を受けて走るのも気持ち良いぞ』

 身体強化をかけて走る、か。
 確かに、風を一身に浴びて走るのは気持ちが良さそうだ。
 それに、走った分だけ王都に早く着ける。
 身体強化をかけて走るのは初めてだけど、試す価値はありそう。

「うん、そうする。加減が分からないから練習を兼ねてやってみようと思う」

『そうだったな。では、明日試してみるか。今夜は早く休め』

 私達は夕食を摂ると、明日に備えて早めに休むことにした。
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