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第二章
第112話 金級冒険者キリアン
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認識阻害の魔法を解除して本来の姿が露わになったのだが、早まってしまったのではと後悔した。
英雄と同じ黒髪黒目なのは先祖返りだから当然なのだけど、忌避されるよりも好奇の目に晒されるなんて思ってもみなかった。
様々な人種や髪色の人が居るのだからと楽観視していたが、その反応は予想していなかった。
目の前の男性は、キラキラとした目で私達を見つめている。
あまりの居心地の悪さに俯くことしか出来ない。
私の様子に気がついた男性が、慌てて口を開いた。
「おっと。あまりにも見事な黒髪だから見入ってしまった。悪いな二人共。俺はキリアン。金級冒険者だ。君達は何処から来たんだい?」
彼の名前はキリアンと言うのか。
私も名乗った方が良いのだろうか?
答えられずに悩んでいると、私に代わりヒデさんが答えた。
「……えっと、僕は秀幸。ヒデと呼ばれています。かの、彼はユーリ、エストロッジ国から来ました」
彼女と言いかけてすぐに彼と言い直して簡潔に説明をする。
一瞬、キリアンさんの目がスッと細められた気がしたが、その僅かな変化に私もヒデさんも気がつかなかった。
ヒデさんの話しを聞いたキリアンさんは、申し訳なさそうに眉尻を下げると謝罪の言葉を口にした。
「そう。エストロッジ国から……。それは大変だったね。だから、認識阻害の魔法を掛けていたのか。余計なことを言ってしまったようだな。すまない」
キリアンさんはエストロッジ国に行ったことがあるのか、言葉を濁しながらも事情を理解しているように何度も頷いていた。
それからハッとした表情で顔を上げたキリアンさんは、私達に向かって再び質問を投げかけてきた。
「……ということは、君達はこの街に来たばかりなのか?」
「はい。ついさっき来たばかりで、冒険者ギルドに寄ろうと思っています」
キリアンさんの質問に、ヒデさんが目の前の建物を指差して答える。
冒険者ギルドの前で話し込んでいたことに気がついたキリアンさんが慌てて口を開いた。
「あ、ああ。足を止めさせてすまない。この街は王都から遠い上に、君達のような新人冒険者が来ることが滅多にいないから、つい気になって声をかけてしまった。立ち話しも何だし、中に入るか」
なるほど。この街は農業が盛んなだけでなく、周囲に強い魔物が居るのか。
どうりで新人ぽい冒険者を見かけなかったわけだ。
でも、城壁の外に茶畑や田んぼがあるけど、魔物に食い荒らされる心配はしなくて良いのだろうか?
ふと浮かんだ疑問をキリアンさんに尋ねた。
「あの、城壁の外にある農作物は大丈夫ですか?魔物に食い荒らされたりしたら生活が成り立たないんじゃ……」
「ああ、それは大丈夫。領主様に雇われた警備隊がきちんと警備してくれているからね。それにしても君、ユーリくんだっけ?小さいのにそんなことにまで気が回るなんて随分と賢いんだね。まるで、かの英雄を彷彿とさせるよ。強くて領民思いの素晴らしい方だと聞いている」
あ、まずい。
キリアンさんが目を輝かせて語り始めた。
どうやら彼は英雄に心酔しているのか、共通点を見つけては英雄の話しをしたがる。
私は咳払いをして話しを遮ると、まくし立てるように言った。
「そうですか。それより、僕達はこの街に来たばかりでまだ宿すら探していないんですよね。そろそろ宿を探さないと日が暮れてしまいますし、冒険者ギルドで買い取りをお願いしたいので先を急ぎたいのですが……」
「あ、ああ、そうだった。長々と引き留めて悪かったね。さあ、中に入ろう」
申し訳なさそうに眉尻を下げて謝ると、扉を開けて中に入るように促された。
無意識の行動だろうが、あまりにもスマートな仕草に私は苦笑を浮かべる。
これがモテる男というものなのか。
隣では、ヒデさんが感心したようにキリアンさんの行動を見ていた。
中に足を踏み入れた私は、今まで見てきたギルドとは違う雰囲気に圧倒されて息を吞んだ。
英雄と同じ黒髪黒目なのは先祖返りだから当然なのだけど、忌避されるよりも好奇の目に晒されるなんて思ってもみなかった。
様々な人種や髪色の人が居るのだからと楽観視していたが、その反応は予想していなかった。
目の前の男性は、キラキラとした目で私達を見つめている。
あまりの居心地の悪さに俯くことしか出来ない。
私の様子に気がついた男性が、慌てて口を開いた。
「おっと。あまりにも見事な黒髪だから見入ってしまった。悪いな二人共。俺はキリアン。金級冒険者だ。君達は何処から来たんだい?」
彼の名前はキリアンと言うのか。
私も名乗った方が良いのだろうか?
