転生少女と黒猫メイスのぶらり異世界旅

うみの渚

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第二章

第111話 青い髪のイケメン

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 ジャンさんと別れた私達は、先ず冒険者ギルドに向かうことにした。
 ジャンさんの説明によると冒険者ギルドは街の中心部にあり、行けば分かるとのことだった。
 辺境の街というわりには、通りはそれなりに賑わっている。
 サーレーンの街と比べたら人口は多くはないものの、街の規模としては大きいように思う。
 あと、通りを歩く人々を見て思ったのが、エストロッジ国では見かけなかった髪色の人が居たこと。
 エストロッジ国では淡い色素の人達ばかりだったが、アルファイド王国では実に様々な人種が普通に生活をしている。
 前以って話しを聞いていたが、この辺境の街でもそれは例外ではないようだ。
 隣り合う国でも、こうも違うとは想像もしていなかった。
 周囲に気を取られていた私の隣から、興奮気味に語るヒデさんの声が聞こえた。

「うわぁ……。色んな人が居る。あ、あのケモ耳の子、虎っぽい。可愛い」

 通りですれ違う人の中にケモ耳の子が居たようで、ヒデさんの声が弾んでいる。
 私はというと、ケモ耳よりも髪の色や顔立ちを注視していたので、その子の姿は目に入っていなかった。
 ヒデさんの声に気がついて辺りを見渡すが、それらしい姿を見つけ出すことは出来なかった。
 そうこうしているうちに、あっという間に冒険者ギルドにたどり着く。
 私は看板を見上げて呟いた。

「ここが冒険者ギルド。思っていたよりも大きいな」

 人口が多い王都ならいざ知らず、ここは辺境の街で人口もそう多くはないはずだ。
 不思議だなと思いポツリと零した私の背後から、朗らかな男性の低い声が耳に届いた。

「そりゃあそうだろう。ここは元々荒れ地を開墾した場所だからな。周囲には未開の地があるし魔物の住処もある。経験を積みたい冒険者がこぞってこの街に来るのは当然のことさ」

 えぇ!なんだって!?
 このカミール領は農業が盛んなだけでなく、冒険者の修練場にもなっているの!?
 驚いて振り返ると、そこには大剣を背にした青い髪の二十代半ばの長身の男性が立っていた。
 日に焼けた浅黒い肌が青い髪と瞳を際立たせており、白い歯を見せて笑顔を浮かべる表情は爽やかイケメンそのものだ。
 あまりのイケメンぶりに鼓動が大きく脈打つ。

 たぶん、間抜けな顔をしていたのだろう。
 不意に、頬を尻尾で軽く叩かれてハッと我に返る。

『……お前、あんなのが好みなのか?』

 どこか不機嫌そうな声色に私は苦笑を浮かべる。

「そんなんじゃないよ。ただ、あそこまでのイケメンを間近で見たのが初めてだったからびっくりしただけだよ」

 そう答えたのだが、琥珀色の瞳はそうなのか?と言わんばかりに探っている。
 私達のやり取りを見ていた青い髪の男性は、爽やかな笑顔のまま言った。

「へぇ……。君、魔獣使いなのかい?何やら魔法を使っているようだが、別に君達に害を加える気はないから安心してほしい」

 彼の言葉の意味が分からずに首を捻る。
 魔法?今は使っていないはずだけど……。
 あっ!もしかして認識阻害のこと?
 え!?だって、メイスの魔法は滅多に看破されることはないって言ってなかった?
 動揺を隠せずに視線が泳いでしまった。
 すると、メイスが盛大なため息を吐いてぼやいた。

『……ちっ。この俺の魔法を看破出来るヤツが居たとはな。……だが、あの国から離れたしそろそろ解除しても良い頃合いだろう』

 メイスが話し終えた途端、私の体を覆っていた魔力が一気に霧散していく。
 常にメイスの魔力に包まれていたせいか、急にその気配が消えたことで寂しさが募る。
 認識阻害の魔法を解除したため本来の黒髪黒目が露わになると、目の前の男性が大きく目を見開いて固まってしまった。
 やっぱりここでも、黒髪黒目は忌避の対象になるのだろうか。
 唇を噛みしめて俯いていると、頭上から男性の呟きが聞こえた。

「……伝承の英雄と同じ黒髪黒目の人間が二人。まさか、この目で拝めるとは……。信じられん」

「……え?」

 二人と聞いて私はヒデさんを仰ぎ見る。
 どうやらメイスは私だけでなく、ヒデさんに掛けた認識阻害の魔法も解除したようだ。


 目の前では青い髪の男性がキラキラとした眼差しで、私とヒデさんを見つめている。
 困惑した私達は、お互いの顔を見合わせて立ち尽くしていた。
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