転生少女と黒猫メイスのぶらり異世界旅

うみの渚

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第一章 

第48話 疾走していたら王都に着いちゃった?

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「うひょぉ~!気持ち良い~!」

 風を全身に受けて街道を疾走して行く。
 身体強化をかけて走るのは初めてだったので、徐々に速度を上げていったのだが……。

「サイコーに気持ち良すぎるぅ~!」

 流れる景色を横目に、街道を駆け抜けていくのは実に気持ちが良い。
 身体強化のスキルがこんなに凄いものだとは思ってもみなかった。
 まるで、風と一体感になったような錯覚を覚える。
 この気持ちを一言で表すなら爽快感だろうか。
 今までは部位ごとに強化をかけるのがほとんどだったから、本格的に使用したことはなかった。
 以前と比べて筋力も体力もついたおかげで、速度を上げて走っていても息切れしないし辛くもない。
 これもメイスにビシバシ鍛えられたおかげだろう。
 あの頃、心の中で散々文句を言ってしまってごめんねメイス。
 心の中でメイスに謝罪をしながら疾走していると、遠くに人の姿が目に入って速度を落とす。
 更に、その前方には高くそびえ立つ壁が視界に飛び込んできた。
 私は立ち止まって首を傾げた。

「ん?遠くに見えるのは……高い壁?どうして――」

 そう口に出して気づく。
 たぶんだが、身体強化で疾走しているうちに、予定よりも早く王都に着いてしまったのではないかと。
 考え込んでいる間に、肩から身を乗り出して前方の高い壁を見たメイスが口を開いた。

『ふむ。あの城壁は王都のようだな。今までの城壁より頑丈そうだ。良かったな、ユーリ。今夜はベッドで眠れるぞ』

 嬉しそうに話すメイスを横目に未だ収拾がつかない私は、つい心の声が口から出ていた。

「……疾走していたら王都に着いちゃった?」

 茫然と城壁を眺める私に、メイスは列に並ぶように急かす。

『まぁ、そういうことだな。筋力も体力もついた今のお前なら、それくらいわけないだろう。ほら、列に並ぶぞ』

 メイスに急き立てられながら最後尾に並んで順番を待っていると、その堅固けんごな城壁が露になる。
 頑強な門の前には、今までの門兵より明らかに立派な身なりの門兵達が、鋭く目を光らせて立っていた。
 堅固けんごな城壁と立派な身なりの門兵達の様子から、本当に王都に着いたのだと悟った。








 門兵は、冒険者カードを返しながら義務的に告げた。

「ようこそ。エストロッジ国王都へ」

 やっぱりここは王都だったのか。
 カードを受け取ってありがとうと言った私は、大きな門をくぐり大通りへと向かう。
 さすが王都でも言うべきなのか、大通りは綺麗に整備されており、馬車同士がすれ違ってもまだまだ余裕があった。
 大通り沿いに建ち並ぶ建物は、今まで見てきた建物より大きく一軒一軒特徴のある装飾が施されている。
 通りを歩く人達の服装も、お洒落で洗練されているように見えた。
 
「ほぇ~。ここが王都かぁ……。何か、都会って感じがする」

 日本で言う都会とは意味合いが違うが、ロージスやカントーリの街と比べたらその規模に圧倒的な差があるのは一目瞭然のことだった。
 あまりにも間抜けな感想に呆れたのか、メイスは呆れた声色を滲ませて答えた。

『当たり前だろう。ここは王が暮らす場所だ。この国一番の広さの土地と人口を持つ。……そうだな。お前にはこの世界の常識が無いのだったな。では、宿を探すついでに簡単に説明でもするか』

 メイスはそう言うなり、王都について説明をし始めた。
 
 メイス曰く、王都はその中心に王城を構えており、三重の城壁で王城を囲むように貴族街、平民街の順で王都が成り立っているそうだ。
 当然、貴族街から平民街へ行くにも城壁で隔たれているため、その都度身分を証明する必要がある。
 その逆もまたしかり。
 実に面倒くさい。
 まぁ、貴族や王族と関わるつもりはないから、そこら辺は適当に聞き流しておいた。
 メイスの一方的な説明を聞いていたら、こぢんまりとした可愛らしい建物が目に入って足を止める。
 看板には宿らしいイラストと店の名前が書かれていた。
 今夜の宿はここにしよう。
 そう決めた私は、メイスの話しを遮って声をかけた。

「ねぇ、メイス。今夜の宿はこのお店にしようよ。私の直感だけど、このお店の料理、きっと美味しいと思うの」

 私の声に説明を止めたメイスが、店を見上げて呟いた。

『せっかく説明してやったというのにお前ときたら……。ふむ。確かに悪くはなさそうだ』

 店を見上げたメイスが満足気に頷いたので、私はさっそく店の扉を開けて中に足を踏み入れた。
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