答えられずに悩んでいると、私に代わりヒデさんが答えた。
「……えっと、僕は秀幸。ヒデと呼ばれています。かの、彼はユーリ、エストロッジ国から来ました」
彼女と言いかけてすぐに彼と言い直して簡潔に説明をする。
一瞬、キリアンさんの目がスッと細められた気がしたが、その僅かな変化に私もヒデさんも気がつかなかった。
ヒデさんの話しを聞いたキリアンさんは、申し訳なさそうに眉尻を下げると謝罪の言葉を口にした。
「そう。エストロッジ国から……。それは大変だったね。だから、認識阻害の魔法を掛けていたのか。余計なことを言ってしまったようだな。すまない」
キリアンさんはエストロッジ国に行ったことがあるのか、言葉を濁しながらも事情を理解しているように何度も頷いていた。
それからハッとした表情で顔を上げたキリアンさんは、私達に向かって再び質問を投げかけてきた。
「……ということは、君達はこの街に来たばかりなのか?」
「はい。ついさっき来たばかりで、冒険者ギルドに寄ろうと思っています」
キリアンさんの質問に、ヒデさんが目の前の建物を指差して答える。
冒険者ギルドの前で話し込んでいたことに気がついたキリアンさんが慌てて口を開いた。
「あ、ああ。足を止めさせてすまない。この街は王都から遠い上に、君達のような新人冒険者が来ることが滅多にいないから、つい気になって声をかけてしまった。立ち話しも何だし、中に入るか」
なるほど。この街は農業が盛んなだけでなく、周囲に強い魔物が居るのか。
どうりで新人ぽい冒険者を見かけなかったわけだ。
でも、城壁の外に茶畑や田んぼがあるけど、魔物に食い荒らされる心配はしなくて良いのだろうか?
ふと浮かんだ疑問をキリアンさんに尋ねた。
「あの、城壁の外にある農作物は大丈夫ですか?魔物に食い荒らされたりしたら生活が成り立たないんじゃ……」
「ああ、それは大丈夫。領主様に雇われた警備隊がきちんと警備してくれているからね。それにしても君、ユーリくんだっけ?小さいのにそんなことにまで気が回るなんて随分と賢いんだね。まるで、かの英雄を彷彿とさせるよ。強くて領民思いの素晴らしい方だと聞いている」
あ、まずい。
キリアンさんが目を輝かせて語り始めた。
どうやら彼は英雄に心酔しているのか、共通点を見つけては英雄の話しをしたがる。
私は咳払いをして話しを遮ると、まくし立てるように言った。
「そうですか。それより、僕達はこの街に来たばかりでまだ宿すら探していないんですよね。そろそろ宿を探さないと日が暮れてしまいますし、冒険者ギルドで買い取りをお願いしたいので先を急ぎたいのですが……」
「あ、ああ、そうだった。長々と引き留めて悪かったね。さあ、中に入ろう」
申し訳なさそうに眉尻を下げて謝ると、扉を開けて中に入るように促された。
無意識の行動だろうが、あまりにもスマートな仕草に私は苦笑を浮かべる。
これがモテる男というものなのか。
隣では、ヒデさんが感心したようにキリアンさんの行動を見ていた。
中に足を踏み入れた私は、今まで見てきたギルドとは違う雰囲気に圧倒されて息を吞んだ。
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